HOME > 釣行記 > 釣行レポート > 2011年8月6日

釣行記

釣行レポート

2011年8月6日

夏チヌのダンゴ釣り

りょーた(KG情報編集部・高木遼太郎)が電話で、「あのう、チヌのダンゴ釣りの数釣りテクニックという企画が持ち上がりまして、それでご相談申し上げておる次第なのですが・・・・・、お時間とかご都合のほうはいかがでしょうか」と話を持ちかけてきた。
「ああいいよ」と私は答えた。
そして、机の抽斗から潮汐表を取り出すと、空いた方の手で8月のページを開いて、「この日はどうだ」とか、「何日の何時ころからがいいな」とか、いちおう要望をぶっつけてみると、すべて別の取材が入っていてダメだという。
「では、いつなら都合がつくのだ」と私は少しばかり語気を荒げて言った。
すると、りょーたは何だか慌てたふうに、「8月6日の土曜日なら何時でもオーケーです。たぶんそのはずです」
たぶんそのはず、というのが、そのとき私には少々引っかかったが、
「では、弦打木材港でやろう。あそこの波止で釣ることにしよう。午前中は人が多いから午後からでいいか」
「現地集合ですか」
「いや、屋島の藤本釣り具店に正午。飯は食って来いよ」
「わかりました」
今回の取材は、釣行レポートとはちがって、釣り場で実際に釣り方を実演して見せながらの、いわゆるレクチャー的要素の濃い内容だということで、数釣りテクニックに焦点をあててはいるが、何十尾も釣らないと許してもらえないというわけではないらしい。
とにかく、やるという方向に話が進んでいった。
りょーたは、ほっとしたのか、「まあ、夏チヌらしいサイズを10尾も並べて写真を撮らせていただければ、もうそれで釣果写真のほうはじゅうぶんかと」と最後に軽い調子で話をしめた。

後日、私は約束の時間に藤本釣り具店へ行った。
「この暑いさなかにご苦労なことやねえ」と藤本社長は笑っていたが、昼から釣りに行くのだから本格的な取材ではないと察したのか、まあ、ゆっくり涼んでから出かけてくださいと言ってほかの客の相手をしはじめた。
私たちは買うものを買いそろえてから今回の釣り場である弦打木材港へと車で向かった。
ここで、ちょっとばかり道具の説明をしておくと、磯竿は外ガイド仕様(1号5.3m)のものと、インターライン(1号5.0m)ものと2本を使用した。
外ガイド仕様の竿は、ブランクが細身で持ちオモリせず、風の影響も軽減できるために腕に負担がかからず手返しのよい釣りが可能となる。このため、ベテランのダンゴ釣り師に人気がある。
インターラインは、全体に太く、風の影響を受けやすいのが難点であるが、ガイドに道糸が絡む心配がないので風向きを気にせずに釣りができる。また、外ガイド仕様の竿のように糸がらみを知らずにダンゴのついた仕掛けを投入して穂先を折ってしまったり、ダンゴを空中分解させてしまい釣りのリズムを損なってしまうという心配がない。これは、長い竿を扱いなれない初心者にとっては大変使い勝手がよい。
仕掛けは、磯の餌釣りに用いられるのと同じ移動ウキ仕掛けである。そして、そのウキはカヤ製の棒ウキ(0.5~1号程度)が一般的である。
鈎は、チヌ用の3号前後を多用する。
そして、道糸であるが、これは竿と同じくらい重要な道具であり、手返しのよさということを重要視するこの釣りでは大いに吟味する必要がある。私のイチオシはユーテックGAU磯のフロートタイプである。なぜフロートタイプがよいかの説明はここでは省くが(興味のある人は9月5日発売の月刊レジャーフィッシング10月号を購読のこと)、この高浮力と高視認性、そして糸癖のつきにくい特性を持つ道糸がとにかくウキを用いるダンゴ釣りには適しているのである。しかし、惜しいことにこの道糸は既に廃番となっている。残念でならないが、小数派のダンゴ釣り師がいくら絶賛しても、大多数を占める磯のフカセ師らがそっぽを向いてしまったのでは売る側としては商売にならない。
このような経緯から現在はユーテックGAU磯マークスを使用しているが、この道糸も操作性、視認性に優れ、高強度で、しかも、フロートタイプとうたっているわけではないがなかなかどうして浮力があって気に入っている。

