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釣行記

釣行レポート

2011年8月28日

わずか二投でマダイをキャッチ!

道具を持って山林のなかを海へと降りて行く途中、蝮とばったり会った。赤みを帯びた模様の配色からして赤蝮だとすぐにわかった。その毒々しい姿をほかの蛇と見まちがうはずもない。日没までにはまだ余裕があったし、ゆっくり磯まで降りて行っても時合に遅れる心配のなかった私は行く手にとぐろを巻かずに横たわる赤蝮に声をかけてみた。
「なあ、この踏みつけ道は釣り人が通って出来た、いうなれば人間様の通り道だ。どいてくれないか」
すると、赤蝮は、何やらちょっと面倒くさそうに鎌首をもたげて、上目づかいに私のほうを見た。
「そうか。そいつはすまなんだな。そやけど、ここ、風通しええねん。この辺、傾斜が相当きついやろ。這うの、一苦労や。ちょっとは体、休めんとなあ。それより何より、こんな真っ昼間からスズキか? それともタイか? ルアーは日が暮れてからのほうがよく釣れるんとちゃうん」
「まあ、それはそうやけど。でもな、とりあえず早めに降りて海辺でのんびりくつろぎたいんや。明るいうちに仕掛けの準備もしたいしな。蛇は老眼にならんのかな。こいつはほんま難儀やで。薄暗うなったら途端に釣り糸が見えにくくなる」
「蛇は夜昼関係なしや、よう見えるで。しかし、そういうことなら通してあげんでもないがなぁ。まあ、転んで怪我せんよう気いつけて降りや」
やれやれ。ものわかりのいい赤蝮で助かった。
私は落ち葉に音をたてながらウバメガシの幹のあいだをくねくね身をくねらせながら去っていく赤蝮を見送ると、足もとに気をつけながら急な山の斜面をくだり、岩場伝いに地磯へと降りた。
すると、対岸の大毛島の岩場には、すでに釣り師がひとり仕掛けの用意をしていた。
島田島側に降りた私とその中年の釣り師のあいだを、まるで大河川さながら潮が轟をあげて奔走していく。これは、もう海のルアーフィッシングというよりは、北欧の激流のサーモンフィッシングを彷彿とさせる光景だ。

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対岸の大毛島の地磯にもルアーマンが来ていた。

狭い海峡部の底はごつごつした起伏の荒い岩礁で、水深は浅く、場所によってはシンキングのルアーを投入すると簡単に根掛りしてしまう場所も少なくない。
九月のいまじぶんは、アジ、イワシ、サヨリが接岸するため、これを追って沖から青物の回遊も見込まれる。現時点ではブリの若魚のツバスが主流だが、もう少し秋が深まればカンパチ、シイラ、ハマチ、稀にサワラも回遊してくる。
そうなると磯が傾くのではないかと思われるほど青物釣り師が大勢やってくるので、日中に彼らのなかに割り込んでマダイやシーバスを狙うのは相当困難だ。
しかし、まだその青物シーズンには少し間があるようで、この水道部に昼の日なかに降りて来てルアーを投げている釣り師を見かけることはめったにない。
ここでざっとマダイ、シーバス用の仕掛けを紹介しておくと、ラインはユニチカシルバースレッドソルトウォーターII8lb、これにシルバースレッドショックリーダー20lbを1ヒロほど足した先に、シーバス用のミノー(12~17cm程度)をセットする。

