2016年9月3日
みんなでオクトパッシング!
小池さんをどう思うかと訊くので、「いけ好かねえ女だ」と答えた。
では誰が都知事にふさわしいかというので、「それは、小池さんだろ」と今度も即答した。
S氏は、ちょっと困惑したようだったが、能力のあるに相違ない人材を単なる好き嫌いだけで推したり推さなかったりしたのでは差し障りが生じるのではあるまいか。
人事に私情は禁物というわけだが、じつをいうと、この手の話に私はあまり関心がない。もともと政治に関心が薄いし、小池さん云々は東京都の話である。四国の田舎者の私が何か口にしたところで投票権も何もありゃしない。だから、単なる野次馬だが、それでも、まあ、小池都知事誕生は、まんざら悪くはなかったろう。
ついでに書いておくと、自民党の二階さんはいい意味で政治家として胡散臭いお方のようで、党内でも煙たがる人が少なくないようだが、その一方で、ずっと自民党にいたわけではないからあまり相手にされなくてもおかしくないのに、使える人材として重要ポストに腰を落ち着けている。安倍総理とはどう贔屓目に見ても馬が合いそうにはないのに、安倍さんは取り込んでよく使い、二階さんの方もそれを承知でうまく使われている。
だから今、じっさいああいう構図になっている。
漁港を忙しくランガンしてまわった
やや沖を、足元を、ねちっこく丁寧に探ろう
牧は中型のマダコをキャッチ!
「いうなぁ。政治嫌いの癖に」
とS氏は私の意見に対して皮肉を込めて言ったが、べつに政治が嫌いなわけではない。あまり関心が持てないというだけのことだ。
そう。
釣りほどに関心が持てない。
なので、これからその関心事である釣りについて書こうと思うが、今回は釣り仲間のオクトパッシングを見学に出かけた夜の話をしてみたい。
使用したタコエギとリーダー
「交換?」と牧。「そう。ダンシング八ちゃんに」と良太
こうしてネットに入れておくと暴れません、と良太
それは、暑い八月下旬の夜だった。
それ以後もちょいちょい仲間同士示し合わせ、お膳立てされた釣りに私自身参加させてもらうかたちで出かけているが、季節が夏から秋に移っても、相変わらず悪くない釣果が得られている。釣れるサイズも夏と秋とさほど変わらないが、夏の方が大ダコに出会えるチャンスにかぎっていえば多い。私はまだ始めたばかりなので先のことはわからないが、とにかく夏が大ダコのシーズンであるのはまちがいなさそうだ。
春に生まれたマダコが、夏、秋とたらふく獲物を襲って食って冬になるころには相当大きく育つ。マダコは年魚だから成長が早く、とにかく食欲旺盛である。なので、餌だろうがタコエギだろうが見境なしである。春に生まれた子が次の年の春の産卵にタッチしないばあい秋まで生き残る。そして、秋の産卵組に加わって産卵する。先にも述べたとおりマダコは年魚だが、このように一年半生きる個体は産卵前の夏の荒食いのときに大ダコと呼ばれるサイズに育っている。これが夏の大ダコの正体というわけで、これを狙って釣るのが旬の醍醐味だとされている。
タコエギからタコ用ワームに交換する稲田
岸壁から波止へ移動する三人
漁師は、雨降りのマダコとよく口にする。
なのに、八月はよく晴れて水不足が心配されるほどだったので、海の塩辛さが益々増して、マダコの気持ちを憂鬱にさせやしないかと気を揉んだが、どうやら取り越し苦労に終わったみたいでホッとした。
もともとマダコというのは秋のイイダコみたいにたくさん釣れるものでもない。それに私はこの夏から始めたので、どの程度釣れたら悪くないと評価されるのか、あるいは当り年だと絶賛されるのか、今ひとつピンと来なかった。
それはともかく、この夜、一等賞を狙う良太にハンディーがついて、「二つ釣ったらみんなと同じスタートラインや」と牧が当たり前のように告げた。
良太が笑って済ませようとすると、「笑いごとやないで」と稲田が牧の後押しをした。
「それなら、二つ釣ってもボウズ扱いやから、三つ目からマダコの手持ち写真を撮ってやるとしよう」
私が話に割り込んでそういうと、良太は大袈裟に頭を抱えてみせた。
ふだんから抜きん出て多くのマダコを釣るものだから、こんなふうにみんなから冗談半分からかわれる。
そんな身の上となったせいか、良太は釣りを始めてからも落ち着かない様子で、底を当たっていくテンポがいつになく速かった。
それに比較して他のみんなは思い思い波止ぎわを丁寧に探り、やや沖をねちねちと辛抱強く攻めた。
しかし、珍しく誰にもアタリが来ない。
私は内心ダメなようだと今夜の今後を思ったりした。
ハンディーのことはともかく、全員ボウズなら良太もボウズだが、良太のボウズは二つである。二つに届かなければマイナスということでボウズの下をいく。ほかの者は釣れなくてボウズでもマイナスはつかないから、いずれにせよ良太は不利だった。
岸壁際でマダコがヒット!
釣果には関係しないカラーだが、その一方揃える楽しみというのがある
その後、しばらくして良太がつづけて無難なサイズを二つ釣りあげて、皆と同じスタートラインに立った。
さすがである。
このぶんだと、さらに良太が釣果を伸ばして逃げ切りそうな勢いだった。
しかし、今回はいつもと少しちがっていた。ハンディーを気にした良太の攻めはいつになくせわしなかった。じっくりねちねちやるいつものあの辛抱強さが見て取れない。終始そういうふうに落ち着かない様子だったので、あんのじょうあとがつづかなかった。
その後、庵治半島の漁港を釣りめぐるうちに、あちらの漁港で牧が、こちらの漁港で稲ちゃんが、待望のマダコをそれぞれキャッチ。いっそう良太はその表情に焦りの色を濃くした。
その後、潮の動きが悪くなって、アタリが遠のいた。食いしん坊のマダコも潮が動かなくなると食欲が減退するらしい。
ぜったい、そうであるに違いないと思われるほどアタリがなくなった。
使用したライン
「やったぜ」と稲ちゃん。マダコ専用のワーム仕掛けで獲った
終了時刻が迫っていた。
良太にハンディーが重くのしかかる。
他の者も互いが時計を気にし、状況を気にし、相手を気にして気持ちがやや浮足立って見えた。
こうなると、攻める手元がおろそかになる。
あんのじょう、その後、誰ひとりとしてマダコを釣りあげることはできなかった。
【今日の使用タックル】
ロッド : マダコ専用ロッドほか
リール : アブガルシア ビックシューターコンパクトほか
ライン : ユニチカ ユニベンチャージギングX4 2号
リーダー: ユニチカ シルバースレッドminiショックリーダーFC 20lb