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釣行記

釣行レポート

2016年4月15日〜5月31日

私のバス釣り

 出先の近くに感じのいい池を見つけると土手から覗いてみる。草に腰をおろしてしばらく様子見しているうちに、もの怖じして散っていたブルーギルや子バスが水辺の近くで遊び始めたらしめたもの。バスの餌のブルーギルが泳ぎ、子バスがいるのなら親バスが棲むのはまずまちがいない。
 里山の野池は奥側と土手の護岸の左右が雑木林だったり竹藪だったりする。ときにその枝葉が池に覆いかぶさり、青葉の暗い影が水面に映っているような場所にはきっとバスが身をひそめていると勝手に決めつけて、とくに日なかの昼どきなら真っ先にその辺に仕掛けを入れたくなる。
 しかし、私はベイトタックルの扱いがプロの人たちみたいに上手でないので、オーバーハングした樹の奥へルアーを捻じ込むような試みに打って出るのはどうにもためらわれる。オフセットフックにワームをセットして使うなら鈎先がワームのなかにほぼ隠れているので引っ掛けにくいから強気で臨めるが、プラグはトリプルフックを二個、三個とその腹や尻にぶらさげてあるためちょっと枝に触れただけでもガッツリと引っ掛かる恐れがあるのであまり無茶な投げ方は致しかねる。どうしたってルアーを置きにかかってしまうのである。だが、そんなぎこちないキャストであっても、割合悪くない場所に落とすと、大きなバスが忍び寄って来てルアーに襲いかかって来ることがある。そういう派手なバイトを経験すると、またその次もそんな美味しい目ができるかもしれないと味をしめて、投げるたびに虫のよい期待をする。
 むろん、いま書いているのはトップウォータープラグを使った釣りの話だが、水中に潜るルアーのときもワクワクドキドキする気持ちに変わりはない。手元に突然アタリが来て、ズシッと重たいその手応えを味わおうものなら、たちまち脳から大量のアドレナリンが分泌され、大興奮する。
 時間があれば別の池でも投げてみるが、大概、そんな時間的余裕はない、たとえ竿を出してもそう都合よくバスが食いついてくれるでもない。
 こんな日は、一尾釣れたら御の字で、それ以上は鼻から望みもしないが、でも、ちょっと残念な気がしないでもない。
 どうせ用のついでの釣りだからと割り切ってみたところで、欲深さを満たしきれるものではないから、「よし、次回こそ!」と心を奮い立たせて機会を待つ。
 そのあたりのじれったさがまたいいのである。
 まったく、釣りバカにつける薬なし! とはよく言ったものだと思う。

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いよいよ野池めぐり開始!

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シャガの花が盛りを迎えていた

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蓮の陰にひそむバスは多い

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トップウォータープラグのなかには工芸品のような美しさを持つものも

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リアルなトップウォータープラグ

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トップで釣ると嬉しさ五倍!

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視覚を刺激する釣りは楽しい

 バス釣り場を新たに求めて、野池巡礼に出ることがたまにではあるが私にもないことはない。
 全国的にみても野池の多い土地柄のわりに、香川は小さな県なので、半日もあれば相当な数の野池を見てまわれる。
 そして、じっさいに見てまわって驚かされるのは、大きな池はもちろん町なかの小さな池にも意外と大きなバスが棲むという事実である。たとえば全面護岸されている人工の水溜りみたいな小さな貯水池にもけっこうバスが泳いでいたりする。
 その逆に、山のなかの大きな池であっても、水を干あげて何らかの工事を行ったあとだと知らずに仕掛けを入れて手痛い目に遭う。そういうことも少なくない。
 近年、土手の耐震補強を目的とした大掛かりな工事が計画的に進められており、その際、底をカラカラに干あげてバスを掃滅してからコイやフナなど日本の在来種だけを放すという方法がとられることも少なくなく、それを知らずに生体反応があるからと仕掛けを入れようものなら骨折り損のくたびれ儲けに終わる。まったく、惨憺たるありさまである。
 県の条例か何かで、バスの移入は固く禁止されているので、どこかで釣ったバスをそういう工事を終えた池にこっそり放流することもできない。

