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釣行記

釣行レポート

2013年4月3日

お気に入りの釣り場

河川というのは、同じ密度で鱒が棲むわけではない。たとえば渓相抜群の沢であっても魚影の濃い場所はごく限られているのが普通である。それは川の流れを一見しただけでは予想がつかない。何度か時間を変え、季節や天候の異なる日に足しげく通わなくては何とも判断がつきかねる。いずれにしても鱒がいなくては勝負する前からボウズと決まっているわけだが、少なくとも仕掛けに興味を示してくれる鱒がいるなら、ただ何の考えもなく流れに仕掛けを投げ入れて誘う釣り師よりも刻一刻と変化する状況を気にかけながら手だてを講じていく釣り師がいい目をするのはうなずけるところだろう。
そうは言っても、である。
ものすごく沢山釣れるわけでもなければ大きな鱒が食いつくわけでもないのに、その場へ出かけて行って仕掛けを投げたり巻いたりしているだけで快い時間を過ごせる、そんな釣り場が釣り師なら誰にも一つや二つは存在するのではあるまいか。
吉野川本流の上流域には、私にとってのそういう場所がたしかにある。
そこは、高知県と徳島県の県境付近で、国道から覗くと急斜面の谷底に荒々しい大岩を配した勢いある澄んだ流れが目に迫ってくる。
いかにも釣れそうである。遠くから見下ろす流れも魅力的だが、流れのほとりまで降りて行って見ても相当釣れそうに思う。しかも、大きい鱒がひそんでいそうだ。たしかに何処へ仕掛けを投げ入れても、いい鱒が釣れそうな釣り師にヤル気を起こさせる景観である。
それでも、川の釣りに精通した者ならすぐに気づくことがある。それは、鱒は下流に行くほど大きいのが多く、源流に近づくほど大物に出会える確率がぐんと減るということである。
これを念頭に置いて考えると、下名、大久保あたりも見て感じるほどには大きな鱒が釣れるわけではないということになるわけだが、例にもれずそのとおりだと言ってよい。
むろん、凄腕の鱒釣り師ならば私とはまたちがう考え方で流れにひそむ鱒に挑んで巨大な鱒を何尾も釣るかもしれない。数に関しても、予想に反して沢山釣りあげるのかもしれない。
たとえそうでも、私には尺前後の鱒なら景観美とセットで十分満足できる釣果をあげることがときにはできても、ほんとうの意味での大物を満足できるだけ安定的に釣りあげることなど、とても出来た話ではない。
それでも、私はこの辺りを釣り歩くのが好きである。意外と気の短い私だが、川に居るときはすこぶる機嫌がよい。ひとりのんびりルアーで鱒に遊んでもらっているときは、たとえば釣聖アイザック・ウォルトンが、あの有名な『釣魚大全』に記した言葉どおりに、穏やかな心持ちでいられるのである。ウォルトンは、「穏やかになることを学べ」と、その著書に一言を付している。
しかし、釣果を求めて釣りをしているとき、傍目にはのんびりやっているようにたとえ見えても、釣り師の内心というのはただならぬ思いで占められているものだ。焦燥、欲望、猜疑、ほか、負の心理というものが一つ湧いてはまた一つが消え、あるいはドロドロ混ざりあい、神経はピリピリし、瞳は厭らしく濁り、身体のどの部分からとはなく腐臭が立ちのぼる。
長年やり込んだ釣り師でなくても、誰もが経験することだ。
「なにが『穏やかになることを学べ』、だ。バカを言ってんじゃないよ!」と私も若いころはよく思ったものだ。
「穏やかな心持でやって魚が釣れるか?」
それでも、いつごろからか、釣果だけが釣りのすべてではないぞ、そう考えるようになってよりのちは、「ウォルトンはなかなかいいことを言う」と思うようになった。
大物も数も期待できないけれど、そこへ出かけて行って、最高のロケーションに抱かれて鱒を釣る。そういうのも悪くないぜ、と思うのである。
遠くはない。
けれども、御膝元というほどには近くもない。
今回の釣り場は距離的にも微妙な位置にある。
話は横道にそれるが、まあ、私の文章はホームページの釣行レポートとしては長い。しかも釣行レポートの様相をその多くは呈していない。
そうであるにもかかわらず、「もう書かなくていいよ。ご苦労さん」とメーカー側からお達しが来るということも、今のところはない。
なぜ、そう宣告されないのか、不思議な気もする。
まことに、ユニチカというメーカーは、不思議だ。
たとえば今回にしても、まだ一行もラインのよさについて記述していない。しかも、それを一行も書かずにペンを置こうとしている。
ユニチカのラインの性能のすこぶるよいことを実感しているにも関わらず、である。
まあ、それでも、私はこの些細なことには頓着しないユニチカの姿勢が嫌いではない。不思議に感じるのは確かだが、好きだ。
そして、変なオッサンが、不思議なユニチカという会社のホームページに書いた好き放題を、これまたしぶとく最後まで忍耐強く読んでくださる読者のみなさまには、ほんと感謝の念が絶えない。いつも、読んでくださってありがとうございます。
とはいえ、である。
ただし、である。
これだけは、はっきりさせておきたく思う。
それは、このレポートを読んで、あなたがもし興味を抱き、ここを訪れたとしても、この孤独を愛するオッサン釣り師の私が先に竿を出していたとしたならば、どうかそっと気づかれぬうちにその場を立ち去ってほしい。
以前、誰かがあとから釣りたそうな顔をして近づいてきたら快く釣り場を譲ってあげますよと書いたかと思うが、それは、時と場合によりけりである。
この場所だけは譲れない。大好きな釣り場だから、決して譲らない。
いつのまにか私も歳をとってしまった。
むろん、くたばるにはまだ少し早いが、それでも、もし足を滑らせて川に落ちたなら、そのまま為すすべもなく速い流れに呑まれて、この世から綺麗さっぱりいなくなってしまいそうな、どう眺めたとしても相当くたびれた、ただのオッサンなのである。
だから、くどいようだが、老い先短いと思って、そっとしておいてほしい。
それが、私の唯一の念願だ。念願が大袈裟なら、たっての希望であると言いなおしてもいい。
どうか、そこのところ、よろしく。
では、そろそろ書くこともなくなったので、ちょっと尻切れとんぼの感がなくもないが、今日はこの辺でペンを置くこととしたい。
では、みなさん、ごきげんよう。
よい釣りを!

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ラインはシルバースレッドトラウトクリアーの
4lb強度に優れトラブルが少ない。

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ミノーは5~6cmを多用する。

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ミノーはウッド製のものがすきだ。ただし飛距離優先時には適さない。

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釣りをしているだけで満足できる、この景観がたまらない。

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岩場のあちこちに咲くツツジが目を惹いた。

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大石の手前の水面が鏡のようになったところでアタリが来た。

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このサイズが多い。型狙いなら中下流に分がある。

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パーマークが銀の鱗の下に透ける鱒、上流部にはアマゴとよんでいい鱒が少なくない。

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ルアーを交換することに明確な意味は持たない。ただ、なんとなくである。

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木製ミノーツインクルにヒットした鱒。

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とくべつ大きくなくても鱒がつれると頬が緩む。

【今回の使用タックル&ライン】

ロッド : UMFウエダ STS-74MN-Si BORON
リール : ダイワ ニュー イグジスト2004
ライン : ユニチカ シルバースレッドトラウトクリアー 4lb

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