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釣行記

釣行レポート

2016年6月4〜25日

六月近況

 長尾は武家である。しかし、侍の世が終わり明治になってからの代の夫婦は子宝に恵まれず、養女を貰った。私の祖母である。そこに、婿養子が来た。いわゆる婿殿だが、必殺仕置き人の中村主水ではなく、私の祖父である。
 だから、いま存命の長尾一族は家系的にみると長尾家とは血のつながりがない。
 それでも長尾家は長尾家である。ある年のお盆のこと、墓参りに行くと先客がある。 墓参りに先客も何もあったものではないが、顔も見覚えのない先客である。大阪から久しぶりに来たという。初老中年男女混合の家族で、何かのまちがいだろうと思ったが、話をするうちに縁もゆかりもあることがわかった。祖父母の代からのちの長尾は、それよりもずっと古くからの長尾の親類縁者とは、まあ、疎遠であり、もっというとそういう人たちのことなど考えてみる機会もなかった。私の父母の代くらいまでなら少しくらい関心があったかもしれないが私や私の妹たちは無関心のまま育って成人した。その後も、その流れのまま来た。だから、墓が取り持つ縁で遠い親類縁者と相まみえて話が出来たことは何やら感慨深かった。
 そういうことだから、今こうして執筆中のわたくし長尾は、じつは長尾ではないともいえなくない。そう考えるに、どこか自分自身がインチキくさく思えてきた。いっそ、ペンネームを長尾インチキとしたらどうかとも思うのだが、ユニチカが首を縦には振らないであろう。
 そんなまねをしたら私の書くものすべてインチキめいて読める。だから、バカな改名はよしてもらおうというに決まっている。
 なので、よすことにした。

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今回の釣り場の一つである坂出市の野池

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六月はスモモが旬。あと十日もすれば熟れるだろう

 さて。
 六月はわりと釣りに費やす時間が多めにとれた月であったとふり返って見て今さらながらそう思う。
 これは余談だが、バス釣り以外に夏の風物詩であるキス釣りにも何度か出かけた。
 本格的な投げ釣りではなくて、どちらかというとチョイ投げで浜や漁港の波止から仕掛けを投げ入れて釣るのだが、投げ釣り、チョイ投げを問わずキス釣りに関しては私よりもミキカツさんのほうが名人級の腕前なので、ミキカツさんの釣りを取材するかたちで今回とは別枠でレポートしようと考えている。ぜひ、そちらも読んでいただければ幸いだが、こちらも結果から先に述べるとすると、例年よりもやや調子がいい。
 ついでに七月の予定も書いておくと、デーブ鎌田にライギョ釣り、良太にはマダコ釣りに同行させてもらう手筈になっている。
 このところ体調も気分もまあまあいいので、楽しい釣りができたらいいなと思って今から楽しみにしている。

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プラグで釣れると嬉しさ倍増だ!

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今回使用したライン

 話をバスにもどすが、今年の梅雨は雨がよく降って、例年よりもコンディションのいい野池が多い。
 しかし、ここ十日ほどはバスの食いつきが、それ以前と比べて悪くなった。本腰を入れて一日中釣りをしているわけではないので、確信は持てないが、短い時間の釣行でもそれを痛感させられる。今はプラグ系ルアーにたまたま反応が悪いだけなのかもしれないが、それでもやっぱりワームを投げる気にはなれないので、ワームを投げればイチコロだとしても、相変わらずの貧果に甘んじているというわけだ。
 それどころか、これから夏本番に向けて、トップウォータープラグで勝負に出ようと考えているのだから、なおのこと先行きが見通せない。

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里の人々に愛されつづける讃岐冨士

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里山の小さな池にもバスの姿があった

 六月は、用事で坂出方面、丸亀方面へ出向くことが少なくなかった。
 そこで、バスタックルを車に忍ばせて出かけることにした。いわゆる、新天地を求めての釣行である。こうなると、わくわくしないはずがない。
 私自身は坂出や丸亀の野池とはこれまであまり馴染みがなかった。
 それでも場所を教わって出向いてみると、山が深いわけでもないのに意外と景色のいい所に水の澄んだ野池が横たわっていたりして、私を大いにヤル気にさせた。

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右岸の水面を覆う気の下へプラグを投げる。さぁ、来い!

