HOME > 釣行記 > 釣行レポート > 2012年11月4日

釣行記

釣行レポート

2012年11月4日

吉野川本流のフライフィッシング

吉野川本流の鱒のルアーフィッシングについて書いたら、「高知県では釣れないのですか、徳島県より上流になるからパーマークのあるアマゴしかいないのでしょうね」という質問を受けた。
徳島県同様、高知県側にも銀ピカの大きな鱒がいないわけではない。吉野川はひと繋がりの一本の清流だから、徳島と高知と県境で線引きして鱒を泳がせたり泳がせなかったりするはずもないだろう。そんなまねは、神様にだって出来やしない。
が高知県側について書かなかったのは、高知県の吉野川にはゲストとして招かれて釣りに出かけることはあっても、私自身が開拓したポイントというのは一つとして存在しないからだ。私は一滴の汗も流さずに他人任せに釣り場を選んでもらって、冷たく澄んだ流れに磨かれた宝石のような鱒を釣ってきた。それだけのことだ。だから、そんな私に高知県の釣り場について大きな顔をして語る資格などありはしない。
誘ってくれる釣り師の多くは、「いいですよ、紹介しても」と、きっぱりそう言ってくれるが、どうにも心苦しいのである。
だから、今回はフライフィッシングについて書き進めていくけれども、やっぱり高知県側については一行たりとも書かないし、写真の掲載も一切おこなわない。
それについては、どうか、ご了承願いたい。

 

釣行レポート

バンブーロッドはウェットフライフィッシングに向いている。

釣行レポート

解禁当初の3月はこのサイズが多い。

釣行レポート

春は活性次第で二ケタ釣果も夢ではない。

釣行レポート

春は緩い流れをのんびりと釣ろう。

釣行レポート

春は小型のフライの出番が多くシングルハンドロッドが活躍する。

釣行レポート

小型のメイフライにライズしていた早春の鱒。ウェットフライで仕留めた。

釣行レポート

水生昆虫に似せたフライを捕らえた早春の鱒。

釣行レポート

花の絨毯。河原にはこの規模の菜の花畑が少なくない。

釣行レポート

筆者、春のウェアは英国貴族ふうに。

吉野川が全長198キロにも及ぶ四国屈指の大河川であることはルアー編ですでに述べた。そして、池田ダムより上流の多くが切り立った岩盤のあいだを流れる荒々しい流れであり、池田ダムより下流は概ね長大な瀬が両岸に河原を配して流れ、あるいは砂州の寄り合うなかをゆったりとくだっていくことについてもすでに触れた。
そして、私や私の仲間が流れにウェーダーを履いた脚を強く踏ん張って鱒を狙うのは後者の方、すなわち池田ダムよりも下流であることが多い。
では、まったく上流部では行わないのかというと、そのようなことはない。
ただ、ダム上流はウエットフライを変化に富んだ荒い流れのなかに躍らせて鱒を狙うことが多く、それは渓流のウエットフライフィッシングと何ら変わりがない。規模が大きくなっただけのことである。
その上、鱒のサイズも下流に比べてやや見劣りする。早春のころなら下流域でも小ぶりな鱒が多いのでダイナミックな景観に惹かれて上流域へも少しは足を運ぶが、私たちは長大な瀬でダブルハンドロッドを巧みに操りながら、大型のウエットフライ、ストリーマーを主に用いて大型の鱒を釣ることに何よりも魅力を感じているため、池田ダムよりも下流で春本番から秋口まで、仕掛けを流れに対して扇状に横切らせるスタイルのフライフッシングに興じることとなる。

