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釣行レポート

2012年8月24日、9月25日

アミダンゴのチヌ釣り

鶴羽埋立地は相当広々としているので、波止から少し離れたところに車をわざわざ駐車して、釣り仲間のT氏に抜き足差し足で背後から近づいていった。
「あのう、兵隊さん、Tさんという自称アミダンゴ釣りのスペシャリストを見かけませんでしたか、この辺りでクソ暑いのに夏の陽ざしに焼かれながらチヌをねらっているはずなのですが」
「誰が兵隊さんや」
「あっ。これはどうも、いきなり大先生では、あーりませんかぁ!奇遇ですなあ。どうなさったのです、その格好」
「うるさい、なにが奇遇じゃ、しらじらしい。しかも、チャーリー浜師匠みたいなもの言いで、そっちこそ、おかしいったらありゃしない、ではあーりませんか!」
T氏は、アミダンゴをチヌ鈎に練りつけようとしていたが、日除け垂れ代りのタオルを帽子で押さえたその格好が、背後から伺う私の目にはまさしく兵隊さんにみえた。
「ところで、チヌは釣れましたか」
「はい、3つばかり」
T氏は、クーラーボックスの上に腰かけて仕掛けをあやつっていたが、日焼けした健康的な顔をこちらに向けると、そう笑顔で答えた。
「サイズは」と訊くと、塩焼きにちょうどいいサイズだとのことであった。
仕掛けをあげたときに腰を浮かせてもらってクーラーボックスのなかを覗かせてもらうと、なるほど、そのくらいの綺麗な夏のチヌが氷を敷いた底で安眠していた。
私が家を出がけに、いまどこでやっているのかとメールで尋ねると、T氏は津田港の堤防だ、いつもの場所でいつものようにのんびり竿を出していると返信をよこしたが、車でそちらへ向かっている途中に、こんどは風をまともに食らって釣りにならなくなったので背後から風が吹く鶴羽の埋立地に移動すると連絡して来た。
途中、差し入れのおやつと飲み物を買って、他の釣り場も、2、3カ所寄り道してから、私は鶴羽埋立地へと着いたのだが、津田港から移動して1時間余りのうちに塩焼きサイズを3匹釣ったというのは上々のすべり出しとみてよいのではあるまいか。
そう思って釣るのを見ていると、
「おっ。見た? いまコツンと来たでしょ」とT氏はウキの小さな前アタリに声を弾ませた。
私が見たときには、もうウキはトップが消し込む寸前であった。
その一瞬後、T氏はアワセを入れた。
チヌ用の長い竿が綺麗な弧を描いて撓った。
「チヌやね」
「大きそうですね」
「いや、さっき釣れたのと同じくらいだね」
はりつめた道糸が海面にずぶりと突き刺さっているみたいに見える。それは、糸というよりもっと硬い鋼線か何かのように映った。このくらいのサイズでも銀ピカの夏チヌだから、パワーを発揮してしぶとく海中を駆けまわる。まことに力強い引きをみせた。
「いま、ギラッとしたね」
「おおっ、いい突っ込みするなあ」
竿はチヌ用の1号で、それほどやわなつくりではないが、やはり夏のチヌは力が強くて、釣り人にやりあう楽しみを存分に与えてくれる。
さんざん走りまわったあげくに、ようやく力尽きて海面に姿をみせたチヌは25cmくらい、いぶし銀という表現がぴったりの美しい魚体であった。
「掬いましょうか」
「いや。抜きあげます」
T氏は、波止の上でばたばたと暴れるチヌを手で押さえると、「これだから、やめられない」と嬉しさもひとしおのようであった。
アミダンゴは、サツマイモを主な原料とするイモダンゴともども、とくに夏から初冬にかけてチヌがよく釣れる練り餌として、ウキ釣りでよく使用される。どちらのダンゴも上手にこしらえるとおもしろいようにチヌが食いつくが、原料や作り方は釣り師によってまちまちである。今回、T氏が自作したアミダンゴは、アミエビの小サイズのレンガ1個を解凍し、それにサナギ粉250cc、マルキューの赤へら50cc、パン粉300cc、味の素少々を加えよく混ぜ合わせるというもの。アミエビの汁を加減することで水分調整を図る。材料をgではなくccで記述したのはT氏の意向であるが、これは計量カップできちんとはかって混ぜ合わせるというわけである。
T氏のダンゴは、練り餌というには粘り気が少なくで、たとえばバラケのいいヘラブナ釣りの餌そっくりであった。
「ミニトマト大くらいのを、鈎にセットしたら投入して底スレスレをねらう。餌は溶けるというよりは、パラパラと欠け落ちていく感じです」とT氏は鈎にセットしたアミダンゴをみせながら私に説明した。
