2015年3月6日
ド派手なラインでアマゴを狙う2
白川谷川へ釣り仲間と出かけた際、道具に故障があっては洒落にならないと思って、予備のタックルを用意して行った。
それは取り越し苦労に終わって、渓で滑って転んで竿を折ったりリールを破損させたりすることもなく釣りを終了できたことは、そのときの記事を読んでいただければわかってもらえるだろう。
白川谷川では、記事の内容どおりに、シルバースレッドアイキャッチ4lbを使用して釣果を得たわけだが、予備のリールにはトラウト専用のシルバースレッドアランチャ4lbを巻いて持っていった。どちらも派手なカラーラインであるが、視認性に優れているので、空中にあるラインに注意を払うことで、いま自分のルアーがどの辺りにあるか、その所在をつかみやすくて何かと利点が多い。渓流は流れが複雑なので、ラインをどの程度水面下に入れるか、逆を言えばどの程度の張り具合を保ち空中に保持するか、この辺りが問題となる。また、山岳の渓流では樹の枝が張り出していたり、流れに沈んでいたりして、仕掛けを引っ掛けやすい状況にあるため、ラインは見やすいに越したことはない。
釣り人から見やすいラインは、魚からも見えやすい。だから、魚が警戒心を抱いて食いつきが悪くなる。そう考えられがちだが、そんなことはない。
「いや。そんなことは大いにある」
そう言うのなら、それはその人の意見として素直に聞いておくが、カラーラインを使ったから釣果が落ちたと感じたことは、私としてはいちどもない。
このたび出かけた銅山川水系の中尾谷でも私の主観を揺がすような結果を見ることはなかった。
中尾谷は山岳の沢にイワナを釣りに出かけるとよく出くわすような小渓流だ。大きな岩を配した傾斜の急な地形で、釣りあがるにも左右の山林を小さく巻いて上側の流れへ出るということをくり返しながら釣り歩かなくてはならない場所が少なくない。そのことは面倒だが、景観の悪くないところが気に入って、たまに出かけていくのである。
澄んだ水のやや深い溜まりが魅力的で、そう場所に出くわすたびに、「よし、釣るぞ」と気を引き締めて臨んだ。が、しかし、よさそうなポイントでは、アタリが極端に少なかった。午前中に攻めた人がいたのだろうか、その人は餌釣り師であったのかもしれない。長い竿を使うのに苦労の絶えぬ、樹の枝が被さるように張り出した流れの浅い場所で、アマゴがヒットすることが少なくなかった。
夕暮れには帰り支度を済ませる予定で釣りはじめたのだが、途中からヒットした魚を取り逃がしたり、アタリを掛け損ねたりと、思わぬ展開となってテンションが下がってしまい、予定の七割くらいを釣り歩いたところで、今回は釣りを中止したが、白川谷川のときと同じ三尾のアマゴをキャッチした。
さて、ここは釣れるかな?
きれいなアマゴが釣れた
釣り落としたのも含めると、悪くない釣果だと思った。やや小ぶりだったので、すべてリリースしたが、自分から勝手に流れにもどってしまったアマゴのなかにいい引きをみせたものがいて、それが捕れていたらなあと惜しくも思ったが、まあ、それでも小渓流のアマゴである。ラインを切られるかとひやひやさせられるようなサイズでないのは明らかだった。
細かい雨が降ったりやんだりの天気だったが、気温が低かったわりには寒くもなくて、風がないのが何よりだった。
仕掛けが見やすいなどカラーラインは利点が多い
樹々の緑がみずみずしかった。
頭上は雲が低く垂れて、それにもかかわらず暗い印象を持たせなかった。
濡れた岩が晴れた日よりも光っていた。
カワセミが無理ならカワガラスでもいいから遊びに来ないものかと思って岩の頭に腰かけて休んでいると、峰の高みから微かに鳥のさえずりが聞こえた。何鳥だろう。そう思って、耳を澄ませてみても、ふたたびその声を聞くことはなかった。
ラインはイエローオレンジのアランチャを使用
流れに厚みのある溜まりが連続する
このたびも、前回の白川谷川同様、カラーラインを使用して悪くない結果をみたわけだが、それにしてもアランチャというトラウト用のナイロンラインは、私の好みでいうと少ししなやか過ぎるようである。しかし、それは個人の嗜好の問題であり、それが釣りに支障を来すものではない。当然、しなやかな方が好きだという釣り師も少なくないだろう。ルアーをセットするためのスイベルを結んでみると、結んだ感触がしっかりしている。つまり、結節強度に優れている。その点、評価できると思った。渓流の浅い流れは、今回のようにスプーンを多用して釣ると、底の石にルアーが接触しやすく結び目が傷みがちである。私はそれが気になるから、ラインをひっぱって大丈夫だろうかと頻繁にチェックする。その習慣のせいで、切れそうだとか、まだいけるとか、そういうのがわかるのである。ルアーを失うのも勿体ないが、アワセ切れがとくに辛い。せっかくヒットした素敵な本命魚を取り逃がしてしまっては悔やんでも悔やみきれない。
だから、結節強度は渓流釣りでは特に大事である。その点において、アランチャは優秀である。
愛媛の新居浜、伊予三島を流れる銅山川水系は、アマゴのほかにニジマスが釣れる。なかでも別子ダムには北国の湖で釣れるような大型が回遊しているので、ここへ通って大勝負に出るルアーフィッシャーマンも少なくない。渓流部でもアマゴに混じって型のよいニジマスがヒットすることがある。
アマゴの尺超えは臨時ボーナスみたいなもので当てにはできないが、ニジマスなら普通に釣れる。
しかし、ニジマスは口卑しいので、餌でも、ルアーでもフライでも、アマゴより簡単にヒットする。だから、季節が進むにつれてその数は激減する。
やはり、一発狙いの大物はダム湖畔まで降りて、遠投の利く道具で本腰を入れて狙うのがベストだろう。
そんな季節が、もう目前である。
大物一発狙いに興味のある方は、是非とも出陣して思うがままに腕をふるってもらいたい。
では、みなさんも、よい釣りを!
【今回の使用タックル、ライン】
ロッド : シマノ カーディフ エクスリードHKS59UL/F
リール : シマノ ツインパワーC2000HGS
ライン : ユニチカ シルバースレッドアランチャ4lb