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釣行記

釣行レポート

2012年3月〜5月

吉野川本流の鱒釣り(ルアー編)

はじめに

高知県の瓶が森に源を発する吉野川は流程198キロにも及ぶ四国屈指の大河川である。
このうち、鱒(銀化アマゴ)が多く棲むのは、中流域、下流域で、その一部は高知県嶺北漁協の管轄であるが、おおむね徳島県内を流れる大渓谷と清流が、その鱒釣りの舞台となる。
このような事情から鱒釣りに関する記述のすべては徳島県内にかぎってのこととし、その書き方も吉野川本流の鱒釣りに長年親しんできた私や私の仲間が長年にわたる実釣経験から、これは心得て置いて損はなかろうと思われるものばかりを選んで書き進めていくことにした。
その多くは鱒釣りの常識と思われる内容だが、それでも、なかに一つでも二つでも参考になる記述を見出すことで更なる釣果アップを実現していただければ幸いである。 

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この面構え。本流の鱒と呼ぶにふさわしい(5月22日)。

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ロッドを立て気味にして速い流れの筋の向こう側を釣る筆者。

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広大な規模の河原を持つ中下流域。

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上流域は切り立った岩盤のあいだを激流がくだる。

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早春の風物詩であるふきのとう。

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池田ダム上流の吉野川はゴルジュ地帯を流れる。

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中流域でもシーズン初期は特別大きなのはごく少ない(5月上旬)。

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中流域の大淵には大物がひそんでいる。

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流れ込みの下流側に釣り師が見える。

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滔滔と流れる中流域は東にくだるため夕景が特に美しい。

フィールドの特徴

徳島県内を流れる吉野川本流は、池田ダム(三好市)の上流側と下流側で、その川の相が大きく変わる。上流側は深く切り立った岸壁のあいだをくだる荒々しい流れであり、容易に人を寄せつけない場所が少なくない。下流側はひらけた平坦な流れで、まさに悠々として流れる大川の姿である。どちらも私たち鱒釣り師には魅力的であるが、上流側は早春から晩春頃まで、それ以降は下流側で釣りをする機会が多いというのが実情である。
ついでに、これから書き進めるにあたり、徳島県吉野川本流の区分けを、ざっとここに記しておこうと思う。
吉野川は徳島市の北の端に河口があり、太平洋側の紀伊水道に流れ込んでいる。春から初夏にサツキマスが海から遡上してくることを考えると、鱒の釣り場は徳島県全域に及ぶことが理解できるだろう。なので、徳島全域を三分割して、それぞれ上流、中流、下流と私たちは呼んでいる。高知県との県境から池田ダムまでのおよそ20キロを上流域、池田ダムから岩津大橋(阿波市)までの約40キロを中流域、岩津大橋から河口までの40キロの区間を下流域呼ぶようにしている。
以下、釣り場の区分は、これに基づくものと理解されたい。

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ウィーディングは危険だ。無理は落命につながるので注意が必要だ。

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左の緑地は向こう岸ではない。広大な中洲なのだ。

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柿原堰。この下流域がサツキマスの好釣り場だ。

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土手を走行中、流れに立ち込んで鱒を狙う釣り師を発見した。

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ごく緩やかな流れのプールも鱒は回遊して来る。

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刻々と変化する川面。一見緩そうだが、流れは押しが強い。

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川沿いではない。川土手の内側にゴルフ場があり、広大なグランドがあるのだ。しかも、いくつも。

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長大な吉野川にはいろんなデザインの橋が架かる。

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桜が咲くといよいよ本流の鱒も本番を迎える。

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上流域の岩場に群生する紫蘭。

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川畔の竹林のなかにつづく道。

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枝に引っかかっている枯れた葭は大増水のなごり。

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池田ダムの上流はこのような景勝地の連続だ。

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カヌーがくだって来た。なんと、女性だ!

