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釣行記

釣行レポート

浜の浅瀬で狙う秋アオリ

2014年10月10日

 実釣レポートを連載している雑誌の記事に、高松市内のシーバスのルアーフィッシングを考えていた。ところが、ベイトフィッシュの回遊がごく少ないし、じっさい釣ってみてもまるで釣れないと腕前の確かな仲間の釣り師から連絡が来て、では十一月に延期しましょうということになった。こういう経緯から、今回もまた前回と同じアオリイカの取材とあいなったわけだが、十一月上旬発売(12月号)の雑誌だけに、香川県内の釣り場を紹介しても仕方がない気がした。なぜなら、秋アオリもそのころには終盤を迎えていそうに思われたからだ。
 そこで、今回は、徳島県鳴門市の北泊新港へプチ遠征することにした。
 一緒に釣るのは、もうずいぶんとつき合いの長い田所幸則さんである。
 当日は、田所さんのパジェロに同乗させてもらって現地入りした。
 ところが、この日は金曜日にもかかわらず、漁港の波止のいい場所にはすでに先行者が陣取っており、すでに釣りを終えて駐車場所の岸壁広場までもどっている者もいた。田所さんが釣れましたかと質問すると、全然ダメでしたと先行者の若者たちが口々に答えた。彼らは早朝組が去ったあとの第二陣で、しかも早朝組も釣れてなかったようですよと教えてくれた。
 私たちは、自販機で買ったドリンクを飲みながら、波止の波返しの上から海の様子を眺めた。空は薄曇り。けれども、陽ざしが顔を覗かせることもあった。
 海は凪いでいた。
 ちょうど波止の角付近の外向きのテトラの上に数人の若者がいた。赤灯台の立つ先端付近に釣り人の姿があった。
「ちょっと偵察してきます」と波返しの上から軽く竿を出してみたが釣れなかった田所さんが言った。
 田所さんを見送ったあと、私は漁港の岸壁から港内に仕掛けを垂らしてアジを狙っている老夫婦のサビキ釣りを見学しようと、そちらの方へ向かった。
 老夫婦は普段着のまま椅子に腰かけ仕掛けを上げ下げしていたが、おもしろいようにアジが釣れるので表情が明るかった。たくさんの鈎に何も釣れないこともあるにはあったが、二連、三連で釣れることもあった。なかには海へこぼれていのち拾いするアジもいた。アジのほかに、カワハギ、アイゴ、チャリゴ(手のひらサイズのマダイ)も混じった。アジが釣れるたび、後ろに据えた古いタイプの青い色をした大きなクーラーボックスの蓋が開け閉めされた。なかを覗くと大きな氷とともに相当な数のアジと少しばかりのアイゴ、カワハギ等が横腹をみせて重なっていた。そのなかでも釣られて間もないアジは元気がよくて、尾鰭に近い側をぶるぶる震わせていたが、それは、怒り心頭の体というよりは、怯えからくる痙攣のようであった。いつ勢いよく大袈裟に跳ねるかと見ていたら、その前に蓋が閉じてしまった。
