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釣行記

釣行レポート

2015年4月、5月

四月のこと五月のこと

1
幽霊

 私はまだ幽霊に遇ったことがない。若いころより夜暗くなってから山のなかを歩いて車までもどることをよくしたものだが、まだ幽霊をみたことがない。山でぽつんと古く苔むす墓に行きあうこともある。忘れ去られ風化しかけた墓地群を目の当たりにすることもあった。それでも、火の玉一つ出たことはない。どうも幽霊に敬遠されているらしい。
 身めぐりでかさこそ音がする。べつにびくつくこともない。釣ったイワナがクリールのなかでささやかな抵抗をみせただけのことだ。
 あらかじめ用意していた握り飯のおかずにイワナを焼いて夕食を済ませると、そのまま山に残って朝を迎えることも若いころは珍しくなかった。山の夜は闇が濃く、空気が澄んで、星に手がとどきそうである。しかし、こういうひらけた場所は地べたが固かったりしてテントや簡易寝具がないと寝にくい。
 沢も空間がいくぶん広く、就寝に適うようで、じつは何が起こるか知れたものではない。なので、流れから少し離れた小高い木立のなかに適当な場所を見つけて眠ったものだ。河鹿が夜闇を震わせ、歌う。河鹿というのは小さく地味な蛙のくせに、やたら澄み徹る美声の持ち主である。沢のせせらぎに耳を澄ませていると、妙に心が落ち着いたものだ。林床は針葉樹のにおいがさわやかで、なおも気分をリラックスさせてくれる。リュックから一枚余分に羽織るものを出して着た。すると、ほどよくものを詰めたリュックがちょうどよい枕に早変わりする。
 針葉樹の葉を敷き詰めた上に寝そべると上等の寝具になった。そのように横たわっていると獣が跨いで通ることがある。しかし齧られたことはない。食われたこともない。食われて死んでしまっていたら、こんなつまらない文章を書かずに済んで清々したろう。
「どうぶつが跨いで通るものか。おまえ、それは夢だよ。まちがいない」
 そう軽く揶揄されることしばしばである。
「どうせ、一生なんぞは脳の見せる頼りない夢にすぎまい」と私。
「もし踏まれたらどうなる?」
「跨いで通るか、襲いかかるかのどっちかだ」
「まあいい。どうせ夢だもの」
 なぜ、そう決めつけるのか。そこがよくわからない。
 むろん、最近、こういうことはしなくなった。いい歳をして、無茶をすると怪我をして身近な者に迷惑をかけないともかぎらないから、暗くならないうちに帰り支度をはじめる。たとえば、車にもどる途中で暗くなることはあるが、それなら慣れたものである。
 なんでも、年齢相応の責任を自身に課して日々を暮らす自覚を持つことが大事なのだそうだ。そう先達に言われたことを今に記憶している。そのころは若かったから、ピンと来なかった。けれども今なら身にしみてわかる。思慮分別もなく、むやみに歳だけとるなら、身に災いを呼び寄せるばかりであろう。
 たとえば、仲間と夏沢へ出かけ、「まだ若い者には負けない!」と豪語してみたところで身体機能の衰えは隠せまい。他人に見抜かれないよう気をつけても自分自身を欺くことはできない。

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今期はまだ沢へイワナを釣りに行ってない

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春は植物の手入れに忙しく釣りに割く時間も少なめ

 それでも、私は、ずいぶん長くこの世に住んで、やはりまだ一度も幽霊をみたことがないから、幽霊に遇ったという人と話がいまひとつ噛み合わない。
「幽霊を信じないのか?」
 そう詰め寄られても、遇ったことがないから答えようもない。
 では、居ると思うか、居ないと思うか。そんな大人気ない質問を稀にだが身近にもする人がいる。
 そんなわからず屋には、こう答えるしか手はない。
「俺の答えは、いつも三つだ。そう思う。そう思わない。わからない」
 そして、私は答えを保留することをよくする。
「さあ、どうだろう」
 とか、
「はっきりとは、わからない」
 とか。
 もう殆んどこれは癖である。
 すると、どう思うか、なおも、どっちだ! と、詰め寄って来る。
 イエスか、ノーか。
 とにかく、しつこい。
 イエスか、脳か、というのならキリスト様よりは自身の脳で考えて生きていたい。
 とにかく、そんな無理難題をぬかす奴には付き合いきれぬというものだ。もし白黒はっきりつけろと尚も詰め寄られても、そのときは天気の話でもして、誤魔化して、話をそらすほか打つ手はなかろう。
 だいいち魚は口を利かないので、自白を供与したところで、いつだって真相は闇のなかである。人間の泥棒なら取り調べのときにカツ丼でも食わせてやれば心をひらき罪を認めてもくれようが、魚の口にカツ丼が合うかはわからない。
 同条件で同じ釣り師が同時に、ちがう道具と仕掛けと誘い方でもって実釣してみせることなど、金輪際不可能である。だから、ルアーがどうだ、テクニックがどうだと言ってみたところで厳密には比較のしようもない。だから、おまえの考えを聞かせろと、もし噛みついて来られても、わからないものはわからないと答えるほか答えようもないのである。そんな言い合いは釣りにならない荒れた天気の日にでもやるがよかろう。釣りの第一は現場主義の貫徹にある。地道に釣り場へ出て励むよりほか魚をものにする手立てはないというわけだ。
 と、まあ、こういう話はもうそろそろよすとして、明日はデーブ鎌田に教えてもらった野池でブラックバスを狙ってみようと考えている。なんでもハスを釣りに行ったら、その小さなスプーンやミノーに大きなバスばかり食いついて閉口したというのである。
 何足ることか。
 羨ましいぞ。
 なので、こうなったらもう行くしか手はないのである。
 もし出かけて釣れたら必ず書くので、どうかお楽しみに。
 では、今日はこの辺で。
 ごきげんよう!

