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釣行記

釣行レポート

フライ&ルアーで釣るもっこく池のニジマス

2014年12月18日、12月24日

 香川県と徳島県の県境に沿って、山なみが東西に連なっている。阿讃山脈である。
 もっこく池は、この阿讃の峰を間近に望む香川県西部のまんのう町の小高い山の上に澄んだ冷たい水を満々とたたえて横たわっている。
 今期も例年どおりニジマスが放流され、12月7日には放流を記念して釣り大会が催された。
 私が下見がてら釣り場を訪れたのは、この釣り大会以後しばらく経ってからのことだった。まんのう町主導によるニジマスの放流は釣り大会の少し前で、放流日から釣り大会までの期間は禁漁となる。年中無料で釣りをさせてもらえる感覚で訪れる釣り人も少なくないようだが、じつはごく短いあいだではあるが一般の渓流と同じように禁漁期がちゃんと存在するのである。万が一遠くから遥々やって来て、「えっ、禁漁なの!」では済まないだろうから、釣り大会前に遠方から来訪される方は事前に役場に問い合わせてから腰をあげるのが望ましいにちがいない。

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雪化粧した阿讃の山なみ

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道路側では最近大型がヒットしているという

 今期も年が押し迫ったころ、フライタックルを手に出かけてみようと考えていた。
 ところが、去年、初めてルアーで型のよいニジマスを釣りあげた男爵こと三木一正が、今年も連れて行ってもらおうと居ても立ってもいられなくなったらしくて、私に連絡して来た。
「わかったよ。では、行こう」と仲の良い男爵だけに、私は二つ返事で了解した。
 男爵同様、去年、いい思いをしたミキカツさんも、「俺も誘ってね」と出かける気満々だったが、なんと! その数日後にインフルエンザウィルスに勝負を挑まれ応じたところ、あっさり一本負けして寝ついてしまった。

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インフルエンザ、完治したらご一緒しましょう

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去年、男爵は雪のなかグッドサイズをものにした

 それはともかく、ルアータックルを手に、訪れるのは久しぶりであった。
 この日、私は朝食後遅くにのこのこ出張って来たわけだが、すでに朝早くから腰を据えてじっくりやっているらしいフライフィッシャーマンが3人、ルアーフィッシャーマンが1人、池の周囲に適当に散らばって、それぞれのやり方で仕掛けをあやつっていた。
 私は、東岸の山寄りでいいサイズのニジマスがよく釣れていると常連の釣り師から事前に報告を受けていたので、さっそく道具を準備して駐車場所からいうと反対側に当たる東の土手の山寄りをめざして池の堤を半周して歩いた。
 山林のなかで野鳥がときおりいい声で鳴いた。もうすで20年近く通っているが、これまで聞いたことのない、切れのよい、しかもよく徹る甘い声だ。聴き慣れぬ美声に心動かされたのは人間の私ばかりではないようで、美声の持ち主と張りあうように、ここの野鳥たちも声を競って囀った。
 いい気分だった。
 ときおり方向も定まらず吹く風はそよ風程度で、ダウンジャケットを羽織っている私は気持ちよく仕掛けをあやつることができた。
 ファーストヒットは釣り開始直後のことだった。まだ3回しか投げてないのに、ニジマスが水中のルアーに食いついた。今期初の実釣で不甲斐ない結果に終わりたくなかった私は、まずは止水の鉄板ルアーと評判の高い「忠さんのスプーン」を仕掛けにセットして釣りはじめた。そいつに、いきなり食いついた。
「さすが、常見さんの名作だけのことはある」
 そう私は感想を漏らしつつも、ニジマスの走りに気を配りながら、慎重なやりとりをした。最初の1尾は絶対に取り逃がしたくなかった。縁起を担ぐわけではないが、やはり最初が肝心だ。
 そういえば去年はこの場所でミキカツさんが見映えのするニジマスを首尾よくキャッチして満面に笑みを浮かべていたなと思いながら、私はニジマスとのやり取りを心ゆくまで楽しんだ。
 その後、3尾のニジマスがヒットした。ルアーは、石川優美子さんから頂戴した姐さんオリジナルの管理釣り場用の小型スプーンだ。
「忠さんも、姐さんも、どっちもいい仕事するぜ(以後、私は忠さんのスプーンになぞらえ石川名人プロディユースの方を「姐さんのスプーン」と呼ぶことにした)」と私は2人の鱒釣り師を大いに褒めた。
 たちまち上機嫌になった。
 この3尾のうち、1尾は水際で取り逃がし、1尾は道具を添えて写真を撮ろうと岸辺に置いたら途端に跳ねて自分の住処へ逃げ帰ってしまった。このニジマスが当日いちばんの大物だった。
 1尾目と3尾目を写したが、姐さんのスプーンで釣ったニジマスの方が綺麗だったので、当ホームページには、そちらの方の写真を掲載しておく。

