トップメッセージ

上埜修司上埜修司

高付加価値品と環境配慮型素材を軸に
収益基盤を強化します

代表取締役社長執行役員 上埜 修司

取り巻く経営環境とユニチカグループの対応

2020年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、日本経済は失速し、半導体、自動車分野などの一部の産業では年度後半には回復に転じましたが、その他は厳しい状況で推移し、海外市場も同様に低迷が続きました。こうした中、我々を取り巻く日常の生活様式も大きく変化しました。さらに、2021年度に入っても感染拡大の波が断続的に発生し、低調な経済状態が国内外ともに続いており、今後の景気の見通しも不透明です。

当社を取り巻くビジネス環境についても、コロナ禍の影響と人々の生活様式の変化を受け、基幹の衣料繊維ビジネス分野での大幅な需要低迷が続いている他、建築関連資材や各種産業資材においても需要の回復が遅れています。そのような中、当社グループは、人々の生活に必要な資材であるフィルムや不織布、さらには様々な産業分野で必要とされる機能資材について、社会への安定供給を続けてきました。その結果、2020年度の売上については前年度より大幅な減収となったものの、一定の利益水準は確保できたと考えています。また、逼迫する医療現場からのニーズに応えて、当社グループの不織布ならびに衣料繊維ビジネスで培った国内ネットワークを活用し、医療用ガウンを緊急供給させていただきました。このような活動を通じて、改めて、当社グループは社会で必要とされている企業体であると感じています。2021年度も引き続き、社会から求められる素材や商材を安定して提供すべく、グループをあげて取り組んでいきます。

経営理念から長期ビジョン「G-STEP30」

2020年5月に、私たちユニチカグループの2030年近傍の姿を見据えた長期ビジョン「G-STEP30」を公表しました。当社グループの経営理念は「暮らしと技術を結ぶことによって社会に貢献する」であり、これまで様々な企業活動の局面において、この経営理念を念頭に置き、業務を進めてきました。長期ビジョンの策定においては、現在の事業の立ち位置を確認することから始め、そして、2030年近傍の社会を展望するにあたり、まず、どのような社会になっているのか考えを巡らせました。その中で、社会に貢献するためには、人々のニーズに応えることが重要であり、経営理念にある通り、当社グループの「強み」である技術分野を中心に、人々の「暮らし」に貢献する技術や商品を提供する姿を想定しました。そして、2030年近傍に向かっては、「安全で安心な暮らし」、「便利で快適な暮らし」さらには「環境と共生する暮らし」という3つの分野で特に貢献することが当社グループの事業ポテンシャルを最大化できるとの考えに至り、目指す方向性としました。

また、2030年に向けて社会は持続可能な開発目標(SDGs)という枠組みに沿って様々な活動を展開しており、国際社会の一員として、企業活動においてもSDGs達成への貢献無くして持続的な成長はできません。こうした認識から、当社グループの技術や商品の社会への提供を通じて人々の暮らしのニーズに応え、社会課題の解決に貢献することで、最終的には「SDGsの達成に貢献する」ことを当社グループのミッションとして設定しました。長期ビジョン(G-STEP30)の目指す姿に向けて、日夜努力し、2030年近傍でも「お客様から選ばれ続ける企業」を目指します。

中期経営計画「G-STEP30 1st」とその進捗

長期ビジョンと同時に2022年度までの3か年の中期経営計画「G-STEP30 1st」を発表しました。この中期経営計画では、長期ビジョンに向けた当社グループの収益基盤の強化が大きな目的となっています。そこで、基本方針の一つとして、「強固な事業ポートフォリオの構築」を掲げており、当社グループの事業力や技術力をさらに強化するため、高付加価値品の展開を加速します。また、2030年に向けた取り組みとして、「サステナブルな商品」、すなわち環境配慮型素材の展開を一層推進することに力点を置いて取り組みます。

二つ目の基本方針である「グローバル化の推進」については、前中期経営計画の取り組みを継続し、引き続き、主力商品のグローバル生産体制の構築に向け、インドネシアにナイロンフィルムの新生産設備を増設中です。なお、グローバル規模での新型コロナウイルス感染症の影響によりスケジュール に遅れが生じていますが、しっかりとフォローし設備を完成させていきたいと思います。

2020年度の計画進捗については、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、全ての主要施策が計画通りに進んでいるわけではありませんが、今後の収益貢献において期待効果が大きいフィルム分野での高付加価値品の拡販で着実に成果が上がっています。また、ガラス繊維においても電子材料用 の高付加価値品が伸長しました。さらに環境配慮型素材として、当社の保有する重合技術を生かし、新たにケミカルリサイクルを活用したナイロンフィルムやポリエステルフィルム、さらにはポリエステル機能繊維の提案・マーケティング活動を推進しました。

