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釣行記

釣行レポート

2012年4月14日

身につくということ

魚釣りとは身につくものだと思っている。長い時間をかけて自然と身についてくる。  
むろん、そうなるためには、そうなるだけの熱意と努力なくして、そうなることはあるまい。
けれども、やはり、釣りは自然に身についてくる。
たとえば、魚を釣りあげたくて魚に口を使わせる技術ばかりにとらわれていては、確かに技量の腕前だけはあがるかもしれないが、もっと大事な何かをなおざりにして過ごしてしまうのではあるまいか。テクニカルな部分にばかり気をとらわれて、レクチャー本ばかり読みふけり、フィールドで過ごす時間をおのずと削ってしまっているような人に安定した釣果を叩き出せる人が少ないとみるのは私にかぎったことかもしれぬが、理論の頭でっかちな人はある局面では多くの同好の士が舌を巻くような大釣りもするが、ある局面ではからっきし魚にそっぽを向かれっぱなしであるということが少なくないように思う。
相手は生身の魚である。机上の理論だけでは太刀打ちしかねるのは当然だ。
かといって、そうだとしても初心者は、たとえば鱒釣りなら渓流の何処へ行けば鱒に出会えるのかを知っている人は少ないにちがいない。それでも、道具を買った釣り具屋のスタッフに尋ねるとかすれば、向こうも商売だから気前よく教えてくれるだろうし、まさか邪険に扱われることもあるまい。そこで知り得た乏しい情報をもとに地図など見ながら山奥の渓流へと足を運んでみる。釣れようが釣れまいが通ってみるがよい。まじめに釣りと向き合い、まじめに打ち込んでいると、そのうち必ず同じような道を歩んでベテランとなった生涯の師ともいうべき先達にめぐりあえるはずだ。このことは偶然ではなく、たぶん必然である。「類は類を呼ぶ」の諺どおり、人は人と出会うのであろう。
こうなればしめたもので、その人がよほどのへそまがりか意地悪でないかぎり、鱒のよく釣れる場所の一つや二つはたやすく教えてもらえるだろうから、時間の許すかぎり朝でも昼でも朝夕のまづめどきでも、とにかくかまわず通ってみることにしよう。こうして釣り場にできるだけ長く馴れ親しむよう努力すると本当の意味での釣りの技術の上達はもちろん、フィールドに立たなければ体得できない自然の成り立ちそのものにわずかなりとも触れることができるようになるだろう。これを深めていくと、何か釣りに必要な大切なものをおのずと感じ取ることができるようになり、しかも、それは感じようとして感じるのではなく、自然に身についてくるのだと長い年月を経た末に実感するはずである。
釣りをしているとき、釣れる条件というのは刻一刻と移ろうことを誰でも経験するが、それに対処できるかどうかは、どういう釣り方を今なすべきなのかという実戦的判断に基づいた釣りの組み立てがうまくできるかどうかにかかっている。いくら多くのテクニックを自分の抽斗のなかにしまっていても、いま取り出すべきはどれかを的確に判断できなければ宝の持ち腐れである。そして、その判断を頭で考えて行うようでは、まだまだ玄人の域に達しているとはいえない。達人といわれる人の多くは、釣りをしながらいつも釣れるパターンを考えているようにみえて、じつは無意識にそれを選び取って行っているに過ぎぬことが少なくないようだ。
すなわち、身につくものを身につけて自然にそれを行っている。
また、釣り師は手持ちの好釣り場が増えるほどに、季節や天候や自分に許された持ち時間などから出かけて行くべき釣り場を選び出すようになるが、それにしたって深く頭で考えるというよりは、ふらり家を出て魚の遊んでくれそうな釣り場へと自然に足が向くのである。これも、長い年月のうちに自然と身についてくるものだから、それを身につけるためには釣り場に通って、通って、通い詰めるよりほか手はないのであろう。
この自然に身につくもの身についたものを、たんに「経験」という一つの熟語で片づけることを私は好まない。なぜかはわからないけれど、嫌うのである。
それは、「身につく」というのが、自力というよりはむしろ自然との交感によって時間はかかるけれども着実に身に備わってくる、そういうたぐいのものだと思えるからなのかもしれない。
では、みなさん、よい釣りを!

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田所さんが愛用するシルバースレッドトラウトクリアー6lb。

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吉野川本流定番のスプーン。7g前後を多用する。

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吉野川本流で腕を磨いて三年の田所さん。相当腕をあげたよう。

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大岩を流れのなかに据えた魅力ある好ポイント。大きなアマゴがひそんでいそうだ。

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ゴルジュのなかを流れるこのエリアは晩春頃までが好期。あとは岩が焼けて、暑くて、日中は遠慮したい。

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池田ダムより上流はラフティングやカヌーの銀座と称されるエリア。ちょっと参るなあ。でも、まあ、仕方ないか。

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パノラマ撮影したポイントの全景。池田ダム上流のエリアは川の相がじつに変化に富んで魅力的だ。

【今回の使用タックル&ライン】

ロッド : ウエダ TSS-82Ti
リール : ダイワ ブラディア2500
ライン : ユニチカ シルバースレッドトラウトクリアー 6lb

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