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バスは物に着く

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春は浅場にバスが多いという

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小バスばかり釣れてうんざりすることも

 加えて、釣り禁止の野池がけっこう多いのも残念なことである。もつれて鳥の巣状態になった釣り糸やルアーのパッケージ、あるいは飲み物の容器などを平気でポイ捨てするので、腹に据えかねた水利組合や池に隣接する田畑の地主が権限を行使して対抗した結果そうなった。非があるのは心ない釣り師のほうだから当然の成り行きだが、常識のある釣り師は巻き添えを食ったかたちである。バス釣りばかりしているわけでもない私でも、「釣りを禁じる!」と書いた看板が野池の土手等に設置されているのを目にすると些か暗い気持ちになるのだから、根っからのバス釣り師は堪ったものではないだろう。
 バスがうようよいる野池の多くがそういう羽目に陥った。それはそうだろう。釣れるからどんどん釣りに来る。ゴミが増える。ところが、あるとき珍しくそうでない野池を私自身が見つけた。山のなかの大きな野池で、澄んだ水のなかにバスの泳ぐ姿を目にしたときには胸が躍った。大きなバスが目に留まったのである。
 しかし、その池の堤にも釣り人に告ぐと注意書きした看板が例のごとくに設置されていた。やはりここも釣り禁止かと私は早合点してがっかりした。ところが、それとは事情がちがっていた。

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さぬきはうどん屋と野池が多い

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山の池は静かで水が澄んでいた

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水辺に咲く菖蒲

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農村部に多い野池。バスが棲む

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注意書きの内容に感心した

 どうぞ写真をご覧いただきたい。こんなに説得力のある、しかも、ある種の感銘を人に抱かせる硬い文章の注意書きを私はあまり見たことがない。
 以来、この野池に釣りに来るたび、まず看板に一礼してから土手を降りていくようになった。
 つい先日も、訪れた。珍しくゴミが落ちていた。コーヒーの空き缶とフィルムの容器が両方一緒に置き去りにされていた。写真撮影に来た人がうっかり忘れて帰ったのだろうか。悪気のない感じに、そこにポツンとあった。
 私は、それを拾って帰った。
 断っておくが、私は釣り場にゴミは捨てないが、誰かが捨てたゴミを進んでいちいち片づけて帰るような奇特な人物ではない。だからそうしたのは立派な看板の力だと言ってよい。もしかして池の周りにゴミが落ちてないのは、それこそ看板の持つ力が作用してのことなのかもしれなかった。つい、私のような気持ちにさせられた人たちが拾って帰る。そうすることで環境が清潔に保たれている。
 だとしたら、看板様さまである。
 なお、この注意書きの最後の行には、当地の水利組合長の署名がしてあった。そのことで内容が数段厳粛味を帯びて読む側に伝わる。このことに疑う余地はなかった。
 ただ、問題は、景色もよくバスもいるのに、私には金輪際アタリすらないことである。もう何度か足を運んでいるにもかかわらず、まだ釣れない。
 相性が悪いと愚痴を言って済ませればそれまでだが、そろそろ色よい返事を聞かせてほしいものだと内心痺れを切らせている。
 頼むぜ、ビッグバス!
 また近いうちに行くからさ。