「赤唐辛子を刻み込んで、三倍酢にすると最高でしょう」と私は老夫婦の釣りあげたアジを褒めながら言った。
「大きいのは三枚にひらいて、籠に吊るして一夜干しです」と爺さんが答えた。
 婆さんは、岩壁の上にこぼれたアジを手で押さえると、慣れた手つきでつかみあげ、クーラーボックスのなかへと仕舞った。爺さんは、バケツのアミエビをアミ籠に掬うと、仕掛けを海中へとゆっくり降ろした。竿は、しっかりしたノベ竿である。長さは六メートルほどか。リールを要しない簡素な仕掛けで、これだけのアジが釣れる。アジは、人間様はもちろん、アオリイカの好物だ。すると、そいつを捕って食おうと集まって来るアオリイカの数も半端ではないはずである。今日はエギングを楽しみにやってきた私たちにとってもいい日になるにちがいないと予感された。
 ところが、偵察からもどって来た田所さんが開口一番、フカセ釣りもエギングもまったく釣れていないと暗い顔をして言うので、こっちまで気持ちが沈んだ。到着早々釣れていないと若者らから聞かされたてはいたが、アオリイカの好物のアジがこんなにたくさん釣れているのだから、まさか波止全域がからっきしダメだとは考えもしなかった。北泊新港の波止は規模的にも決して小さくはないのである。
 くどいようだが、アジは釣れている。イワシの姿も見た。空にはカモメが舞っている。カモメよりも高く輪を描いて飛ぶのは、まぎれもなくトビだ。海には小魚が群れていて、空にはそれを狙って鳥たちが舞う。この状況で、なぜアオリイカが釣れないのか。好物のアジが群れで回遊して来ているのを狙っているのであれば、エギにもちょっかいを出してこないわけがない。
 今日は大潮、下げの潮がいい感じに流れている。釣れないことのほうが不思議だった。
「ここはひとつ浜の浅瀬へ降りてやった方が、分がいいのでは」と田所さんが不安げに言った。
 私も、そう思っていたところだった。
 漁港に隣接する浜は岩礁の散在する石と砂利の、いわゆるゴロタ浜で、浅瀬の先は急にかけさがっており、その先にもう一段かけさがった個所があって、そこにアオリイカが多くひそんでいると、以前、地元の釣り師から聞いたことがあった。
 たしかに少し先と手前ではエギの着底に要する時間差がわりと大きい。しかし、どれほど力を込めて遠投しても、その先のかけさがりがどれくらいの距離に存在し、どのくらい水深に差があるのかを知り得ることはできなかった。
 これには私たちが浅瀬で使うエギの重さが地元の釣り師のものよりも軽いため、そこまで届いていないのかもしれなかった。たしかにオモリを削ったり、オモリに穴をあけたりして、エギの重量を軽くしてあるので遠投できていないのかもしれない。
 しかし、そこまで投げなくても、今回はじゅうぶん絵になる写真を押さえることができた。
 では、その様子を書いた記事を、以下に全文掲載しておくので、浅瀬のエギングに興味のある人は読んで参考にしていただきたい。

