過去の釣行記TOP > 釣行レポート > 2011年3月27日

釣行記

釣行レポート

2011年3月27日

ルアーで釣る吉野川本流の銀毛アマゴ

解禁当初は水量が多すぎて、ゴルジュ地帯のなかを流れる池田ダム(徳島県)上流の吉野川本流でアマゴをねらうのは、ちょっと厳しいなと思った。両側に切り立った崖がつづく辺りは流れの幅が狭まって、深く、流れが速い。速い流れと速い流れのあいだに現れる大きなプールもいくつか覗いてみたが、渦を巻いていたり濁っていたりして感じが悪かった。
これは、単に降雨量、雪代の問題で増水していたらしく、上流にある早明浦ダムの放流によるものではなかったようだ。いまはまだ水を多く必要とする季節ではないし、雨も少なく貯水量も少なめなので、ほとんど水は落としていない(ちなみに、早明浦ダムは高知県にあり、四国の水瓶と呼ばれている)。
だから、山の雪代流入が落ち着いて、このところ雨も少ないものだから、三月中旬以降は逆に減水気味になった。

まだ、寒さの残る山の三月の減水は状況としては悪くない。
早朝ならプールのフラットな水面のあちこちでライズするアマゴを目にするのも難しくはないだろう。
そう思って、3月27日(日)に釣り仲間の田所幸則さんと出かけてみた。
ただ、私の都合で今回の釣り場である山城町のJR祖谷口駅付近に到着したのは12時少し前、この時間帯だとそう速くない瀬の流れで流下してくる水生昆虫を捕食する本命をねらって釣るのが効果的なのにちがいない。
「フライで釣るほうが楽しいかもしれないな。時間的にというより季節的にね」
国道から深々と谷底の流れをのぞきこみながら田所さんは言ったが、私も同じ思いだった。

しかし、ダイナミックな流れのなかにはカゲロウやユスリカといった羽虫を水面に出て食っているアマゴばかりが棲んでいるわけではない。底に沈んだ大岩の陰にひそんで小魚をねらっている大型魚も少なくないはずだ。深場にひそむビッグワンを誘うにはルアーが効果的だと信じて、ここは一つ奮起するしかない。

私たちはすっかり露の乾いてしまった斜面の草を脛にわけながら崖の上まで降りた。日差しが強かったが下流から上流に向かって吹く風が心地よかった。そこから岩場を伝って更に流れのほとりまで降りて行った。
「まるで学校のプールだね、上から見下ろした感じよりも流れが緩い」
と私が言うと、
「この感じだと、流れ出しと流れ込みしかないか」
田所さんは仕掛けを組む手を休めて、そう言った。
降りやすい場所なのと足場がよいのでまずはここからと決めてくだってきたわけだが、実績ポイントだとはいえ、もう少し流れに勢いが欲しかったとも思える。
それでも、目の前の巨大なプールの上流から、あるいはすぐ下流から荒々しく瀬が響いて、渓谷であることを思い知らされた。

対岸の山林で、しきりに野鳥のさえずりが聞こえていた。
私は下流の狭くて荒い瀬にプールたっぷりの水が追い落とされる流れ出しの少し上を釣ることにして、その場にとどまった。田所さんはプール沿いの岩場を流れ込みの方へと歩いて行った。
流れ出し付近は大きな岩がいくつも沈んでいて底の起伏が激しい。水面下に岩の頭がおぼろげながら見えている、そのすぐ上流側に私はさっそく7gのスプーンを通してみた。
すると、岩の横を通過するころに、コツンとアタリがきた。もう一度同じコースを引いてくると、またアタリが来て、今度はフッキングした。しかし、これは数秒後に鈎からはずれてしまった。その後も、付近をスプーンで広く探っていると、二度ほどバイトしてきたが、フッキングにまでは持ち込めなかった。知らせようにも相当大きなプールなので、この距離だと大声を出しても田所さんまで聞こえない。
そのうちアタリも来なくなったので、私も思い切って上流の流れ込みへと移動した。
「どうなの?」
と訊くと、田所さんは、
「ひとつだけ」
そう言って照れくさそうな顔をした。
渓流でよく釣れるサイズだが、本流のアマゴらしく銀毛している。鰭の先までピンとしていて綺麗な魚体だ。
「二回投げたら釣れちゃった。アタリも何度かあったよ」
「流れ出し付近もアタリはきたけどね」と私は言った。

