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釣行記

釣行レポート

2013年3月30日

南大王川のアマゴ

途中、吉野川本流へ寄り道して鱒を釣る

まず、この川の好きなところは、名前である。
その名を南大王川という。徳島県との県境から10㎞ほど上流で吉野川本流へとそそぐ高知県南小川の一支流。大きな堰堤が随所に設けられており、渓の流れまで降りるのに難儀する場所も少なくないが、水が澄んで美しく景観もそう悪くない。
私が訪れた3月30日(土)は、午後から晴れ間の覗く穏やかな天気であったが、釣り場へは16時ころに到着した。この日、国道32号を吉野川本流に沿って上流へと車を進めた私は、正午過ぎにはもう高知県に居たのだが、すぐに南大王川へは向かわずに、吉野川本流で鱒を釣ってから現地入りした。地名でいうと大久保から永淵にかけてであるが、この付近の吉野川本流は鱒の魚影が濃く、尺クラスも少なくないので、いつもわくわくしながら国道から急な斜面を大きな岩だらけの流れのほとりまで降りるのだが、この日は期待したほどよいサイズの鱒には出会えなかった。まだ3月下旬の真昼なので、全然予想していなかったわけではないが、重たい流れのなかに沈む大きな石のすぐ前でギラッと反転してミノーを捕えた鱒を除くと、釣れた鱒は3尾とも渓流の良型くらいの大きさで、しかも、この時期にしては細身であった。水生昆虫のハッチ(羽化)は盛んだし、小魚も緩い流れの石の陰にけっこう泳いでいたにしては、まあ、たまたまだったのかもしれないが、このサイズ、このプロポーションには不満が残った。食べ物が少なくないなら、もっと肥えていていいだろう。ただ、さっき言った重たい流れの石の頭でミノーを捕えた1尾だけは大きく、しかも体高が出て素敵だった。これは、ファイト中にバレたのだが、かなり近くまで寄せて取り損なったので魚は確認している。ちょっと残念な気もするが、まあ、仕方ない。
「鱒はバレやすい魚だからな、とくに強い流れのなかでは鈎ハズレも少なくない」と勝手な言い訳を吐いて、さっさと道具を片づけて、その場を去った。