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波止の基礎石の沈む辺りをチェックする筆者

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波返しの上から見釣りで秋アオリをねらう

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筆者は8ハイ目に良型をキャッチ!

☆竿抜けポイントで日中エギングを堪能!

 夕暮れ以降の小磯の岩場やゴロ石混じりの浜なら潮次第で30パイ前後、あるいはそれ以上の数を稼げることもままあるが、いくら小鳴門海峡付近の名の通った釣り場といえども日中のエギングで秋アオリの大釣りを望むのは虫がよすぎるといえるかもしれない。
 近年、エギングを楽しむ人が異常なほど増えて、休日に漁港の波止や岸壁、テトラ地帯等へと足を運ぶと、たいていエギでアオリイカをねらっている人に会う。
 そこで、今回は少しでも混み合うのを避けようと、平日の10月10日の金曜に、小鳴門海峡の北の出口に位置する北泊新港へ、釣り仲間の田所幸則さんを誘って出かけてみた。
 釣り場に着いたのは14時前。できるなら早朝の涼しい時間に取材を終わらせて、さっさと早めに帰るというのが望ましいと思われたが、午前中は用事があってお互いの都合を考えると午後からの釣りも仕方のないことだった。それでも、空は薄く曇って、陽が出ているときもじりじりと肌を焼くという感じではなかったし、気温も高くなかったせいで汗ばむこともなかったのは幸いだった。
 北泊新港は、長いほうの波止のコーナー付近のテトラの上からエギングを楽しむ人が多く、実際、この付近の沖へとエギを投げて沈め、手前へ誘って来ると、アオリイカが足元まで追って来るのを容易に目撃できる。先行者のいないときなど、数ハイのアオリイカが競うように追って来て、上手に誘うと最後の最後に触手を伸ばしてエギを捕えたりもする。
 むろん、沖の方の中層や底付近でエギを抱くことも少なくなくて、潮さえ悪くなければ連続ヒットも珍しくはない。けれども、人的なプレッシャーに長くさらされつづけているせいか、このような喜ばしい状況は釣りはじめだけで、そのうちアタリどころかエギを追って来る姿も目にすることがなくなる。
 今回は、もっとひどくて、最初からアタリもなければ姿も見なかったそうである。これは私たちが漁港の駐車場に車を止めてすぐに、赤灯台のある長波止を移動しながら攻めたという若者ふたりから聞いた話だが、田所さんが波止の波返しの上から様子見がてら釣ってみたところ、その若者たちの言うとおり全く反応がなかった。
「これは浜に降りてやった方がよくはないかな。今朝から誰も釣りあげてないよ」
 ちょっと自分で釣ってみたあと、長波止の先まで釣り人に話を聞いてまわった田所さんが、もどって来て私にそう告げた。
 田所さんが釣ろうと促す浜とは、漁港の西側につづくグリ石と砂利の混ざり合う浜で、その先は岩場になっており、沖へとひろがる岩礁の陰にアオリイカがひそんでいる。
 これから釣ろうとするこの浜は、わりと沖へと急激にかけさがっており、そこに散在する岩礁に、やはりアオリイカがついている。それでも潮が引いてくると、しょせんは浜だから手前ほど浅いので、気を抜いて適当にやっているとエギを根に持っていかれてしまう。何を隠そう、今回は実釣3時間ほどのあいだに、田所さんが5本、私が2本。2.5号と3号のエギを失った。
 それでも、私たちより先に入釣した者がいなかったようで、数投しただけでレギュラーサイズのアオリイカを私が釣り、そのすぐあとに田所さんがキャッチした。たいして広い浜ではないが、ふたり右左にわかれて釣っては少し動き、少し動いてはまたエギを投げて誘うというやり方で、その後も秋本番のアオリイカを釣りあげたり釣り落としたりしながら午後の釣り楽しんだ。
 エギはユニチカ・エギS2 3号を多用した。なお、今回は浜から狙うので、エギはオモリを削るか穴をあけるかして重量を軽めに調整したタイプを多く使用した。

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使用したラインとリーダー

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浜の浅瀬を釣る田所さん

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エギS2にヒットした秋アオリ

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ナイスサイズがエギを捕えた

 誘い方に関しては、波止や岸壁から釣るのと、たいした違いはない。
 たとえば底に着いたエギをシャクリあげるとき、なるべく仕掛けが手前側に寄らないよう工夫すると、誘いをかける回数を増やすことができて好都合だ。これを実現するにはラインを張り過ぎぬよう、そしてロッドをやや立て気味に構えて、仕掛けを沖側へと押し出すようにしゃくるとよい。このほか風が吹いているなら風をうまく味方につけ、潮がこちらの都合よい方角へと流れているならその流れを上手に利用して、エギをできるかぎり魅力的に躍らせる。これがうまくできたなら、あとはもうエギを抱かせるための絶妙の間をどう演出するか、残る課題はそれだけである。
 なあんだと思う人も少なくないだろうが、このような基本をおざなりにして漫然と釣りを行っている人が案外少なくない。ここはひとつ心して釣りに臨むべきであろう。
では、みなさん、よい釣りを!

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浜の浅瀬でエギをあやつる田所さん

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田所さんはエギS2で本命を連発!

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このサイズが多かった

【今回のタックル、ライン】

ロッド : ノリーズ エギングプログラム ハードジャークスクイッド80

リール : ダイワ エメダルダス2500

ライン : ユニチカ キャスラインエギングスーパーPEⅡWH 0.5号

リーダー: ユニチカ キャスラインエギングリーダー 1.5号

エギ  : ユニチカ エギS2・ピンクグラマーブル3号ほか

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