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釣行記

釣行レポート

2012年2月11日

今期初の渓流釣りは、関川へ

駐車場所の土手から川下を望むと数キロ先に瀬戸の海が眺められる。川上に目をあげれば青い杉山の奥にひときわ高く聳える二ツ岳の雪峰が冬の陽に輝いて見える。こういうふうに話すと、「そんな場所でアマゴが釣れるなんて、にわかには信じがたいな」と、釣り仲間の多くが首をかしげることだろう。
じっさい、アマゴを釣りに来て、こんな光景を目にするのは、四国ではちょっと珍しい。いや、かなり珍しいことだ。
そのことを伝えたくて、というわけでもないが、今シーズン初のアマゴ釣りは愛媛県土居町の関川に行くと早くから決めていた。
愛媛県は、渓流が2月1日に解禁するため、全国のどこよりも早く自然河川でのアマゴ釣りを楽しむことができる。しかし、いくら南国四国の渓流といっても、山岳地帯は寒さが厳しく、雪に深く埋もれた渓も少なくない。たとえ釣り場に分け入れたとしても、このような場所ではアマゴはサビて黒く、しかも痩せこけているというのが普通だ。そんな、まだ冬の呪縛を解かれていない精彩を欠く魚体を相手にしても仕方がない。
そう考えて、パーマークと朱点の鮮やかなアマゴがよく釣れる温暖な場所をいくつかピックアップするうちに、「まず、今年はいちばんに関川へ行こう」と思うようになったのだ。
そして、その思いは日増しに強くなっていった。
じっさい、出かけたのは、2月11日の土曜日の午後である。
私は車から道具を取り出して仕掛けを組んだ。もう正午を過ぎていた。少し風が動いていたが、ウェーダーを履き、厚い生地のジャケットを着ていると何だか汗ばみそうな陽気だ。
さっそく、土手の下の野菜畑のなかの踏みつけ道を通って、私は独り流れのほとりへと降りていった。川のなかには大きな石や小さな石がごろごろしていた。流れは浅く、明るく澄んでいた。目を閉じると、川音が耳にやさしい。
落差のほとんどないひらけた流れのなかに、私は水面を割って顔を出すアマゴの姿を期待したが、水生昆虫の羽化の皆無な状況下では、やはり無理なようだ。浅い流れのなかをよぎる魚の影すら見つけることは出来なかった。

国道11号の橋が流れを跨ぐ少し手前のところまで釣りあがってくると、やや水深のあるプールが川幅いっぱいにひろがっていた。私の背丈に少し足りない高さの堰堤から絶えず冷たく澄んだ水が、そのプールにほとばしり落ちているが、上流に向かって立つ私から見て右岸寄りにその水量の勢いは偏っていた。
「あの右寄りの落ち込みの下、ちょっといいな」と私は思わず声をもらした。
流れが落ちかかるところは、水面が白く波だって、まったく川底が見えない。水深はさほどでもなかそうだが、ささ濁りして、いかにも型のよいアマゴがひそんでいそうだ。
私は動悸をおぼえた。
手ごろな河原の石に腰かけ、さっそく私はウエストバッグからルアーを入れたケースを取り出して蓋をあけた。そして、2.5gのハスルアーを指につまみ取った。ここに来て初めてルアーを交換するわけだ。これまで釣りあがってきた浅い瀬とちがって、やや水深があり表層の流れの押しが強そうだったので、その下の層へ確実にルアーを入れて探りたい私は匙型の一般的なスプーンから沈みのよい形状をしたハスルアーに付け替えた。むろん、選択肢としてバルサー製の小型のシンキングミノーを使うという手もなくはなかったが、今日は金属性のスプーンで終始釣りをすると最初に自分なりにルールを決めていたのでそれに従うことにした。
いちばん長く距離を引いて来られるのは川のなかほどから横に投げたばあいだが、横長の大して奥行きのないプールだけに、流れに対してクロスで釣ると下流側に向かってあっという間に仕掛けが押し流されてしまいかねない。そうすると、アマゴがルアーを追い切れないかもしれない。だったら、引ける距離は短くなっても、流れに仕掛けのよく馴染む川下から上流に向けてキャストする方が釣れる確率は高いのではあるまいか。
考える時間はじゅうぶんあった。
私はルアーを交換するだけでは万全でないと思い、リーダーも少し長くした。
ここでラインシステムを説明しておくと、メインラインは『ユニチカ シルバースレッドアイキャッチPEマークス 4lb』、リーダーは『ユニチカ シルバースレッド トラウトリーダーFC 4lb』である。ルアーはリーダーの先に結んだスナップを介してセットする。
私は落ち込み下の白く泡立つ辺りに目星をつけ、身を低くしながら下流側から距離をつめていった。「できるだけポイントから距離を置いてキャストしたいものだ」と思いながら。
「第一投目が大事だ。ファーストキャストが」と私は自分自身に確認の意味も込めて声に出して言ってみた。
小さなアクションでロッドティップがブレないよう脇をしめてキャストしてみると落ち込みのすぐ手前にねらいどおり着水した。白泡のなかへと吸い込まれるようにルアーが消えていった。
私はルアーが着水する瞬間に、ラインスラッグが生じないようにと、リールのベールを素早く返した。そして、ロッドの先を高く構えてPEラインの部分がなるべく流れに触れないようにした。沈みのよいハスルアーと高比重のフロロカーボンリーダーのみが水面下で仕事をする。PEラインは空中に容易に張っておけるので、このように少し離れた場所から釣っていても、複雑な流れの干渉を受けずにすむから重宝する。
掲げたロッドティップをチョンチョンと動かして誘いかけると、いきなりひったくるようなアタリが来た。それが、あまりに抜き打ち強盗的だったので、即座に反応できなかった。どうにかアワセを入れたまではよかったが、手応えがイマイチトいう感じだった。追いアワセしたかったが、そう思うだけで何もできずにいた。それでも、フックが新品で鈎先が鋭く尖っていたので、勝手にフッキングした。
しかも、いい型のようである。今期初釣行初ヒットの1尾だけに、どうしてもバラすわけにはいかなかった。
私は思い切って前に出た。魚とやり取りすることだけで精いっぱいなはずなのに、ウェーダーの足の下で動く砂利の感触が私の頭のなかの半分くらいを占めていた。
思ったよりも流れが複雑だった。魚は仕掛けを引いて、右に、左に、そして、落ち込みの方へと鋭角的なダッシュをみせた。
「まちがいない、アマゴだ!」と私はやり取りしながら確信を深めた。
やがて、間を詰めるため駆け寄った河原の少し向こうに姿を現した魚体が午後の陽ざしにギラッと光った。私はロッドを水面近くまで倒し、横方向に強く引きしぼった。そして、数歩ばかり後ずさりした。そのままかまわずに魚を河原にずりあげた。
銀毛した魚体が陽の光に鈍く光った。砂利の上でもんどり打って暴れまわるアマゴへと私は駆け寄った。そして、獲物のアマゴを仕掛けにぶらさげたまま河原にできた水たまりの方へと急いで行った。
水溜りの水は底の砂利の下から湧いて来るらしく、きれいに澄んでいた。私は、そのなかにフックが顎に刺さったままのアマゴを横たえた。
そして、ウエストバッグからデジタルカメラとミニ三脚を取り出して、河原にセットした。当然のこと、単独釣行の折りにはセルフモードを利用して撮影することになるが、昨年の秋以来である。
写真を何枚か撮って、よく晴れた空を仰ぐと、野鳥が数羽はばたいていくのが見えた。スズメほど小ぶりな鳥で、スズメより速く羽ばたくその鳥たちを目で追っていくと、あるところか山の方角に折れた。どこかに降りるだろうかと私は思って目を凝らしつづけたが、最後は山の景色に溶けて、そのうち見えなくなってしまった。