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朽ちた倒木が覗く辺りは魅力的に思われた

 このたび、竿を出した坂出市の野池は、山あいにある三段に区切られた水のきれいな池で、いちばん下の池はまあまあ大きかった。アタリが多かったのはいちばん上だが、バスが釣れたのは真ん中の池だ。下の大きな池は、昔ほど魚影は薄くなく、最近はうまくやるといいサイズのバスが釣れると来あわせた若者から教わった。
 この山系の反対側の麓に土地を持つ田所さんは、プロのバサーを案内した十年か二十年か前には、いちばん上の池がよく釣れて、下の池は規模が大きいばかりで誰も相手にしなかったと言っていた。
 土手に立って振り返ると備讃瀬戸が低い家並みの向こうに見えた。ちょうどウグイスがいい声に鳴いて、スカッとした天気でもあったので、ダメもとで試しに仕掛けを入れてみた。水面に涼しげな影を落とす雑木の青葉の下に魚が浮いて出来たらしい波紋を認めたので、急いで投げなおしてみたが音沙汰はなかった。土手の反対側にも林道が通っているらしく、白い車が丈の高い草の向こうに現れて止まった。そのうち、スピニングタックルのみを手にした若者が、その竿の先になにやらルアーをぶら提げて土手の端っこに姿をみせた。ある辺りまで来ると、若者は土手を降りて、護岸の水辺から様子を窺っていたが、やがて釣りを開始した。よく通って来るみたいで、することなすこと落ち着いたものである。一通り当たってみてアタリもないとわかると、こちらにやって来た。
「上の池は先客がいたので、ここへもどって、ちょっと投げてみたけど、ブルーギルも釣れない。大きなバスは居るの?」
 私は訊ねた。すると、
「五十アップは聞かないけれど、四十五センチくらいまでなら、まあまあ釣れます」と若者が答えた。
 妙に落ち着いた無駄のない言葉運びが印象的だった。
 ウグイスに混じって数種類の野鳥が控えめに歌うのが聞こえたが、トンボやチョウも折々やって来て、自然の豊かさを実感させられた。
「いいところだね。水もきれいだし」
「はい。これでバスが釣れたら言うことなしなのですが」
「今日はご機嫌麗しくないみたいかな、バス」
「どうもそのようです」
 その後、しばらくバスが食いつくのを期待しながら釣ってみたが、若者の口にした「どうもそのようです」が的を射たかたちとなって、けっきょく二人ともアタリ一つ得られなかった。

