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釣行記

釣行レポート

2012年6月9日

庵治のサーフでボイル狙い撃ち!

男爵こと三木一正の運送会社の待機所の畳の間でごろごろしていると仕事を終えた稲ちゃんが顔をみせた。
「何が出来よんな」と手首に数珠を巻いた庵治石の営業を生業とする稲ちゃんが畳に寝そべる私に言った。
私は事務所の胡蝶蘭を植え替えてあげたあと、事務所の隣の畳の間でさっきも言ったようにごろごろしていた。
そこへ、あすの仕事の段取りを済ませた男爵が入って来て、「さあ行くなぁ」と寝そべって話をしていた稲ちゃんと私に声をかけた。
なんとも、常にテンションの高い男である。
「今日は、家で朝から蘭の植え替えをしていると、近所のおばあちゃんが高枝切りバサミをテレビ通販で買ったとか言って、それで初仕事しようとゆすら梅だか何だかの木の枝を下から睨んでいるわけよ。そんなの出来っこないやろ、年齢的にみても。それで、代わりに切ってあげていたら、そこへ近所の農家のおばさんが寄って来て、毎年シンビジュームの花が小さく少なくなってこの分だと今年は咲きそうもないとつまらなそうに言うから、じゃあ、あとでねということで枝を払ったあとさっそく見に行くと、あんのじょう最悪な状態だった。ふた鉢とも不必要な葉芽をもぎ取って、植え替えてあげたら昼を過ぎていた。で、自分の用をあとまわしにしたものだから昼寝が出来なかった。そういうわけや」
「それで、うちでごろ寝しよるわけか」
「まあ、な」
「そやけど、今晩は行かなあかんやろ」
「どこへなぁ」
「それは、きまっとるやろ、なあ、稲ちゃん」
「ほうな。やっぱり庵治な」
「ほうなもやっぱりもあるかいな、行かなあくかいな」
「勘弁してよ。俺は疲れとるんや」
「そんなん、竿振ったら治るわ」
若いころ握力が八十を超えていた男爵は、五十歳を過ぎた現在も壮健で、週に二回程度ジムへトレーニングに周年通っているし、最近は仕事の前と仕事の後にイカナゴが回遊して来ている庵治へシーバスやメバルを釣りに出かける豪傑だから、普通のおじさんである稲ちゃんや私はとてもついていかれない。
そこへ男爵に負けぬほど元気な細川の兄ちゃんが顔をみせたものだから、事態が出撃の方向に急転した。
「うちの若い衆も仕事が終わり次第順次竹居の浜へ出撃やいうてるでぇ」と男爵が細川の兄ちゃんを後押するように横から口をはさんだ。
そして、こう付け加えた。
「レジャーの記事の写真が要るやろ?」
「そうや、そうや」と細川の兄ちゃん。
よく言う、と私は思った。
月刊レジャーフィッシングの記事の写真なら、もうじゅうぶんに余るくらい押さえてある。そりゃそうだろ、みんな毎晩のように出かけて行くから、多少メンバーの顔ぶれが変わっても、浜へ行けば顔見知りばかりだ。誰かがいい魚を釣るから写真には事欠かない。
しかし、いつ見ても細川、男爵のご両人、何とも顔がいかつい。
常時、車に道具を積んでいることは誰もが百も承知だから、稲ちゃんも私も最早断りようがなかった。
18時過ぎ、私たちは庵治へ向けて出撃した。