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凄まじくファイトした40cmにせまる良型(4月下旬)

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池田ダムから井川町内の数ポイントを車で移動しながら釣った。

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上流域。ほどよい流れの瀬がゴルジュのなかをくだる。

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上流の大歩危は観光名所としても有名。舟くだりも楽しめる。

本流の鱒とは何か

ここにいう鱒とは、吉野川本流に棲む銀化したアマゴのことだ。それと晩春ころに海から遡上してくるサツキマスもこれに含まれる。
吉野川本流は大きな流れであり、餌の水生昆虫、小魚、エビなどが豊富なため、鱒の成長はとても早くて、しかも大型化しやすい。
解禁当初は渓流で釣れるのとなんら変わらないサイズのアマゴが、吉野川本流では季節を追うごとに目覚ましい成長ぶりをみせる。早春の20cmが初夏には尺程度に、鮎解禁後の六月以降には40cmを超すまでに育つ個体も少なくないようだ。
むろん、タグを打って、調査したという話は聞かないから、「そんなの憶測に過ぎないよ」と言われても仕方ないが、アマゴは短命とされているため成長の度合いは著しいと私は考えているので、「急成長を遂げる」という説には賛成である。
ある年の早春のことだ。
ひらけた緩やかな流れのなかでライズする鱒を私は運よく見つけた。さっそく、フライタックルを手に河原へと降りて行き、少し上流へと移動してから、鱒を脅さないよう気を使いながら流れを横切って対岸の中洲へと渡った。
渚の岸に立って流れ全体を注意深く眺めてみると、ついさっき反対側の土手下の雑木林を背に眺めていたときよりも、ずっと多くの鱒がライズしている。私は思わず頬が緩んだ。
その日は、風のない日差しのあたたかな午後で、釣りをするにはもってこいの好天だったが、数匹釣れた鱒のうちの1尾がひどく傷ついていた。背鰭のすぐ下に、頭の方から尾の方へ斜めに下がっていく切れ長の傷があり、しかも、まだ完全に治ってなくて、いかにも痛々しげであった。
「鳥にやられたか、宿敵の肉食魚にやられたか、どっちかだな」と私は内心思ったが、下の尾鰭の先部分が少し欠損してもいた。
サイズは25cmあるなしといったところで、魚体は銀化していた。
岸にずりあげてからも元気だったので、むろん、私はその鱒をリリースした。
ところが、その後、鮎解禁直前の5月下旬に、すぐその近くの瀬が淵へと流れ込んでいる深場で鱒を狙っていると、ドスン!といきなり手元に堪えるアタリが来て、向こうアワセにのって来た。
その日は、ルアーで釣っていたのだが、それが早春に釣った傷のある鱒だということがその傷を見て私にはすぐにわかった。尾鰭の先だって少し欠けている。早春に釣ったときより再生してきてはいるが、まちがいなく同じ鱒である。その鱒は、37cmあった。
このエピソード以外にも、4月中旬以降、とくに5月下旬ころから釣れる大型の数がぐんと増えることからも、やはり鱒は貪欲に流れのなかの餌をむさぼり食うことで短期間に大型化するらしいと知れる。
そして、これもうすうす誰もが気づいているにちがいないが、大型の鱒の多くは渓流解禁直前か直後に支流で成魚放流された個体が本流域に落ちのびて、豊富な餌をむさぼることで短期間に急成長を遂げるのであろう。
これは実に理にかなった推測で、早春に支流との合流点付近で釣れる鱒のなかには、まだ養鱒場で育ったなごりを顕著にとどめる魚体が少なからず混じる。体色、鰭の塩梅等からやり込んだ釣り師なら誰が見てもそうだと理解できるのである。
こういう鱒は釣りやすく、支流との合流点付近で春先に狙うと、状況次第で数釣りを楽しめる。
しかし、尺を超すサイズの鱒は少なく、大物を期待して出かけるのなら、やはり晩春以降が手堅い。本流域で急成長した鱒に加えて海からサツキマスが戻ってくるため大物への期待がさらに高まるのである。

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40cm超級の本流アマゴ。このサイズを念頭に仕掛けを組む。

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アマゴは条件次第で、このように急成長する。

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アマゴも40cmを超えると鮭の形相をおびて来る。

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山の藤が房を垂れるころ、本流は盛期を迎える。

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むやみに投げても鱒はなかなか釣れない。流れを読むことこそ大事。

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対岸は広大な中洲であり、その向こうにも本流が流れている。

