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釣行記

釣行レポート

2014年4月8日

祖谷川近況

スーパーマーケットの氷

 スーパーマーケットには無料の製氷機が設置されている。支払いを済ませてレジを抜けると、その辺の隅に見かけることが多いが、「ご自由にお取りください」とか「お一人様二袋まで」とか書いてあって、たいていは適当な大きさのポリ袋かビニール袋が備え付けてある。それに詰めて持ち帰る。この氷は製氷機の機種によって粒の大きさが異なるが、なかには粒を成さないかき氷状のものもある。
 そのことを、うちの連中はよく知っていて、粒の小さい氷か、あるいは粒の大きい角氷が貰えるスーパーマーケットで、弁当や飲み物を買っているようだ。かくいう私もそうで、コンビニもない山のなかへ釣りに行くときは飲食物を事前に購入して出かける。飲食物は貰った氷と一緒にクーラーボックスに入れておく。この氷で帰りは釣ったアマゴやイワナを冷やすというわけだ。

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4月。海抜のあまり高くない山中での積雪は珍しい

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道中、あちこちに桜が咲いていた

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壁に忍者の張りつく蕎麦屋。年中こうしている

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林道にも雪が消え残っていた

中流でも釣れはじめたイワナ

 四国にイワナの棲むことを知らない人が意外に多い。渓流釣り師のなかにも知らない人がいて、それだけならよいがこちらを嘘つきと見て、どこにいる? いるなら出してみろ? いないなら出さなくてもよいが、どこで釣れるか教えてくれ? と揶揄めかした詰め寄り方を度々されたものである。今はそうでもないが、15年くらい前ならそれが普通であった。
 私は人が悪いから親しい人にしか話さなかったので、あまりバカにされたりはしなかったが、うちの若い衆のなかには相当悔しい思いを何度か経験しているものが少なくない。
 木洩れ日でキラキラする夏の源流の冷たく澄んだ流れに、イワナはひっそり泳いでいる。
 しかし、どこの沢にもいるというわけではなくて、その棲息域はかなり限定的である。この稀少なイワナを初めて釣ったらどうだろう。トラウトフィッシャーマンなら小躍りするほど嬉しいにちがいない。元来、イワナは北に多い冷水系の鱒である。だから、南国四国在住の釣り師なら、「釣って小躍り、大喜び!」、それも無理はあるまい。
 だから、黙っていれば済むものを、ついつい口外してしまう。意地悪な言い方をすると、自慢したくてしょうがないのである。かといって、事情が事情だけに、他人に釣り場を知られたくない。これでは、釣ったぞ、どうだ、羨ましいだろう、と自慢たらたら聞かされた相手の方は腹が立って当然だ。ひとつ噛みついてやろうという気にもなるだろう。
 つい先日、祖谷川中流域にアマゴを狙いに出かけたらイワナも釣れた。源流の沢ではなくひらけた流れの渓流で、しかも何を食べたらこうなるのかプリプリとよく肥えていた。
 イワナの棲息圏は、地球温暖化が影響してか、世界的にみると北上をつづけているが、四国の渓流では中流域へ勢力圏を広げつつある。出水のときに下流へ流されたにすぎぬとの見方もあるが、それでもルアーで釣れる程度に数を増やしているのはまちがいない。
 ひろびろとした水域に餌が豊富にある条件下ならイワナは食いしん坊だから沢にいるより大きく育つだろう。どこの沢でも尺を超すイワナが激減した現在、吉野川水系にとって或る意味これは喜ばしいことかもしれない。
 ただ、イワナが増えつつある原因を出水で流されたとばかり決めつけるのは安直ではないか。原因はいろいろ考えられる。今後、冷静に見ていく姿勢が必要だ。

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落下する流れにミノーをキャストする

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ルアーを追ってくるアマゴが見えた

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釣りはじめてすぐイワナをキャッチ

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ぷりぷり肥えたイワナ。強烈な引きをみせた

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わりと良い型が出た

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20cm級は持ち帰って塩焼きに

カモシカという牛

 「四国にカモシカなどいるものか!」と聞く耳すら持たぬ人が少なからずいるが、そういう人は勝手に否定しておればよいのであって、こちらとしても放っておくにかぎるのだが、それはそうとカモシカは正真正銘の鹿とはちがい、人間を心底恐れる様子をこれっぽっちもみせない。牛の仲間のせいか何とも呑気な様子なのだ。剣山系の山中を歩いているときなど、ばったり出くわすと、いつも適当な間合いを取って、こちらをじっと見る。ただ、不測の事態に備えてか、いつでも逃げられるぞという姿勢で、「やあ、釣りかい?」というふうにこっちを観察しながら四つの足でたしかに立っているのである。
 いまじぶんは毛が黒く、その毛がやや多めなのは防寒対策か。それともお洒落をして異性を口説きに行く途中なのか。それはわからないが、カメラを向けると茶目っ気たっぷりに首をかしげて見せたり、目をパチパチやったりして、ポーズを決めてくれることも珍しくない。
 まさに、愛嬌のある動物である。