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吉野川本流では6lbを多用する

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渓でいに咲いた椿の花

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対岸の落石が沈む付近で2匹の鱒がヒットした

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本流上流域は透明度が高い

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深くて広いプールだが近づくと流は緩くない

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吉野川本流でこのサイズでは満足できぬ

夕暮れに活性あがる

南大王川へは16時過ぎに着いた。本流で少し体力を使ったので、今回は入渓しやすい場所を選んで釣ることにした。南小川との分岐点からほんの数キロ上流である。林道が「福寿草の里」方面へと流れを渡るその橋のたもとから降りて釣りあがる。これが当初の計画だったが、先行者がいた。私は、その橋を渡らずに橋の手前の南大王川上流へと向かう林道沿いに数分ばかり車を走らせて、道が広くなった路肩に車を乗り入れた。
この付近は、山の斜面がとくに急で、流れまではかなり遠い。しかしながら、降りやすい橋の前後の流れに先行者がいたのだからしょうがなかった。
渓へ降りてすぐにアマゴが連発した。流れに出て盛んにライズしていたので、「しまったぁ!フライのほうが釣れたな、これは」と残念がったが、ミノーへの反応も悪くないのには気をよくした。しかし、最初に釣れたもの以外はサイズが小さい。釣っては逃がし釣っては逃がししながら青石の多い澄んだ流れを釣りあがっていくと、少し奥行きのあるプールが目の前に現れた。底の石が水に透けて、落ち込みの脇のゆるい流れの筋に出てアマゴが盛んにライズをくり返している。少し大きめのメイフライ(かげろう)が、まるでヨットの帆みたいに羽根を立てて水面に乗っかりこちらへとくだってくる。ほかにもガガンボなど水生昆虫はハッチしていたが、アマゴがどれを捕食しているのか、またすべての水生昆虫を幅広く食っているのか、一見しただけではわからなかった。いずれにしろアマゴの目が水面に向いているのだから餌釣りには条件がよくないだろう。ひょっとするとルアーにも反応がよくないのではないか。じっさい、釣れるアマゴは小さい。なのに、ライズしているアマゴは良型が少なくない。そいつを狙おうと投げて誘っても反応しないのは、やはりルアーの条件としてはよくないといえそうだ。
「フライがあればな」と私は溜息をついて、しばらく掛け心地よい石に腰をおろして休憩した。
そのあいだも澄んだ流れのあちこちで水面がはじけ、アマゴが虫にとびかかる。
「おお、いいサイズ!」
すでに、時間は17時半を過ぎていた。このぶんだと最初の堰堤の下のプールとその次の堰堤下のプールを釣ったら時間切れだな、そう思いながら私は腰をあげた。
渓へ降りてすぐ釣れた良型はダイワ・ドクターミノーだったが、こんどはタックルハウスのツインクルのいちばん小さいヤツ。これをシルバースレッドトラウトクリアー4lbに結んで投げる。キャストに必要な距離はたかが知れているので、ウッド素材のミノーでじゅうぶん攻め落とせる状況だ。アマゴがうわずっていることと堰堤下のプール以外は大して深くないので、フローティングの方が動きもきびきびしているし良いのだが、あまりにもライズが盛んなので、流れの筋に乗せて、水面下を誘わずにくだらせるという釣法も試してみたかったのでシンキングを使用した。これは、いつでもどこでも使える釣法ではないが、ライズが頻繁で普通のタダ巻き、トゥイッチに反応が鈍いときに行うとけっこう釣れることがある。キャスト後、ラインを張ったまま竿先を上方向へ徐々に立てながらラインスラッグをリールに巻き取っていくだけだが、沈み石の付近を通過するときだけ軽く誘うという手も考えられる。まるで、ウェットフライ釣法みたいだが、今回は少し広い流れの流芯脇の安定した緩やかな流れの筋に乗せて、この釣法でやっているときに落ち込み下の少し深い場所から手前の浅い場所へと駆け上がってくる辺りでじゃれついてくるアマゴを肉眼でとらえた私は、チョン、チョンと軽く誘ってみた。アタリが来なかったのでダメかと思っていると、その一瞬後に水中をただようツインクルをアマゴがひったくっていった。アマゴは落ち込みの下の深場へ一目散に逃げ込もうと上流へ走った。そのはずみに、竿先がグイッと押さえ込まれ、アワセをくれるとロッドが綺麗な弧を描いて撓った。この方法で釣れたのは1尾だけであったが、アタリは数回あった。
それにしても、山は日が暮れるのが早いものだ。18時を過ぎると、ぐんと薄暗さが増す。さきにも述べたが斜面が急で、木立のなかを無理して道まで出るのはなかなか難儀するところでもあるから、そろそろ釣りを切り上げて、元来たコースをたどって車まで戻る必要があった。しかし、堰堤下の広くて深いプールは目前に迫っていた。ここを釣らずに帰るのは惜しい気がした。私はウエストバッグのなかのライトを取り出して点灯させてみた。そして、じゅうぶん明るいことに安心して、またバッグのなかにもどした。明るいうちに戻れるはずだが、もし戻る途中で暗くなってもそれは大した距離ではないだろう。ライトを持ってさえいれば大丈夫と判断した。
これは正解だった。
堰堤下の落ち込みの流れにミノーを投げて、少し沈め、トゥイッチを行い、ヒラキぎりぎりまで誘いに誘った。ファーストキャストからアタリが来て、私はヤル気が出た。同じ場所へキャストするのも何なので、少し動いて右寄りの流れを釣ってみた。すると、さっきのように落ち込み下の流れが白い泡を立てているところへミノーを投げると、落ちてすぐアマゴが食いついた。このアマゴは22cmだったがよく肥えていた。
けっきょくこのプールでは、なけなしの時間にあせって、早く取り込もうとして、2尾は捕り損なったが、2尾は無事にランディングすることができ、私は全身が光輝に包まれるような満足感でいっぱいであった。
そのことも嬉しかったが、まだ辺りが闇に呑まれる前に車まで戻れてほっとした。
次回は、少し早めにやって来て、もう少し上流の流れで竿を出してみたい。そこに先行者がいて、今日釣った場所に入ることも考えられるので、フライタックルも用意してこよう。
私は、道具を車に積んだあと、山道をくだりながら、そんなことを考えていた。
もう国道までは目と鼻の先だ。

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渓流では4lbを多用する

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筆者はウッド素材を好むが合成樹脂のミノーでも問題ない

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アマゴがヒット。ロッドが絞り込まれる

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広めのフラットな流れでミノーを捕らえたアマゴ

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底に沈み石が配された流れに期待

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流れがぶつかる石すれすれでヒットしたアマゴ

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堰堤下のプールで出た良型

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冬の呪縛から解放された春のアマゴ綺麗だ

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小型スプーンを投げるとイヤリングサイズが連発

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今回、釣ったアマゴはすべてリリースした

【今回の使用タックル&ライン】

[釣り場] 高知県吉野川本流
ロッド : ウエダ サーフェーストゥイッチャー74MN-HSi
リール : ダイワ イグジスト2004
ライン : ユニチカ シルバースレッドトラウトクリアー 6lb

[釣り場] 高知県大豊町南大王川
ロッド : シマノ カーディフ エクスリードHKS59UL/F
リール : シマノ ツインパワーC2000HGS
ライン : ユニチカ シルバースレッドトラウトクリアー 4lb

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