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釣行記

釣行レポート

プラグで釣る秋季のブラックバス

2014年9月4日、10月18日

門入ダムへ

 田所さんに連れて行ってもらった長柄ダムでは満足できるサイズのブラックバスを釣ることができなかった。けれども、あくまでもそれは私自身の力不足からであり、田所さんがワームで釣った2尾のブラックバスは大きかったので、自分もあのサイズを釣りあげたいものだと思って、ひそかに釣り場を探していた。
 すると、それを聞きつけて電話をかけてきたデーブ鎌田が、「門入ダムならフロリダ系のバスが多いので、50cmクラスがけっこういますよ。メジャーな釣り場だけに一筋縄ではいきませんが、日暮が近づいて水生昆虫のハッチが始まると、そいつを食おうと水面まで浮いてきます。その少し前の時間帯ならなんとかなるでしょ」と丁寧に説明するので、なんだか行ってみたくなった。
 その話を田所さんにすると、誰もが使うありふれたルアーは見切られやすいため、トラウト用のミノーなんかを投げるといいかもしれないとアドバイスしてくれた。湖のマスを釣る要領で投げて誘えば釣れるのではないかということだった。
 出かけたのは、9月4日。バックウォーター側は小型が多いと聞いていたので、ダムの堰堤に近い側で危なげなく水のほとりまで降りていけるところを探してみた。公園のトイレのそばの柵越しに下を覗くと、ダムの堰堤寄りに釣り人が通って出来たにちがいない踏みつけ道が、生い茂る草のなかに細々と一筋見えた。
「あそこから降りよう」
 石を組んで固めたダム湖畔は、比較的足場がよく、横への移動も楽で釣りよい。
 水のほとりへ降りると、右側に雑木に覆われた急斜面が見えた。水中へと落ち込んでいくその下の方は岩土があらわとなって、傾斜が急なためごつごつした壁ともみてとれる。壁ぎわにつくブラックバスは多いと聞くから狙ってみる価値はじゅうぶんありそうだ。
 ルアーを正確に投げる技量に乏しい私だが、ちょうど投げやすい距離だし、水ぎわにルアーのフックが引っかかるような障害物がないので、思いきった気持ちで勝負に出てみた。すると、出来過ぎと感じるほど思ったところにキャストが決まったので、内心胸躍る気持ちであった。岸際に落ちたミノーを、山肌むき出しの水中の壁に沿わせて泳がせるイメージでタダ巻きしていると、いきなりドスンという衝撃と共に、仕掛けが反対方向に強く引かれた。アワセを入れる必要もなかった。仕掛けを引き絞ると、ロッドが綺麗な弧を描いて撓った。長柄ダムのときとは引きの強さがちがっていた。巨大とは思わないが、まあまあのサイズのブラックバスにちがいない。
 足元まで寄せてみると、やはり思ったとおり、悪くないサイズであった。やり込んでいるプロはだしの釣り師には物足らない中クラスだろうが、ルアー釣り一年生の私にしては上々の本命だったので、写真を撮った。