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剣山系にはカモシカも棲む

放流ボランティアを募集すべし

 漁協の組合員の高齢化が進んでいる。話に聞くところによると青年中年の人手不足から80歳、それ以上、稀にだが90歳の老人がアマゴを入れたバケツを持って流れのほとりまで降りていき、丁寧に放流した地域があるそうだ。しかも、90歳はともかく、これは例外でも特異でもなくて、ほぼどこの漁協も似たようなものであるらしい。むろん、脂の乗った壮年の組合員も少なくない地域もあるだろうが、高齢化が進んでいるのはれっきとした事実のようだ。
 これは四国の河川の漁協にとっては大問題で、ただ決められた数のアマゴを流れに放てば、それで役目を果たしたと胸を張れるわけでは決してない。
 その昔、組合員らがまだ若かりし頃は、アマゴを活かしたブリキの一斗缶を背に負い、岩だらけの荒い沢にも放してまわった。それが今では、民家の建ち並ぶ道のすぐ下を流れる里川風なひらけた流れにばかり過密に放流するものだから、解禁当初はよく釣れるが、熱心に通う餌釣りが数人もおりさえすれば、あっという間に釣られてしまい、あとに残るのはチビ助のアマゴとアブラハヤくらいのものである。規模の大きくない支流の渓流ではこの傾向が顕著である。
 しかし、支流といっても流程の長い大渓流では、放流しやすい場所が何十カ所もあるため、人出が揃えば広い範囲にアマゴがいきわたる。堰堤など魚止めとなる障害物のない地区なら、雲がひろがるようなあんばいに適度に散って釣りあがりを基本とする釣り師を退屈させることもない。
  うっかり歩みを進めたせいで、浅い場所に出ていたアマゴに走られてしまったという経験を渓流の釣り師ならば誰もが持つが、それでも深場へと一目散に走るアマゴの影を目の当たりにすると、しまった!という後悔と共に胸にいいしれぬ高鳴りをおぼえるのはなぜだろう。とんだ失態の末のことだとはいえ、たびたび魚影を目にする釣り場というのは安心だ。目にした何十倍、何百倍のアマゴがひそんでいるとの確信が持てれば、俄然やる気が出る。当然ながら腕前に応じて獲物は分配されるが、ビギナーズラックという忌々しくも自分ごとでないかぎりは面白くて仕方のない番狂わせもしばしば起こるからドタバタ劇にも事欠かない。それはそれで、楽しいことである。
 しかし、そうはいっても多くの支流では、若手の放流人員が激減しており、この現状は深刻で、手を打たずに済ますわけにもいかないだろう。
 それならば、インターネットを活用してボランティアを募ってみてはどうか。そうすれば参加した釣り師は、その川に最も精通した一人ということになり、解禁後の楽しみも倍増するだろう。
 これなら、漁協も釣り師も助かるだろうか。むろん、大助かりであろう。悪くない話ではないか。

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ユニチカ・シルバースレッドトラウトシリーズ。信頼できるラインだ

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タックルとルアー

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安全な場所へずりあげた

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流芯脇でミノーに食いついて来たアマゴ

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綺麗なアマゴが出た

祖谷川近況

 さて、実釣に関係のない話ばかりしてきたが、今期の祖谷川本流の状況は良くも悪くもない。少なくとも私の目にはそう映る。実際に仕掛けを入れてみても、その感想は変わらない。剣山系の高嶺には雪が残っており、また、その後、新雪で林道を白く埋もれさせる雪も降った。雨も少なくない。したがって水量は多めに推移しており、しかも安定している。
 4月中旬の現在までは、このような状況だ。
 いうまでもなく、祖谷川は暴れる恐ろしい。うかうかしていてひとつ間違えると命を取られかねない。
 しかし、減水気味の祖谷川などこれっぽっちの魅力もなければ釣りに行こうとも思わないだろう。
 やはり、増水して流れに勢いのある方が嬉しい。生還できる程度の増水で、しかも釣り場を熟知していない者には釣りが成立しにくい条件というのが当方としては一番おいしい。
 釣り慣れない釣り師が尻込みする条件ならば、多くの釣り場を独り占めできる。 この程度の増水が長くつづくなら、大物の期待もしていいだろう。
 今後が大いに楽しみである。

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対岸の反転流でアマゴがヒット!

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バルサーミノーのラパラを捕えた良型

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堰堤のつづく白井地区。釣り可能なぎりぎりの水況

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祖谷川本流のアマゴ。このサイズも珍しくない

【今回の使用タックル&ライン】

ロッド : シマノ カーディフ・エクスリードHKS59UL/F

       ウエダ STS-501MN-Si
リール : シマノ ツインパワーC2000HGS
       ダイワ・ニューセルテート1500
ライン : ユニチカ シルバースレッドトラウトクリアー4lb

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