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釣行記

釣行レポート

2013年9月20日

エギの不思議

「エギというのは、なかなか高価な遊び道具ですよ。いちどに10個は買わないと大当たりのエギにはめぐりあうことがむずかしい。もちろん、運さえよければ別ですが、まあ、10個まとめ買いするなら1個、2個の割合で、凄く釣れるエギを引き当てることができる。それはもう、抜群の働きをします。なぜかそういうスペシャルなエギが勝手に生まれてくるのです」
エギに力を入れているメーカーの開発担当の者からそう聞いた。もう10年以上も前の話である。
「では、そういうエギばかりを集めて来て、ほかのエギとどこがどうちがうかなど研究して、いっそう釣れるエギを充実させれば他社を圧倒できるわけだから、すぐやるべきでしょ。なぜやらないの」
「それが、そう簡単ではないのです。一筋縄ではいかない。うちの社員の多くはイカ釣りに目がなくて、エギでアオリイカを狙いに行く機会も多い。太平洋には、アオリイカがたくさんいますからね。すると、当然すごい数のエギが海で試されるわけですから、なかには今さっき申しあげたように抜群の働きをみせる大当たりのエギが何本となく私どものもとへと寄せられます。『これ、めちゃくちゃ釣れますよ』というぐあいに。しかし、いくらいろいろ手を尽くして調べあげてもわからない。どこがどうちがっているからこうなのだという決定的証拠が見つからないのです。カラーもサイズも種類も同じエギだけど微妙にちがう。人間の感覚ではわからないです」
「でもイカの方では、それがわかる。それを選ぶにはそれが大変おいしい餌だと素直に思えるから抱きついてくるわけでしょ」
「まあ、そうです。でも、どうでしょうか。ほんとうはイカの方でも、『な、なぜだ。どうして、抱きたくなるのだろう。まるで吸い寄せられるように、自分でもどうしてだか、もう抱きつかずにはいられない、この衝動は何なのだ。もうぞっこん。俺はこのエギ子ちゃんに恋しちゃったのだなあ。もうだめぇー!』と、案外支離滅裂、そんなふうに吸い寄せられてしまう。これはもう魔力というか、10個に1個の魔性のエギというわけで、つまりエギモンむんむんというわけです」
「それをいうならフェロモンでしょ。だいたい支離滅裂なのはあんたの方だ。実直な人だと思っていたら、案外言うね」
彼は、当時まだ若く、アオリイカのみならず異性への憧れをも日夜募らせていたから、当然といえばその通りだが、やはり男はバカな生き物だと思って可笑しかった。
しかし、彼の話は信憑性が高く、ほかのメーカーの職人も彼と同意見の者が少なくないようで、大当たりエギの割合も概ねそのくらいだと言っている。
これは、たいへん勉強になったと思って、仲間に教えてあげたところ、「そうだとしても10個も大人買するほど小遣いに余裕がある奴は、きっと多くはないよ。エギは千円以上もするからね」という返事がもどってきた。じっさい、当時は千二百円から千四百円した。ちがう種類ならともかく、まさか同じものを10個も買うには相当勇気がいっただろう。
もともとは、香川県の釣り具屋さんにエギを置いている店はほとんどなくて、あっても買う者がこれまた稀だった。イカ釣りの習慣がなかったのだし、また釣れるイカもいなかった(そのころは海水温が今より低かった)。高松市内でエギングが流行り出してからまだ20年にもならないはずだ。しかも、最初は地味な配色のエギを使ってズル引き釣りでアオリイカを狙っていた。夜に漁港やサーフに仲間と出かけて行って、使えそうなルアータックルでエギを投げては巻いていた。つまり、ズル引き釣りを楽しんでいたわけだ。そもそも、当時はまだカラフルなエギを用いたシャクリ釣りなど誰もやってはいなかったし、多くの人がやり方すら知らなかった。
むろん、そんな時代だから専用のタックルなど買おうにも売っているはずもなく、今みたいに大流行するとはちょっと考えも及ばなかったのだった。
しかし、シャクリ釣り隆盛の今の時代になっても、「10個買うと1個、乃至は2個の大当たりエギを手にできる!」という原理原則みたいなものは何ら変わることがないわけで、それを知っている釣り師のなかには大人買いする者も少なからず出て来ているようだ。エギングブームもさることながら、その物凄い過熱ぶりに目を輝かせた釣り具メーカーが参入合戦をやったことで、エギの種類やサイズも大いに増えて、当然価格も競争によって抑えられて、評判のよいエギがセール期間中に購入すると、黎明期の値の半額近い安価で購入できるため、この時を逃すまいと思って鷲づかみにレジへと向かってしまうのだろうが、同じ釣り師としてそういう気持ちはよくわかる。
私もシャクリ釣りを楽しむ身分となった。まだ始めて間もないから、10個まとめて買ったとしても私の腕前では、どれが普通のエギで、どれが普通よりは良く釣れるエギか、あるいは極上の物凄く釣れるエギかを見分けられるまでには至っていない。けれども、夜のズル引き釣りなら年季だけはもうベテランの域だから使うほどにエギのよしあしが少しは見えてくる。私は浅瀬で釣ることが多いから、オモリに穴をあけたりして意図的にエギを軽めに調整することも普通に行うために、チューニングした時点での評価ということになるが、それでも、浴槽に水を張って実験をしてみると、偶然よい出来となったエギも、それを手本にして調整したエギも、私の目にはどれも同じ沈み方だと映るのに、やはり実際釣りに使用してみると釣果に差が出る。