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減水すると瀬がプールみたいになることもある。

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緩やかな流れでは日暮と共に水生昆虫が乱舞しはじめる。

鱒の食性と釣り方
1. 上流域

さて、先ほど、上流域は解禁日(3月1日)から晩春までの釣り場だと書いたが、それ以降は釣果が落ちるというわけではない。では、なぜ行きたがらないかというと、気候がよくなると暑くて閉口するのが第一の原因である。上流域のゴルジュ地帯は、渓谷に沿う道路から流れのほとりまで降りて行くのにも、大変苦労する場所が少なくない。また、大岩の上を移動するのにも一汗かく。おまけに春以降は岩場が焼けて石焼き芋ならぬ石焼き釣り師になってしまいそうなため、とくに日中は誰も足を運びたがらない。

すでに、上流域は早春、春本番ころの釣り場であると書いたが、この時期は水生昆虫の羽化を念頭に置かずして鱒釣りは成立しない。
このころ、大きな淵のしずかな淀みやごく緩やかな流れの瀬ではユスリカ、アミカといった微細な蚊の仲間、あるいは小型のメイフライ(カゲロウ)がしきりに羽化するため、それを捕食しに鱒が水面まで浮かびあがってくる。これは、フライなら割合釣りやすいが、ルアーだと勝敗がはっきりわかれることが少なくない。ライズする姿が見えているのだから鱒がいるのはまちがいないが、それでもルアーに反応が鈍い、あるいはよく反応するといったぐあいに、はっきり分かれるのが普通である。
ルアーの種類は何でもよいが、まずミノーを投げてみてダメならスプーンを投げるというパターンが私には多い。ただし、仲間と連れ立って出かけるときは、相手の出方次第で、最後までミノーで釣りつづけることもあれば、のっけからスプーンをチョイスすることも少なくない。できるだけ同じ条件で釣って釣果の多寡を競い合う。まあ、ほんのご愛嬌という程度の他愛もない勝ち負けではあるが、それはそれで競争の楽しさを味わえてよい。
話が横道にそれたが、一通りミノーで釣って、その後、スプーンに変更する。スプーンは5~10gを多用する。スプーンだと飛距離を稼げるので、ミノーでは届かない遠い対岸の、その岸壁に沿う流れの筋を攻めるのにも好都合だ。また、その流れの筋と岸壁のあいだの緩流帯、すなわちポケットと呼ばれる部分に入っている鱒を直撃するのにもスプーンが重宝する。鱒がいれば着水と同時に食ってくることも少なくない。
そして、これは上流域にかぎったことではないが、ピンポイント、あるいは特定の流れの筋で鱒の出方を窺うばあいはメリハリのあるアクションで誘うことが多く、とくに大きな流れをひろく探るばあいはスプーンを多用してタダ巻きの速巻きで狙うことが少なくない。
このほか、ルアーの種類としては、スピナーやメタル系ルアーの出番も少ないながらなくはない。
たとえば、私の愛用するノリーズのメタルワサビーは、ドン深の大淵でフリーフォールさせたり、テンションフォールさせたりして釣ると、目をみはるような効果をあげることがしばしばある。いわゆる縦の釣りである。ひらひらしながら沈んでいくうちに通りがかった鱒がガブッと食いつく。アワセもへったくれもあったものではない。もう向こうアワセに、がっちり食らいついてくるのである。
だから、深くて大きな淵が連続する上流域では、メタルワサビーの出番も自然と多くなる。
むろん、中下流域でも水深のある場所では躊躇なく使う。

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上流ではナイロン4lbが定番。

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ゴルジュのなかを流れるこのエリアは晩春頃までが好期。あとは岩が焼けて、暑くて、日中は遠慮した。

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岩場の移動は骨が折れる。

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こういう流れを前にすると気分が清々する。

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激流は石の裏など流れの緩くなった場所を探る。

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対岸寄りの流れの筋で鱒がヒットした。

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大きなプールで水生昆虫にライズしていた鱒をキャッチ(3月下旬)

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早春の上流域は25cm前後がアベレージ(3月下旬)

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深場の切り札、ディープダイバーは7~9cm。

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ラフティングを楽しむ人たち。少し迷惑だが鱒の活性に影響はない。