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クランクベイトもよく使う

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水面に浸りそうな樹の脇に出て餌を探すバスがいた

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町なかの池でもバスは釣れる

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35cm前後のバス。野池でよく釣れるサイズだ

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野池の土手に咲くアザミ

 ここしばらくのうちに手持ちの釣り場が増え、大きいバスが釣れるようになった。
 なぜか、釣れる池を私に教えたがるバス釣り師が増えたからだ。
「この池、ランカーサイズがけっこう釣れるぜ。暇があったら行ってみな」
 そんなふうに私の耳元でささやく野郎が増加した(綺麗なねえちゃんでないのが残念だ)。
 地図を出せというのでひろげると、ご丁寧に指さして、「この池だ」などと教えてくれる。
 話に耳を傾けるうち、段々バス釣り師の狡賢さが知れて、あきれた。
 とびきりの池を紹介するかわりに釣れても名前を出すなという交換条件付きである。 書いてもいいが、某市の野池としておけ。そう注文をつけて来る。
 最近、私が暇にまかせて野池をめぐってバスの棲息状況を調べまくっているとの噂が立って、それを耳にしてこれはまずいと思った野郎どもが、進んで献上の品を手に詣でて来るようになった。
 それで、こちらも狡くたちまわることにした。大きいのを釣って書いたら、偶然おまえの穴場だったなんてことになったら大変だ。
「だから、先に俺に教えておけ!」
 そう持ちかける。すると、みんな有り難がって、自ら進んで口を割る。
 だから、私は瞬く間に金持ならぬ池持ちになった。
 けれども、そのせいでランカーサイズのバスを運よく釣っても、約束だから例えば香川県高松市の野池というふうにしか記せない。このことに少々フラストレーションを溜めがちだ。
 よほどメジャーな釣り場なら話は別だが、小さな野池、誰にでもすぐ行けてだれもが見落としがちな場所なら大っぴらに記すわけにもいかない。これは読者に対しても、ちょっぴり心苦しい思いがある。
 でも、まあ、自分の足で野池をまわって、釣り場を開拓するのもバス釣りの楽しみの一つだと聞くから、その楽しみを読者の皆さんから奪わずに済むのだと思うようにすれば少しは気が楽にならぬでもない。
 だから、勝手にそう思うことにした。

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階段をのぼって釣り場へ向かう。期待を胸に

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オープンエリアに泳ぐバスを狙う筆者

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夕暮れが近づくとこのサイズが連発した

 昔、若いころバス釣りにハマっていた連中から道具やルアーを譲って貰うことがある。私がバス釣りをしていると噂に聞いて、宅配便で送ってくれる人まで現れた。ルアーをくれる人は、たいてい一個だけくれることは稀である。使わなくなったが捨てるのは忍びない。誰かにあげようと思って声をかけると、俺も誰かにやろうと思って捨てずに持っている、そう言われる。そのころは空前のバスブームだったから、釣り好きの多くが一応は齧っているというわけだ。じっさい、ちょっと齧った者から、どっぷりつかった人までそののめり込みように差はあるもののバス釣りをやっていた。そういう人たちである。
 しかも、バブル景気に沸いていたころとある程度時期が重なるせいか、いいものをたくさん所有している人が少なくない。ルアーなら三個、いや、五個、十個、気前のいい者はルアーボックスごと置いて帰っていく。というわけで、バスプロショップでございますと胸を張れるくらいのルアー長者になった(ちと大袈裟すぎか)。
 そのルアーを手に取っていちいち眺めていると、べらぼうな種類の多さに、どれを使えばいいのか途方にくれそうになる。けっきょくバスなんて動くものなら何にだって食いつくのさ、そう結論づけて済ませたくなった。
 たしかに、バスは動くものに強い興味を抱く。しかし、それ以上に学習能力が高いので、見慣れたものを人に遅れて行って投げても後の祭りなのだそうである。プイと横を向いて相手にされないという。だから、古いタックルケースに古い空気と共に密封されたまま物置の奥に忘れられていた年代物のルアーをある日ひょいと出して来て、人気の野池に出かけて行って投げてみると大きなバスが浮いて来て、何のためらいもなく丸呑みにしたなどという嬉しい誤算が生じる。なにも新兵器ばかりが巨バスを魅了するとはかぎらない。古参の兵の経験が勝ち戦に結びつく例の少なくないように、古参のルアーが活躍することも大いにありうる。どうも、そういうことらしい。