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左岸の雑木の下でアタリがあったが食わせ損ねた

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山間部の池は眺めも最高だ

 若者がどこか別の釣り場へ移って行ったあと、林道の奥から車がもどってきた。いちばん上の池でバスを狙っていた人の車である。
「さんざん攻めたてられたあとでも、先行者が使っていないルアーを投げたら嘘のように簡単に食いついた。そういう事例もあると聞くから、望み薄でもここは一つ賭けてみよう」
 そう心に言い聞かせて、私は釣り場を上の池へと移した。
 釣りはじめて、いきなりアタリが来た。しかし、ガツンと来て、それきりだった。なにかバスが疳癪を起してルアーに体当たりして来たような衝撃が手元を襲ったが、あとが続かなかった。
 その後も、右へ移ったり左へ行ったりしながらバイブレーションプラグで各層を丹念にあたってみたが、たまに来るアタリはいずれもショートバイトだった。
 もう少しゆっくり、じっくり時間をかけて探れるルアーがいいように思った。長くバスにルアーを見せつけてやれば口を使ってくれるかもしれない。そう考えてのことだ。
 先行者はワームでねちねちねばっていた。たぶん、複数の竿を用意していたのは確認済みだから、いろんなプラグも投げたろう。何を投げたか。それは想像し難くはない。人から貰うルアーで最も多いプラグといえばクランクベイトだ。同じようにリップが長く深い場所まで探れる細長いプラグをシャッドと呼ぶそうだが、これはリップを短くすれば私がトラウトを釣るときに用いるミノーとなんら変わらない。この手のルアーもけっこう貰ったが、それでもやはりクランクベイトの方が多い。それなら、得意の必殺パターン、私の良き相棒であるピーナッツⅡもしくはそれに似たクランクベイトはたぶん投げたろう。
 アタリから察するにバスは中層か、それよりもやや深くに居て、じっくり獲物を待っている。もし、その通りだとしたら、ゆっくり沈むミノーが最適のように思われた。バスは水中の或る一定の層に姿勢を水面に対して平行に保ったまま浮くでもなく沈むでもなくしずかにしている餌らしきものに強い関心を示すようだ。攻撃的になっているときはこの限りではないが、とくに餌かどうか疑ってかかるだけの余裕がバスの側にあるばあいは、そのようなルアーを或る層まで届けるにも、ゆっくりじわじわ沈んでくれないと都合が悪い。沈む姿勢も、やはり常時、水面に対して平行なのがよい。しかし、餌を食う層、つまり釣りの用語にいうところのタナだが、このタナはたいへん重要で、バスが捕食のヤル気スイッチをオンにしてくれるタナに水平姿勢のまましばしのあいだこのルアーが止まっていてくれるのが望ましい。
 そして、もしそれにバスが関心を示したら、派手に動かすのではなく、「おれは餌じゃないよ。だから寄るな。あっち行け」という意志を持つがごとくに少しビビっていますという演技をするよう仕向ける。
「俺は餌だ、食いつけ!」
 そんな見え透いた手は、バスがよほどヤル気を起しているのでないかぎりは、やはり見切られることが多い。
 そして、この日このとき、私はそういうばあいにうってつけのミノーを残念ながら持ち合わせていなかった。
 この日は二種類二個のルアーだけを使ってバスを釣る気でいたが、そのうちの一つがそのような働きに長けたミノーであった。ところが、前回の釣行でキャストの上手でない私は雑木の枝に引っ掛けて、その頼みの綱のルアーである水平姿勢を保ったままごくゆっくり沈んでいくミノーをなくしてしまっていた。しかも、間抜けなことにそれをすっかり忘れて補充しないまま釣りに出た。
 最悪もいいところだ。
 釣りに絶対はないが、持ち合わせてないぶん、余計にそのミノーが頼みの綱のように思えた。なぜ、こんなことを書くかというと、バスは私以上に気まぐれで、几帳面なように見えてあんがい雑で、じつはいい加減な性格のような気もするのである。威風堂々としているようで、じつは神経質で猜疑心が強く、大胆に打って出るかと思えば非常に憶病な振る舞いも見せる。よくよく観察していると、どこか人間くさい魚である。
 そして、なにより身めぐりの他の魚に対して威張りくさっているようで、じつは餌を仕留めるのが上手ではないようだ。
 何尾か一緒にまわって来ても、そのときどきで気分も行動も一尾一尾まちまちである。奪い合ってルアーに猛烈にアタックしてくることもあるが、ゆっくりのんびりしているときなら各々が別の反応を示すこともよくある。ルアーに過度に反応する奴、無関心な奴。あるいは、腹は減っていませんと鼻にもかけぬようで、しかし、一尾が食いつくと、俺にも分け前よこせとばかりに争奪戦になる。
その一方で、「あいつ人間に嵌められてバカだな」とばかりに、冷めた目で鈎を顎に掛けられ泡を食って泳ぎまわる仲間を眺めながら、金輪際ぜったい食いつかないバスもいる。そんな口にチャックでも付いているのではないかと疑いたくなるような大きな一尾が、ゆっくり深みへと泳ぎ去っていく姿を目の当たりにしたとき、私はいっそうバスという魚が歯がゆくも好きになった。
 さて、私は様子を窺いながら、今度はどんな人間臭さを発揮してくれるのだろう。そう考えながら釣りつづけた。
 しかし、今回は一尾のバスを目にすることも釣ることもできずに終わった。
 それでも、その後、上の池から真ん中の池に場所替えしてからは運に恵まれたか三尾のバスをシャッド(たぶん、シャッドまちがいないと思う)で首尾よく手にすることに成功した。使うルアーは二種類までという最初のこころざしは、もうこの時点では跡形もなかった。だから、シャッドは本来このときは使わないはずだったので、ズルをしたわけだが、急場しのぎということで大目に見てもらいたい。