2
メバルは気分屋

「他人と比べて進歩がないのはべつに恥ずべきことではないが、昨日の自分より劣っているのは恥ずかしいことである」
 勤務先の病院の先生から届いた年賀状にそんな言葉が添えられていたとえらく感激していた友人がいた。もう二十年以上も前の話だが、こんな先生にかかったら堪らないと閉口した記憶がある。
『三百六十五歩のマーチ』という歌謡曲の歌詞に、「三歩進んで二歩さがる」というフレーズがあるが、三歩進んで五歩さがったってべつにかまわない。私は、そう思う。
 そう思うだけならまだしも、五十年に余って釣りをして、いまだに魚の気持ちがこれっぽっちもわからない。やればやるほど益々わからなくて、だから、釣りに出てもいい思いばかりしているわけではない。むしろ、特別いい目を味わうなど滅多にないものだ。
 まったくもって一歩進んで何歩さがったかわからない。
 ごく身近にいる、<あの生きもの>に似て、魚もまた理解しがたいところが少なくない。

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浅瀬で仕留めたメバル(H28.4.8)

 なかでもメバルは、魚のなかでは相当気分屋である。昨夜と条件的に何ら変わらないように見えるので、しめしめと思って仕掛けを入れても、まったく釣れない。アタリすらない。
「昨夜は入れ食いだったのに、どうしたっていうの?」と愚痴って腐る。
 そんなことは、ちっとも珍しくない。
 このように、深くかかわるほどに難解なのが、メバルである。
 でも、今度ばかりは、奢ってもらったというか、一方的に人間の側の私にいい思いをさせてくれた。
 ほら、ご覧あれ。
 今夜の釣果を。

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砂浜脇の岩場は好ポイント

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四国最北端の地の竹居岬

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明るいうちに釣り場をチェックしておこう

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食べる分だけ持ち帰る(H28.4.12)

 どうです。素敵でしょ。
 滅多にありませんよ、こんなこと。
 であるからして、当日は、帰宅早々、次回はいつ出かけようかとそわそわしはじめる有様だった。

 では、皆さんも、よい釣りを!


釣行日 平成28年4月8日、12日
釣り場 香川県高松市庵治半島

【今回の使用タックル】

ロッド : ノリーズ スローリトリーブSR710F
リール : ダイワ ルビアス2004H
ライン : ユニチカ ナイトゲームTHEメバルPEⅡ0.3号
リーダー: ユニチカ ナイトゲームTHEメバルリーダーFC3lb
ワーム : マルキュー エコギアメバル職人ミノーSSなど


3
魚も風邪を引く

 くだものが二種類、二個ずつ混ぜて置いてある。同じものを拾い出してひとまとめにしろ。そしたら何が何個ずつになるか?
 くだものはりんごとみかん、簡単な算数の問題だ。
 しかし、現物を目の前に用意して質問するから話が簡単ではなくなった。事実、困ったことが起きた。多くの園児にではなく、ごく少数の、とくにそのなかでも私が困った。というより、ほんとうは先生が私の考え方に弱ったのである。
 りんごとみかんは全然ちがった。しかし、二つのりんごもそれぞれ大きさや形や色合いが少しちがっている。みかん同士もりんご同様いくらかちがいが見て取れた。
 だから、私は四つに分けた。全部ちがう。
 こういうことをするのだから、当然、先生に好かれるはずがない。もう一人変わった園児がいた。果物だから皆同じという。私はなるほどと思ってひどく感心したが、先生はどうだったろうか。
 ほかの園児がどんな反応をしたか、私はよく思い出せない。どのみち他人の反応などどうでもよかったのだろう。自分にとってどうでもよいことはとんと覚えないたちなのであった。今もそうだが。
 もちろん、魚についても、似たように考える。
 だから、模様や色合いや大きさが異なれば微妙に性分だってちがうだろう。メバル、クロダイ、カサゴ、キス、スズキというふうにひと括りには括れない。

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シーバスもよく釣れる

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ミニしか釣れない夜もある

 わが社のこの竿この道具この仕掛けこのルアーを持って、どこそこの海辺に出かけ、こう投げてこう誘ってみてください。何も考える必要はありませんよ。魚の脳味噌なんてこれっぽっちの大きさですから、騙すのにさして苦労は要りません。魚の心のなかならお見通しです。だから、当方の言うとおりにやってもらえれば必ず結果はついてきます。云々。
 たしかに、結果は出るだろう。それがどんな結果かは出たとこ勝負だが。
 俺はそんなうまい文句になど騙されない。そんなにバカじゃない。そう思っているならそれでもいい。だが、どうしたって人間は時代の流れに乗っかって流されて行くとも知らずに流されていきがちな生きものだ。特に儲かる話には下心が動くからすべてに甘くなりがちだ。
 それならいっそ、みんなであと先考えず流行に乗っかってしまうというのも悪くないかもしれない。
 現に、メバルの竿、アジの竿と銘打って別扱いにして売ったら釣り師が飛びついた。これはメバルのワームですよというとメバル釣りの人が飛びついた。アジ用ですというとアジ釣り師がとびつく。それどころか、メバル用のワームにアジが、アジ用にメバルまでが飛びつくありさまである。
 考えてみるに、このように日本は平和でよい国だ。だから、私は日本国政府に一つも文句はない。じゅうぶんよくしてもらいすぎていると感じて気がひけるほどだ。死んだ父母もよくしてもらってあの世へ行った。政治家や官僚に、今は親戚すらいないのに、見ず知らずの私にもよくしてくれる。秀でた能もないのに、ありがたいことだ。政府に足を向けて寝られない。
「国民に衣食住の心配をさせない、それが政治の使命だ」
 そう言ったのは、たしか小林秀雄だったと記憶する。
 では、それ以上のことはというと、自分の裁量次第だろう。
 つい最近、わが子が保育園に落ちて「日本死ね」と匿名でインターネットに書き込みをした人がいた。あまり自分は大事にされていないと勘違いされたのだろうが、どうにもお気の毒である。
 おかげさまで私は足腰が丈夫だから毎日外出する。が、しかし、道端に餓死して果てた人を私はまだみたことがない。そのかわり稀に素っ裸で公衆の面前を走りまわる人ならいないでもないが、あれは衣類を買う金に窮してのことではないだろう。その証拠に警察に捕まっている。

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筆者愛用のPEライン

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こんなメバルばかり釣れたら楽しいのだが・・・

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4月下旬のサーフはパラダイスだった

 話をもとにもどす。
 たしかに、魚は人間ほど利口ではないが、同じ生きものだから似たところもあろうかと思う。
 チェホフは言う。
「風邪を引いても世界観は変わる。故に世界観とは風邪の症状にすぎない」
 それなら、魚だって、風邪を引けば気持ちが沈んで餌を食う気にならないだろう。
 魚が風邪を引くか。魚に訊くわけにもいかないから、私は知らない。
 しかし、月は女と魚を支配する。潮の満ち引きの匙加減は月が握っている。潮順を気にする人は少ないが、漁師や釣り師なら気にしないではいられない。単に満ち引きと言っても、ひと括りにはできない。毎回干満に程度の差が生じる。たとえ仕掛けを入れて見なくても、流れ方に差があることが、目で見てわかるばあいも少なくないのだ。
 月が与える作用は、潮位差によって生じる流れ方のちがいのみではないだろう。そのことが、魚の気分をよくし、食欲を旺盛にする。あるいは滅入らせ食欲を減退させる。世界観を変えてしまうかはわからないが、月は魚に風邪を引かせ食欲を減退させるくらいのことなら朝飯前にちがいない。菌がもたらす人間の風邪とはちがうが、魚の風邪は月が引かせる。
 しかし、魚にも個人差はあろう(個魚差というべきか)。
 冒頭のりんごとみかんではないが、細かく見れば魚もまた似て一様ではないだろう。だから、風邪を引いても食欲の衰えないヤツがいていい。それどころか風邪を引くと、栄養をつけないと死んでしまうかもしれないと危機感を抱くヤツさえいるかもしれないではないか。そんな魚は普段より大食漢だろうからめっぽう図体が大きいにちがいない。釣り応えがあろう。
 とにかく、同じなんてものは、この世に一つとしてない。
 同じ日とてありゃしない。
 やれやれ。
 だから、どうにも、さっぱりあてがはずれて散々な目に遭うことも少なくないというわけだ。
 今回がそうであった。前回は意気揚々と凱旋したが、いかんせん今回は敗退だ。
 先に述べたごとく、とにかく、魚も風邪を引く。
 メバルも魚であるから、やはり風邪を引くと考えられる。
 それは私のせいではなくて、月の仕業だ。
 なので、まことに残念なことではあるが、どうしようもない。
 私はわからないことはわからないで済ませる質だが、それができない方はご自分で腑に落ちるまで考え抜いてみるがよかろう。しんどいかもしれぬが、ご自分の性格なのだから仕方ない。
 とにかくそういうことだ。
 一件落着!
 ごきげんよう。