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シルバースレッドソルトウォーターII 8lb。

今回はナイロンを使用したがラインに関してはPEという選択肢も考えられる。PEラインのよさは何といっても低伸縮性がもたらす感度のよさにある。ナイロンラインではほとんど察知できない前アタリがはっきり出るので、来るべき本アタリに余裕を持って備えられる。微妙な流れの変化も手に取るようによくわかる。岩礁にミノーが触れるとその感触が手元にはっきり伝わって来るのでリーリング中の根掛かりを回避しやすく、同時に海底の形状をある程度知ることも可能だ。
ただし、伸縮性に乏しいぶんファイト時に魚が暴れるとナイロン使用時に比較していくぶんバレやすい傾向にある。また、ここの釣り場のように流れが速く底の荒い浅い場所では強くラインを張ると魚が根に向かうため、根に擦れてリーダーが切れてしまうことにもなりかねない。
このほか、ホンダワラなど海藻が繁茂する冬から春にかけては、PEラインだと魚が力任せに藻場に突っ込んでにっちもさっちもいかなくなる。流れが藻場に沿って奔走する浅い場所では、流れと藻場の境界付近で魚がヒットしてくることが多いので、PEラインだと仕掛けの張りが強すぎて魚は鋭角的な走りをみせ、最終的には藻場に逃げ込む。これがナイロンならロッドを海面近くまで倒してラインをロッドに対して直角に張って待っていると、グイッ、グイッと鈍い抵抗をみせながらも自分からじりっじりっとこちらに向かって泳いでくるようになる。こちらとしてはそれに合わせて余分なラインをリールに巻き取って、また軽くロッドを曲げて仕掛けを張って待っていればよい。これをくり返し行うことで、最終的にわりと楽に魚を寄せてくることができる。少々時間は食うが無難に魚を取り込めるのである。シーバスもそうだが、シーバスよりも根に潜ろうとする傾向の強いマダイを仕留めるのにナイロンラインを使ったこの持久戦法は特に有効であると思われる。
じっさい、今回の釣行でも底が荒くて浅い速い流れの沖でヒットしたマダイを危なげなく獲り込めたのは、ナイロンラインを使用したこの持久戦法のおかげであると思っている。
地磯沿いの流れが沖へ離れていくその只なかに14cmのタイドミノーSLDを相当沖まで送り込んでから、速い本流の流れとその脇の緩い反転流の境付近をごくゆっくりリーリングしていると、アタリらしいアタリもなく向こうアワセに食いついて、いきなりロッドが絞り込まれた。かなり沖でヒットしたので、流れに出ているラインの量が多いため手元に来る重量は相当なものだったが、それでも伸縮性に優れたナイロンラインのおかげで魚がさほど暴れないからわりと落ち着いて対処ができた。根に突っ込まれないようにロッドを海面近くまで寝かせて仕掛けを張る。すると少しばかり抵抗してみせはするものの、あんがい素直にこちらに向かってじわっじわっと自ら泳ぎ寄って来た。
まだ、日は暮れきってはいなかった。山の陰に太陽はもうすでに隠れていたが、それでも日没にはまだ間のある夕刻だ。
「そろそろだな」と私は思った。
そろそろ魚が流れのなかから姿を現すころだ。
ファイトぶりからして、マダイにちがいないとほぼ確信してはいたが、いざその姿を間近に目にすると、やはり感動が胸にこみあげてきた。
尾鰭が鎌のように鋭く切れ込んで、いかにも推進力がありそうだ。魚体の鮮やかな色調からして、まだ若いマダイのようである。
「道理で力が強いわけだ」と私はゴロ石の磯にずりあげたマダイを前に有頂天であったが、単独釣行なので喜びを分かつ者は誰もいない。
当然、写真を撮ってくれる人もいないので、三脚を立ててセルフモードで、どうにかこうにか夕闇のなか、マダイを手に持つ自分自身の姿を何枚か撮影した。

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ミノーで地磯からマダイを狙って釣るのはそう簡単でない。で、あるから釣れた時の喜びはひとしおである。

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待望のマダイをキャッチした筆者。かなり嬉しい!。

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昔ふうに撮ってみた。モノクロフィルム、ややピンボケ。そんな風に。

これは、わずか釣りを開始して二投目にヒットしたマダイである。
まず、ファーストキャストで、コツンとアタリを送って来たのをすかさずロッドをあおって合わせると、その一瞬後にロッドが綺麗な弧を描いてしなった。惜しくもバラしてしまったが、手ごたえからしてシーバスというよりは、どうもマダイくさかった。少なくともそのとき私はそう思った。
もし一投目に逃がした魚もマダイだとすると、ちょうど群で回遊して来ていたのかもしれない。
このとき、私は魚を活かしておくストリンガーを持ってはいなかった。
むろん、クーラーは車のなかである。もしこのマダイをキープするならいったん釣りをやめて、駐車場所まで戻っていき、クーラーのなかに入れて来ないと獲物が腐ってしまう。
「この蒸し暑さのなか、急な長い山の斜面を車まで戻って、また降りてくるなんて正気の沙汰ではないな」と私は心のなかで思った。
では、リリースして、釣りを続行するか。それも、できない相談である。
けっきょく、私はマダイをキープすることにした。シーバスならリリースして釣りをつづけたことだろうが、久しぶりの良型のマダイに目がくらんでしまったのだ。
シーバスならわりとたやすく釣ることができるけれども、データーに基づいて計画を立てて釣り場にやって来たとしても、なかなか計画どおりにマダイを仕留めるのは難しい。タイラバをキャストして釣るのであれば話はべつだが、どうしてもミノーで釣りたいと願うこだわり派の私には良型のマダイを手にできるチャンスは年間を通じてそう多くはないのだ。
手の指をひろげて測ってみると、45cmオーバーというところだろうか。
このマダイを入れたスーパーの買い物袋と道具を手に、私は傾斜の急な山の踏みつけ道をライトの灯りを頼りに、一度も休憩をとることなく登りきった。
登る途中、あの赤蝮に暗くなった踏みつけ道のどこかでまた会うかもしれないと思ったが、ついぞその姿を目にすることはなかった。
赤蝮、黒蝮を問わず、鳴門の島々には蝮が少なくない。

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鳴門の地磯はシーバスのフライポイントとしても有名である。

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海のフライフィッシングも楽しい。アクアマリンにヒットしたシーバス。

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釣り仲間の田所さんも熱心なマダイ釣り師の一人である。

【今回の使用タックル】

ロッド : ウエダ シューティングシャフト962HS-Ti
リール : ダイワ セルテートハイパーカスタム3000
ライン : ユニチカシルバースレッドソルトウォーターII 8lb
リーダー : ユニチカシルバースレッドショックリーダー 20lb

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