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釣行記

釣行レポート

2016年2月5日

月なき夜に

 東かがわ市の引田町と鳴門市の北灘町は海へ張り出す小岬を抜いたトンネルの間近で隣り合っている。そこが、香川県と徳島県の県境というわけだ。引田トンネルという名のとおり、香川県側から徳島県側へとトンネルを抜けてもほんの少しのあいだは香川県で、そのためそのすぐそばにある小さな漁港が香川県なのか徳島県なのか、地図で調べてみないかぎりすぐにはわからない。その名を、碁ノ石漁港という。この漁港、じつを言うとぎりぎり徳島県鳴門市である。
 友人の家からの帰り道、この付近で道草をしてメバルをちょっと釣ってみた。
 寒いし風が吹いていたので、最初は釣りをする予定などなかったが、夕暮れどきに通りがかると、昼間とは打って変わって風はやみ、海は穏やかだった。おまけに昼よりも寒くない。新月ではないが、月齢は小さく、いまだ空に月は顔を覗かせていなかった。
 メバルは闇夜というくらいである。これは、悪くない条件であった。

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メバルが浮き始める夕まづめに釣りを開始

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暮れてすぐはプチメバルのオンパレードだった

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夜が深まるにつれこのサイズが連発

 国道わきの広い駐車スペースに車を乗り入れ、さっそく仕掛けを組んだ。未舗装のくだりの道を海辺に降りて、海岸から突き出た石積み波止へと歩みを運ぶ。
 少し沖はホンダワラが繁茂しており、そのなかにメバルがひそんでいるのはまちがいないと思われた。
 地磯の向こう側には碁ノ石漁港があるが、県境はこの地磯のなかほど辺りだろうか。べつに線が引いてあるわけでも標識が立っているわけでもないので判然としないが気にすることもないだろう。メバルは香川県側にも徳島県側にも泳いでいるのだから。

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使用したライン

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瀬戸内の地磯に夜が来た。さぁ、釣るぞ!

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厳寒期のいま、このサイズなら文句なし!

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ワームはエコギアメバル職人ミノーSSを多用した

 この石積み波止へは、十数年ほど前までは、ちょいちょいメバルを釣りに来ていた。そのころは釣り人も少なく、ワームでメバルを狙うような人はよほどの物好きしかいなかったが、ワームでメバルを釣ることをメバリングと愛着を持って呼ぶこのご時世では、この付近も昔のように静かに竿を出せる穴場ではなくなってしまった。
 そのせいで足が遠のいていた。
 ところが、ここ数年、秋にアオリイカを狙う人の姿は普通に見かけるが、以前ほどメバルを釣る人の姿を見なくなったので、釣り荒れして昔みたいに良型のメバルが釣れなくなったのだろうかと思ったりした。
 この波止は国道から眼下を見おろせば見えるので、つい目が行くが、誰も釣りをしていなかった。
 それで、足を運んでみたわけだが、昔と変わらず釣れそうなのに、実際仕掛けを入れてみると、メバルが食いついては来たが、そのサイズの小ささには落胆させられた。その後しばらく粘ってみたが、判で捺したように同サイズしか釣れてはくれなかった。あっというまに十ほど釣れたが、これでは甲斐もない。先端周りや、いま居る場所と反対側も探ってみたが、波止の何処を釣っても、やはり食ってくるのはチビ助ばかりであった。

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良型のみキープした

 これは堪らぬと思って、場所替えをした。徳島県側へと移った。
 釣りを開始してしばらくは潮が動いていたが、もう満潮に近いということで、今では海は池みたいであった。凪いで風のないのは嬉しいが、碁ノ石漁港の波止や、漁港に隣接する地磯の岩場は潮が動いていなければ魅力薄である。まあ、どこも潮が動いているに越したことはないが、たとえば漁港の波止なら沖へ向かって潮が出ていくときにメバルの活性があがる場所であるのは目に見えているので、まだ二時間くらいはパッとしないのではないか。そう思って仕掛けを入れてみると、あんのじょう漁港では小ぶりなカサゴが二つ釣れただけだった。
 まさか、道草して竿を出したにすぎぬのに、潮が引き始めるまで長居をすることはできない相談だった。
 そこで、漁港のすぐ横にある岩場つづきの砂利浜へ足を運んでみた。以前、似たようなタイミングで横歩きしながらこの浜を攻めてみたところ、続けざまに良型のメバルが十ほど釣れたことがあった。そのときは小さなシンキングペンシルが活躍したが、持って来てなかったので引き続きワームで狙ってみることにした。
 すると、あてずっぽうの予想が本当になった。その後、三十分くらいのあいだに七尾ヒットして五尾の良型を無事に取りこんだ。なんだか仕掛けがもたれるなあという程度の違和感に、もしやと鋭く小さくアワセを入れるとフックが辛うじてメバルの顎を捕えた。まさに皮一枚という掛かり方であがってきたこともあった。
 「渋いな」と私は空振りを食らうと舌打ちした。
 けっこう、アタリのとりこぼしがあったのだ。
 やがてアタリがなくなったので、漁港の波止へもどって外向きを少しのあいだ探ってみたがキープしようかやめとこうかというサイズのメバルが釣れただけだった。
 メバルという魚は釣ったときは大きく見えるが、家で俎板の上にのせると思いのほか見劣りしてしまうことが多い。どんな魚でも死ぬと縮むものだが、メバルという魚は縮む度合いが他にも増して大きい。
 ふつう、誰かに釣られて死んだ魚は日が経つごとに大きくなるものだが、自分が釣ったメバルはどういうものか死ぬと目に見えて縮むのである。
 人に釣った魚を自慢するとき、このくらいもあったとひろげる手の幅の馬鹿さ加減に自分自身反省をして、実寸に近い大きさまでどうにかこうにかもどす努力をするのだが、次また誰かに話すときには三割増しのサイズにまで成長している。釣られた魚は死ぬと急に大きくなるとはよく言ったものだ。
 このことからも、大公望はほぼ例外なく法螺吹きだというわけだが、釣り師なら誰も否定はできないだろう。
 話は変わるが、アオリイカは満月の夜がよく釣れるようだ。しかし、メバルは闇夜がよいとの評判だ。
 メバルは浮魚であり厳密には根魚ではないので、底に居てもわずかに頭を斜め上に向けて浮いている。月が大きいと浮きにくいとされるメバルも新月に近い月齢なら餌を求めて浅瀬の中層や表層にもためらわず出てくる。海面でぴちゃぴちゃとライズするのも月の小さい周りのときに多く見られがちである。
 こう書くと、ほんとうかな、また釣り師の法螺ではないかなあと疑う人もあるだろうが、気になる人は釣りに行くたびにその辺りのことに注意を払って月日をかけて自分なりの答えを出してみてほしい。
 なにかにつけ、自分で謎解きしながら上達していくのが釣りの楽しみの一つでもある。
 この月齢とメバルの活性の関係性について私は今もって判然としないところが少なくない。メバルという魚はサイズ的にはどうということのない身近な小魚にすぎないが、読みをはずされ裏をかかれてアタリすら送ってよこさないことが往々にしてある。とにかく一筋縄ではいかないのがメバルという好敵手だ。
 そのあたり、今もって興味の尽きないところでもある。

【今回の使用タックル、ライン】

ロッド : ダイワ 月下美人MX74UL-S
リール : ダイワ セルテート1003
ライン : ユニチカ ナイトゲームTHEメバルFC 2lb
リーダー: ユニチカ ナイトゲームTHEメバルリーダーFC 4lb

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