釣行レポート

シングルハンドロッドの出番も少なくない。

釣行レポート

ダブルハンドロッドで遠投をくり返すスタイルは釣り下るのが基本だ。

釣行レポート

ヒットした鱒を慎重に寄せる。

釣行レポート

遠投用のラインシステムで広く探ってキャッチした。

釣行レポート

大きな流れで見事な鱒をキャッチ。

釣行レポート

標準的なウェットフライタックルで釣った大物。

釣行レポート

吉野川中流域ではこのくらいがアベレージ。

釣行レポート

渓流用のタックルで筆者が仕留めた大物。

釣行レポート

鱒の多くはリリースする。これという理由はないが。

吉野川本流で使うタックルには、片手で投げるシングルハンドロッドのほか両手投げ用のダブルハンドロッドがある。どちらも渓流のものに比べて番手の高いものを用いる。つまりルアーロッドにたとえるなら比較的ライトとはいえない中クラスの道具で鱒を狙うというわけだ。ちなみに、筆者は海、川、湖沼、池などで釣りを楽しんでいるが、総数26本のフライロッドを使い分けている。このほか予備のロッドも合わせると祖宇都な本数を所有していることになる。
ラインについても、渓流でドライフライフィッシングに使うものに比べると太くて重く、それには浮くタイプと沈むタイプがあり、沈むタイプは沈む速さの微妙にちがうものが何種類か用意されている。ラインの先に結ぶリーダーもわりと太めである。もちろん、使用するフライも大きいものが少なくない。
シーズン初期の早春のころは、緩い流れで小さな水生昆虫(ユスリカ、コカゲロウなど)が盛んに羽化するため、それを捕食する鱒には小さめのフライを使うが、4月中旬以降はヒゲナガカワトビケラやモンカゲロウなど大型の水生昆虫の大量羽化が清流のあちらこちらで見られるため、必然的に使うフライもそれに合わせて大きいサイズを選ぶようになって来る。この時期以降の鱒は小魚にも果敢に襲いかかるので、小魚を模したストリーマーというタイプの特別大きいフライの出番も多くなって来る。フライはフックのサイズで番手が決まっているが、こまごまと説明するよりも写真で見て貰う方が一目瞭然で、フライフィッシングをやらない一般の読者にもわかりやすくて喜ばれることだろうから、少しばかり載せておく。
これらのフライは、この世に存在しない未知なる疑似生物であるにもかかわらず、なんとなく羽虫や小魚に似てなくもないという理由だけで、釣り人にも鱒にも何百年もの長いあいだ愛されて来た。その不思議を思うとき、私たちは今よりもいっそうこのフライという疑似鈎を使った釣りが好きになっていく。
ところが、多くのフライを愛する人のなかには、フライを作ることにだけに夢中になって、釣りは二の次という人も少なからずいる。なかでも、染色された動物の毛や鳥の羽を何十種類も組み合わせて巻きあげられるサーモンフライは特に美しく、現在も世界中のフライフィッシャーマンたちを魅了してやまない。

