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釣行記

釣行レポート

2015年8月

今回のルアルアチャンネルは五目釣り

 海岸線から目と鼻の先の沖でキスやベラを狙って五目釣りをした。
 五目釣りというとゴカイに代表される虫エサを使って、波止から、岸壁から、あるいは砂浜から、簡単な道具と仕掛けを用いて、身近な小魚を釣って楽しむものという印象を持つ人も少なくないと思うが、今回はルアルアチャンネルのロケで出かけたので、生きた餌はよしてルアー感覚で使えるマルキューのパワーイソメを用いて実釣をおこなった。

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パワーイソメは(細)(中)を多用した。

 もう皆さんご存じのように、サンテレビのこの番組はルアーで魚を釣って楽しんじゃおうというのがモットーだから、生きた餌を使って釣ったのではその意に反してしまう。
 それで、バイオワーム系と一般に呼ばれるパワーイソメの出番となった次第である。
ただし、このバイオワーム系のワームというのはなかなかの曲者で、普通のワームのように泳がせたりチョンチョンと仕掛けを動かして誘ったりしなくても、潮さえ悪くなければ魚が食いついてくる。
 要するに、このパワーイソメはルアーの範疇には属するけれども、かぎりなく餌感覚で使えるしろものだというわけだ。
 それを知らないで番組をご覧になった方々が、「へえー、おれの使っているメバルやアジ用のワームでもあんなに釣れるわけか。それなら五目釣りも楽しいにちがいない。今度の休みは家族でぜひ出かけてみよう」なんて早とちりされても困るので、もういちど述べておくが、パワーイソメはバイオワーム系のルアーであり、普通のワームとは性質がやや異なる。だから、番組を、もしご覧になるばあいは、そのことを念頭に置いてご覧いただきたい。
 テレビ局側にはテレビ局側の都合というものがあって、スポンサーとの関係上、商品名等を大っぴらに口に出来かねる事情があるらしい。
 だから、「ワームを使用します」とだけ映像のなかでは言ってある。
 先にも述べたように、パワーイソメは本物の餌ではないから、ワームだと説明しても何ら問題はない。それは使ってみるとすぐわかるはずだ。要するに本物のゴカイのようには魚が食いついて来ない。
 だが、そうは言っても、売り切れでゴカイが手に入らないときなど大いに助かるし、手持ちの虫エサが底をついたときにもパワーイソメを常備してさえおけば釣りを続行出来て思いもよらぬ大物を手にできないともかぎらない。
 だいいち、家族で手軽な五目釣りに出かけても、奥さんや女のお子さんがゴカイをさわれるとはかぎらない。そういうときに、パワーイソメがあれば怖がることなく自分で餌を付けられて重宝する。自分で仕掛けを組んで、自分で餌を付けて、それで魚が釣れたらどんなにか嬉しいだろう。

 釣り場は鳴門が近くていいとのことだった。
 それはそうだろう、サンテレビもユニチカも、神戸、大阪である。高速道路を使って淡路島経由でくれば移動が楽でいい。また、身近な釣り場ほど観る人も多いはずだ。
 加えて、どうせやるなら美味しい瀬戸の小魚を釣ろうということに自然と話が進んで、それで、キス、ベラ、チャリゴ(マダイの幼魚)、ハギ、小アジなどが現在よく釣れている鳴門市の北灘地区へ出向く運びとなった。
 発案当初は海岸線の漁港や浜からのみ竿を出す計画だったが、それだと「本格的な投げ釣りの道具でないと日中のロケで見栄えのするサイズを釣ることは難しいよ」、そう付近の海域にめっぽう詳しい仲間から聞かされたこともあって、急遽、釣り用ボートの手配をした(むろん、陸からも釣りのシーンを撮影する予定だったが、あまりにボート釣りが面白くてついついねばってしまい、それで時間が足りなくなって断念した)。
 釣果を最優先するなら大きなボートに越したことはないが、そうすると魚が食い渋ったとき安易に沖へと釣り場を移してしまいがちである。それでは釣り船を仕立てての沖釣りとなんら変わりはない。あくまで今回は海岸付近で楽しむ五目釣りのロケなのである。
 だから、ボートは三人乗りの小型を二艇用意してもらった。
 一艇はカメラと音声を担当するスタッフ用で、操船は喜岡さんが担当。もう一艇は釣女ちゃこちゃんと私が乗って釣りをした。船頭は安藤さんで、ここの海域のことなら海の底の底まで知り尽くしている三十年のベテラン釣り師(漁師と言ってもいい)である。

 話は前後するが、安藤さんに相談を持ちかけたのはロケの前々日だった。
 釣りは午後から三時間ほど、餌は生きた上等のゴカイを使わずにパワーイソメでやります。
 そうお願いすると、
「うひょひょ。笑っちゃうな。虫エサでも昼からなら漁獲は落ちるよ。断然、朝の潮だし、朝早いほどいい。キスはもちろん、日中の魚のベラだってその方がよく釣れる。今年は猛暑で水温も高いから、海岸近くの浅瀬をやるのなら午前中にかぎる。でも、ロケを没にするわけにはいかないから、精一杯協力するよ」
 安藤さんはそう言って、快く引き受けてくれた。
 いつもの、「うひょひょ」と笑う安藤さんは吉本新喜劇のキャラと映らぬでもないが、今度ばかりは義理人情に厚いどこかの大親分に見えた。ボートは小船だが、大船に乗った気分である。