釣行日 平成28年4月13日、27日
釣り場 香川県高松市庵治半島

【今回の使用タックル】

ロッド : ノリーズ スローリトリーブSR710F
リール : ダイワ ルビアス2004H
ライン : ユニチカ ナイトゲームTHEメバルPEⅡ0.3号
リーダー: ユニチカ ナイトゲームTHEメバルリーダーFC3lb
ワーム : マルキュー エコギアメバル職人ミノーSSなど


4
自分にとってはビッグバス

 大きなバスが釣れた。むろん、50cm超のランカーサイズではない。
 空き時間を利用して身近な釣魚であるバスを狙っている私には40cmアップのバスなら上出来である。
 だいぶ前のこと、
「48cm! おしいなぁ。くやしいなぁ」
 そう嘆く人たちを池の端で見かけたことがある。友だちと一緒に悔しがっている。よく肥えたバスに幅の広いメジャーを当てて、そのバスを見おろしては若者同士顔を見合わせていた。
「俺なら飛びあがって喜ぶけどな。あれほどのバス、滅多にお目にかかれない」
 私は少し遠巻きに眺めながら、内心とても羨ましかった。

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大物を釣るぞ!と意気込みやって来た

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朝昼は子バスをバラしたりと冴えなかった

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ピーナッツで釣っても芸はないとK氏。釣った者勝ちさ

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初めて釣りをしたが水質はよかった

 だから、今回、バス釣りをする若い衆のなかの一人が教えてくれた野池で夕暮れに大きなバスがお得意のピーナッツⅡに食いついてくれてときは、もう嬉しくて、付近に誰もいないことを確認した後、小さくガッツポーズを決めた。ついでにピョンピョンとび跳ねた。
 それにしても、いい竿だ。貰い物のメガバス社製の竿だが、かかったバスが大暴れすることなく足元まで寄って来る。水面を割って躍りあがることもまるでなかった。
「ややドラグを緩めに締めておくといい。太い糸を使うカーボン素材のガチガチの硬い竿なら必要ないが、グラス配合のこいつには、やや緩めがいい」
 そう私に説明しながら、友人のK氏はちょっぴり手放すのが惜しそうな顔をした。
 家に遊びに行ったとき、バス釣りをはじめたのなら何かやるから持っていけ、そういうので私はすかさずこう言った。
「あなたが痛みを伴うほどの施しをしなさい、婆さんがこう言っているよ」
「どこの婆さんだ?」
「インド在住のマザーテレサという婆さんだよ」
「ほう。えらいことを抜かしやがる」
 彼は少し何やら考えている風だったが、私には彼の口にした「えらいこと」というのが、とんでもないことという意味か、それとも立派という意味か、俄かには量りかねた。
 しかし、その後、彼がメガバスの竿とルアーをごっそりくれたので、あとのほうの意味だとわかった。
 もう天国へ召されてしまった婆さんだが、大いに感謝しなくてはならないであろう。婆さんの威光を借りて、いい道具が手に入った。こんなことを言ったら、天からゲンコツが降って来るかもしれないが、それでも私は婆さんを尊敬しているから悪たれなんかこれっぽっちもつかない。
 その心がけのよさが手伝ってか、この日、大きなバスが私の仕掛けに食いついた。
 春は巻き物の絶好期だとK氏が声を弾ませて語るので、そうかと思ってプラグ好きな私は昨年にも増して野池通いに精を出し始めた。じつは仕事前の早朝にも少しだけの池に出かけて、ルアーを投げては巻き、巻いては投げして楽しんでいる。
 早起きは三文の得! とはよく言ったもので、空気は澄んで気持ちいいし、野鳥のさえずりに耳を傾けながら、サンドイッチに缶コーヒーという質素な朝食を土手に腰をおろして一人で食うのも気ままでよい。
 早朝は芳しい成績をあげられてないが、今回は夕暮れに大きいのが釣れて、もう背中に支え棒をしないと反り返り過ぎてそのまま倒れ、後頭部をしこたま打ちつけて死んでしまうかもしれないと、まあ、大袈裟にいうとそのようなありさまだった。

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使用したライン

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タックルはベイトとスピニングを用意した

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言わずと知れた働き者。いつでもどこでも誰にでもってことは、もしかして・・・

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ちょっと抑え気味だが、じつはウハウハ!

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角度を変えてもう一枚(なんてね)

 そんなはしゃぎようの私に、K氏が言った。
「いい歳こいて、バカじゃないか?」
 何を言われようと、釣ったが勝ち!
 ここしばらくはバス通いがつづきそうである。


釣行日 平成28年5月3日
釣り場 香川県さぬき市、野池

【今回の使用タックル】

ロッド : メガバス トマホークF3-63 GT3
リール : シマノ メタニュームXG
ライン : ユニチカ シルバースレッドアンブッシュ12lb
ルアー : ダイワ ピーナッツⅡ


5
観察眼を磨く

 これに尽きるのではないか。
 釣りのみならず、観察眼を磨くことが上手の早道だろう。
 注意深くフィールドを観察する。いま目の前に何が起こっているか。この状況ならこの仕掛けでこう誘ってやれば釣れるはず。
 こういう思考は大事なことにちがいないが、あんがい左右を観ないで前方を広く眺めまわしているだけの釣り師が少なくない。
 誰もいなければ仕方ないが、同好の士が 近くで竿を出しているようなら、横を知ることも大事である。よく釣る名人がいれば観察眼の発揮のしようもあろうが、ビギナーの釣りにも気を配る必要が大いにある。やたらものを知らないために、斬新な手法をくり出すばあいがあるからだ。
 昔、磯釣り師らしき中年が、円錐ウキを用いた短いタナの仕掛けでゴロタ場の浅瀬を釣っていた。チヌを狙っていたのだが、メバルがぽつぽつ釣れてくる。しかも悪くないサイズである。それを見てフロートリグの真似ごとを思いついた。円錐ウキの小さめを選んで道糸を通し、ナイロンラインとリーダーはサルカンで連結。リーダーの先に軽めのジグヘッドを結びワームをセットした。これが、私のフロートリグもどきを使ったメバル釣りのはじまりである。