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信頼のアンブッシュ

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こんなトップもおもしろい

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ガッターXで仕留めたグッドサイズ

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水質抜群のせいかボディも鰭も綺麗だった

 だから、ルアーの種類がバカバカしいくらい多い。そして、ルアーそのものがバカバカしい姿をしていたりもするのであろう。
 なるほど、そういえばクワガタムシのおもちゃその物のガッターXに大きなバスが食いついた。あれに味をしめた私は、こんどは晴れた真昼にオルカというボリューム満点のトップウォータープラグをナイロンラインの先に結んで投げてみた。
 すると、ガッターXのときほど大きくはないが、それでも嬉しいサイズのバスが水面を割って襲いかかって来て私を大いに興奮させた。
 なんの芸もない。ただ投げて、ちょっと誘ってみたら、ガブッと食いついた。

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スピニングタックルに多用しているライン

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蓮の葉の際でバスが動く。テンションがあがる

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白昼堂々水面のルアーをバスが襲った!

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オルカに食いついたナイスサイズのバス

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いい働きをみせたメガバス・オルカ

 トヨタカローラ屋島店の安部裕次の同僚にトップウォータープラグ命のバス釣り師がいるが、水面の釣りの楽しさにとりつかれるのも気持ち的にはよくわかる。フライフィッシングの世界にも水面の釣り、つまりドライフライフィッシングしかやらない釣り師が大勢いる。日本のフライフィッシャーのあいだでは、むしろそちらのほうが人気である。
 そのトヨタの安部くんに、写真をみせたら、「こんどは、オルカですか。いいバスですね」と羨ましがられた。彼はボートを操りながら的確にポイントを攻め落としていく腕のいいバスハンターだから、こんどボートに乗せてくれるという。べつに自分が操縦するわけではないので、二つ返事で気軽に応じたが、さてどうなりますことやら。
 もし、いいバスを仕留めることができたら、手柄話を書くつもりでいるので、どうか楽しみにお待ちいただきたい!

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マナーの悪さからこういう目に遭う。気をつけたいものだ

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山林を抜け水辺へ向かう

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雨あがりの野池

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雨がやんでまもなくバスがヒット

 オルカでバスをやっつけたあと、また別の野池でこんどはわが相棒というべきピーナッツⅡを投げてみたところ、運よく写真のようなランカーサイズのバスが食いついた。 この話については別枠で書くつもりなので、ここでは障りだけ書いておくことにするが、相当嬉しかったのは言うまでもない。
 新たに野池を見つけては仕掛けを投げてみる。時間があれば野池をいくつも巡っていいバスがいないか探りを入れる。こうしてあちこちに釣り場を見つけて置けば、用などで外出した折りに空いた時間を利用して釣りが楽しめる。香川には小規模の野池が数多く点在しているため、なけなしの時間を利用して釣りを楽しむばあいでもじゅうぶん釣果を見込めるにちがいない。
 いまのうちにそういうとびきりの釣り場を一つでも多く見つけておこう。そう思った次第である。

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ピーナッツⅡで釣った最大魚

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いかにもバスがひそんでいそうだ

 このバス釣り。
やり込めば大変な釣りだと察しはつくが、気分転換にちょっと竿を出すだけでもじゅうぶん楽しい。
 そういうところもバス釣りの魅力であると私は考えている。

【今回の使用タックル】

ロッド : メガバス パガーニF2-66XP
      メガバス オロチF3-65 DG
      メガバス トマホークF3-63 GT3
      ノリーズ ロードランナーボイス630LS
リール : シマノ アルデバラン50
      ダイワ トーナメントZ2500C
ライン : ユニチカ シルバースレッドアンブッシュ8lb
      ユニチカ シルバースレッドS.A.R8lb

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