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鱒の釣り場でなじみの紫蘭。存在感のある花だ。

2. 中下流域

4月中旬ころになると大型のモンカゲロウやマダラカゲロウの流下が目立って増え、鱒の重要なタンパク源であるヒゲナガカワトビケラ、オオシマトビケラの群飛が盛んになる。
むろん、日中でもフライフィッシングでは、大型のメイフライやトビケラを意識したフライで鱒を誘うが、このころからイブニングライズを狙っての釣りが多くなる。ヨットの帆のように羽根を立てた大型のモンカゲロウやマダラカゲロウが滑らかな水面に乗って下流へゆっくり流れ、ヒゲナガカワトビケラ、オオシマトビケラが水面をまるで忍者のようにジグザグに滑っていく。あるいは、底へ向かって潜っていく。しかも、大量に。
こういう光景を目にすると、鱒釣り師は心がわななく。
しかし、予想に反して、ルアーで狙うと、これがどうしてなかなか食いついてくれない。フライなら容易く鱒をものにできることが少なくないが、大きさやカラーや重量のちがうタイプをいろいろ試してみても、ルアーで釣るのは至難の業である。こんなときは、小型のミノーやスプーンをダウンクロスにキャストして、扇状に流れを横切らせるとよい反応を見せることがある。たまに、チョンチョンと竿の先を動かせて誘うのも効果的だ。下流側に流れきったらいきなり回収しないで、竿の先を上方へゆっくり立てることで1メートルほどルアーを上流側へ移動させてやる。そのとき、軽く誘ってやるのも悪くない。それで食わなければゆっくりリールを巻いて仕掛けを回収する。
しかし、緩い流れのイブニングライズ狙いも悪くはないが、やはりルアーのばあいは稚アユを含む小魚を追いまわす鱒に的を絞って白昼堂々長大な瀬を釣るのが断然おもしろい。
上流域とはちがって流れに沿う岸は広大な河原だったり、砂州だったりして、入釣の楽な場所が少なくない。釣入したポイントの対岸側が岸壁だったりテトラ地帯だったりするとなおのこと魅力的である。
このような場所は岩盤側、テトラ側が深く、砂州の渚に立ちこんで狙うと、ちょうど浅い側から深い側を釣るようになるため、急に落ち込んでいるところや、沈み石の前後など底の地形の変化の豊かな場所で大型の鱒がバイトしてくることが期待できる。ダウンクロスで淡々と釣りくだっていくだけでは物足りないなら、逆に釣りあがることで釣果を得ることもできる。
テトラ際、岩盤に沿う流れ等の急深部は、シンキングミノーやディープダイバー、スプーンを多用して、やや上流対岸に投げて巻いてみたり、あるいは誘ってみたり、また対岸に向けてキャストしたシンキングミノーやスプーンを、ラインを張ったまま下流側へ向けて送り込んでいくような攻め方をすると、大物に出会える確率がぐんと高くなる。
サスペンドタイプのミノーやシンキングミノーをやや上流対岸に向けて投げ入れ、流れに任せて下流側へとただよわせているときに、大物がよくヒットすることも知られているが、このばあいロッドの先を高めに保持し、なるべく手前側のラインを流れに持っていかれないように注意することが求められる。流れに任せて漂わせるのが基本だが、ふけた分だけラインをリールに巻き取りながら必要ならば根掛りを避ける要領で軽く誘いあげてやったりするのも効果的だ。自分の正面をルアーが過ぎて下流側へと移っていったなら上流側にラインを張って、そこから徐々に送り込んでいくという手もよく使う。
比較的浅い長大な瀬を釣りくだっていくばあいは、ダウンクロスのトゥイッチングやタダ巻きでポイントを攻め落としていく。一見単調に思われる瀬でも、鱒の付きそうな石が沈んでいたりするものだ。あるいは鱒の止まりそうなカケアガリが必ず何カ所かあるものだ。
また、長大な瀬は、意外な場所に鱒がひそんでいたりもするので、下流対岸にルアーを投げて扇状に広く探るダウンクロスの釣りが鱒を誘い出しやすいのはまちがいない。また、ダウンクロスの釣りはわかりやすく初心者にも向いた釣法であるといえる。
流れの押しが強いようならダウンクロスにキャストしたのちに二歩三歩下流側へ自分の立つ位置を移動することで、仕掛けを流れになじませることができる。ダウンクロスの釣りくだりは単調でおもしろみに欠けるという釣り師もままいるものだが、どんな釣法にも創意工夫と細心の注意を払わねばならぬ局面というのが必ずある。それがほんのちょっぴりのばあいでも、そこに気を使うか否かで釣果がちがってくることも少なくないので、のんべんだらりと仕掛けを扱うようなことだけは避けたいものだ。

