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釣行記

釣行レポート

2011年4月26日

餌で釣る穴吹川上流のアマゴ

4月26日(火)、釣り仲間の三木勝利さんが餌でアマゴを釣りに行くというので同行した。今年は冬が近年になく寒かったせいで、剣山系の北斜面はところどころ現在も雪が残っており、イワナが棲むような標高では、魚はまだ冬の呪縛から解き放たれてはいない。

「もう少し奥へ車を走らせれば、いい魚が手に入るには入るさ。でも、まだサビが抜けきっていない。そういうのは緩い流れに多くひそんでいて、魚との駆け引きという点ではあまりパッとしない。やはり、春の釣りはひらけた明るい場所で、瀬のなかに出ている元気のいいのを釣るのが楽しいね。ここは成魚放流が盛んで鰭ピンじゃないのが多いけど、よく釣れるからビギナーにももってこいの釣り場だよ」と三木さんは説明してくれた。
これから三木さんが釣ろうとしているのは、木屋平の町役場の少し上流で、私たちはコンクリートの階段から深い谷底の流れのほとりまで降りてきたところだった。このような階段はここのほかにも何カ所か目についた。山側は自然の景観を呈しているが、道路側は護岸してある場所が多い。そこに階段やスロープを設けて容易に流れのほとりまで下れるよう配慮がなされているのだ。谷は深いが、これなら初心者も安心して釣りができる。先ほど述べたように放流量も多いため、若葉マークの餌釣り師が週末になると多く訪れる人気の釣り場でもある。

しかし、今回は平日ということもあり、私たちのほかに釣り人の姿はなかった。 「というより、餌釣りは早朝が勝負だからね。みんな一番川を釣りたがる。ほら、ごらんよ、踏み痕がけっこうある。ほら、あそこにも」
たしかに、よくみると流れのほとりの砂地に残る足跡は三木さんの言うとおり新しい。そうすると、これから釣りを始める三木さんは、どうやら二番川、いや三番川を攻めることになるらしい。これは意気消沈ものである。それでも、開始早々、腕のいい三木さんはレギュラーサイズのアマゴを難なく釣りあげて、私を驚かせた。
「もう釣れたの」と私が言うと、「放流ものだけどね」と三木さんは照れくさそうな顔をした。

午後の日差しがまぶしかった。
たしかに、ここの釣り場は上空がひらけて釣りやすいが、そのぶん日ざしがまともである。
その日差しでぎらぎらする流れから、またもやアマゴが空中に躍り出た。むろん、それは自らの意思で水を脱いで跳ねたのではなく、三木さんの仕掛けにまんまと宙づりにされてしまったのだ。遠まきに私は写真を撮っていたが、駆け寄ってみると、タモのなかに朱点の鮮やかなアマゴが苦しそうに息をしていた。
「1尾目と同じくらいだね」
「うん」
「ずいぶん浅いところで食ったようだけど」
「瀬に出ているアマゴは活性が高いからね」と三木さんは弾む声で言うと、リリースしていいかと尋ねて来た。
私はうなずいた。
「じゃあ、鰭ピンの素敵なやつが釣れるまで釣ったその場で鈎をはずしてやるとしよう。魚体に触れない方が、ダメージが少ないからね」

