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釣行記

釣行レポート

2014年2月3日

ガーネットの転がる川で

 月刊『愛石』という専門誌があるそうだが、まだ読んだことがない。しかし、その本で関川水系が何度か話題にのぼっていることは聞いて知っていた。
  なにせ、縁遠い鉱石の世界の話なので知ったかぶりもできないが、たとえば関川水系の幾種かの石の質がこれまで訪れた他のどの河川ともちがっているぞというくらいのことなら素人の私にだってすぐわかる。
 とにかく、変わった石が多い。
 そして、釣り場で出会う人のなかに、多くの鉱石愛好家がいるというのも、この川ならではの特色だ。ときに、その数はその日に出会う釣り師の数をうわまわる。
 そういう事情から、この水系を釣り歩いていると、「このへんの山、それと山をくだる河川は、終点の海の近くまで、鉱石の宝庫です。たとえば、ほら、この赤斑な石。これなど、きっと叩き割れば中身は柘榴の実のようなぐあいでしょう。だから柘榴石と呼ばれています。たいへん珍しいです」というような興味深い話がごく普通に耳に聞こえてきたりもする。

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石に埋まったガーネットの原石

「ざくろ、ですか」
「はい。まあ、普通の色をした石のなかに沢山の梅干しが埋まっているようにも見えますが、先人が柘榴の実に見立てたわけです。これは川をくだるときに磨滅して表面が滑らかになっただけのこと。石も角がとれるし、石に埋まったルビーの原石も表面部分はそうなるわけです」
「え、これって、ルビーなの!」
「あはは。ルビーは嘘ですが、でもガーネットです。ほら、ここをみてください。六角形のが、ほら、ここに見えるでしょ。これくらいの石ですと、先ほど申し上げたように、かち割るとガーネットが結晶のかたちそのものとして現れます。これが多く寄り合うと粒立った柘榴の実を思わせるわけです」
「水晶石の断面みたい」
「ガーネットは24面体(聞きちがいかも。12面体だったかもしれない)の鉱石で、私は直径6センチ(どこで採取したかは硬く口を閉ざして語らなかった)くらいのを数個所有しております。それ以上に大きいのもあるにはありますが、そうなると球体に近くなります」
「この辺でも採れますか。みるかぎり、大きいので1センチあるなしですね」
「そもそも現在、採取は認められておりません。川にあるものなら砂の一粒まで国の財産です。でも、ほんとうに稀の稀にですが、3センチが出ることがある。3センチなら市の展示館を訪ねればご覧になれます。ガラスケースに収められた原石が」
 これは、川で懇意になった鉱石狂の先生との会話の一部であるが、磨滅していない直径6センチのガーネットの原石が、石の中からゴツゴツした赤い顔をはみださせているのを何個も発見したら、どんなに嬉しいだろう。ワクワクするにちがいない。頭にカッと血がのぼってしまうかもしれない。きっと億万長者になれると小躍りするはずだ。読者諸君もそう思うだろう。じつは、私もそう考えた。で、「欲深な話でお恥ずかしいが」と前置いて、その先生に訊いてみると、「残念ながら宝石としての価値はほとんどありません。質的に粗悪ですから」という返答であった。
 ただし、3センチ、6センチの直径があって、立派な多面体を誇る色のよいものなら鉱石の専門家の間では相当に自慢できるそうなので、まったく値打ちがないとは言いきれない。
 また、二ツ岳とその付近の峰々にはガーネットのほかにも目を引く鉱石が沢山眠っていて、おそらく一生かかっても楽しみ尽くせないだろうと鉱石狂先生はおっしゃっていた。
 これだけ鉱石の種類の多い山、川は日本でもここしかないそうで、日本じゅうから専門家が訪れるそうである。なかでも、ダイヤモンドの原石は有名で、何度かテレビ番組が組まれたそうだ。このロケに鉱石狂先生らが協力した話をつい先日先生ご本人から聞かされた。
 私はこの山系に居住する地元の人から随分昔にダイヤモンドの話を聞いて知っていた。山歩きに来た大学生らが、その老人の自宅のある地区の沢沿いで小指の先ほどもある原石を拾ったという。そこで、これこそガーネット以上に美味しい話ではないかと先生にぶつけてみたら、ダイヤモンド原石の多くは、原石というより粉末みたいなもので、石のなかでキラキラ光っているにすぎないとのことだった。
 さて、このような鉱石の話ばかりしていては、「なんだ、この野郎、肝心の釣りはどうした!」と叱責を賜りそうなので、そろそろ本題に入らなければならないが、じつのところ解禁日に釣り仲間の中村さんらが出かけ、初日と2日に他の仲間も我先にと出かけて攻めに攻めたせいで、私が2月3日にルアーでアマゴを狙いに出かけたときは散々な目をみた。
 仕方なく、予定にはない浦山川の上の方で、竿抜けのポイントを叩いて悪くないサイズのアマゴを数尾ばかり手にしたが、解禁の2月にふさわしい陽気の下流域では写真の1尾しかものにできなかった。
 二ツ岳に向かって車を進めると、標高千メートル付近で雪景色となり、地肌がむき出しの林道は凍結で滑った。だから、釣りをしたのは、もう少し手前であるが、地元の釣り仲間に写真を撮らない約束で釣らせてもらったので約束を破るわけにもいかない。
 用いた道具やルアーは写真に見るとおりである。ラインは、ユニチカ シルバースレッドトラウトクリアー3lbを使用した。
 先にも述べたとおり、とにかく、解禁当初は釣り師が多い。関川水系はどれも流程のさほど長くない流れであり、入渓が楽で魚影の濃い実績場は同好の士でにぎわう。ならば、四国じゅうの渓流が解禁を迎える3月以降、できれば桜の花のころに出かける方がのんびり釣れて好都合だ。そのころなら、冬の呪縛から解放された元気で綺麗なアマゴが、釣りに訪れたあなたを快く出迎えてくれるはずである。サビもすっかりとれた若葉の春のアマゴが。
 では、みなさん、よい釣りを!

 

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使用したラインとタックル

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スプーンは春らしいカラーを使用した

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キャッチした初アマゴは少し銀化していた

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釣る気満々出かけた下流域ではこれ1尾だけ

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数日後の下流i域での釣果

【今回の使用タックル&ライン】

ロッド : シマノ カーディフ・エクスリードHKS59UL/F
リール : シマノ ツインパワーC2000HGS
ライン : ユニチカ シルバースレッドトラウトクリアー3lb

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