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釣行記

釣行レポート

2012年7月21日~8月6日

夏チヌのダンゴ釣り

チヌのダンゴ釣りにはブッコミ釣りと紀州釣りがある。筏用の短い竿でウキを使用せずに底を釣るブッコミ釣りはサイズ狙い、磯竿でウキを用いて底付近をねらう紀州釣りは数を稼ぐ釣法と考えている人が多いが、私は足元付近の障害物の有無、ポイントが近いか遠いか、潮が速いか遅いか等の条件を睨んで、どちらのスタイルを採用するのか決めるようにしている。

釣り場

高松港付近のチヌの釣り場は、堤防やコンクリート波止、波返しの上に釣り座を据えて釣ることが多く、足元から急に深くなっていることからブッコミ釣りを楽しめるエリアだといってよい。
そのなかでも、今回は高松港の西側、それも市街地からごく近い場所だけをいくつか紹介しておこうと思う。
高松港に隣接する大的場には、注意しないと見落としてしまいそうなコンクリートの小波止があるが、どうしてけっこうチヌが釣れる。波返しの上に釣り座を据えて外向きを釣ると潮の高い時間帯に塩焼きサイズの数釣りが楽しめる。大型も少しは釣れるが、それは満潮前後の潮のゆるい時間帯に食うことが少なくない。混みあう心配がないため、のんびり楽しめる私の好きな釣り場のひとつである。
高松漁港の赤灯台波止と、その対岸にあるコンクリートの短い波止も夏場にチヌがねらえる好ポイントだ。赤灯台波止は外向き、短い方の波止は内向きを釣る。とくに赤灯台波止は潮次第で入れ食いになることもあって昔から人気がある。
免許センター裏の弦打木材港は誰もが知る夏のチヌ釣り場である。波止は灯台のない西波止がよく、岸壁からもねらう人が少なくない。いずれも港内を釣るが、波止の付け根付近なら潮が速くないため外向きも有望だ。波止の付け根から、その西に河口をひらく本津川までのあいだに塀のようにつづく波返しの上から釣ってもおもしろい。総じて外向きは水深がやや浅く、波止の港内向きは深い。

潮下へと仕掛けを送る

これも一概には言えないが、港内向きよりも外向きをねらった方が、大物が食ってくる確率は高いようだ。
このほか、潮順によってもサイズに差が出ることが少なくない。数はともかく大物は大潮、中潮まわりがヒットしやすい傾向にある。
流れはないよりあった方がよくて、ダンゴを突っつくアタリもよく出る。ダンゴが割れると道糸の張りがわずかに緩み、仕掛けが潮下へと流れはじめる。食いがよければダンゴが割れた瞬間にサシエを食うのでアワセをくれてやれば問題ないが、すぐにアタリが来ないときは竿の穂先を潮下側へと送ってやるようにしないと潮の速さ次第でサシエが底から浮き上がってしまう。とくに潮の速いときはあらかじめ竿の穂先を潮上側に向けて仕掛けを張るようにしておくと、ダンゴが割れたあと潮下へと長い距離仕掛けを送ることができるので、サシエが底をキープしやすくチヌに違和感なく口を使わせるように仕向けやすい。よほどでないと私はオモリを使わないので、潮の速いときのこの穂先の潮下への移動による浮き上がり軽減のテクニックは重要である。

仕掛けの張りは緩めに

なお、穂先にアタリが見てとれるかぎり仕掛けは緩めに張っておくとよい。ダンゴが割れてさらに仕掛けがふけてもアタリがわかるようならそのままで本アタリを待つ。仕掛けは張りすぎないほうがチヌの食いがよい。風で空中の道糸が湾曲しても気にしない。チヌがサシエを口にすると道糸が動いてアタリを知らせてくれる。ただし、ダンゴが割れると空中の道糸が風に吹きさらわれて仕掛け全体が浮上してしまうようなばあいは、穂先を出来るだけ海面近くに下げて風の抵抗を軽減するよう努める。

サシエ

サシエは、その手返しの速さからオキアミをメインに、潮がよく飛ぶ時間帯は自重があって底をキープしやすい練り餌を多用するのが私流だ。ダンゴ釣りに用いるサシエはほかにも種類が多いが、考え出すときりがないのでオキアミ、練り餌だけを持って出かけるようにしている。

