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釣行記

釣行レポート

2011年8月4日

三木勝利氏、ベースケを釣る

ほかの釣り同様に投げ釣りも相当うまい三木勝利氏に連れられて夏が旬のベースケを釣りに庵治半島の江の浜海岸へ出かけた。じつは、この日の日中に私がチヌのダンゴ釣りをしに高松市内の弦打木材港に出かけたことを知った三木さんが冷たい飲み物の差し入れを届けてくれたので、そのお礼に釣りの最後にかなりたくさん残ったサシエのホンムシをプレゼントしたところ、「じゃあ、今夜は庵治へベースケを釣りに行くとしよう。一緒に行かない?」と誘われたのである。
私は夏の太陽の下で、しかも、昼の日なかにサシエを包んだ集魚目的のダンゴを海へ投げ込んではアタリを待つというハードな釣りを楽しんだあとだけに、二つ返事で、「行く」とは答えられなかった。
そこで、私は見に行くだけなら行ってもいい、釣れたら写真を撮ってあげる、そう返答した。
さて、家へもどって風呂でさっぱりしたあと夕食を食べたら、もう約束の時間である。
庵治半島の江の浜までは家から30分はかかるので、私は午後9時少し前に車で出かけて行った。ところが、私はけっこう三木さんに気を使って愚図のくせにしてはずいぶん努力して時間どおりに釣り場につけるようがんばったのにもかかわらず、当の主役の三木さんがまだ来ていない。
「これは何としたことか。おのれ、ミキカツ!」と私はむっとして言った。
そして、道路のひろまった空きスペースに車を乗り入れ、エンジンを切ると海の様子を見に道路を渡って波返しの上に這い上った。海はベタ凪であった。すでに満ちに転じた潮が左から右へとゆっくり流れはじめていた。沖を通る船から送られてくる波のなごりが足元の石積みをようやく洗いはじめたころで、そろそろ時合に近づきつつあった。三木さんのいうには、この岸沿いに並行して組まれた石積みの基礎部が完全に潮に没して少し経つとベースケがにわかに活気づくのだそうである。
それにしても、遅い。少し時合には間があるかもしれないが、そろそろ到着してもよいころだ。
「一体どこで油を売っているのか」
しかし、このとおりまだやって来ないので、ここはひとつベースケという魚について少し説明しておくこととする。この魚、なんのことはない、あのウナギの親戚のアナゴである。ただ、その大きさが普通にアナゴと呼ばれるものと比較すると相当バカでかい。もともと蛇のように長い体型なので長さでいうのもなんだが、まず驚くのはその身の太さである。はっきり言って太い。誰が何といおうと圧巻の太さである。しかも、プリプリとしたその身は透きとおるような飴色をしている。腹は気持ちがよいほど白い。ひらいて蒲焼にすると、いかにも美味そうだ。じっさい、蒲焼にして食ってみると相当おいしい。
「これが黒アナゴだと、こうはいかないんです」と魚類に詳しいデーブ鎌田が、いつか一緒に釣りに行ったときに説明してくれたことがあるが、たしかにアナゴには白と黒と2種類あって、白の堂々とした大きさのものだけをベースケと尊敬の念を持って呼ぶのだそうだ。
「黒のほうは、おいしくないの?」と私は三木さんに訊いてみた。
「アナゴだから不味くはないけど、白にはかなわない」
「蝮の赤と黒は、やはり赤がうまいのかな?」
「蝮とベースケと一緒にしないでくれ」と三木さんはちょっと嫌そうな表情をみせた。」
「似たようなもんだろ」
「全然ちがう」
その白アナゴのベースケを初めて釣って食べたのは4、5年前のことで、鰻よりも淡白な蒲焼きのその味わい深さは三木さんが力説するとおり目をみはるものがあった。
「関西の料理人が、わざわざこの山の上の庵治観光ホテルに夏が来ると何日か宿泊して、夜ごと熱心にベースケを釣っては自分の店宛に送っている、それくらい美味しい魚だ」と三木さんはあるとき私に言った。「あれは盆前の蒸し暑い夜だったと記憶しているが、江の浜の漁港の波止の先から外向きに仕掛けを遠投すると、おもしろいようにアナゴが食ってきた。そのなかの2割程度がベースケで、たしか6尾ほど持って帰って、ひらいて、串を打って焼いて、タレをつけて、また焼いて、そして食ったら、頬が落ちそうになったよ」
この話は私におおいなる興味を抱かせた。それからというもの、私もちょくちょく通って毎年夏場に何尾かの極上のベースケを釣って持ち帰り、蒲焼にして食うようになったのだが、シーズンオフになってもその味が忘れられなくて早く夏が来ないかなぁと願うほどに病みつきになってしまった。
今年も、そのベースケの夏がやって来た。
そして、ようやく三木さんが到着した。
「呼ばれてとび出てジャジャジャジャーン!」と軽いノリで車から降りてくると、三木さんは慌てて道具の支度にとりかかった。
「どうでもいいけど、待たせ過ぎだよ」
「悪い、悪い。ちょっとと思って横になったら、寝過してしまった」
「そんな。御隠居さんみたいなこと言っちゃって」
「誰が、爺じゃ」
「誰もそんなこと言ってないでしょ」
つまらないことを言い合っている間に手際のよい三木さんは早くも首尾よく仕掛けを組みあげてしまった。
今回の釣り場は江の浜漁港のすぐ東側の海岸線。庵治半島を一まわりする海辺の道路から波返し越しに天秤オモリを沖へと向かってキャストしてアタリを待つ。
三木さんは投げ釣り用の竿を2本用意して来ていた。それを、近くへ投げたり、少し遠くへ投げたり、うんと遠くへ投げたり、少し右へ投げたり、真正面に投げたり、かなり左へ投げたりして、ベースケの居場所を見つけ出していく。
海の底は砂地であるが、ところどころ根があり、立ち藻の繁茂する場所があるようで、三木さんはそのような地形に変化のある場所付近に仕掛けを投入してアタリを待っているように私には思えたが、肝心な話になると言葉を濁してはっきりしたことは教えてもらえない。
ちなみに、私が釣るとアナゴサイズしか釣れない夜が3回に2回くらいの割合であるが、三木さんは5回に3回は複数のベースケをキャッチして、毎年、私を悔しがらせている。 ミキカツさんの仕掛けは、道糸がユニチカキャスライン磯投2号。これに力糸を結んで天秤オモリ25号をセットする。ハリスはユニチカアイガーIIIスーパー3号である。鈎は、丸海津15号で枝素は結ばない。竿は標準的な投げ用で、リールも普通の投げ専用のスピニングリールである。