そして、崖伝いにくだってくるわずかな清水を溜めた浅い岩のくぼみに活けてある田所さんのアマゴをいま一度眺めた。
写真を撮ろうかどうしようかと思案していると、背中で、「ヒット!」という田所さんの声が聞こえた。
ふりかえると、ロッドを曲げて応戦する田所さんの姿があった。
「楽に寄って来る、さっきと同じくらいかな」と田所さんは声を弾ませた。
釣りあげてみると確かにそのくらいの大きさだった。
ここで田所さんのタックルを紹介しておくと、ロッドはトラウト用8.2ft、ラインはユニチカシルバースレッドトラウトクリアー6lb、ルアーはスプーン7~10gである。このナイロンラインは、強度、扱いやすさともに遜色のない優れ物で、田所さんのお気に入り。昨シーズンは、このラインで42.5cmのビッグワンを釣りあげている。
ついでだから、私のタックルも説明しておく。
トラウトロッド7.4ft。ルアーはミノー5.7~7cm、スプーン3.7~7g。ラインはシルバースレッド・アイキャッチPEマークス4lb。リーダーはシルバースレッド・トラウトリーダーFC4lbを使用した。

田所さんが2尾釣ったあと、その近くで釣る私にもひったくるような強烈なアタリが来たが、田所さんと無駄話をしていてバラしてしまった。

崖が両側から迫りあっている流れ込みはプールに向かってかけ下がっているが、そのすぐ上流に大きな岩がいくつか沈んでいて、そのなかのひとつだけが頭をちょこんと出している。その岩の下流側に流れの筋が出来ていて、頭を出した岩のすぐ後ろ側に反転流が見えた。そこに小さな水生昆虫が流れ来て一時的に溜まるのか、流れの筋と反転流の緩やかな流れの両方でときおりアマゴがライズする。
「あそこだよね、あれをねらうといい。でも、みんな渓流サイズみたい」と田所さんが指さして言った。
「そうみたい。じゃあ、今度はもう少し対岸ぎりぎりに投げて、スプーンが沈んだ頃合いを見計らって速引きしてみるとしよう」
スプーンは下流側へと流れながらひらひら沈んでいった。沈んでいくときに沈み岩にスプーンが触れた。私はすぐさまリールを巻き始めた。数回巻いただけでゴツンと重たいアタリが手元に来た。PEだと小さな前アタリが来ることが多いので本アタリに対する心の準備を整えやすいという利点があるが、今回はいきなり、ゴツン!
ちょっといいサイズなんじゃない?」と田所さんが駆け寄りざまに言った。
「うん。ウグイじゃなければいいけど」
私は懸命にリールを巻いた。最初手元に来たショックほどには、その後のやりとりにおいて重量を感じさせなかった。
「おっ、浮いた」と私は言った。
半分ほど巻いたところで、魚が水面直下でヒラを返した。
「アマゴだ。まちがいない」と田所さんは言った。
岸へずりあげてみると、やはり思ったほど大きくはない。
それでも、浅い水溜まりに3尾並べてみると、悪くない眺めである。
その後5回ほど投げてみたが、二人ともアタリがなかった。

それはそうであろう。ここの上流側に素晴らしい瀬が数百メートルにわたって続いているのだが、切り立った険しい崖のせいで残念ながら川通しに上流側へは行かれない。
いったん国道まで急斜面の踏みつけ道を辿って出て、上流へ数百メートル歩けば、そこから瀬のほとりまで降りていけるルートがあるにはあるが、今回はちょっと様子を見にきたようなものだから、春のぽかぽか陽気のなかを汗して移動するというのも気乗りがしない。
かくして、ちょい悪オヤジの田所さんと私は、この一カ所だけ釣って竿を納めることにした。
わずか一時間余りの短時間の釣りであった。
私たちは来たコースを後戻りして車までもどった。

池田町から県境の峠を越えてそろそろ香川に入ると、うどんが食いたくなったな、そう田所さんが言った。
「では、今日は一回も入ったことのない店で食べてみますか」
「それは、冒険だねえ」
「ええ。うどん屋は星の数ほどもありますからねえ」
釣りの帰りにうどんを食う。とくに腹が減ったわけでもないのだが、とりあえずうどんである。まあ、これも讃岐人の楽しみの一つであるから仕方がない。
では、みなさん、よい釣りを!

釣行レポート

池田ダム上流の吉野川はゴルジュ地帯を流れる

釣行レポート

田所さんにアマゴがヒット

釣行レポート

銀ピカのきれいなアマゴだ

釣行レポート

解禁当初は渓流サイズも多い

釣行レポート

2匹目を釣り上げた田所さん

釣行レポート

筆者に来たやや体高のあるアマゴ

釣行レポート

1時間で3尾の釣果。まずまずだ。

釣行レポート

よくアタリがきたルアー

釣行レポート

信頼できるラインは釣果につながる

【今回の使用タックル】
■長尾のタックル

ロッド : ウエダ サーフェイストゥイッチャー STS-74MN-HSi
リール : ダイワ トーナメントZ2500
ライン : ユニチカ ナイトゲームTHEメバルスーパーPE 5lb(0.4号)
リーダー : ユニチカ シルバースレッドトラウトリーダーFC 6lb 40cm


■田所さんのタックル

ロッド : ウエダ トラウトスティンガー TSS-82Ti
リール : ダイワ セルテート2500
ライン : ユニチカ シルバースレッドトラウトクリアー 6lb

ページのTOPへ

釣行レポート一覧へ