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池田ダムのすぐ下流側で鱒を狙う。

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中下流域は長大な瀬と広いプールが連続する。

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見映えのする鱒が出た。中下流気では珍しくない(4月30日)。

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5月上旬はこのサイズがよく釣れた。

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吉野川本流の鱒。銀の鱗が剥がれるとパーマークが現れる(4月18日)。

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筆者愛用のフローティングミノー。

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おびただしいトビケラの脱皮殻。鱒の成長に欠かせない貴重な栄養源だ。

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盛期の本流は日暮にカゲロウが大量羽化する。

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無風。盛期の雨は鱒の活性をあげる。

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淀みなく流れる大淵は好ポイント。

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大淵の押しの強い流れを釣る。大物の期待が高まる。

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奥の落ち込みの速い流れが緩くなる付近でアタリがあった。

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雑木林の向こうに覗く魅力的な中流域の流れ。

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山のツツジか見ごろになると中下流域でも鱒が活気づく。

タックルについて

道具というものは人それぞれ好みがあって一概にどれがよいとはいえないが、長年、本流で鱒釣りをしてきた私が気に入って使用しているものを紹介してみたく思う。

(1)ロッド、リール
私が特に好んで使用するトラウトロッドは、ウエダ・サーフェイストゥイッチャー7フィート4インチとウエダ・トラウトスティンガー7フィート7インチの2本である。共にバット部にボロンをコンポジットすることで細身に仕上げ、粘りあるアクションを実現している。
サーフェイストゥイッチャーは春先に軽めのルアーで、主に上流域を釣るのに多用するが、水況や流れの大きさを睨んで問題ないと判断すれば中下流域でも使用することがある。ミノーイング専用ロッドであるが、私は5g前後のスプーンを用いて釣ることもある。
トラウトスティンガーは本流全域で使用する。ルアーは、ミノー、スプーン、スピナーなど種類を問わず使用する。ミノーは9cmまで、スプーンは14gまでを多用する。
リールは、サーフェイストゥイッチャーにはニューイグジスト2000、トラウトスティンガーにはニューイグジスト2510PE-Hというのが常である。
ただし、これ以外使用しないというわけではない。

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池田ダムのすぐ下流側で鱒を狙う。

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中下流域は長大な瀬と広いプールが連続する。

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見映えのする鱒が出た。中下流気では珍しくない(4月30日)。

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5月上旬はこのサイズがよく釣れた。

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吉野川本流の鱒。銀の鱗が剥がれるとパーマークが現れる(4月18日)。

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筆者愛用のフローティングミノー。

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おびただしいトビケラの脱皮殻。鱒の成長に欠かせない貴重な栄養源だ。

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盛期の本流は日暮にカゲロウが大量羽化する。

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無風。盛期の雨は鱒の活性をあげる。

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淀みなく流れる大淵は好ポイント。

(2)ライン、リーダー
ナイロンラインをメインにPEラインも使用する。
ナイロンは、シルバースレッドトラウトクリアー4lb、6lb。あるいは、シルバースレッドアイキャッチ4lb、6lbをよく使う。4lbにはシルバースレッドトラウトリーダー6lbを1m程度足す。シルバースレッドアイキャッチは蛍光イエローであるのにリーダーは必要ないのかという人もなかにはいるが、ラインのカラーが釣果に影響することはほとんどないと私は考えているのでリーダーは使用しない。ただし、これも強度が欲しいので4lbのばあいのみ6lbのリーダーを結ぶ。
PEは、シルバースレッドアイキャッチPEマークス0.4号、キャスラインエギングスーパーPE0.6号を使用。リーダーはシルバースレッドトラウトリーダーFC6lb、スタークU2の1.2号のどちらかを使用する。PEラインは浮きあがりやすいので仕掛けをよりよく馴染ませる意味合いから水況次第でフロロとナイロンを使い分けるようにしている。また、リーダーの全長も状況を睨んで長くしたり短くしたりする。