すでに、4匹釣りあげているので余裕の表情だ。
「道糸は、ユニチカのユーテック波止2号ハリスはスタークU2の1.2号です。鈎は3号を2つ使います。10cmほど枝素を同じ長さにして鈎を結びます。こうすると鈎がふたつ埋め込まれるのでダンゴの鈎持ちが数段よくなる。むろん、これは、あくまでダンゴを持たせるためそうするのであって、少しでも鈎掛りをよくして何としてもチヌをせしめてやろうという魂胆からではないので、その辺は誤りなきよう願いたい」
「チヌ鈎の軸に市販のスプリングを通して、それで練り餌の鈎持ちをよくする手もありますが」
「うん。でも、あれだと、よくバレるんです。むろん、重宝していますという人も少なくなくて根強いファンがいるわけですが、うーん、どうも相性が悪いみたい」
昼近くなって、ずいぶん陽が高くなったと思ってうんざりしていると、にわかに雲が流れて来て、うまい塩梅に太陽を隠してくれた。その後は、ときおり日ざしが洩れることはあっても、おおむね涼しい海辺の昼さがりとなった。
「陽が隠れると、秋の風ですねえ」
「涼しいじゃあーりませんか」
「たくさん釣ろうではあーりませんか」
「あっ、いまウキに、ツンと来ましたよ」
アミダンゴの前アタリは、どうやら、ツンと来るらしい。それが、仕掛けを上手に扱っているときの証しらしいと薄々わかった。タナが絶妙にセッティングされていると、ツンと来て、その後、スイーッとゆっくりウキのトップが海中に没していく。タナの設定は潮流の加減や底の状態のちがいによっても微妙にちがって来るので一概には言えないが、それがアタリだと一目でわかるウキの動きを演出できてこそチヌを高確率でものにできるし、一人前のアミダンゴ釣り師と呼んでもらえるのである。
アタリは、ただ放置しておいて出るものではなく、出るように仕向けてこそ釣果を稼げる。このことは、とても大事である。
その後も、T氏は順調に釣果を伸ばしていった。
棒ウキは、クジャクの羽の芯を貼り合わせた移動ウキ仕掛け用の2号。少し重いと思ったが、「早く仕掛けを底へと運びたいものでね。2号ならアミダンゴが沈むとき海水の抵抗を受けて外れやすくなることのないギリギリのオモリ負荷です」とT氏はわかりやすく説明してくれた。それくらい、T氏はよく考えてことを運んでいる。
だから、もし波止で、ウキにアタリの出まくっている場面に遭遇しても、「なあんだ、こんなわかりやすいアタリなら誰にでも釣れる。今日は、まあ、ずいぶんと魚の活性が高いこと」などと暗に勘違いしてはいけない。
それは、たしかに魚がバカになってしまって、誰にでも釣れるときもあるにはあるが、たいていは仕掛けのセッティングが絶妙なためにわかりやすいアタリが出るのに過ぎない。
ところで、この日、私は正午を待たずに鶴羽埋立地をあとにした。だから、その後、T氏が何匹くらい釣ったのかを知らないまま今こうして原稿を書いている。少なくとも現時点では連絡を取り合ってないためわからない。しかし、正午前にクーラーボックスのふたをあけて撮った写真を掲載しておくので、「こんなに釣れるんだ」と思った人は、ぜひともアミダンゴをこしらえて身近な釣り場へ足を運んでみてほしい。
T氏の穴場のひとつであるここ鶴羽埋立地は津田の松原海水浴場の浜を正面に見て釣り座を据えると、この先もまだまだ銀ピカのチヌがたくさん釣れるそうである。秋も深まって肌寒くなると、とくに夜釣りで大型のチヌが食って来るようになるそうだ。昼は夜とちがって、電気ウキで釣るが、仕掛けの組み方や操作方法は昼と何ら変わりない。潮は動いていないよりは動いている方がよい。
9月25日は、数は出なかったが、夜明け前から早朝にかけて良型が揃った。
むろん、夏でも大型狙いなら夜釣りが有望である。

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9月下旬。秋が深まるにつれ型もよくなる。

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【今回の使用タックル&ライン】

竿 : がまかつガルフレア1号5.3m
リール : ダイワ プレイソ2500
道糸 : ユニチカ ユーテック波止2号
ハリス : ユニチカ スタークU2 1.2号

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