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フロートリグで釣ったメバル

 気さくに話しかけて訊ねるのも悪くないが、出来のいい釣り師はあんがい孤独な性格で、何か訊こうにも口を重くして多くを語らないばあいも少なくない。
 だったら、せめて自分の目で見て観察してやろうではないか。これを癖にする。意識せずとも、知らず知らずのうちに観察眼を発揮できているよう習慣づけるのである。ここまでくれば上達まちがいなしである。メキメキ釣りの腕があがるだろう。
 だから、魚のいる方ばかり向いていても埒はあかない。思わぬ拾いものは陸上にも落ちていたりするのである。

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待望の鱒がヒット!

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吉野川本流の鱒

釣行日 平成28年4月25日(メバル)
釣り場 香川県高松市庵治半島

釣行日 平成28年5月6日(本流鱒)
釣り場 徳島県吉野川本流

【今回の使用タックル】

メバル用
ロッド : ノリーズ スローリトリーブSR710F
リール : ダイワ ルビアス2004H
ライン : ユニチカ ナイトゲームTHEメバルPEⅡ0.3号
リーダー: ユニチカ ナイトゲームTHEメバルリーダーFC3lb
ワーム : マルキュー エコギアメバル職人ミノーSSなど

本流鱒用
ロッド : ウエダ ソルティープラッガーSPS862SS-Ti
リール : ダイワ イグジスト2510PE-H
ライン : ユニチカ シルバースレッドトラウトクリアー8lb
ルアー : ティムコ ライトニングウォブラー5〜10g


6
遅れて行って、「戴きバス!」

 ひと仕事終えたあと、朝遅くに府中湖へバスを釣りに出かけた。
 日曜だがゴールデンウィーク終盤なので、あんがい釣り人は少ないかもしれない。そう期待して出かけたがあてがはずれた。
 駐車場所から下を覗いてみると水辺に人が並んで釣りをしている。これはまずい。しかし、釣り場全景を一望できるわけでもないし、どこか端っこでも隅っこでもいいから見えてないところに私の釣り場があってほしい。そう願いつつ降りてみた。
 水辺に降りると、なお人の多さが目についた。降りたその場所に陣取っていた釣り人に、「おはようございます、どうですか、調子は」と声をかけると、その人は少し挨拶もほどほどに少し横に寄って私に釣りの出来る場所を提供してくれた。何とも親切な人である。若づくりだが、きっと私よりも年上だろう。身のこなしのある折々に老いづいた所作が見て取れた。柔和な微笑が人柄や生活ぶりをうかがわせるようだった。釣り師にありがちな人を食ったようなところが微塵もなかった。道具も長年使い込んでいる物揃いのようで、年配の手にしっくり馴染むようだった。その他大勢は大方若く、むろん私から見て若いというだけで学生らしき人は混じってはいなかったが、まあ、言うところの若い衆であった。

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ボートからなら好きな場所でやれてよいが、陽ざしに焼かれそうで気が進まない

 さすがに日曜だけあってボートを湖上に浮かべて釣りを楽しむ人も少なくなかった。低く浮かぶアルミ製のボートには、どの艇も二人ずつ乗り組み、各々が仕掛けを投げたり、リールを巻いたり、とにかく楽しんでいるようだった。
 私の道具は前回使用したときのまま仕掛けを組みっぱなしで車に積んであった。ルアーはピーナッツⅡであった。
「またピーナッツですか」と溜め息をつかれないためにも、ルアーを交換する必要があったが、ラインを水に馴染ませようと思って何の気なしに沖へと投げた。誰も釣れてなかったし、アタリもないようだったので、まさか食いつくはずはないと甘く見て投げた。
 だが、それが結果的に嬉しい不幸を招き寄せた。嬉しい。が、困った。
「やった!」
 ではなくて、困ったのだから、あと先かまわずゴリゴリとリールを巻いた。
「おおっ、この兄ちゃん、なかなか手ごわいぞ」
 そう焦ってバスも泡を食ったことだろう。
 水面を割って出たバスと一瞬目が合ったような感じがした、その大きな口はこの野郎と怒鳴っているように見えた。
 その大きな口の端に、トリプルフックをガッツリ食いこませた相棒のピーナッツくんが必死の形相でしがみついていた。はじきとばされてたまるかという根性が透けて見えるようだった。
 気のせいかもしれぬが、宙に躍り出たバスが、なお大きく開いた口で、
「なんや。元気のええ若造かと思ったら、いい歳こいたおっさんやないか」と私を小馬鹿にしているように思えて仕方なかったので、いっそう、ゴリ巻きにリールを巻いて懲らしめてやった。
「どうだ。顎がはずれても知らないぜ!」
 しかし、バスも慣れたものである。どうせ放してもらえるのだから、痛い目をして暴れまわるのは得策ではないとその辺のことは心得ているらしい。経験豊富な古株だからちょいと引いて楽しませてやりさえすれば命まではとられないと知っているのであろう。跳ねあがったあとは強い抵抗も見せずにおとなしく岸へと寄せられて来た。
 ちょっと悪くないサイズだったので、手持ちの写真を撮ってもらいたかったが、単独で出かけたので、よその人には頼みづらかった。
 だから、地べたに置いてタックルを添え、数枚写真を撮ってさっさとお帰りいただいた。

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強く、扱いやすいラインを選ぶことが大事

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状況がよくないなかでの一尾だけに喜びもひとしおである

 すると、場所をあけてくれた品のいい年配が、
「今朝は誰も釣れていません。貴重なバスですよ」と褒めるので、なんだかバツが悪かった。
 そのあと、間髪を入れず、少し離れた向こうから、
「おい、見ろよ。ちゃんと居るじゃないか、バス」と羨ましげな声が聞こえたので、恥ずかしいやら嬉しいやら、なんとも言えず面映ゆさを感じた。

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この直後、惜しくもばらしてしまった

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その後、バスからの音沙汰はなかった(H28.4.19)