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三木さん愛用の投げ釣り専用道糸。

当日の夜は、午後10時過ぎまで潮の流れがゆるくて、釣りはじめてしばらくはフグか何かの餌盗りにサシエのホンムシを食いちぎられて思うような成果を導き出すことができないでいた。
ところがそれから30分と経たないうちに流れが速くなって、竿2本の仕掛けが右方向へ寄せられて来るようになると、竿の先にセットしたケミホタルを揺らす明確なアタリが出るようになって、その直後にアナゴが釣れた。もし、ベースケを念頭に置かないなら、このアナゴはじゅうぶん立派な大きさであった。
「まあ、白だから、このサイズでもじゅうぶん美味しく食べられる。とりあえずキープしておこう」
ミキカツさんは、そう言ってクーラーのなかにアナゴを入れた。
そして、鈎に餌を新しくつけ替えていると、もう片方の竿にも明らかに餌盗りとは思われない素敵なアタリが来て、穂先のケミホタルの光がゆれ動いた。その後、いったんアタリは止まったものの、すぐまたその緑の光が夏の夜の闇のなかで前後にゆれた。
「三木さん、アタリ!」と私が声に出して告げたときには、もう竿の先のほうがお辞儀するほどグイグイと強い引きをみせていた。
慌てた三木さんは竿を私に預けると、その足でもう一方の竿へと駆け寄って、竿を手にすると大きくあおった。すかさずリールを巻きにかかる。相当手ごたえがあったのだろう、三木さんは身をのけ反らせて一生懸命リールを巻いた。
「あっ、藻場に突っ込んだ!」
途中、リールが巻けなくなるシーンが2度ほどあったが、それでもミキカツさんはうまく藻場から引きずり出して、どうにか足元まで獲物を寄せてきた。
竿が満月を描くほど曲がっている。これはよほどの大物と察せられたが、波返しの向こう側の様子はこちら側から見えないので、その魚がベースケなのか、ちがうのか、まるでわからなかった。
「大きいようだね」と私は三木さんに声をかけた。
「立ち藻が仕掛けに絡んで重たいみたい」
「えっ、魚じゃないの?」
「いや、魚もいるけど、たいそう藻が絡んでるから」
三木さんは、力糸を巻けるところまで巻き取ると、天秤オモリの先にセットした仕掛けを波返し越しに、ごぼう抜きに引き抜いた。
そこで、ミキカツさんも私も、はじめて獲物がベースケであることを知った。しかも、相当バカでかいやつだ。
「やったね、三木さん」と私はわがことのように喜んだ。
「うん。もらったホンムシが役に立ったよ」と三木さんが嬉しそうな顔をした。

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波返しの上に腰を据えてアタリを待つ三木さん。

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本命らしいアタリにわくわくしながら竿先をにらむ。

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これこそ正真正銘のベースケ。どうだ、バカでかいだろう。

潮がよくなってきたこともあって、その後が大いに期待されたが、どうしたわけかこの日の夜は、ベースケはこれのみで、あとはアナゴサイズが数尾釣れただけという結果に終わってしまった。
それでも、ちゃんと本命のベースケを釣る腕前は、さすが元全日本サーフの投げ釣り師である。
今度、ここを訪れるときには私も一緒に竿を出そうと思っている。

【今回の使用タックル】

竿 : がまかつ がま投げ27号 4.00m
リール : 投げ釣り用スピニングリール
道糸 : ユニチカキャスライン磯投 2号
ハリス : ユニチカアイガーIIIスーパー 3号

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