ニュースリリース 高分子事業

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高分子事業

2009/5/21

バイオマス素材「テラマック®」新規アロイグレード樹脂の開発とタニタデジタルソーラーヘルスメーターへの採用について

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 ユニチカ株式会社(本社:大阪市中央区代表取締役社長:大西音文)は、ポリ乳酸を原料とするバイオマス素材「テラマック®」の改質改良技術をもとに、エンジニアリングプラスチックの開発で蓄積したポリマーアロイ技術を駆使し、これまで実現し得なかった新しい機能(成形性、透明性、難燃性、外観など)を付与した新規アロイグレード樹脂の開発に成功しました。
この「テラマック®」アロイグレード樹脂は、ABS樹脂と同等の耐熱、耐久、耐衝撃性を保有しており、株式会社タニタ(以下タニタ、本社:東京都板橋区代表取締役社長・谷田千里)のデジタルソーラーヘルスメーター「HS-302」(愛称:ECO Living/エコリビング)の本体外装の一部に採用されました。これにより、CO2の排出量を同等の従来品(ABS樹脂品)に比較して約20%程度削減することが可能となりました。タニタでは環境問題への意識が高い欧州を中心に海外で発売を開始し、順次販売地域を拡大する予定です。

1.ユニチカ(株)の技術的背景

 石油資源を原料とした従来のプラスチックは、廃棄時の焼却により二酸化炭素などの地球温暖化ガスを増加させます。一方、植物資源を原料とするポリ乳酸は、廃棄時に二酸化炭素を排出するものの、植物が成長する過程で二酸化炭素を吸収することからカーボンニュートラルであり、大気中の二酸化炭素などの地球温暖化ガスの増加を抑制します。バイオマス素材「テラマック®」に代表される植物由来のポリ乳酸(PLA)は、石油系プラスチックの一部に代替されるバイオマスプラスチックとして期待されてきました。
 しかしながら、一般的には硬くて脆く熱変形温度が低いというポリ乳酸の素材特性や成形性など課題は多く、当社の「テラマック®」開発の歴史は、問題解決と新しい用途開拓の歴史でした。ポリ乳酸(PLA)を主成分とする樹脂は、ガラス転移点が低く耐熱性や成形加工性といった生産効率が従来の樹脂に比べて劣るという問題に対して、当社は2002年10月にフィルム・シート分野で耐熱グレード製品を業界に先駆けて開発しました。また、発泡樹脂グレードや射出樹脂グレードにおいてもナノテクノロジーや植物性強化材、無機物添加などにより耐熱性、難燃性、耐衝撃性の課題をクリア。さらに2007年には、「テラマック®」樹脂の成形速度を大幅に向上させる技術により耐熱、耐衝撃グレードの開発に成功し、採用用途を広げてきました。
 それでも物理的負荷のかかる樹脂製品などへの採用が遅れていましたが、当社独自のアロイ技術を駆使することで、これまで成し得なかった高機能バイオマスプラスチック「テラマック®」アロイグレード樹脂の開発に成功しました。

2.新開発「テラマック®」アロイグレード樹脂の特長

 新規アロイグレードでは、テラマック高植物度グレードの開発で培った、ポリ乳酸改質改良技術をもとに、エンジニアリングプラスチックの開発で蓄積してきたポリマーアロイ技術を駆使し、これまで実現し得なかった新しい機能(成形性、透明性、難燃性、外観など)の付与に成功しました。今回採用されたグレード(耐熱、耐久、耐衝撃タイプ)の特長としては、次のとおりです。
●ABS樹脂と同等以上の耐熱、耐久、耐衝撃性を達成
●CO2の排出量をABS樹脂比約20%削減することが出来る
●ABS樹脂と同じ設備での成形加工が可能で、加工性もABS樹脂とほぼ同等
●JBPA認証の「バイオマスプラマーク」取得が可能
 「テラマック®」アロイグレード樹脂は植物比率、アロイ設計により各種機能性のコントロールが可能であり、CO2削減効果についても変動します。今回採用されたグレードの他、「透明、耐熱、耐久タイプ」「耐熱、耐久、難燃タイプ」など多岐にわたるグレードの開発にも成功しており、一部グレードはすでにサンプルワークを開始しています。

3.デジタルソーラーヘルスメーター「HS-302」(愛称:ECO Living/エコリビング)採用ポイント

  「テラマック®」アロイグレードが耐熱性、耐久性、耐衝撃性などにおいて従来のABS樹脂に劣らない性能を達成した他、成形性、外観などが高く評価され、タニタのヘルスメーターに採用となりました。また、樹脂部品によるCO2の排出量を約20%削減できることから、タニタECOLiving/エコリビングは、5月26(火)〜29日(金)開催のNEW環境展(東京ビックサイト)内のユニチカブースにて展示予定です。

4. 今後の展開について

 今回開発した高機能性アロイグレード樹脂(「テラマック®」アロイグレード)は、今後、電気製品の筐体向けの他、雑貨、玩具などへも展開を行います。またテラマックのラインナップがさらに拡充し、高植物度グレードから高機能グレードまで広範囲のニーズをカバーすることが可能となりました。
 さらに当社は、今回開発した高機能性アロイグレード樹脂をはじめ、ポリ乳酸を主成分とする環境低負荷のバイオマス素材「テラマック®」を、フィルム、シート、繊維、スパンボンド等で幅広く展開していきます。なかでも本技術によるアロイグレードは、将来的にはテラマック事業の国内外展開の重要な柱の一つとなることが期待されます。

 販売計画2年後(23年度)80百万円の売上を目指しています。


<商品に関するお客様からのお問合せ先>
ユニチカ株式会社 樹脂営業部テラマックグループ
大阪:06-6281-5245 東京:03-3246-7598

<商品に関する報道関係からのお問合せ先>
ユニチカ株式会社 IR広報グループ
大阪:06-6281-5695 東京:03-3246-7536


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