2021年度においても、新型コロナウイルス感染症によるビジネスへの影響は大きく残りますが、ワクチン接種の進展に伴い、国内外の経済回復が期待されています。もちろん、経済や生活様式がコロナ禍以前と同じ状態に戻ることはなく、「ニューノーマル」な社会への変革も進むでしょう。したがって、当社グループの収益強化のためには、ビジネス環境の変化に新たに対応すべき課題も発生してくるものと思いますが、ウィズコロナ、アフターコロナの時代においても、中期経営計画に掲げた「高付加価値品の展開加速」や「環境配慮型素材の展開」などの主要施策は、当社グループの収益構造を強化するためには最優先で取り組むべきものであり、変更は必要ないと現時点では考えています。今年度も、一層、力点を置いて中期経営計画の主要施策が進捗するように取り組んでいきます。

サステナビリティに関する取り組みの推進

長期ビジョンに掲げた通り、SDGsに貢献するためには、全社を挙げてサステナビリティに関する取り組みを推進する必要があります。そこで、2020年7月に「サステナブル推進室」を技術開発本部に設置し、当社グループのSDGsへの取り組みの検討を進めてきました。さらに、2020年12月から2021年7月にかけてプロジェクトを実施し、優先課題(マテリアリティ)を明確にし、2030年に向けた課題や取り組みの方向性を確認しました。優先課題の中には、CO2総排出量の削減など、当社グループがこれまでもパリ協定の枠組みを意識し、重油から天然ガスへの燃料転換などを通じて重点的に取り組んできた、環境に配慮した企業活動も含まれますが、長期ビジョンや中期経営計画の重点施策にも掲げた環境負荷低減に寄与できる商品や技術開発の展開なども盛り込んでおり、当社グループの実態と今後の方向性を反映したものになっています。

なお、この環境負荷低減に関する取り組みの中では、新たにLCA(Life Cycle Assessment )の検討も2020年度から行い、より正確に当社グループ商品の環境への貢献度合いを評価する取り組みも進めています。また、2030年度のCO2排出量の削減目標は、政府目標と同じ2013年度比46%削減に設定しています。2020年度の時点で既に23%削減できていますが、さらなる省エネ活動の推進やカーボンニュートラルエネルギーの導入などにより、目標を達成できるよう努力していきます。当社グループは、今後もさらにサステナビリティに関わる取り組みを進展させ、持続的成長が可能な企業体を目指していきます。

ガバナンスの強化

当社グループは2019年度に品質不適切事案を発生させた反省から、中期経営計画の三つ目の基本方針として「社内風土・意識改革」を掲げ、品質保証体制の確立やリスクマネジメントの再構築を行うべく取り組みを進めています。2020年度においては、品質保証委員会を頂点とした品質保証への取り組みを充実させ、グループ内品質監査の整備や品質教育を実施してきました。二度と品質保証において不適切な事案を発生させないように、本年度も品質保証に関する取り組みをグループ全社で進めていきます。

また、一人ひとりの意識や行動を変えることがガバナンス強化には不可欠です。そのため、新たに整備した「ユニチカグループ行動基準」を基に、従業員に対してeラーニングを活用した教育を行うことにより、コンプライアンス意識の一層の醸成を図りました。このような取り組みを継続することにより、「社内風土・意識改革」の重要性について従業員と思いを共通にしていきたいと考えます。

なお、2021年7月からの経営体制につきましては、取締役会の多様化を図るため、社内取締役と社外取締役を1名ずつ増員し、社外取締役には女性役員を新たに迎えた体制としました。新たな経営体制のもと、本年度もガバナンス強化への取り組みを進めていきます。

ステークホルダーの皆様へ

私の使命は、2019年7月の社長着任以来、当社グループの収益力を回復させ、持続的成長が可能な企業体とすることと信じて取り組んできました。コロナ禍の厳しいビジネス環境下では、なおさらのこと、企業体としての実力(すなわち企業としての「強み」や「競争力」)が問われます。中期経営計画の主要施策は、当社グループの「強み」や「競争力」に基づいた施策であり、それぞれの取り組みを一層深めることが収益力の安定には必要であると確信しています。また、ウィズコロナなどの激動の時期を迎えるにあたっては、今一度、今後の社会や人々の生活に求められるもの(ニーズ)は何か?という原点に返って企業活動を組み立て直すことも必要と考えます。

サステナビリティに関する優先課題への取り組みに加えて、その他にも新たな視点でチャレンジし、経営理念である「社会に貢献すること」を追求し、「お客様から選ばれ続ける企業」を目指して企業価値を高めていきます。何卒、ステークホルダーの皆様におかれましては、当社グループの活動にご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。


上埜修司

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