 このまえ府中湖に来たときは岸までいったん引きずりあげたバスを取り逃がして悔しい思いを味わった。鈎掛かりが甘く、ルアーが口から取れてしまった。バスにしても必死だから地べたを打って跳ねまわった。そのまま水のなかにもどると勢いよく泳いで逃げた。
 けっきょく、ヒットしたバスはそれのみで、あとはアタリすらなかった。
 だから、前回の写したロケーションと、今回の釣果写真を合わせて漸く「一本勝ち」というわけだ。
 ちょうど今は産卵の時期だけに釣りにくい面もあるようだが、それでも府中湖はバスの宝庫である。やる気のないバスばかりでもないだろう。
 なので、水面がアオコだらけになる初夏までは足しげく通ってみようと考えている。

[後記]
 帰って仲間に結果報告したら、そのなかの一人が、いいバスをものにできたときは、「戴きバス!」と言ってガッツポーズするといいよと教えてくれた。試しに、その夜、湯につかりながら小声で言ってみると今朝の記憶が鮮明に蘇って来て何やら快かった。
「戴きバス!」
もしまた、いいバスが釣れたらキメ台詞にぜひ使ってみたい。


釣行日 平成28年5月8日
釣り場 香川県府中湖(綾川町)

【今回の使用タックル】

ロッド : メガバス オロチF3-65 DG
リール : シマノ アルデバラン50
ライン : ユニチカ シルバースレッドアンブッシュ8lb
ルアー : ダイワ ピーナッツⅡ


7
水花火

 葦枯れのなかに芽吹いた緑がみずみずしい。朝の風が心地よかった。水辺の黄の花はショウブだろうか。アヤメはやや乾いた山野に見かける紺色の花のはずだが、どちらも菖蒲と書くから姉妹みたいなものなのだろう。
 その黄の花の根の付近に漣が立った。
「バスか?」
 どぎまぎしたが、鯉だった。
 おぼろな姿ながら尾だけがはっきり見えて鯉だと知れた。
 大きな黒い鯉だった。
 間近に見ようと身を乗り出すと、こちらの気配に素早く動いた。鯉は自ら濁した水なかに少しのあいだ鰭をそよがせていたが、やがて何か思い立ったように深みへと去っていった。
 野鳥のさえずりが聞こえた。
 右も左も里山だった。
 この池の奥にも池があって、その少し上にも池がある。この池の水を張った水田が山峡のところどころに見えた。もう田植えの準備だろうか。そう思ったのは、じつは釣りを終えての帰宅途中に立ち寄ったうどん屋でのことだった。
 釣りたくて仕方ないから、魚を手にするまでは風景どころではないのだ。
 池の水は落ち葉の色が溶けだしたかのように茶色かった。
 葦の生い茂る水辺に注意を払いながら、しばらく探索して歩く。しかし、バスの気配はなかった。早朝なら葦の際についているバスをトップウォータープラグで狙える。そう聞いて早速やって来たのだが、あまり期待できそうにはなかった。
 とりあえず、バズベイトで葦の水ぎわを横引きしてみる。金属のプロペラで水面をかき乱しながら賑やかに泳ぐこのルアーを知って以来心奪われっぱなしなのだが、まだ一尾のバスも釣ったことはなかった。
「ちえっ、今朝もダメか」
 心はやるばかりで、どうにも思うようにはいかないものである。
 池のど真ん中めがけて遠投し、長い距離を誘って食わせるのも悪くないが、岸に近い浅場を斜めに短いキャストで刻みながら、池の周囲を少しずつ移動しながらねちっこくやる方がよい結果につながるだろうとこの池を勧めてくれた釣り仲間から聞いていたので、アドバイスどおりにバカのひとつ覚えでやってみたが、水面のルアーを見に来るバスすらいないことに気が滅入ってしまった。
 気分転換にと沖へ向かってルアーを投げてみた。

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護岸の際も入念にチェック

 昨年、最後にバスを仕留めたトップウォータープラグはマジンガーZだった。ユニチカの担当者から貰ったものだが、これで釣ってみろとやけに勧めるので、もしやユニチカのバス用ラインのキャンペーンか何かのときの付録かと疑ったが、キャラクターものが流行った時期があったのだと聞いて、バス釣り師は粋狂の過ぎた人の集まりかと可笑しくなった。
「ウルトラマンもあるよ」
 そう教えてくれたのはミキカツさんだったが、ユニチカの担当者もミキカツさんも所有していそうな口ぶりだったが、これまでに二人から貰ったルアーのなかにウルトラマンは見当たらなかった。出し惜しみしているのかもしれないが、大の大人がウルトラマンのトップウォータープラグが欲しいとはついぞ申せぬまま現在に至る。
 今回は、リアルなものばかりチョイスして釣り場へとやって来た。
 水面を割って襲いかかるのに食いつかないのならルアーを交換してみたくもなるが、バスの気配すらうかがえないので同じものを投げつづけた。
「あの池。こいつで誘うとよく出る。持って行けよ」
 釣り仲間に勧められ好意に甘えさせてもらったいきさつからも、一尾でよいから良型のバスをものにしたかった。良型が無理なら小ぶりでもいい。贅沢はいわないから、ぜひバスに食いついてもらいたかった。

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対岸の岩盤際でヒットしたバス。よく引いた

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覆い被さる樹の奥でも何度かバスがボイルした

 水辺近くを池の三分の一ほど釣り歩いてきたが音沙汰もなかった。
 気分転換に、また沖へと遠投を試みてみる。これにいきなりバスが出た。水が花火のようにはじけた。真下から突きあげるようにバスが食いついて来たのだ。遠目に見ても大きそうだったので、慌てた。沖へ投げたルアーが生み出す波紋のしずまるのを待っているとき、下から突きあげた。勢い余ったバスが水面から顔を覗かせた。口を捕えたルアーが金属片のように鈍く光るのを目にして私は唖然としたまま瞬間身をこわばらせた。それでも、気づくと、きっちりアワセを入れていた。手に抵抗するバスの重みを実感できた。
「アンスラックス。頼りになる相棒だぜ」
 私は貰い物のメガバスのルアーを褒めた。できれば誘って、止めて、食わせたかったが、勝手にルアーが仕事した。アンスラックス様々である。
 しかし、喜びもつかのま、手を焼きながら寄せて来たバスが足元近くに来て突然水を脱いで宙に躍りあがった。バスが頭を振るのを目の当たり見て動揺した。と、そのとき、ルアーがはじきとばされた。ルアーを振りのけたバスの口がバケツのように大きくこちらに向かって開かれるのをたしかに見た気がした。
 ようやくバスの口を捕えたのに残念なことをした。
 そして、この日は予感めいたものがあったので、やっぱりというしかなかったが、どこへ投げ、どう誘おうが、その後バスからの音沙汰はなかった。