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バスを釣るのもいいものだ

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頼りになりそうと選んだルアーにバスが来た

 その後、用を済ませて、帰りがけにまた別の野池でしばらくのあいだ釣りをした。
 ルアーのケースの蓋をあけて品定めしながら、さて、どれにしようかなと決めかねていると、「ひと泳ぎしたいな、俺」と横目で意思表示してくる奴がいる。わが相棒のピーナッツ君であった。
「本気で働くか?」
 そう訊くと、
「まかしておけ!」
 という。
 試しに池の真ん中に思い切り投げて巻いて来ると、大きくもなく小さくもなくちょうどいいサイズのバスが足元近くで食いついた。今しかないと思ったのだろう、めいっぱい口をあけてとびついたから、「逃げおおせません、降参します!」というような掛かり方だった。 「食いしん坊さん、騙されましたね」と一言からかってから水にもどしてやると、「くそっ、おぼえてやがれ!」とばかりに水面を尾鰭でひと叩きして素早く姿を消した。
 やれやれ。
 今日は、これで打ち止めである。
 ちょうど時間となりましたというやつである。
 これは余談だが、この数日後に例の山あいの三段の池を訪れると、梅雨らしい天気がつづいたせいで相当増水して、いちばん上の池も真ん中の池も水嵩がびっくりするほど増し、おまけにひどく濁って釣りをする気がしなかった。
 しかも、喫茶店のある側の林道が使えない。最近、田畑や池の周囲に張り巡らせてあるのをよく見かける獣除けの金網の柵で下の池の土手の辺りから先には進めなくしてある。こちら側の林道の方が便利で、今後も贔屓にしてやろうと思っていたのに、なんだかがっかりである。
 そんな事情もあって、乗り気がしなくなった。
 だから竿も出さずに帰って来た。
 もうしばらくは、あそこへは行かないだろう。

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ピーナッツを丸齧り。騙されましたね、バスくん

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使用したライン

 じっさい、あれから坂出市の山あいの三段の池には出かけていない。その代りに、そこからそれほど遠くない丸亀市の郊外の池へ何度か出かけた。山といえば山のなかだが、山は里山である。その麓から中腹にひろがる一戸建ての集合団地のなかの、いくつかの野池が今回の新たなる釣り場である。
 誰に教わるとなく自分で探し当てただけに、運よく魚影を目にしないかぎりバスがいるかどうかもわからない。居るのか居ないのかわからないままルアーを投げては巻き、巻いては投げをくり返すもアタリすら拾えないまま時間だけが過ぎていくときの気持ちを想像してみてほしい。その点、人から教わった釣り場というのは気楽なものである。少々アタリがなくても、バスがいるのをわかっているだけに、まだ辛抱が出来る。

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このド迫力。お会いしたくありません、けっして

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スピナーベイトにヒットしたまあまあのサイズ

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何でもないような水路にもバスがいた

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水面に藻の花が咲いていた

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池に隣接する住宅。毎日気が向けばバスを釣れる環境が羨ましい

 ところで、この写真をご覧いただきたい。こいつが池の土手といわず山の道端といわず、そこかしこから私を脅しにかかる。
 どうです?
 なかなかの迫力でしょ。この看板の絵のマムシくん。
 こんなのに睨みつけられたら土手の草もおちおち踏んで歩けない。
 四日ほど用事の合間に丸亀市のいくつかの野池をまわってみたが、マムシ注意の看板を目にしない日はなかった。
 そして、また私はただの一度たりとも本物のマムシに遭遇していない。びくびくしながら、出るぞ、出るぞと身もすくむ思いに歩いていると出くわすことが多いとか聞くが、幸いなことに怖い目には遭っていない。
 その代り、マムシばかりか魅力的なサイズのバスとも、とんと御無沙汰である。
「おまえ、もっと真剣にやらないとバスは釣れないよ」と先日も先達から注意されたばかりだが、そのとおりだとしょげて反論もできなかった。
 しかし、そうは言ってもあまのじゃくだから態度を改め真面目にやるでもない。
 相変わらずのぐうたら、体たらくでざまもない。
 これだとランカーサイズのバスを次また手にするのはいつのことやら皆目見当もつかない。
 ということで、じれったいかもしれないが、読者の皆さんには今しばらく待ってもらうしか今のところ手はなさそうだ。
 他人事みたいな言い方で申し訳ないが、そのような次第である。

【今回の使用タックル】

ロッド : ノリーズ ロードランナーボイスHB680L
      ノリーズ ロードランナーボイス630LS
リール : シマノ スコーピオンDC7
      ダイワ トーナメントZ2500C
ライン : ユニチカ シルバースレッドアンブッシュ10lb
      ユニチカ シルバースレッドS.A.R8lb

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