釣行レポート

道糸は1.75号から2.5号を多用。今回は2.5号を使用した。

このほか、サシエ、ダンゴ餌、玉網、こまごまとした小物、容れ物、ダンゴをのせて投げるための杓など、とかく持ち物が多いのがこの釣りの特徴である。
「よっしゃ!」と私は空いた方の手で膝をパンと打った。
最近物忘れのひどい私にしては上出来、なにも忘れものはないようだ。
釣り場はもう近い。
私は気合を入れるために、いま一度パンと膝を打った。

さて、釣り場に到着して道具を車から降ろしていると、波止の様子を見に行ったりょーたが戻ってきて、「誰もダンゴ釣りしてないですよ。三人いるにはいますが、やめて帰るところです」とさっそく私に報告した。
どうも口ぶりからして大して釣れてはいないようだ。
「どの辺に釣り座を据えますか。荷物を運びます」と、りょーたが言った。
「なかなか気が利くな」
「というか、これだけの荷物を一人でいっぺんに運ぶのは難しいでしょ」
「まあな、やさ男の俺には無理だな。はやくも夏の陽ざしにやられてバテバテだよ」
「たしかに焼け死にそうな暑さですね。でも、そうおっしゃらずにたくさん釣ってください。お願いします」
そう言われても、潮順は小潮、満潮が16時半ころ。おまけにコンクリートの波止の上での釣りであるから灼熱地獄そのものである。何一つ私にとって明るい材料などなかった。
「まあ、あれこれ考えていてもしょうがない。とにかくやってみるとしよう」
「そうですよね。いつものようにさっさとやっつけて灼熱地獄から脱しましょう」
「それはどうかなあ。なにせ、今期初釣行だからな」
「ここへ来るの、初めてなんですか」
「いや。ダンゴ釣りをするのが今期初めてなんだ」
私は握ったばかりのダンゴを酌に乗せて海へと投げ込んだ。

釣行レポート

今回の釣り場、弦打木材港。

釣行レポート

ダンゴの割れるタイミングは握りかげんで調整する。

釣行レポート

杓でダンゴを投げる筆者。

釣行レポート

高松でダンゴ釣りといえば筏竿を使ったぶっ込み釣りが主流である。

「冗談ですよね、それって」と、りょーたは不安そうに私の顔を覗き込んだ。
「どうだ、驚いたか」
「・・・・・・」
「まあ、初めてっていうのは嘘だが、おととい試しにやってみたのが初めてだというのは嘘じゃない。つまり、ダンゴ釣りをするのは今期2回目ってわけ」
「それで、おとといはどうだったのですか」と彼は不安げに訊いた。
「釣れたよ。20尾くらいね。中潮の引き潮で潮的には悪くなかった」
「今回も、潮順は小潮ですが、夕方から引き潮です」
「それなら少しは釣れるかもね」
「でも、ぼくは5時半過ぎまでに会社に戻らなくてはならないようなのです」
「あのね、りょーた。釣りは魚の都合に合わせて動くものだろ、編集者の都合が第一なんて取材、どこの世界にあるっていうのよ、まったく。それにな、たぶんとかようですとか、それって何とかならないの」
「でも、そう言われても、たぶん、そのう・・・・・」
まあ、あれこれ言っても仕方がない、と私は彼の都合についてはもう何も訊かないことにした。こうなりゃベストを尽くすまでだ。
そのとき、ダンゴが割れて海面上に浮きあがったばかりのウキにコツンと前アタリが来て、やがてそのウキが再び海中にゆっくり沈んでいった。アワセを入れると、手ごたえがあった。
しかも、ずっしりと重たい。
「やった!」と私は声に出して言った。
そばで見ていたりょーたが慌ててカメラを構えた。
「その必要はないよ」と私は咄嗟に彼に言った。
「でも、大きそうじゃないですか」
「たしかに小さくはないが、ボラだよ」
竿を満月に曲げてぐいぐいとよく引くので、彼は淡い期待を抱いたようであったが、引きからしてボラにまちがいなかった。
それから少しして今度はチヌらしい素敵なアタリが来た。アワセを入れると竿が綺麗な弧を描いてしなった。どうやら良型のようである。
実際、釣りあげてみると、見映えのするチヌであった。