 予報では少し風が出て波もあがるということだったが、幸い当日は凪いで釣りやすかった。空は曇りのはずが、ときおり陽が強く照って、夏らしい午後となった。
「キス。ちょっと型が小さいね。よく釣れるけど、もう少し見栄えのするのが欲しいな」  あるとき、安藤さんにそう言うと、「うひょひょ」と笑って、ボートをちょいと移してくれる。
 すると、急に釣れるキスの型がよくなった。
 今度はベラが釣りたいとねだってみる。
 すると、また、「うひょひょ」と笑ってエンジンを吹かせて場所替えしてくれる。
 そこで、さっそく仕掛けを降ろすと、塩焼きも煮付けも美味しいキュウセンや目つきのよくない磯ベラが連発した。
 ボートからの釣りというのはおもしろいもので、左舷と右舷の側でアタリに差が出ることが割合多い。
 じっさい、「このへん、大きなキスが釣れる場所だよ」と安藤さんが自信を持って勧める場所では、私の陣取る右舷側にアタリが集中した。
 場所を移してすぐ、いきなりもの凄いアタリが来て、これまでに見たこともないような大きなキスが私に釣れた。
 竿がやわらかいメバルロッドだったので、引きの醍醐味もひとしおだったが、船頭の安藤さんが網ですくってくれ、無事取り込むことができた。
「わあ、凄い、凄い。こんなのが岸近くで釣れるなんて。ほんと、投げ釣り師が海岸から遠投すると、届いちゃう距離ですよね」とちゃこちゃんが興奮気味に言った。
 それは、そのとおりであった。
 それにしても、私の方にばかりアタリが来るので、見かねた安藤さんが、「これに替えるといいよ」とちゃこちゃんに勧めた。
 安藤さん自作のキツネ針仕掛けに交換するよう指示したわけだが、それを私が受け取った手前、私が責任を持って付け替えることになった。早く結ばないと、いま居る大型キスに最適の場所からボートが流れて出てしまう、そう安藤さんが急かすので、私は泡を食ってしまった。
 どうにか、仕掛けは間に合った。
 パワーイソメ(細)のアオイソメカラーで大きなキスが釣れたので、ちゃこちゃんも私が使ったのと同じものを二本針にそれぞれセットした。
 すると、とたんにアタリが来て、ちゃこちゃんの仕掛けに大きな魚が食いついた。私のときと同じ大型のキスにまちがいない。浮かせにかかると、やはり大きなキスだった。
 ところが水面下に姿をみせたと思ったら、仕掛けの所在はそのままに、食いついたキスだけが海の底へと泳ぎ去ってしまった。
 それを見た私は、強く仕掛けを引っ張るから切れたと咎めるように言った。
 すると、ちゃこちゃんが反論した。
「切れたと言うより、抜けた感じが・・・・・」
 私は、何言ってやがる、やり取りが強引過ぎたに決まっているだろ、そう思いながらちゃこちゃんの方をふり返ると、彼女は不審げに仕掛けに残った針の二本のうちの一本を恐る恐る確かめるように指でつまんで引っ張った。あろうことかスルスルと天秤オモリの結び目からハリスが抜け落ちた。
 そのとたん、ちゃこちゃんの形相が変わった。
「仕掛けが抜けて、私のキスが逃げた」と泣くように訴え始めた。
 たしかに、逃げたキスは私のキス同様に巨大であった。
 それを、もう一息というところで、取り逃がしてしまった。
もう私は平謝りに謝るしかなかった。
 ボートは緩い潮の流れに乗って、流されるままに、ポイントから外れてしまった。
 もういちど潮上側へ船をもどしてもらったが、潮の流れが緩くなりすぎていて、もう大型は望めないとのことだった。
 私は立場がなかった。
 普通ならじゅうぶん喜んでしかるべきサイズのキスが釣れても、あの大型を自分のせいではなく他人のせいで逃がしてしまっては、半分も喜べまい。ちゃこちゃんは評判どおり仕掛けの扱いに手慣れていて、巧みに底を聞いて魚に口を使わせては大はしゃぎしていたが、彼女が喜ぶほどに私は益々立場がなかった。
 その後も、五目釣りの釣り場らしく、キスベラのほか小アジトラギスチャリゴなどが釣れて映像的には事欠かなかったが、さてさて、ちゃこちゃんは大型のキスを最終的に手にすることができたのか? できなかったのか? ・・・・・
 それは、番組を観てのお楽しみということで、今回はこれにてペンを置くことにしたい。

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【今回の使用タックル、ライン】

ロッド : ノリーズ スローリトリーブ80
リール : ダイワ ルビアス2004H
ワーム : マルキュー パワーイソメ(赤イソメS/青イソメM)
ライン : ユニチカ ナイトゲームTHEメバルPEⅡ 0.3号/0.4号
リーダー: ユニチカ ナイトゲームTHEメバルリーダーFC 4lb

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