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今回は耐摩耗性に優れたアンブッシュを使用

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ここぞという場所へ投げ、誘う。ただひたすらに

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トップでこのサイズなら悪くない

 その数日後、またトップウォーターゲームを楽しみたいと思って野池へ出かけた。ルアーを適当に見つくろってくれた釣り仲間に取り逃がしたバスの話をすると、また別の穴場を紹介してくれた。そちらのほうの池が小さく、よく釣れているということだった。サイズ的にはやや劣るが魚影が濃く、トップウォータープラグに対しても反応がよいという。
 到着早々、護岸してない対岸の岩盤際でバスが何度か小魚を追って食いあげるのを目撃した。一尾ではなく複数のバスが小魚を追って水面へとあがって来ているようだった。山の樹の青葉が覆い被さるその下で水の花火があがった。しかし、大きなバスとはお世辞にも言えなかった。投げようかよそうかと迷った末に、張り出した樹の枝にルアーをひっかけないよう慎重にキャストした。低い弾道で上手に投げることが出来たが、着水時に岩盤に軽くルアーが接触した。貰ったときに既に色が剥がれ落ち気味だったが、古参の兵の貫録十分であった。取り逃がしたとはいえ、あの日、この手で大きなバスを掛けたのだから信頼は揺るがなかった。
 着水後、間を置いて、リールのハンドルを回すと、水面のすぐ下でヒラ打ちした。そのとき横腹が鈍く光った。リールを巻く手を休めると、水面からひょいと顔を覗かせた。波紋がしずまるのを待つ。ふたたび、ちょいと誘う。すると、青葉の影が黒く映る右手の水面下で何かが動いた。バスにちがいないと思った。明るい側に泳ぎ出たときバスだと確認できた。そのバスは静かに忍び寄って来てためらうことなく浮かぶルアーを横咥えして、泳ぎ去ろうとした。バスの進行方向にラインも動いていく。適度にスラッグが撮れた頃合いを見計らってアワセを入れるとがっちりと鈎掛かりした。無事、釣りあげてみると前回とり逃がしたバスほど大きくはないが、トップウォータープラグで釣りあげたこともあって小躍りしたいほど嬉しかった。

 その後、最初の一尾よりひとまわり小さいバスが四十分ほどのあいだに同じアンスラックスで四尾釣った。ほかのトップウォータープラグも用意していたので使ってみたかったが、扱い方に慣れておく必要があるとの考えからアンスラックスのみで押し通した。
 次回は動きの異なるトップウォータープラグを用いて、もっと大きいバスを手中に収めたいものだと帰りの車のなかで思ったものだが、まさか次またアンスラックスでバスを仕留めることになろうとは、このとき知る由もなかった。府中湖の小さなワンドの浅瀬で。


釣行日 平成28年5月11日
釣り場 香川県さぬき市野池

【今回の使用タックル】

ロッド : メガバス オロチF3-65 DG
リール : シマノ アルデバラン50
ライン : ユニチカ シルバースレッドアンブッシュ8lb
ルアー : メガバス アンスラックス


8
立ち枯れた樹の入り江で

 さぬき市で五尾のバスがトップウォータープラグで釣れたことに気をよくして、その翌々日に今度は府中湖へと出かけた。バス用にしては軟らかめのスピニングロッドに2500番のリールをセットしての実釣である。
ラインはシルバースレッドS.A.R8lb、ルアーは前回と同じアンスラックスを使用した。同じ太さのナイロンラインとルアーを用いた仕掛けでやってみて、スピニングタックルが扱いやすいかベイトタックルが使いよいか、その辺のことが知りたかった。
 先に結果を述べおくと、あくまで素人同然の私的な感想だが、軟らかめのスピニングタックルで誘って、止めて、食わせて、やり取りする方がやりやすかった。
 ラインについては、PEラインという選択肢もあると聞いてはいるが、ナイロンラインのみを試してみた。

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ラインはシルバースレッドS.A.Rを使用した

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クランクベイトに小型のバスがヒットした

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朽ち樹の沈む付近をトップで誘う

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当日は晴れてべた凪だった

 朝遅くに釣り場についた。
 平日のせいか人気の釣り場にもかかわらず岸から釣りをする人を一人も見かけなかった。ちょっと奥まった場所でやったせいもあるかもしれない。それにしても釣り場が空いてのんびり出来た。暑くもなく寒くもない季節で木陰に居ると気持ちよかった。陽はすでに高かったが、ここはうまい具合に昼過ぎまで陰で釣りができてもってこいである。
 仕掛けはすでに組んであるので、あとは何処に立って、どの辺にルアーを投げるかのみが問題だった。もし可能ならバスがひそんでいるとおぼしき場所で出来るだけ長く魅力的な動きするルアーを見せびらかせてアピールしたい。
「トップの釣りは、思い通りの場所へ投げて、自分が目で見てうっとりするくらいの誘い方でルアーを泳がせる。これに尽きる」
 そうミキカツさんが言うので、
「水面のルアーにガブッと飛びついてくるからおもしろいわけでしょ」と吹っかけてみたことがあるが、そのときはあっさり退けられた。そんな甘い夢を見るものではないとおっしゃりたいご様子だった。ミキカツさんもバスフィッシング全盛期にやりこんだ口だから造詣が深い。なので、そのミキカツさんに、じっさいそれほどトップじゃバスは釣れないよ、と苦言を呈せられると黙って俯くしかない。
 だから、先日、門入ダム近くの野池で釣れたと言って証拠の写真をみせると、「いいサイズだね」とミキカツさんは目を細めた。
 自分では普通のサイズだと思うのだが、トップで釣れたバスにしては悪くないと褒めるので、嬉しさが倍増した。
 たしかに、思う場所へ投げて、誘うと、水面をよちよちよたよたとまごつきながらこちらに向かって泳いでくるトップウォータープラグというのは失笑を誘うほどおもしろい。おもしろいというか、こんな馬鹿げたもの誰が発想して形にしたのかを考えるだけで大の大人が何しているのと吹き出してしまいそうだ。アメリカのものにそういう製品が多いように思っていたが、どうやら日本はその比でないらしい。しかも、価格も群を抜いて高いそうだ。

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「おっ! 来た」

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視覚に訴えかけてくる釣りは楽しい

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「よしよし、バレルなよ!」

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やりましたぁ!

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ボートからバスを狙う人も多い

 風はなかった。にもかかわらず先ほどから岸辺へ寄せる波があった。対岸近くの沖をレガッタの練習に余念のない若者らがたびたび通った。光る波は岸辺に消えるとき波らしい音をわずかながら立てた。小さすぎる入江の行きつくところは原っぱである。水位が下がると底はたちまち丈の低い草が覆うだろうと思われた。
 その入江の渚にちょこんと折れて茎だけになって立つ枯草の先に、トウスミトンボが休んでいた。微かな生き物だが胴も腹も光沢を帯びて美しい。何を考えているのか、かなり近づいても飛び立たなかった。

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トップで釣ると五倍うれしい!