だから、数多くのエギを次々試してみて、とくによい働きをするものばかりをケースにひとまとめにして仕舞っておくよう十何年間心がけてきたわけが、写真のユニチカ・エギエスツーピンクイエローグラマーブル3号はオモリに大小2つの穴をあけてから夜間のズル引き釣りで絶大なる威力を発揮するようになった。このほか、浅瀬以外の場所で気に入って使っていたエギエスツーの3.5号のシャロータイプも理由はわからないが目をみはるような働きぶりで私を大いに喜ばせた。けれども、悔しくも先日根掛りして帰らぬエギとなってしまった。こういう不幸は往々にして噴いて湧くものだから、そこは覚悟してあらかじめ2番手3番手を準備しておく必要がある。秋が深まりをみせはじめると、秋の新子のアオリイカもずいぶん大きくなって、3.5号の出番も多くなるため、眠っているエギを引っ張り出して来て、夜の浅瀬へ持っていき、このほど新たに5個ほど試してみたが、普通によい働きはするものの、根掛りで切ってしまったエギには到底及びそうにはないとわかって少しがっかりした。
そして、抜群に釣れる手持ちのエギエスツーのピンクイエローグラマーブルの3号もそうだが、夜にズル引きでよい働きをするエギは、日中のシャクリ釣りにも効果が高いようである。シャクリ釣りはまだ本格的に取り組みだして間がないので、たくさん試したわけではないから今はまだ私の感想という程度にすぎないが、それでもその傾向にあるのは確かなようである。
なお、今回は9月20日に庵治半島へ稲田耕作、三木一正と3人で出かけたときに撮影したものを証拠写真として掲載しておくが、今年の庵治半島はアオリイカの数がすこぶる多く、またたくさん釣れてもいる。だから、まだ少し健康に不安のある私は取材で写真が必要なとき以外は、あまり欲張らずに10パイも釣ったら早めに釣りを切り上げて帰るようにしている。
庵治半島は、香川県中部のエギング発祥の地と言ってよい好釣り場で、黎明期のズル引き釣りに始まり、シャクリ釣り全盛の現在にいたるまで、エギング愛好者に親しみ続けられてきた。気象変動による水温の上昇でアオリイカの数がうなぎのぼりに増えてきたことを考え合わせると、この先も人気の釣り場であり続けることはまずまちがいないだろう。
この庵治半島先端域。ロケーション的にみても素晴らしい釣り場なので、みんなで大事にしていきたいものだ。
では、みなさん、よい釣りを!

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レストレピアが咲くと秋アオリのシーズンだ

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筆者愛用のライン、リーダー

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しゃくったエギが着底するとすぐ抱いて来た

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すごく釣れる「大当たり」エギS2

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この日、7杯目もエギS2に来た

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稲ちゃんはシャクリでアオリをキャッチ

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男爵はズル引きでアオリにエギを抱かせた

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昼は暑い。撮影場所に着くまでにアオリは瀕死状態

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庵治半島は世界的に有名な庵治石の産地でもある

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笹尾の浜もアオリイカの好釣り場だ

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長大な浜は夜のズル引きにもってこいだ(鎌野地区)

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夜のズル引きでの釣果。10パイでよすのがモットーだ

【今回の使用タックル&ライン】

ロッド : ノリーズ エギングプログラム ハードジャークスクイッド80
リール : ダイワ エメラルダス2500
ライン : ユニチカ キャスラインエギングスーパーPE8 0.6号
リーダー : ユニチカ キャスラインエギングリーダー50 2.5号
エギ : ユニチカ エギエスツー ピンクイエローグラマーブル3号

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