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さっそくニジマスが釣れた

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スプーンで底近くを狙う筆者

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山側の小屋付近も見逃せない

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東岸はこのサイズが多かった

 さて、気になる「姐さんのスプーン」のほんとうの商品名だが、今となってはもうよくわからない。重さも何グラムだか知るすべもなかった。わかっているのは小型で銀色をしているということだけである。
 じつは、この日、最後にヒットしたニジマスと渡り合うなかで、私はそのスプーンをなくしてしまったのだ。あっちを向いたニジマスにこっちを向かせようと強く仕掛けを引き絞ったら、切れた。私はズボラな性格なので、何度も池の底をこすった事実があるにもかかわらずスナップの結び目をろくに点検もせず、結び替えもしないままに釣りつづけた。
 そして、放流鱒だからと高を括っていたわけではないが、緻密さに欠けるやり取りをして、結果的に1つしかない「姐さんのスプーン」を惜しくもなくしてしまったのである。
 あのう。
 ねえさん。
 あのう。
 もしも、この記事を読んだなら、あのう、そのう、えーっと、例のスプーンやけど・・・・・
 あと何個か、いただけないでしょうか?
 おねがい、頂戴。
 なにとぞ、よろしくお願いします!

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シルバースレッドトラウトクリアー4lbを使用した

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姐さんスプーンにヒットしたニジマス

 オイルジャケットは着古すほどに保温性が増す。釣行当日は悪くない天気だったが、寒かったので、もう十年以上愛用している裾の長いタイプの方を着て釣りを楽しんだ。
 前回のルアーフィッシングのときは、ゆっくり家を出たので気が急いたが、今回は2時間ほど早くやって来たので気持ちに余裕があった。

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フライは神経質に考えず好みで選べばよい

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フライを結ぶ筆者

 私は道具を車から降ろすと、仕掛けの準備に取りかかった。
 むろん、早めにやって来たとはいえ、上には上がいるもので、すでに先行者が数名いた。
 駐車場が完備されている道路川の水門のそばにルアーフィッシャーマンがひとり、対岸の山側にフライフィッシャーマンがひとり、そして山側の小さな入江にも釣りを楽しむ人がいたが、入江は水門付近からは見えないので、そのうちにそちらの方からもどって来る姿を目にして、そこに釣り人がいたと初めてわかったのだった。そのふたりもルアーフィッシャーマンであった。
 水門付近で釣るルアーの若者と、フライフィッシャーマンの釣りを、私は土手の上から頭目にしばらく眺めてみたが、アタリがないのかアワセを入れるところを目にすることはできなかった。
 釣り師のなかには、たえず移動して少しでも食いつきのよさそうな場所を探す者がいるかと思えば、腰を落ち着けて頑張るものもいた。水門付近は、山の上流側から絶えず新しい水が流入しているせいか、ニジマスの寄りつきがよい。そのため、釣り人はちょっと寄ってみては釣れないと去る、アタリがあると少しねばる。釣れるとさらに腰を落ち着けて釣るというぐあいに賑わうことが多い。

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ニジマスとやり合うフライマン

 小高い運動広場のひろびろとした空き地では消防の隊員たちが演習実施のために集まっていた。ふだんは、お年寄りがゲートボールにいそしむ長閑な広場に、今朝は厳しい空気が張りつめている。私は広場に待機しているヘリコプターを見てそう感じた。教官が訓示をたれていた。それは、しばらくつづいた。すると、しばらくして動きがあった。ヘリコプターが物凄い音をたてて広場から飛びたった。何が始まるのかと見ていたら、東側の土手の上空を過ぎたヘリコプターは東へと旋回したのち、ふたたびこちらへもどって来て、東岸付近の池水の上空で静止した。わずかに機体が揺れた。乗員はふたり、訓練用の服を着てヘルメットをかぶっている。わずかに揺れる機体の下には大きな黄色の水汲みバケツがぶら下がっていた。私はヘリコプターが微速前進しながら徐々に高度を下げていくのを興味深く見守った。もう水面までどれほどもない。やがて、水汲みバケツが着水。機体をうまく操縦して、隊員らは水汲みバケツに水をたっぷり汲み取った。そして西へ向かい、こんどは東へ去っていく。その後は満濃池の方角へと飛び、バケツの水を山林にぶちまけてから、最後は広場に着陸した。
 池の西半分の範囲内に釣り人が偏っている理由がヘリコプターの訓練を間近に見て漸くわかった。ようするに東側は訓練実施のせいで釣りにならないのである。隊員らが乗り替わると、ヘリコプターは同じようなコースを飛んで池の水を汲みあげ、防火用のバケツの水を山林のどこかに捨てて、ふたたび広場へともどっていく。それを、時間を決めてくり返した。

