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釣行記

釣行レポート

2012年3月18日

ミノーで釣る穴吹川上流のイワナ、アマゴ

最近の天気予報はよくあたる。私が幼いころはあまりあてにならなくて、たとえば運動会、遠足の前には漁師さんにその日の天気を予想してもらったものだ。浜の漁師さんのなかにも、とくによく天気を見る人がいて、学校の先生がその方に電話をかける。
むろん、日本全国の天気を予測することなど漁師さんに出来っこないが、狭い地域のことだから案外よく当たったようだ。
それでも、そんな天気を言い当てる名人であっても、今日の穴吹川上流の木屋平の天気はとても予想できなかったにちがいないと思われるほど、天気がめまぐるしく変化した。
山の天気は変わりやすいものだとわかっていても、じつによく変わった。
正午前に木屋平の役場の少し上流に入渓したときは相当雨が降っていて、雨が木の葉に当たる音が聞こえるほど強く降ったときもあったが、イワナを4尾釣って車に戻ろうと道まで出て歩きだしたころには雨もあがって、空の曇のなかに午後の太陽がうっすらと見えることもあった。
その後、木屋平の役場の少し下流側へと車で移動したが、やはり雨は降りそうになかったので、裾の長いレインウェアよりも裾丈の短いゴアテックスの着慣れたウェアの方がウェーダーを履いての渓の釣りには最適だと思って、それに着替えて釣り場へと桃の畑を通り抜けて降りて行くと、はやくも霧のような雨が降り出した。
それでも、かまわずにミノーを投げて誘っていると、澄んだ厚みのある流れの底からアマゴが素早く浮きあがって来て、私のあやつるミノーをかすめるように反転して、ふたたび流れの深みへと姿を消した。
私は、胸が高鳴った。
「ちょっといいサイズだったぜ!」と私は声に出して言った。
じっさいは、相当いいサイズのアマゴだった。
私は、ぜひ釣りたいと思った。ひっかけてやりたいと思った。騙して、鈎がかりさせて、悔しがらせて、「参ったか? ちゃんと降参だといえば、写真を撮ったらすぐ逃がしてやる」と釣りあげたそのアマゴに勝ち誇ったように上から目線で言ってやるのだ。
しかし、そのとき使っていた5cmほどの木製のフローティングミノーを投げては誘い、投げては誘いしてみるも、何の反応もない。さっきミノーをかすめて消えたあの出来事がまるでなかったことのように思われるほど、ちらっとも姿を見せないのだ。
私はうんと下流へ動いて、浅瀬を対岸へと渡ると、さっきアマゴが出た流れまで岸の岩場伝いに戻っていった。
さっきは流れの筋に対してアップクロスで攻めているとき、ちょうど流れの筋をミノーが横切った直後にちょっかいを出してきたのだが、いまのポジションからだと、岩場の岸と流れの筋のあいだの緩い帯状の流れを落ち込みの辺りからポイントの終点までアップストリームで余すことなく誘い尽くすことができる。もやもやと水が揉みあうような流れは水のなかを見えにくくしているが、これは深みにひそむアマゴからも釣りをする私からも、お互いの姿を確認できないのに変わりがないのでおあいこである。
もし、この流れのもやもやの下の層にフローティングミノーを躍らせてみて何の反応もないならシンキングミノーに交換する気でいたが、落ち込みの脇へと投げて着水したと同時に誘いはじめると、いきなりひったくるような強烈なアタリが来た。立ち位置を移してのファーストキャストだったので、もしかして食ってくるかもしれぬと用心しながら釣っていたので、反射神経の鋭くない私でも容易にアワセを入れることができた。
いきなり1尾目から見映えのするサイズの本命を手にした私は、ちょっと気分がよかった。
かなり雨が降っていたが、気分いいせいで、私はそのまま釣りを続行した。
私のゴアテックスは相当長く着古したもので、強い雨にさらされるとじわじわ雨が浸みこんでくる。それでも、ちっとも冷たくなかったので、そのまま釣りつづけていると、堰堤下の広くて水深のあるプールでアマゴがヒットした。そのアマゴは対岸側の巻き返しの脇で着水とほぼ同時に私の投げたミノーに食いついた。
しかし、2尾目、3尾目と同様この4尾目も冴えないサイズのチビである。魚体に触れぬよう気を使いながら水から出さずにリリースした。
ここで、いっそう雨が激しくなった。
しかし、私は釣りをやめる気には到底なれなかった。まだ良型のアマゴを私は1尾しか手にしていなかった。最初はそうでもなかったが夕暮れが近づくにつれて雨に濡れた体がじわじわと冷えはじめた。この時期、体が冷えると鼻炎が出る。私は急いで車へ戻って着替えをした。そして、レインウェアを羽織って、ふたたび流のほとりへと向かった。
その後も、ぽつぽつアタリが来てアマゴが釣れたが、判で押したようにチビばかりである。
しかも、せっかくレインウェアに身を包み釣り場に戻ったのに、釣りはじめてしばらくすると雨はやんでしまった。すっかりやんだのだ。
やれやれ、と私は空を見あげた。それでも、まあ、雨があがったのは歓迎すべきことだ。
まだ、日が暮れるまでには時間があった。
私は、もう少し釣りをつづけることにした。

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シルバースレッドトラウトクリアー4lbを使用した。

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対岸寄りのカケアガリの辺りでイワナがヒット!

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今期初のイワナ。沈み石の前でミノーを捕えた。

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天に最も近く棲む魚、それがイワナである。

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木製のミノーの美しさは鱒ばかりか釣り師をも魅了する。

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悪くないサイズのイワナだが、鰓のあたり冬のなごりのサビが顕著であった。

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厚みのある流れの深みからフローティングミノーにとびついてきた。

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とびきり美しい魚体のアマゴ。いいサイズが釣れた。

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このサイズなら文句はないが、あとがづかない。

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この日はイワナが4尾釣れた。

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付近には梅が咲き誇っていた。

【今回の使用タックル】

ロッド : ウエダ STS-501MN-Si
リール : ダイワ ニューイグジスト2004
ライン : ユニチカ シルバースレッドトラウトクリアー 4lb
リーダー : ユニチカ シルバースレッドトラウトリーダーFC 4lb

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