出発後、コンビニに寄って、19時前に庵治半島先端部の竹居観音の浜へ到着した。ここは、浜の西側の岩場に馬頭観音を祀った洞穴がある。
その岩場と、反対方向の浜の東側にも岩場があって、メバルの大きいのやシーバスが夕暮れから宵の口にかけて釣れている。潮がよく動いている時間帯で、そう潮が低くないときが時合の釣り場だが、この日は日が暮れて間もなく、東の岩場のすぐ横の浜からダイワのレイジー5cmをメバルタックルで投げては巻き、投げては巻きしていた稲ちゃんと牧くんが揃ってロッドを曲げた。
稲ちゃんが浜にずりあげた獲物はシーバスの中くらいの大きさのヤツだったが、なんと牧くんは遅れて来て早々にメバルの28cmをキャッチした。
私は腹のなかで、「逆だったらよかったのに」と牧くんには気の毒だが心底そう思った。
当然、釣った二人の写真を私は撮ったわけだが、問題は牧くんのグローブみたいな巨大な手だ。前にもどこかに書いたかもしれないが、彼は図体もデカイが手がまた大きい。
どんなにうまく持たせたところで、手と比較する限りメバルを迫力満点に撮影することなど不可能だ。あんのじょう、何枚か写して確認してみると、20cmちょいにしか見えなかった。
私は、牧くんをちらっと見て、カメラの液晶画面を確認し、あらためて牧くんを見ると視線と視線がぶつかった。
「・・・・・む、無理ですから」
「まだ俺は何も言うてない」
「そやかて、目がそう言おうとしとるもん」
思わず、私は吹き出した。
わかった、わかった。わかったから、もう二、三枚頼むわ」
何とか少しでも大きく撮影しようとメバルを手にした牧くんを撮影していると、浜の暗がりに、ジッ、ジーィ、ジーィと小気味よいドラグ音が聞こえた。男爵が何か釣ったらしい。その男爵が獲物を浜にずりあげる前に稲ちゃんがまたロッドに綺麗な弧を描かせた。その向こう側の誰かのロッドも曲った。目を凝らしてみていると、良太が身をのけ反らせて応戦している。
「こりゃあ、いいや」
私はカメラの電源を切ってしまうと、岩に立てかけておいたロッドに手を伸ばし、釣る気満々に沖をひと睨みした。
「やったでぇ」と向こうの方から男爵が私に声をかけてきた。
「俺にも釣らせろよ。撮影は後でする」
どうせ、シーバスだろうと私は思って、そう答えたのだ。
ところが、大きなチヌだと男爵が口走ったものだから、私はふたたびロッドを岩に立てかけて踏みごたえのない浜の砂の上を、カメラを手に急いだ。
なるほど、なかなかよい型のチヌだ。洗って砂を落としてもらってからチヌを手に持たせて撮影した。
その後、しばらくは中くらいの大きさのシーバスしか釣れなかったので、「70cmを超えたら写真を撮るから、あとはリリースしていいよ」と仲間に伝えて私も釣りに加わった。
21時ころまで、良型のメバルシーバスに混じって釣れたが、わざわざ撮影するほどでもなかったので、私も気楽に仕掛けを投げたり巻いたりしながら浜の釣りを楽しんだ。
明るいうちのようにイカナゴを下から食いあげるあの独特のボイルは、いまはもう皆無である。それでも、沖を通る大きな船のうねりの余波が浜の渚に打ち寄せると、すでに砂に潜って寝ていたイカナゴが飛び起きるのか、つい目と鼻の先の浅瀬でそのときばかりは海面が炸裂するのであった。
このイカナゴの群、例年だと四月の上旬、あるいは中旬ころに庵治半島先端部へと回遊してくるのだが、今期はひと月以上遅れた。しかも、五年ぶりのことである。
もう五年間やって来てないし、五月も下旬になってしまったからには、もう駄目にちがいない、と誰もがそう思ってあきらめていた。
地元の漁師は、浜のすぐ沖で網を曳くとどっさりイカナゴが入るのだから、夜は浜の浅瀬に寝に行くにちがいないと、こちらを釣り師とみて私たちが嬉しがるような言葉ばかりを並べて話すのだが、ただ目と鼻の先の沖合でどっさり獲れても、仕掛けの射程距離内に群が必ずやってくるという保証はどこにもない。その証拠に、すぐ沖でイカナゴがどっさり網に入っても、この五年間はまるでダメだったのである。
しかし、今年は待望のイカナゴの群れが遅れながらもほんとうに接岸した。
このイカナゴ接岸時に起こるボイルは、早朝にも起こる。砂の浅瀬で熟睡したイカナゴたちが、そろそろ砂のなかから起きだして、沖へ帰る準備をはじめる時間帯である。
当然、このときも、海面が炸裂する。
しかし、イカナゴの群れは沖をめざして出ていくため、ボイルもそれにつれてどんどん遠ざかっていく。だから、時合は夕暮れのときよりも短いことが少なくない。
しかも、ボイルが落ち着いてしまってからも釣れる夜とはちがい、ボイルがルアーの射程距離外へ去ると、浜の浅瀬は何の魅力もないただの浅瀬と化してしまうのだ。
話を夜の部にもどすとしよう。
この日の夜は、比較的おとなしい感じのボイルが宵の口に見られ、それなりに仲間の多くが獲物を手にしたが、そんななか細川の兄ちゃんだけがまだロッドを曲げていなかった。
浜の後ろに設置された時計を見ると、もう22時をまわっていた。
そのとき既に誰も釣りをしてはいなかったが、それでも細川の兄ちゃんを残して先に帰路につくわけにもいかないので、浜にしゃがんでうだうだとよた話に花を咲かせていると、「やった!」という声があがった。
浜の西寄りでひとり釣っていた細川の兄ちゃんに何かがヒットしたらしい。
仲間の二、三人が、声のする方へと走った。
リールのドラグが悲鳴をあげる。スプールからラインがはぎとられていく。
「大きいみたいやな」と私は言った。
「兄ちゃん、いつもドラグは緩めやからな」と稲ちゃんが言った。
「それでも、シーバスロッドで苦戦しているところをみると、ええサイズちゃうか?」
波打ち際にライトが照って、忙しく光がゆれた。
私はカメラを手に、ライトの照る方へと急いだ。
駆けつけてみると、獲物はチヌであった。男爵が釣ったのと同じくらい立派なサイズだ。
これで、今夜は全員安打である。
22時半、納竿。
私たちは、全員車に分乗して、今回の釣り場である竹居観音の浜を後にした。

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ナイトゲームTHEメバルスーパーPE0.3号。ラインはこれだ!

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イカナゴパターンに効果的なルアー。

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先陣を切って男爵が釣りあげた重量感のあるチヌ。

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夕暮れの竹居観音の浜。ルアーマンで端から端まで埋め尽くされる。

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ラ・バンバ。言わずと知れたイカナゴパターンの必殺ルアーだ。

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ラ・バンバ7gにヒットしたメバル。

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これでも28cmある。要するに、この男の手が巨大なのだ。

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「大きいなあ」と、横からメバルに手を伸ばす稲ちゃん。

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底近くを意識して仕掛けを巻くとカサゴも釣れる。

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チヌは、ほぼこのサイズ。いい型が揃った。

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当夜はとくに大きいのは釣れなかったが数は釣れた。

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良太もシーバスを手にした。

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「ええ型やなあ」と覗く。クーラーのなかにはメバルが重なる。

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男爵がキープした獲物。少しは持ち帰って食べる。

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沖から見た庵治半島先端域。

【今回の使用タックル&ライン】

ライン : ユニチカ ナイトゲームTHEメバルスーパーPE 4lb(0.3号)
リーダー : ユニチカ ナイトゲームTHEメバルリーダーFC 8lb
ロッド : ノリーズ スローリトリーブSR710F
リール : ダイワ カルディアキックス2000

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