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池の水を汲む訓練中のヘリコプター

 とりあえず私は南岸のなかほどに陣取って、バックスペースを気にせずにフライを投げることのできるスペイキャストという便利な投法でフライを沖へと投げてみた。風は左から右へと緩く流れている。これは右利きの釣り師がシングルスペイキャストで釣るのに都合のよい風向きだ。あるいはシングルスネークキャストという投法ならなお容易にフライを遠くまで運ぶことができるだろう。
 この釣りはフライラインを投げているだけでも楽しい。マスターする気にさえなれば、いろいろな投げ方があって、その多彩な投法にあまりにも魅了されすぎると、釣りなどそっちのけでキャスティングの大会にばかり熱中する人もしばしば出るほどだ。むろん、私は投げるのも好きだが、釣るのはもっと好きで、もし鱒を釣らないのならフライラインを巧みにあやつってフライを遠くへ投げる意味も張り合いもまるでなくなってしまう。

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スペイキャストはバックスペースを気にせず投げれるのが利点

 いきなりアタリが来た。
 ドスンと一発、竿がのされそうになるほど強烈だった。すぐに普通のサイズではないとわかった。ほんとうに大きなニジマスだった。防災訓練のヘリコプターが広場にもどって、ふたたび広場から飛びたつまでのあいだの静寂のなかで釣れた大物だ。取り込むまでずいぶん時間がかかった。
 どうにか水際まで寄せることができてホッとしていると、水門近くで釣っていた若者が駆けつけてくれて、「やりましたね。ビッグワンですね。70cmくらいかな」そう言って写真を撮ってくれた。そのあと彼はニジマスにメジャーを当ててサイズを測ってくれた。ぎりぎり70cmはなかったが、もし放流鱒ではなく鰭ピンのネイティブなら72cmくらいはあったろう。
 そして、もし大河川に泳ぐネイティブの大型のニジマスなら、この程度の闘いぶりでは絶対に済まされない。
 私は13ftの#5/6という鱒用のダブルハンドロッドを使っていたが、止水の放流鱒だから大して危なげもなく捕り込めたのにちがいない。
 リーダーは市販のテーパーリーダーではなく自作のものを使用していたが、これも幸いしたようだ。スペイキャストはオーバーヘッドキャストとちがって、リーダーにテーパーがかかってなくても問題なくフライを思いのままにキャストすることができる。今回は大河川の大物を狙うわけではなく、タックルも大して強いものではないため、リーダーはあまり太くはしない。アイガーⅢスーパーの5号、3号、1.2号を段々に細く繋ぎ合わせた6mのリーダーで勝負することにした。

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リーダーに使用したアイガーⅢスーパー

 この日は、午前中いっぱい釣りをした。むろん、防災訓練のヘリコプターの動向を睨みつつニジマスを狙ったわけだが、ヘリコプターが去るとしたたか者のニジマスはすぐに水面近くまで浮いて来て、餌を貪りはじめた。表層には水生昆虫が少なからず集まっていたのだろう、訓練の騒がしさの合間を縫ってニジマスが水面を割って姿を現すこともあった。ライズは主に道路の走る南岸の東寄りに多かった。私は、このエリアを熱心に釣ってみた。アタリは割りとあった。フックが魚の口を引っ掻くことも何度かあったのだ。しかし、どうにも鈎掛かりしない。 
 やはり、防災訓練の影響で用心深くなっているのだろうか。それとも、私の釣り方が状況にそぐわないのだろうか。どっちにしても、そろそろ腹も減って来たし、午後の釣りはよすことにして、私は土手の上へと出た。
 そして、池をひとまわりして車までもどった。

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大物がヒット。緊張が走る瞬間だ

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岸辺に寄せた大物を捕まえに走る

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写真を撮ろうとしたら、いきなり暴れ出した

 もう下見はじゅうぶん出来た。ルアーでもフライでもいい釣りが可能だ。そうわかった。
今期もやる気のあるニジマスが少なくない。
男爵やミキカツさんやほかの仲間を誘って来ても存分に楽しむことができるだろう。
年末年始が大いに楽しみである。
機会があればみなさんもぜひお立ち寄りいただきたい!
では、みなさん、よい釣りを!
本年も、どうぞよろしくお願いします!

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今期初ヒットがこいつ!縁起がいいぜ

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やはり大物は大物らいい面構えをしている

【今回のタックル、ライン】

ロッド : ウエダ STS-501 MN-Si

リール : ダイワ イグジスト2004

ライン(ルアー) : ユニチカ シルバースレッドトラウトクリアー 4lb

リーダー(フライ): ユニチカ アイガーⅢスーパー 5号⇒3号⇒1.2号

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