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釣行記

釣行レポート

2015年11月16日

ルアチャンロケのあとに

 ブリとヒラマサの若魚は自分がどっちの子かをまだ知らないので、似た者同士いっしょに行動を共にしているそうだ。だから、泳ぐルアーを見つけると、美味しい小魚と見まちがえて、群のなかのどちらかの若魚がパックっとやる。すると、運悪くフックに顎を捕えられて、にっちもさっちもいかなくなって、とうとう釣りあげられて万事休すとなる。

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最近よく使うライン。リーズナブルな価格で使い勝手もよい

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田所さんはフロロ、私はナイロンを使用した

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入り組んだ地形であるため潮流は複雑だ

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田所さんも青物を手にした

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青物をキャッチした筆者

 この青物。ジグで釣るなら実績のある港の堤防とか波止でボイルが始まるのを待っていれば高い確率で手中に収めることもできなくないが、シーバスタックルでミノーを用いて狙うとなるとフィールドの選択の幅がそれよりはかなり狭くなる。
 しかも、九分九厘、ボイルが起こる場所ならよいが、そうでない場所の方が多く、従って決め撃ちで本命を仕留めることが出来かねるので、アタリが長く来ないと精神的にネガティブな方向に行きがちだ。
 ミノーの届く範囲内を青物が回遊してくる可能性の高い場所に陣取って、いつまわってくるかもわからない本命との出会いをひたすら期待して仕掛けを投げつづける根気があれば心配ないが、私のように釣り場にいても八割方ほか事をして遊んでいるようなタイプの釣り師には向かないかもしれない。
「なぁんだ。もう飽きちゃったの?」と一緒に出かけた鳴門のウチノウミで、当日もさぼってばかりの私を尻目に、私と正反対の性格の田所さんは、一心不乱にアタリがあろうがなかろうが、沖へ向かって仕掛けを投げたり回収したり、とにかく熱心に頑張っていた。

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ミノーで釣る青物は面白い

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揃ってこのサイズだが釣れるとやはり嬉しい!

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潮に浸かり釣りに没頭する田所さん

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日没後の夜間に青物は釣れない。そろそろ退け時である

 ところが、行いのよしあしと釣れるか釣れないかは関係ないようで、最初に青物をヒットさせたのは私だった。
 この日、私はウェーディング用のよく曲がるロッドを使用していたこともあって、傍目にもそのやり取りは派手に映ったようだ。
 「大きそうじゃないの」と潮上で釣っていた田所さんが声をかけて来た。
 「いや、竿が竿だから。サイズ的には一昨日と同じくらいじゃないかな」
「それにしてもよく引くなあ。巻き取った以上にラインが出ていくね」
 これが青物の楽しいところである。全身筋肉みたいな魚だから、とにかく足が速い。
 この日は、前々日のルアルアチャンネルのロケのとき同様、14cmのミノーを主力に用いたが、食いつくと速い流れに乗って一気に潮下へと駆けくだっていった。
 足元まで寄せても、気を抜くと、すぐまた沖へと仕掛けを引いて突っ走る。油断も隙もありゃしない。そんな往生ぎわの悪さも釣り師を魅了しやまぬ要因の一つであろう。
 とにかく、一度その引きの醍醐味を味わうと病みつきになってしまうことまちがいなし。それが青物という好敵手なのである。

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このサイズでも引きは凄い

 さて、その後しばらくアタリが遠のいた。私が青物を無事にランディングしてから三十分以上、田所さんにも私にも、何の音沙汰もなかった。
 刻々と夕暮れが近づいて来て、曇りの空がいっそう暗く感じられるようになって来たので、まだ釣れていない田所さん本人よりも、一昨日につづいて今日また青物をキャッチした私の方こそ気が気でなかった。
 それはそうだろう。
 ヤル気満々なのは田所さんの方で、私はお付き合いのつもりでくっついて来たにすぎないのだから。
 私がさらに潮下に場所を移すと、田所さんも上から下へと移った。そこは、岩場が沖へとわずかに出っ張っている場所で、その先端をかすめて左から右へと速い潮が帯を成して斜め沖方向へと抜けている。
 いい場所に目をつけたな、と私はちらっとそっちの方をみた。
 依然、アタリはなかった。
 ところが、しばらく後に、もう一度そちらに目をやると、そこに田所さんが大きくのけぞって魚の引きに耐えている姿があった。潮の流れる音とリールのスプールの逆転する勢いある音が重々しい曇天と海とのあいだで極上の音楽を奏であう。見ていて快かった。
 それでも、本日第一号の青物をヒットさせた田所さんは、それどころの話ではない。一生懸命好敵手の青物と渡り合っていた。
 「いやぁ、泡食ったよ」とゴロタ場へ漸く青物を引きずりあげた田所さんが言った。
 「そのくらいの道具でやると楽しいでしょ」と私も表情が緩んだ。
 「うん。よく引いたねえ」とご満悦の様子の田所さん。
 まあ、それはいいとして、問題は釣れた若魚がブリかヒラマサかである。
 デーブ鎌田が来ていれば、このサイズの青物でも見分けがつくだろうが、口元にちがいが顕著だと説明されても、素人の私たちにはどっちがどっちだか判定できかねた。
 あとで、青物に詳しい友人と磯釣り名人の入船哲治の二人に複数の写真を見てもらうまでは何とも云いかねた。
 けっきょく、食べて美味しかったこと、それに有識者二人の見立てからも青物はヒラマサだとわかった。
 それでも、どこをどう見て判別したのか、二人から説明されてもどちらも同じにしか見えない私たちは戸惑うばかりであった。
 そのことを後にデーブ鎌田に話すと、「それはもう、そのサイズのブリの若魚なら季節的にも今時分は身がパサパサで美味しくないですから、美味ければ胸を張ってヒラマサが釣れたと自慢してやればいいのです。どうだ、羨ましいかってね」そう言って笑われた。
 デーブ鎌田は食魚に関する目利きのプロである。そのデーブ鎌田が言うには、このサイズの若魚でもブリかヒラマサか見分けるのはそう難しいことではないが、それを素人の他人にわからせるのは容易ではないそうだ。説明しても、なかなか分かってもらえない。要するにブリとヒラマサの若魚は瓜二つの双子みたいなものであるということなのだろう。
 それなら、デーブ鎌田の説くように、私たちは素人なのだから、「やった。ヒラマサを釣ったぞ!」と、まあ、素直に喜んでおくにかぎる。
 その方が精神的にも健全というものであろう。

【今回の使用タックル、ライン】

ロッド : UMF ウエダ・ソルティープラッガー962
リール : ダイワ イグジスト2510H
ライン : ユニチカ シルバースレッドショアゲームPE 1.2号
リーダー: ユニチカ シルバースレッドminiショックリーダーFC 20lb
           シルバースレッドminiショックリーダーN 20lb

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