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ボートからサーフェスゲームを楽しむ若者

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水面にちょこんと頭を出す朽ち樹の脇でバスが食いあげたが・・・

 入江は奥行きがなく狭いため対岸に覆いかぶさる青葉の下の水面にルアーを投げ落すことは造作もなかった。海でも川でもスピニングタックルは扱いなれているので気楽に投げた。そのまま放置していると、ルアーは頭を水面から突き出した姿勢のままぷかぷか浮かんだままに居た。立ち枯れた樹の枝が水面から突き出る辺りは、浅く、しかも光線のぐあいで水面下の魚が影絵のようによく見えた。バスではなく鯉だった。投げたルアーを徐々にそちらに近づけてみるが、ものおじしない様子に鯉の威厳を見せつけられる思いがした。
 そして、私のあやつるルアーが水面直下を弱った小魚のようにヒラを打ったり動かなくなったりするのに興味を思えたか、水中の枯れ枝の陰から魚が出て来た。そのシルエットを見ただけでバスだとわかった。
「よし!」と私は身構えた。
 あんのじょうバスは何らためらうことなくルアーに近づいて、ちょっとだけまた後ずさりした。じっさいは、どうだかわからないが、わずかに下がった感じがした。
 軽く誘いかけてみる。鼻面で水を割って胸鰭辺りまで身を顕わにしたルアーの動きがふたたび止まると、なおいっそうバスが興味を示して近くへと寄って来た。また誘う。次また軽く誘う。ついに痺れを切らせたか、食いついた。
 ルアーを捕えるところをバッチリ目撃したが、釣りあげてみると食いつく前よりも思いのほか大きく感じた。
 この日は、午後から用事が二件あったので、早めに切りあげたが、じつは車を降りてから入江に着くまでのあいだにクランクベイトで小バスをすでに釣っていた。しかし、水面で誘って仕留めたバスはサイズもさることながら何物にも代えがたい嬉しさだ。
 トップウォータープラグで岸から投げて釣るばあいのレギュラーサイズは何センチか。はっきりとしたことは知る由もないが、まあ、大型は滅多に釣れないと聞くので、私が釣ったバスよりもひとまわり小さいくらいだとしておこう。そうすれば胸を張って帰宅の途につけるというものだ。
 反論される先達も少なくないかと思われるが、何分初心者の放言ということで大目に見てほしい。

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ややスリムなバスだがうれしい

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使用したルアー

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小さな入江だが魚影は濃い

 家で飯を食い、用事を済ませると、またバスを釣りに行きたくなった。
 けれども、すでに慢性化しつつある二の腕から肩にかけての鈍い痛みが私を憂鬱にさせた。
 ここはひとつ自重しておくことにしよう。
 ちょうど先日、バスのDVDを貰ったばかりだったので、それを観ておとなしくしておくことにした。


釣行日 平成28年5月13日
釣り場 香川県府中湖(綾川町)

【今回の使用タックル】

ロッド : ノリーズ ロードランナーボイス630LS
リール : ダイワ トーナメントZ2500C
ライン : ユニチカ シルバースレッドS.A.R.8lb
ルアー : メガバス アンスラックス


9
ガッターXで自己新記録のバスをGet!

 俗にいう子供が子供を産んだという風体のねえちゃんがしゃがんで娘と話している。田舎だからこんな時間から早くも年配の夫婦が散歩などしていたりもしている。定年後の夫婦が仲睦まじく日々を送っているというのは微笑ましい。
「こんなに広い土地、もったいないな、空き地のままじゃ」と妙に現実的なことを主人のほうがふとそちらを眺めながら妻に言った。
 田畑がひろがるなかに、そこだけ田んぼでも畑でもなく野原であった。
「ほんとうねえ。でもすぐ家が建っちゃうわよ」と妻が感慨深げに言った。
 夫婦が行ってしまうと、女の子が大人の真似をして「空き地」と母親に言った。
 見た目で人を判断してはいけないのは存じあげている。が、しかし申し訳ないが私の目には車内に子どもを閉めこんだままパチンコにふけりそうな無責任な母親だと誰かが耳打ちしてくれたとしても、「そうだろうな」とべつに驚きもしない。そんな身なりのねえちゃんだったから、気にもかけずにバスの道具を手にさっさと行き過ぎかけた。
 すると、そのちっとも母親らしくないねえちゃんが娘に、「空き地じゃないよ。お花さんのお家だよ」と言ったので、思わず私の足が止まった。
 これじゃ、「最近の若い者は!」などと言えたものじゃない。まったく、あべこべというものだ。年配のオヤジの、負け!
 お花さんのお家というフレーズに、ぐっと来たせいか、それでつい手元がくるってしまったか、釣りだして間まもなく岸辺の樹の枝に仕掛けを引っかけ、私は天を仰ぐよりほかない大損をした。
 けっきょく、その池では何も釣れなかった。

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野池の下にひろがる水田。去り際に土手から撮った

 まだ少し時間があったので、仕切り直しというつもりでデーブ鎌田に教えてもらった野池へまわってみた。ところが詳しく教わったにもかからず山のなかの小さな池ということもあって行き着くことができなかった。なので、それより規模の大きい野池へと車で向かった。こちらはすぐにわかった。土手が国道から遠く見えている。
だから、舗装された田んぼ道を適当に折れてそちらをめざした。バス釣り師はデーブ鎌田もそうだが気前よくバスの釣れる野池は紹介してくれても、どの辺りをどういう仕掛けでどう釣ればバスをものにできるかを教えてくれない。
「教えてやらねえ」
 そういう意地悪な態度ではないが、いつもそのあたりのアドバイスが抜け落ちている。  試行錯誤しながらやるからおもしろいのだという戒めかとも思ってこちらも黙っているが、不親切だという気がしないでもない。
 今回もポイントを明かされることなくやって来た。
 最近、トップウォータープラグでまあまあのサイズのバスをキャッチしているせいか、どうにもトップづいてしまった感がある。むろん、ほかのルアーも投げるが、視覚に訴えかけてくる釣りのおもしろさからついつい水面の釣りに対して自分自身真剣味が増してきたようだ。
 最初の池でアタリが来ないのでついつい熱くなってねばってしまったせいで夕刻までもう少ししか釣りに割り振れる時間は残されていなかった。一時間やれるかやれないか。とにかくそこそこで切りあげて帰宅しないとまずかった。
 なので、トップ一本勝負ということに決め、トップウォータープラグを詰めたケースをバッグから取り出した。ずいぶん前からケースに入れて持ち歩いているのに、まだ一度も試したことのないものにガッターXがあった。このルアーはクワガタそっくりで、金属製の黒い角は可動式になっている。なんとも手の込んだ洒落者ルアーである。ボリューム満点でずっしり重く、メガバス社には悪いが、もっともバスが飛びついて来なさそうにずっと前から思っていた。
 むろん、あのキャラ物のマジンガーZでも釣れたし、バドワイザーの缶を模した宣伝丸出しの冗談としか思えないようなルアーにすらバスが果敢に襲いかかって来たのだから、立派な角を持つ豪傑のクワガタムシにだって怖気づくことなく食いついてくるだろう。
しかし、そんな巨大で勇猛果敢なバスが、まだ陽も明るいうちから滅多に水面近くをうろついているはずがない。そう私には思われた。