私は国道11号よりも上流へと釣りあがって来た。橋をくぐって上流側へとやって来たのだ。
もう2尾のアマゴを手にしていたので私はとても機嫌がよかった。大きい方は銀ピカで、もう1尾はパーマークと朱点のはっきり浮き出た綺麗な魚体であった。2尾とも、あの堰堤下の同じプールでヒットした。
その後、浅い瀬を丹念に攻めて更なる大物を狙ってみたが、午後の陽ざしにさらされた流れからは小さなアタリ一つ拾いだすことはできなかった。
私は相変わらず機嫌がよかったが、それでも少し休もうと思って河原の石に腰をおろした。そして、ジャケットのポケットからカロリーメイトと缶コーヒーを取り出して飲み食いしはじめた。一足飛びに桜の季節を迎えたかと思われるほどの陽気なのに、流れの上を飛ぶ水生昆虫も水面を割って出るアマゴの姿もまるでないというのが、ちょっと不思議な気がしたが、まだ2月の上旬である。当たり前といえば当たり前であった。
休憩後は、割に合わない浅瀬を釣るのはよすことにして、堰堤下のプールばかりを狙い撃つ作戦に切り替えた。まだ三か所しか堰堤下のプールを攻めてはいなかったが、ふたつ目のプールで2尾のアマゴをものにし、次のプールでもアタリを得た。それにひきかえ一見よさそうな流れでも瀬ではただの一度もアタリを拾ってはいない。
私は迷わず堰堤下のプールに的を絞って攻めることした。
途中、一抱えもある大きな石を河原から持ち去ろうとしている地下足袋を履いた初老の男三人に行き会ったが、そのすぐ上流の堰堤下で、私は思いもよらぬ幸運を拾った。たてつづけに4尾のアマゴが釣れたのだ。その次の堰堤下でも、またその次のプールでも、鰭ピンのアマゴが私の投げたルアーを捕えた。
フルキャストできる広さがあればタダ巻きで釣り、引き代が少ない場所ではロッドを立て気味にして誘いかけた。
これが功を奏して、納竿の午後4時半までに総数9尾のアマゴを釣ることができた。釣ったアマゴはすべてリリースしたので、また出かけて行くとうっかり食いついてくれるかも知れなかった。
でも、もう私は2月中にここへまいもどって来ることは恐らくないだろう。
今月は何かと多忙で、とてもアマゴを釣りに行く時間的余裕など持てそうにない。
そして、3月になると、徳島、高知のすべての河川で渓流釣りが解禁になるため、おのずと足はそちらに向かうことになる。
「また来年だな。ここに来るのは」と私は言って夕空を仰ぎみた。

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使用したラインとリーダー。

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ラインはユニチカシルバースレッドアイキャッチPEマークス0.4号を使用した。

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海が近いせいか銀毛した魚体も少なくない。

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このような良型も数尾釣れた。

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魚体、色彩、鰭。すべてが完璧な関川のアマゴ。

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山側の高速道路付近にはパーマークのはっきり出た朱点の美しいアマゴが多かった。

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海まで数キロの暖地では2月でも魚体は鮮やか。一点のサビもない

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国道11号少し下流側で今期初のナイスサイズの本命がヒット!

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分流の浦山川から雪の二ツ岳を望む。

【今回の使用タックル】

ロッド : ウエダ STS-501MN-Si
リール : ダイワ ニューセルテート1003
ライン : ユニチカ シルバースレッドアイキャッチPEマークス 4lb
リーダー : ユニチカ シルバースレッドトラウトリーダーFC 4lb

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