釣行レポート

吉野川中流域は5月に大物がよく釣れる。

釣行レポート

近くでライズがあればシングルハンドロッドで手返しよく釣る。

釣行レポート

銀化した超幅広の魚体。フライマンのあこがれの的だ。

釣行レポート

大河川といえども場所次第でパーマークのあるアマゴも混じる。

釣行レポート

筆者にヒットした大型の鱒。荒い瀬の流芯脇でフライを捕らえた。

釣行レポート

鱒は清流の宝石である。

釣行レポート

40cm級が5尾。一生に一度あるかどうかの記念すべき日となった。

このフライ以外に、人々をとりこにしやまぬものに、フライキャスティングがある。
毎年、競技会が開催され、飛距離や正確度の日本記録、世界記録を狙って選手たちが競い合う。個人戦、団体戦がある。
釣りもやるしキャスティングのトーナメントにも出場するというのが普通だが、中にはキャスティングの世界にのめり込んでしまって釣りなどそっちのけという人もいないではない。
フライキャスティングというと、太いフライラインを頭上で前後に行ったり来たりさせているシーンを茶の間のテレビや映画で観たことがあるだろう。あれはラインに勢いをつけて遠く飛ばそうとしている、あるいは狙いを定めているのだと推測されるが、じつは流れに浮かべて鱒を誘っているうちにすっかり濡れて浮かばなくなったドライフライを乾かすためにも行うのである。フォルスキャストという。フォルスとは「偽りの」という意味で、ほんとうに流れにフライを投げ落すためのものではないため、そう呼ばれる。
フォルスキャストを数回くり返したのちに、水面へとフライを投げ落すためにキャストする。これは、ルアーも同じで、オーバーヘッドキャスト、サイドキャストなどロッドをどの程度傾けて振るかで呼び名がつけられる。
このほかに、水面張力を利用して投げるロールキャストやロールキャストの進化系であるスペイキャストという投法があって、何種類かある投げ方のバリエーションをマスターすると、バックスペースを気にせずに仕掛けを遠くへと運ぶことができる。背後に切り立った崖が迫る大河川で鮭を釣るために英国で生み出されたこのスペイキャストは、たとえば吉野川本流で鱒を狙う私たちにも大変重宝する投げ方である。
もっと深く知りたい人は、教則本やそのテクニックを紹介したディスク盤映像が売られているので、購入して鑑賞してもらいたい。

釣行レポート

鱒の貴重なタンパク源となるヒゲナがカワトビケラ。

釣行レポート

広くて深い淵の中層をリトリーブ中にヒットした2尾。

釣行レポート

広々とした流れを釣り下るのは爽快である。

釣行レポート

フライで釣ると喜びもひとしお。

釣行レポート

大きくはないが本流の鱒らしい精悍な面構えだ。

釣行レポート

砂州が流れをいくつも分ける場所では流れの規模が小さくなり、渓流タックルでも狙える。

鱒は2月でも釣れるが、それは漁協が許してはくれない。日本は法治国家であり法を遵守しない者は罰せられる。
吉野川水系の解禁日は3月1日である。そして、徳島県下の吉野川水系で鱒を釣るには一万円を払って遊魚年券を購入しなくてはならない。日券は三千円である。
早春の3月は流れの緩やかな場所で小型の水生昆虫を捕食する鱒を小型の水生昆虫に似せたフライで狙う。4月中旬から5月末頃までは大型の水生昆虫のハッチ(羽化)が多くなるため、これらをたらふく食って鱒はみるみる大きく育つが、そのばあい大型のウエットフライを使って釣る。加えて、この頃から鮠など小魚が浅瀬に群れるようになると、小魚に似せたストリーマータイプのフライの出番も目に見えて増える。
やがて、アユの稚魚が緩い流れにかたまって泳ぐ姿がよくみられるようになり、海から遡上してくるアユが目につくようになると、いよいよ本流の鱒釣りも盛期を迎える。
たとえば、鱒の好物のヒゲナガカワトビケラは、流れの空を飛びまわり、水面を滑るようにジグザグに泳ぎまわり、水中にもぐったり浮いたりと一風変わったその行動で知られているが、晩秋から初夏へと移るに従いその時間帯が日中から日没後へと移るため、もうそのころには一般の釣り人の目には触れにくくなっている。
しかし、もし酔狂な釣り人が河原の石にでも腰かけて、日暮以降もその様子を見物したとしたら、傍らに寝かしておいた道具をすぐさま手に取って、立ちあがり、はやる気持ちを抑えつつ慎重な足取りで岸から流れに立ち込んでいき、フライを暗い夜の流れに躍らせてみたくなるにちがいない。
緩やかな流れの川面が、あちらこちらで炸裂し、水しぶきがあがる。ヒゲナガカワトビケラに鱒が襲いかかっているのだ。その水音を耳にするたび、胸が高鳴る。
しかし、いくら緩い流れであっても慣れない者が暗闇の大きな流れで釣りをするのは危険すぎる。たとえば、立ち込まないから大丈夫と固く心に決めて臨んだとしても、遠くの水しぶきに目がくらんで知らず知らずのうちに深くウェーディングしてしまうというのが釣り師の性であろう。だから、夜釣りというのは川を熟知しない者がやることではない。
6月ともなれば40cmを超す鱒のライズも珍しくない。じっさいイブニングライズを狙い撃ちすれば大型の鱒に出会える確率もうんと高くなる。
むろん、その後の夜間も大型をキャッチする千歳一隅のチャンスであるのはまちがいない。
そして、夜間は鮎釣り師やルアーマンが引きあげたあとなので、どこでも好きな場所で好きなように釣りを楽しむことができる。さらに都合のよいことは、日中は照ると暑い夏場も夜の流れに立ち込んで釣りをするかぎり涼しい顔で鱒と対決できる。
しかし、それでもやはり慣れない者が夜の大河川に立ち込んで、鱒を狙うのは想像する以上に危険だ。中洲にわたっての釣りは、さらに危険が伴う。
では、夜間が危険だというなら明け方の薄暗がりのなかで釣りを開始すればいいではないかと思う人もいるだろう。しかし、それなら陽が昇ってからゆっくりと出かけていき、余裕を持って釣りを開始するのがよい。その方が余程よく釣れるだろう。ルアーならいざ知らず、フライは日中か夕暮れ、そして宵の口といわれる時間帯の夜釣りに分があるとするのが長い経験に基づく私の見方である。