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竹の生い茂る土手の右岸

 土手に車を乗り入れると、ちょうどこちら側と対岸側が護岸してある。両サイドは雑木林や竹林で鬱蒼としている。とりあえず私は右のほうへと降りて行った。そこは時間的に日陰になっており、釣りをするにも涼しそうだったので、そっちを選んだにすぎなかったが、一目見ていい場所だと知れた。足元付近の浅場には水草のガガブタがハート形の葉を水面に浮かべ、沖の方まで底に水草の茂る様子が水に透けて見えた。そのくらい水は澄んでいた。ところどころ竹が折れて池側に倒れかかっている。その竹や濃い藻場が障害にならないかぎり出来るだけ岸に近く平行にルアーを泳がせてバスの気をひきたいと私は考えていたので、何かに仕掛けを引っ掛けて高価なルアーをなくしては元も子もないとの考えもあった。  だから、いやがうえにも慎重にならざるを得なかった。
 幸い竹の生い茂る岸から少し離して仕掛けを通しても日陰のなかである。投げずにしばらく様子を見ていると水面下にブルーギルや子バスの姿がちらほら見えた。私に慣れて来たのか、羽虫かなにかを食いに水面まで浮いてくるブルーギルもいた。
 山のどこかでウグイスがいい声に鳴いた。ウグイスの声を耳にした日は終わってみると好釣果であることが少なくない。むろん、川で釣る鱒の話だが、バスもマスも似たような発音だ。

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ちょっと巻いて止め、また少し巻く。あるいは巻き通しに巻く。攻め方いろいろ

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水面をかき乱しながら進むガッターX

 このガッターX、投げてみると予想以上に飛距離が出るのに、われながら驚いた。リールを巻きはじめると、泳ぎのよさに、また目を見張らされた。水面をかき乱しながら賑やかに、軽やかに進む泳ぎ達者なところも気に入った。
 使用したロッドはパガーニというメガバス社製。バスロッドにしては繊細なのでラインは細めを用いた。10lbにしようか8lbにしようか迷ったが、強度も耐摩耗性も申しぶんないラインなので、8lbにした。リーダーが必要なのか否か判断しかねたが、アンブッシュ8lbに直接ガッターXをセットした。
 投げて、巻く。
 巻き取って、また投げて、巻く。
 そうするだけで見るからにバスを誘惑しそうな動きをする。バスに食いつかせる前に人間の私の方がいっぺんに強く魅了されてしまった。
 しかし、現実はそんなに甘くはない。
 三十分ほど熱心に水面の陰のなかを、微妙にコースを変えながら引いてみるも、バスが水面を割って出ることはなかった。
 ひょっとして陽の照る側がいいのかもしれないと思い直して場所替えをしてみたが、やはりバスは食いついて来なかった。

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使用したライン

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活躍したガッターXとタックル

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筆者お気に入りのアンスラックスは不発に終わった

 アタリもないと、つい目先を変えたくなるのは人情である。
 バスに効くというよりも釣る側の私の気分を一新したかった。
 迷わず私はアンスラックスをセットした。ガッターXは泳ぎ疲れたにちがいないので選手交代である。
 しかし、ここのところ好成績をあげて私を喜ばせつづけているアンスラックスも今度ばかりは全く歯が立たなかった。ようするに水面に注意を払うバスが今の時間まだ一尾もいないのだろう。そう思ってみたところで何の気休めにもならなかった。
 あと十五分だけ。もし、それでダメなら潔く釣り場を去ろう。
 そう決めて、ガッターXにふたたび選手交代させた。
 すっと、バッグのなかでひと眠りさせたのがよかったのか、最初に投げた場所にもどって一から誘い直すつもりで岸に平行に投げて巻いていると、ヨチヨチバタバタと元気いっぱい進むガッターXに不意にバスが襲いかかった。
 その瞬間、水面がモコッと盛りあがった。しかし、炸裂はしなかった。ニアミスかとも思った。食い損ねたか。
 しかし、ラインの動きをみるかぎり、ガッターXを横からしずかに捕えて沈んでいこうとしているのだと悟った。アワセ直してリールを巻きはじめると、ようやく自分の失態に気づいたか仕掛けを強く引いてバスが暴れ出した。
「こいつは手ごわいぞ!」と私は舌を巻いた。
 どうやら大物のようだ。
 やり取りに苦戦しながら、私は藻場に突っ込まれたら万事休すかもしれない、そう思って焦った。幸いその心配は的中せずに、足元付近でガガブタのひょろ長い茎を何本か拾っただけで事なきを得た。
 護岸の水辺へ寄せてからも気が気でなかった。ガッターXは腹に丈夫なトリプルフックが一個ぶら下がっているだけだから、どうにもバスが大暴れすると外れてしまいそうに見えた。だから、そのバスの大きな口の端をしっかり指につまみ取るまでは息もつけぬ心境でいた。

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食いが浅く乗らないことも

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土手まで持ってあがって漸く安心した

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このサイズなら大満足!

 手にしてみて、予想以上に大きいと興奮した。
 まさしく自己新記録のバスである。
 それを、トップウォータープラグで釣った。そのことが私をいっそう興奮させた。
「そこや、そこ。いい場所に陣取りましたね。そのバスって金色していませんか?」
 電話の向こうでデーブが言うので、「いや。黒っぽい精悍そうなバスだ」と私は答えた。
 聞くところによると金色をした巨大なバスがいるという。それが、夏ころに果敢にルアーに襲いかかる。ヒットしても、ひと跳ね二跳ねしてルアーを振り飛ばしてしまいかねない。じょうずにあしらってやらないと相手のバスも百戦錬磨のつわものだから取り込み損ねて泣きをみる。熱のこもった調子の声で、デーブ鎌田は語るのであった。
 なんとも手ごわそうだが、そういうドキドキ感を味わってみたいものだ。あわよくば手中に収めて高笑いしてみたい。
 まったく、いい場所を紹介してもらったものだ。家からは少し距離があるが、それでも遠方というほどではない。
 なので、今後もちょいちょい出かけて仕掛けを入れてみるつもりでいる。
 もし巨バスが釣れたら、また手柄話を長々と書くつもりなので、そのときはヨロシク!

 では、みなさんも、よい釣りを!


釣行日 平成28年5月17日
釣り場 香川県さぬき市野池

【今回の使用タックル】

ロッド : メガバス パガーニF2-66XP
リール : シマノ アルデバラン50
ライン : ユニチカ シルバースレッドアンブッシュ8lb
ルアー : メガバス ガッターX

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