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このクラスがよく釣れた

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堰堤の高さが深さを物語る

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大きなダム湖ではないが水は澄んで深い

 このダム湖は餌となる水生昆虫や小魚が豊富だそうであるが、それは釣れたブラックバスの姿を一見すれば誰にでもわかる。体高があり、肌の色艶がよく、背中の方は透きとおるような深みのある緑色をしている。尾鰭も大きく、これなら先ほどパワフルな引きの醍醐味を味あわせてくれたことも大いに納得がいく。
 このファーストヒットに弾みがついて、短い時間のあいだに5尾のブラックバスが釣れた。ルアーはジャクソンのアスリートという9cmのミノーである。
 横に少しずつ移動しながら釣っていると、足元から沖へと向かう石組みの傾斜部に40cm級のブラックバスが数尾単位で回遊してくるのに出くわした。30cm以下の小型は目にできなかった。このことは私を勇気づける要因となった。独りでブラックバスをルアーで狙いに来るのは初めてだから、釣り場にその姿を目にできることは大きな安心につながる。
 のっけか5尾も釣れたのは、「投げて巻くだけでいいよ」と田所さんから聞いていたのを教えどおりに実践したためだが、それがあまりに大当たりしたものだから欲が出て、アスリートはトラウトを釣るのに適したミノーだからトゥイッチをビシバシ入れてマスを狙う要領で誘ってみたら、こいつはひょっとしてもっとたくさん釣れるかもしれない、サイズだって数段アップするかも知れないぞ、と出来心が働いた。
 ところが、たまたまかどうか、誘えば誘うほどアタリが遠のき、まるで下手糞みたいになってしまったので、これではいけないと思って、ふたたび元のタダ巻きにもどしてみた。すると、調子がまたもやあがって来た。
 釣っていくうちに、石組み護岸の行き止まりまで来た。
 ダムの堰堤の壁についていた1尾を首尾よく釣りあげたところで、来た方へともどりながら釣りはじる。この時点で9尾の本命を手にしていた私は、嬉しさと余裕から同じミノーで来た方へともどりながら釣っていった。ところが、たまにアタリは来るものの、フッキングしない。アタリの手ごたえからもブラックバスが警戒している感じがよく伝わってきた。ほんとうならルアーを交換した方がいいのだろうが、ブラックバスの学習能力がどれほどか知りたかったので、そのまま釣りつづけてみた。
 結果は、行きは9尾、帰りは2尾であった。しかも、この2尾を手にするのに行きの倍の時間がかかっている。割に合わないなと思った。
 釣りを終えて田所さんに結果を報告すると、「バスをバカにしてはいけません」と笑われたけれど、学習力はかなり高いとみた。
 それなら、次回は、さっと釣りあげて、さっと車で別の場所へと移動して、また釣って、・・・・・そういうことをくり返すことで、同じルアーで数を稼いでやろうと思った。
 そこで、田所さんにそう心の内を打ち明けると、「そもそも運がよかった。普通ちょっと投げて巻いただけで2ケタ釣果なんて、今どき出来過ぎですよ」と取り合ってもらえなかった

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ルアーはアスリート9cmを使用

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水が澄んでいるせいか美しい魚が多かった

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水生昆虫の羽化が始まるとバスが食いに浮上してくる

2014年10月18日

ふたたび門入ダムへ

 田所さんの言うことがどうやら正しいとわかったのは、その次にまた門入ダムへと独りブラックバスを釣りに来たときのことであった。
 この日、私が使ったのはダイワのピーナッツⅡというプラグ系のルアー。見た目は、オタマジャクシの出来損ない、あるいはあの膨れっ面の得意なフグに似ていて、釣れるか釣れないかはともかく、たいへん可愛らしい。
「秋は巻き物と申しますが、ほんとうによく釣れますよ、このピーナッツというルアーは。プロもビギナーも使っている不朽の名作です」
 私が買って来たのを見せると、田所さんが目を輝かせて褒めた。
「巻き物って?」と私は訊いた。
「タダ巻きで釣れるプラグ系のルアーを主にそう呼びます。バスの世界ではクランクベイトと呼ばれています。このピーナッツⅡは、その星の数ほどもある巻き物のなかでもトップクラスの水泳選手です。バスハンターもよく釣れますがね」
「バスハンター?」
「ピーナッツⅡの兄弟ルアーです。似ていますが、こちらの方が浮力に富みます。投げて、巻いて、止めて。すると、浮上しはじめますねえ。これをくり返していると、たまらなくなってバスの奴、パクッと食いつくわけです。むろん、こちらも巻き物にかわりはありませんから、タダ巻きでもじゅうぶん釣れます」
 ピーナッツⅡの今市販されているタイプは改良版であるとのことだった。田所さんは初期モデルを推奨したが、売ってないのでは買い求めようもない。バスハンターについては既に廃番で、中古のルアーを探すよりほか手はないそうだ。

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ダイワ・ピーナッツⅡ(上)とバスハンター(下)