その後も、アマゴは釣れつづいた。サイズは判で押したようによく似ていたが、どれも成魚放流されたもので、ネイティブという容姿からはほど遠かった。
それでも、もう10尾ほど釣ったろうか、釣りあがる私たちの前に両側の切り立った水深のわりとある魅力的な流れが姿を現した。奥行きもじゅうぶんだ。
「とりあえずヒラキを釣って、その奥、またその奥とサイドから攻めるからね、こういう大場所は流れを三分割して釣るのがいい」
瀬尻に大きな岩が流れを堰く形に配置されているため全体に浅い流れのなかにあってここだけは如何にも大物がひそんでいそうな水深だ。だから、アワセをくれたあと、三木さんの竿が綺麗な弧を描いて撓うのを目にした私は、胸が高鳴った。
「なかなか大きいようだ、大きい」と三木さんは語気を強めた。
事実、大きいにちがいなかった。しかし、上手にやり取りして水面へと浮かせたまではよかったが、浮くと同時に相当暴れた。アマゴは顎から鈎をはずそうと体を回転させるのが常だが、ただ暴れているのか、回転しているのか、それともその両方なのか、私のいる場所からは逆光のために何とも判別がつきかねた。そして、よく見える場所へ移ろうと動いた瞬間、ラインがふけて竿がただの棒きれに還元された。
「ちくしょう、大きかった。体高のあるいいアマゴだった。みたかい? ネイティブだ。正真正銘、渓の女王だ。あーぁ、残念!」
三木さんはそう言って天を仰いだ。
切れたかと思ったが、鈎はずれであった。
「この糸は強いから、そう易々と切れたりはしない」
「でも、もうこのポイントでは釣れないね」
「もちろん、駄目さ。あのサイズに流れ込みの深みへと走られたら、危険を感じてほかの魚も隠れてしまう。万事休すさ」
相当期待していたポイントだったのだろう、三木さんは相当悔しそうだった。
すでに西に傾いた春の陽は山の向こう側に落ちて、少しひんやりしはじめていた。夢中で遊んでいると時間がたつのもあっという間だ。まあ、釣りはじめた時間が時間だから仕方ないといえばないのだけれど。
「この先の曲がりの向こうの橋のところまで釣って、今日はおひらきにしよう」
三木さんはそう言うと、鈎を結び直した。何尾か釣ると鈎先が甘くなるそうで、こまめに交換することを三木さんは普段から決して怠らない。それとも大物を釣り損ねた鈎は縁起がよくないと思ってのことだろうか。

ここで三木さんの仕掛けをざっと記述しておくと、竿はシマノ寒流ハエ硬調5m、道糸はシルバースレッドアイキャッチ2lb(0.6号)、それにスタークU2渓流0.3号~0.5号を60cm~120cmほど接続。仕掛け全体は竿の全長よりもやや短い。目印は2つ、道糸部分に付ける。オモリはガン玉3号。鈎は渓流用0号。
あと、アマゴを掬うためのタモは餌にする川虫(カゲロウの幼虫)を採取するためにも必要不可欠なので、網目はごく細かいものを採用している。

ただし、今回の釣り以降は、仕掛けを新しくした。
道糸がユニチカPE渓流0.2号。ハリスがユニチカ・スタークU2 0.3号。あとは、今回と同じである。のびのないPEは微妙なアタリも明確に出て、底を流せば水底の地形が手に取るように分かる。オレンジのPEは細くてもよく見え、仕掛けが今どこを流れているのかを容易に確認できる。
「これこそ、究極の細仕掛けだね」と三木さんは絶賛した。
仕掛けは自然に流すのが基本。速い流れと速い流れの筋のあいだにできる少し遅い流れに仕掛けを入れて、流れに餌先行で送り込んでいく。目印が止まる、あるいは仕掛けがふと動かなくなったと感じたら即アワセをくれるといいそうだ。浅い流れの瀬の釣りは、このように微妙なアタリを見逃さず合わせられるか否かで釣果が大きく変わって来る。そのままにしておいたら、糸が張ったときにアマゴは鈎を瞬時に吐き出す。鈎を刺した川虫を呑んで仕掛けを引きまわすような向こうアワセは稀も稀である。

三木さんは、夕方五時すぎまで川虫を餌に、浅い流れを釣り歩いて20尾ほどのアマゴを手にしたが、目を見張るような大物とも鰭ピンのネイティブとも出会うことはなかった。
「1尾でいいから目の覚めるような綺麗なやつを釣りたかった」と三木さんは春の陽のなごりに明るい山の空に目をあげた。
「そいつは次回のお楽しみ」と私も空を見あげた。
私たちは、橋のところから道路へと出て、車の方へと歩きはじめた。



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「ここは成魚放流が盛んでビギナーでも釣れるよ」と三木さん

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町役場の上流はひらけて釣りやすい

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浅い流れの筋に仕掛けを自然に流す三木さん

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流芯の向こう側、石際に仕掛けをナチュラルドリフトさせる

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三木さんの仕掛けに待望のアマゴがヒット!

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人が見過ごしそうなごく浅い場所からもアマゴがヒットした

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判で押したようにこのサイズばっかしだな、と内田裕也を気取る三木名人

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ネイティブの精悍には欠けるが、このサイズがよく釣れた

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豊かな流れは大物をねらって流す回数もおのずと増える

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石をはぐると川虫が多くいた

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渓流の定番、渓流スタークU2

【今回の使用タックル】
■三木さんのタックル

竿 : シマノ 寒流ハエ硬調5m
道糸 : ユニチカ シルバースレッドアイキャッチ2lb(0.6号)
ハリス : スタークU2渓流0.3号

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