ダンゴ餌

ダンゴ餌は、その人その人の好みで配合するダンゴの素や水加減にちがいがある。
一般的には、サナギ粉、乾燥オカラ、土(白土、赤土など)の三品を混ぜ合わせたものに水を加えて自分好みに仕上げるが、土は堆積して海底を荒らすのでよくないとの悪評から、最近は各メーカーの発売する市販のダンゴ餌を使用する人が増えている。
たとえば、マルキューの波止ダンゴチヌは単品でも使用が可能で、ダンゴを握り慣れない初心者には扱いやすく釣果もじゅうぶん期待できる。
私のレシピを記すなら、これもすべてマルキューの商品だが、荒びきさなぎ900g1袋、オカラだんご1/4袋をバッカンに移して混ぜ合わせたものに水1.5ℓを加えて更によく混ぜ合わせる。最後に紀州マッハ攻深場を1/2袋加えてムラができないよう混ぜ合わせて完成である。
このダンゴで、水深5m前後を釣ることが多い。むろん、それより深くても固く握ることでもう少し深場をねらうことも可能だ。このほか、握り加減は、潮の速さ、チヌの食い気、餌盗りの種類や数に応じて変えるが、この辺りを文章に現すのは難しい。経験の積み重ねで慣れていくよりほかなさそうである。

タックル、ラインなど

道具類についても触れておくと、竿は筏用の2.1m、リールは少し沖目へと仕掛けを投入するため両軸リールではなく小型スピニングリールを使用。道糸は、ユニチカのハリス、グンターかスタークU2の1.2号で代用する。その先に1mほど継ぎ足すハリスはユニチカアイガーIIIスーパー1.2号である。道糸にナイロンを用いると、リールのスプールによく馴染み、トラブルが少なく、適度な伸びがチヌとのやり取りを楽にしてくれる。高比重のフロロをハリスに用いるのは、ダンゴが割れたあとサシエの浮き上がりを軽減するねらいからである。チヌ用の筏竿はごく小さな針金ガイドを取り付けてあるため、摩擦抵抗が大きく、ラインの強度が落ちやすい。そうでなくとも大型のチヌとのやり取りのほか夏場は数を釣るのがねらいであるため強度低下が著しい。だから、道糸、ハリスは信頼性の高いものを選ぶことが大切だ。
なお、道糸とハリスはチチワ結びで連結する。
鈎は、チヌ用の3号程度が望ましい。

実践から学ぶ

今年は、大型のチヌがよく釣れているが、本来は夏チヌというと小型、中型がメインである。ダンゴ釣りのばあい、とくに数を釣る目的から、手返しの速さスムーズさが要求されるが、これは熱心に通って習得するよりほか上達の余地はない。また、強い風や波浪を避けて釣行を見送ってばかりいるようでは技術の向上は望めない。
ダンゴ釣りにかぎったことではないが、行かないことには魚は釣れないのである。
高松市内の波止や堤防では、10月いっぱいダンゴ釣りが楽しめる。むろん、それ以降も釣れないことはないが、餌盗りが減って中小型のチヌの数も減る秋以降はフカセ釣りで大型をねらう方が理にかなっている。
夏のチヌは塩焼き、ムニエルなどで食べると美味しいし、大きなのが釣れたら刺身でもじゅうぶんいただける。なので、釣ったらぜひ持ち帰って食べてみよう。
数を釣る楽しみと、食べる楽しみ。それが、夏チヌ釣りの魅力である。
では、みなさんも、よい釣りを!

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使用したライン。

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サシエは手返しを重視して、オキアミを多用。

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タックルのほか水汲みバケツ、専用バッカン、クーラーも必要。

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筆者愛用のチヌ用筏竿とリール。

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高松漁港赤灯台波止は、足場もよくて人気が高い。

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隠れた穴場の大的場。時合は満潮前後の流れが緩む短時間。

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少し大きめの夏チヌ。銀ピカの魚体が美しい。

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待望のチヌをゲットした秀ちゃん。

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筆者は50cmオーバーも手にした。

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繊細な穂先の筏竿でチヌとやり取りするのはドキドキもの。

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これぞ本命の夏チヌ、塩焼きで食べるとうまい。

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短い時合を手返しよく釣る。スカリの中にチヌが増えていく。

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水生植物のガガブタ。ダンゴ釣りが盛期を迎えるころ白い可憐な花を咲かせる。

【今回の使用タックル&ライン】

竿 : ダイワ 飛竜イカダくわせ210
リール : ダイワ カルディアキックス2004
道 糸 : ユニチカ グンター1.2号 もしくはスタークU2 1.2号
ハリス : ユニチカ アイガーIIIスーパー1.2号
釣り鈎 : チヌ鈎3号程度

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