釣行レポート

待望の夏チヌがヒット。いい突っ込みを見せてくれた。

釣行レポート

夏チヌにしては立派なサイズが釣れた。

釣行レポート

虫エサ、オキアミ、カニ、エビ、フナムシ、スゥイートコーン、だんごエサなど、サシエの種類は多い。

これで少しは状況が好転するかと思われたが、その後まもなくアタリが遠のいて、ついにはダンゴアタリまで来なくなってしまった。
釣り座を据えたのが波止の内向きだったせいで波はさほどでもなかったが、ときおり風が横から強く吹くことがあって、風と流れが同じ向きのときは表層の潮が速く流れて釣りにくかった。この釣りはウキから竿先までのあいだの道糸が常に海面上に張らずに漂っているのが理想であるためたえず潮上へとライン修正を行うが、海底のダンゴがパカッと割れた後にこれを行うと海中のサシエが不自然な動きをするのでチヌが警戒して口を使わないことがままある。
私はそれを説明しながら実際どのように道糸を修正すればよいかを実演してみせた。このほかにも重要だと思うことが頭に浮かぶたびに説明と実演に心を砕いた。
ただ、状況に好転する気配は全くといってよいほど感じられなかった。
夏の陽ざしにぎらつく海面を突き破ってときおり大きなボラが沖で跳ねた。材木を水揚げする岸壁にはカモメが群れていた。そのなかに混じる黒い鳥に目を凝らしてみると海鵜であった。
あいかわらず釣況は芳しくなかったが、それでも、チヌはぽつぽつ食ってきた。
サイズ的にはイマイチだったけど、どれも銀ピカの綺麗なチヌだった。りょーたは私がチヌを釣りあげるとそれをいちいち手に持たせて写真を撮った。それから取材終了後に釣果写真も撮影した。小さすぎるものは釣りあげるとすぐにリリースしたが、残りは納竿後に撮影しようと思ってスカリに入れて海に浮かべておいたのだ。

釣行レポート

このサイズは即座にリリースした。

釣行レポート

「これってやらせやで!」と筆者が釣ったチヌを持たされるミキカツさん。ちょうど釣れたとき、さしいれを持って現れた。

釣行レポート

夏はサイズよりも数。白銀のきれいな魚体が揃った。

りょーたのカメラはニコン社のデジカメで、シャッター音がじつにすばらしい。
「さすが、ニコンだな」と私は褒めた。
「・・・・・」
「いい音だ」
実際のところ、そのこと以外とりたてて褒めることが見つからない。うだるような蒸し暑さ、強い午後の陽ざし、そして、ぱっとしない釣況、何もかもが私には憂鬱であった。
しかし、私はわざと明るい声で、こう言った。
「こういう日もあるさ」
そう、本当にこういう日もあるのだ。

釣行レポート

一日釣れば潮次第でこのくらい釣れることも。

釣行レポート

銀ピカの夏チヌ。サイズよりも数を釣る楽しみを味わおう。

【今回の使用タックル】

ロッド : ダイワ SZトーナメント磯T-1 1-53
       ダイワ インターラインSZトーナメント磯F-1 1-50I
リール : ダイワ カルディアキックス2500
       ダイワ カルディア2500
道糸 : ユニチカ ユーテックGAU磯マークス 2.5号
ハリス : ユニチカ アイガーIIIスーパー 1.2号

ページのTOPへ

釣行レポート一覧へ