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釣行記

釣行レポート

2011年6月27日

豪雨のあとに

この文章を書くきっかけとなった釣行の前日、つまり6月26日は、剣山系の山々に豪雨が降った。しかも、麓のほうはそうたいしたこともなく被害も少なかったのにくらべ、山頂に近い場所は沢が氾濫するほど強く降って、実際多くの沢が氾濫寸前までいった。
峠道や林道を土砂や落石が塞いで通行止めが相次ぎ、そのために長い時間をかけてまわり道しないと目的地へ辿りつけないという事態を招いた。
それだけならまだしも、山腹がちょうど崩落する場に運悪く行き合わせて、落石をまともに食らったり土砂に埋まってしまったりしては泣くに泣けない。

それでも、私は打って出た。その豪雨の翌日、吉野川のとある一支流に沿って山道を奥へ奥へとひとり車を走らせた。この支流に沿って半ば登ったところで道をまた別の道へと逸れて、沢が尽きるところまで上りつめ、そこから峠越えをして別の支流の上流域へと車で向かうのが目的である。

前日の豪雨で主要な道路は完全に封鎖されているはずだった。あるところから奥へは車で行くことができないだろう。もしそこに通行止めの看板がちょこんと置いてあるだけならどうということもないが、見張り番がその横に仁王立ちに立っていたりすると大層困ったことになる。事故があろうが無かろうが、行政が危険だと判断すれば必ず通行止めになるのである。
私はこれを避けて目的地の源流域へと無事到達したかった。



さっそく釣りの支度をして、両側が切り立った小尾根伝いに山を流れのほとりへと降りて行き、そこで仕掛けを組んだ。
流れをみると増水しているが、わりと濁ってはいない。ただ、この規模の沢からすれば相当の増水である。普段河原でほとんど水の流れてない場所が瀬になっていた。普段なら石を踏んで渡っていけるところが胸まで水に浸からないと先に進めないといった事態にも何度か陥った。ここで対岸に渡らないと高巻きを余儀なくされる場所では強い流れを無理に横切ろうとして危うく流されかけた。むろん、流れても死ぬほどの場所ではないが、それも運次第でどうなるかはわからない。けれども、私は無事になんとかその場を渡りきることが出来た。

これほどまでに増水すると、普段は水のない岩だらけの場所に、イワナやアマゴが入りそうな格好の溜まりがあちこちに生まれ、じっさい、この日もそういう場所で簡単にイワナアマゴが釣れた。しかも、ひとつの溜まりから2尾、3尾と釣れることもあった。
空は曇っていたが、雨はまだ降ってはこなかった。しかし、2番目に大きな砂防堰堤を越えた辺りでにわかに空が暗くなって小雨が降り出した。このところよく雨に見舞われると思いながら、ここは晴天の日にも雲が湧いてにわか雨がよく降ることを思い出した。こういう条件の場所だから草や樹木がよく育ち、餌となる昆虫やミミズもたくさんいて、結果的に小さな沢にも関わらずわりと型のよいイワナやアマゴが釣れるのだと勝手に想像したりもした。

釣り終わって車へ戻るには、山の斜面をぜいぜい息を荒げながら登るか、少し距離は遠いが林業用の作業道を通ってもどるかの二つに一つだが、私は楽な作業道を選んだ。
「とうとう尺を越えるイワナは1尾も釣れなかったな」と私は少しもの足らなかったが、それでもいつもにも増してたくさんのイワナ普段よりも多くのアマゴを釣りあげた私は納竿後も終始上機嫌であった。



私は釣り方を問わず、釣ったイワナやアマゴをちょいちょい持ち帰って食べるが、ルアーを嗜む者、フライに興じる者のなかには、食べるなど言語道断!釣った魚はリリースするのが当然だ! そのようにおっしゃる方も少なからずいるようだ。
私も多くのばあいリリースするが、ただ、釣った魚をリリースすることがこの上なく素晴らしく気高い行為だなどとは一度も思ったことはない。たしかに、行くたびに存分に竿を曲げて魚と渡り合いたいと思えば、魚を減らさぬことが先決だ。みんながリリースすれば魚は確実に残るのだから釣れる確率は高くなる。それは確かに釣られているうちに賢くなって魚もスレるだろうが、それでも上手な人はきっちり釣るだろう。魚のほうも生き抜くためには食わなくてはならぬからライバルが多ければ多いほど目の色を変えて餌を奪い合うにちがいない。

とにかく、釣り師にとって魚は多いに越したことはないのだ。だから、キャッチアンドリリースの精神と自然保護とは何の関係もない。少なくとも私の見方はそうである。キャッチアンドリリースは魚を減らさぬための一つの方策にすぎぬ。

これを見抜いてか、「キャッチアンドリリースなんていうのは全く堕落した考え方である」と苦言を呈した名士が次々と出た。
ここに紹介したのは、ジャック・クストーの言葉であるが、すなわち、遊びで魚を傷めつけるな!というものだ。
耳の痛い話である。
どちらにしても耳の痛い話である。
うるさいぜ!
以上。



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「こんなの、屁みたいなものさ」と豪語したクライマーがいた。私は遠慮しておく。

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ヘツリ、高巻きを余儀なくされることが多い源流域。くれぐれもお気をつけあれ!

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前日の豪雨で増水した沢。普段はほとんど河原である。

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増水すると活性があがる夏の沢のイワナ。わりといいサイズが出た。

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普段、あまり釣れないアマゴだが、雨に浮かれてか、よく釣れた。

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アマゴはイワナとはまた違った引き味を堪能させてくれる。

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今回キープしたイワナとアマゴ。塩焼きにして食べた。

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今回はツインクル45mmシンキングのみを使用した。

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シルバースレッドトラウトクリアー4lb

【今回の使用タックル】

ロッド : ウエダ STS-501MN-Si
リール : ダイワ セルテート1003
ライン : ユニチカ シルバースレッドトラウトクリアー 4lb

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