釣行レポート

スペイキャストにテーパーリーダーは必要ないのでハリスで代用できる。

釣行レポート

バックスペースを気にせずに済むスペイキャスト。遠投も楽勝。

釣行レポート

海に近い強い流れの瀬で釣れたサツキマス。

釣行レポート

春は水生昆虫のハッチの盛んな暖かい日中が狙い目。

釣行レポート

大きな流れに思う存分フライを躍らせる。

釣行レポート

大きな流れを釣るのは爽快この上なし!

釣行レポート

大型のメイフライ。

釣行レポート

流れにフライを漂わせながらアタリを待つ。

釣行レポート

流芯脇でライズしていた鱒。ウェット。フライで仕留めた

さて、なにか思いつくままに書き進めてきたが、もうこれといって書くことがなくなってしまった。
だから、もう書くのはよすが、もし吉野川のような大河川に立ち込んで、フライで鱒を釣ってみたいと思う人は、この機会に近くのプロショップに立ち寄って、スタッフとよく相談をして道具を買い求め、道具の扱い方を教わって、もし可能なら釣り場へも案内してもらって、じっさいに釣り方の指導を仰ぐとよいかと思う(残念ながら香川県にプロショップはない)。
渓流のフライフィッシングをすでに経験しているという人なら飲み込みも早いはずだ。まったくの未経験者でも、それはそれで熱心に指導を受けさえすれば両手投げ用のフライロッドをも自由にあやつれるようになるし、必要なフライも練習次第で首尾よく巻きあげることができるようになるだろう。
少なくとも、冬前の今から始めれば、春の解禁までにはじゅうぶん釣り方をマスターできるはずなので、興味を持った人はぜひともチャレンジしてもらいたい。
では、みなさん、よい釣りを!

【今回の使用タックル&ライン】

■ロッド
ダイワ アルトモアS F1309-3

ダイワ ロッホモアDH F1305-3
CND エキスパート・スペイ 13’ #7/8/9
オービス パワーマトリクス10 #7
カプラス スーパードリフトSFXメジャー 9’9”  #5 など


■リール
ダイワ アルトモア 300D
ハーディ ゴールデンLRHライトウエイト
ウィンストン パーフェクト2 7/8“ 
オービス DXR #7/8 など


■フライライン

フローティングライン #3~10

シンキングライン各種 #6~10(タイプ1~4)

■リーダー&ティペット

ユニチカ シルバースレッドトラウトリーダーFC3lb 
ユニチカ キャスラインエギングリーダー2.5号
ユニチカ アイガーIIIスーパー3号
ユニチカ スタークU2  6号 など


ページのTOPへ

釣行レポート一覧へ