「釣れると聞けば欲しくなる。廃番だと聞けばなおさら手に入れたいよね」と誰に言うとなく私が言うと、「はい、これ」と言って車のなかから出して来てプレゼントしてくれた。
「残念ながら初代のバスハンターではありませんが、頼りになるルアーに変わりはありません」と田所さんはちょっと自慢げに言って笑った。
「どうです。釣れそうでしょ?」
「ありがとうございます」と私は礼を述べた。
「たくさん釣ってきてください。ちょっとアドバイスするなら、底や壁、とにかく障害物にコツンと当たったときはルアーがイレギュラーしますから、動きが変わった途端にアタリが来ます。必ずではありませんが、その確率が高いので要注意です。時間が合えば、また今度ご一緒しましょう」
 先にも述べたが長柄ダムでは田所さんのような大きなブラックバスを釣ることができなかった。
 だから、ご一緒しましょうと水を向けられると、「よし、やってやるぜ!」という気持ちになる。
 そのためにも練習して上手にならないといけないのだが、さて、どうなることやら。
 今回も前回のアスリートを使って釣ったとき同様、ルアーを変えることなく頑張ってみるつもりで門入ダムをめざした。つまり、ピーナッツⅡだけを使って勝負してやろうというわけだ。これは、種類のちがったルアーを1個1個しっかり試してみたいという欲求からであった。幸いなことに近場にブラックバスの泳ぐダム湖や池や河川が多いので、空いた時間を利用すれば、その個々のルアーの特性を把握するのに大した苦労も要るまい。
 ピーナッツⅡは、アスリートとは比較にならないほど深く潜るので、浅くて底に根掛かりを誘発する障害物が多い場所では使用しにくい。その点、門入ダムの前回と同じ場所ならそういう心配は無用である。
 沖へ向けて投げると、腹に応えそうな独特の鈍い飛行音がした。トラウト用の細身のミノーなら音は気にならないが、丸みを帯びた個性的なボディーが生み出すその重低音は、初心者の私を大いに力づけた。
「よし、俺様に任せておけ!」
 そう言っているようでもあった。

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ピーナッツⅡで釣った初めてのブラックバス

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仕掛けを組む筆者

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対岸の橋の下付近も好釣り場だ

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適度にアタリが来て退屈しなかった

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東屋の建つ辺りはよく釣れるが小型が多い

 そのとおり。任せて正解であった。
 プラグ系のルアーに反応がいい秋も本番ということで、なんら疑いを抱くことなく自信満々に試してみたのだが、さすがに巻き物の代表格と評判の高いピーナッツⅡだけあって、午前中の朝遅くに、ちょっと狙ってみただけで、5尾のブラックバスを釣りあげることができた。
 ラインは前回同様、ユニチカ・ナイトゲームTHEメバルスーパーPE 4lb(0.3号)を使用。リーダーは、ユニチカ・アイガーⅢスーパー1.2号である。

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細仕掛けの組み合わせのド定番!

 話は前後するが、前回の釣行の後で、この使用すべきラインについて訊ねてみたところ、田所さんはナイロンがいいとの見解を示した。ほかの先達たちもナイロン派が多い。PEラインは感度がいいので、ルアーが底に当たったときの感触もありありと手元に伝わる。これは伸びが少ないためだが、アタリが素早く伝達される点でも優れている。軽くアワセを入れるだけで、フッキングする。これは、反射神経の鈍い私にはもってこいだ。ショートバイトのばあいは、伸びのなさが災いするのか、フッキング率がやや低いように感じたが、これも慌てず遅れずアワセを入れることでじゅうぶん対処できそうである。
 ロッドは、尺メバル用をチョイスして取り込みに少々難儀した前回の二の舞だけは避けようと思って、今回はしっかりしたロックフィッシュ用を使用した(じつをいうと、私はブラックバス専用のロッドを持っていない)。

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このクラスが5尾釣れた

 初めての単独釣行で幸運にも11尾の本命を手にしてしまっているだけに、今回は少々不甲斐なく感じないでもなかったが、それでも5尾という釣果は悪くない。私自身はそう思って納得している。
 ただ、少し残念なのは、釣れるブラックバスが前回に比べて見劣りするサイズばかりであったことだ。なぜだかわからないが小ぶりであった。
 釣りを終えてから、田所さんに連絡すると、「小さなスクールの回遊に当たったのでしょう」という答えが返ってきた。
 理由はどうであれ、今回もまた大型のブラックバスに出会うことはできなかった。
 しかし、バス通の釣り師が口をそろえて言うように、これからが巻き物本領発揮のシーズンなので、次回こそはその巻き物を使って大型をぜひとも手にしたいものだ。
「待っとけよーぉ、ランカーバス☆」
 では、みなさんも、よい釣りを!

【今回のタックル、ライン】

ロッド : ノリーズ スローリトリーブSR710F

      ノリーズ ロックフィッシュボトム610L

リール : ダイワ カルディアキックス2004

ライン : ユニチカ ナイトゲームTHEメバルスーパーPE 4lb(0.3号)

リーダー: ユニチカ アイガーⅢスーパー1.2号

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