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本流の主役であるナイロンライン。

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PEは水況を睨んでリーダーの長さを変えることが重要。

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PEのリーダーはナイロン、フロロを使用。

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お役御免となったシルバースレッドトラウト。数々の名勝負が頭をよぐる(4月13日)。

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既に廃番のシルバースレッドトラウト。大物と数多く出会わせてくれた名品であった。

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押しの強い流れでもシルバースレッドトラウト6lbなら安心してやり取りできる。

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ラインカラーが鱒に警戒心を起こさせることはないと考えている。

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PEラインにヒットした本流の鱒(5月18日)。

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これが、シルバースレッドトラウトクリアーの実力だ(5月4日)。

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男爵に鱒が連発。中流域のレギュラーサイズだ(5月6日)。

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浅い瀬で釣れた鱒。ラインはシルバースレッドトラウトクリアー6lbである(5月6日)。

(3)ルアー
ミノーは、ザウルス・ブラウニー、タックルハウス・ツィンクル、スミス・パニッシュ、ノリーズ・レイダウンミノートラウトを多用する。普通のミノーのほかディープダイバーも出番は多い。フローティング、サスペンド、シンキングを用意しておく。サイズは5~9cmをよく使う。
スプーンは、速い流れのなかの釣りを想定して遜色ないものを選ぶよう心がけている。多くのスプーンは止水ではその性能をいかんなく発揮しても瀬でダウンクロスの釣りを行うと流れからとびだしてしまい釣りにならないものが少なくない。その点、ティムコ・ライトニングウォブラー、ティファ・ブリリアントは私の期待に応えてくれる優れたスプーンだ。とくにライトニングウォブラーはその独自のデザインから非常によく飛ぶ。重さは5~10gを多用する。

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スピナーの出番は多くはないが5~8gを用意。

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スプーンは10g前後。なかでも、ティムコ・ライトグウォブラーは超お気に入り。

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合成樹脂製のミノーはスミス・パニッシュを多用。

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木製のミノーは鱒の反応がよい。

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サスペンドミノーを捕えた鱒。

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深い瀬をアップクロスで攻めてものにした。

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ノリーズ・メタルワサビー。

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深い淵はメタルワサビーをフォールさせることでバイトを誘発する。

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流れの遅いプールも水深があればフォール時にバイトが期待できる。

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メタルワサビーをがっつり捕えた鱒(4月21日)。

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フォールで食ってきた良型。

(4)スナップ
スナップは、カルディバ・サイレントマイクロスナップを気に入って使っている。

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筆者お気に入りのスナップ。

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ルアーをスナップにセットする。今日は釣れるかな。

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スプーンは、スナップで連結する。

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池田ダムより数キロ下流側の中流域も鱒の好釣り場だ。

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ミノーで誘って食わせた。

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中流域の瀬で誘ってシンキングミノーで食わせた。

以上が、私の愛用の道具たちである。
今まで一緒に鱒と闘ってきた歴戦の勇士ともいうべき私の道具たち。使い飽きるというよりも、むしろ年々愛着が深まる。古くても、新しくても、よいものはよい。
そして、いつも思うのだが、道具は使いようである。使い方ひとつで生きたり死んだりする。だから、釣れないからといって道具のせいばかりにはしていられない。よい道具も使いこなせて初めてよい働きをする。たとえば、よく試してもみないで「このルアーはダメだから、もっとよく釣れるルアーをみつけて買おう」なんて考えるのは了見がちがうだろう。
よく適材適所という。人にそれがあるのなら道具にもあるにちがいない。そう信じて、手に入れた道具は徹底的に試し、決してぞんざいに扱わぬがよい。
では、みなさん、よい釣りを!

【今回の使用タックル&ライン】

ロッド : ウエダ STS-74MN-Si BORON
       ウエダ TSS-77Ti BORON など
リール : ダイワ ニュー イグジスト 2000
       ダイワ ニュー イグジスト 2510PE-H など
ライン : ユニチカ シルバースレッドトラウトクリアー 4lb、6lb
       ユニチカ シルバースレッドアイキャッチ 4lb、6lb
       ユニチカ シルバースレッドアイキャッチPEマークス 4lb
リーダー : ユニチカ シルバースレッドトラウトリーダーFC 4lb、6lb

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