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釣行記

釣行レポート

2016年9月27日

夜のズル引き釣り

 この記事に先だって書いたアオリイカか何かのレポートの本文中に、今期は夜のズル引き釣りについての記述は極力控えると、たしか明言したように思う。
 ここ何年間か書いて来て、書き尽くしたとまでは言わないまでも、必要な記述は旧作品のなかにすでに盛り込み済みなので、そちらを読めば疑問に思う事柄も得心がいくにちがいないからあえて書かないでおこうというわけだが、この場を借りて以下のとおり少しだけ付け加えておきたい。

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使用したラインとリーダー

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開始早々良型を手にした田所さん

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上がズル引き用、下がシャクリ用。夜の浜の浅瀬で使用する

 釣りに出てボウズのこともしばしばあり、トータル的にみても大した数のアオリイカをものにしているわけではないのに、釣るときには目をみはるほどいいサイズばかりを手に凱旋帰宅する者がいるかと思えば、その一方で釣れる日には二ケタ釣果は当たり前、が、しかし、サイズ的には何となくいつもさほどふるわないという釣り師もいる。
 いったい、この差は何なのか。偶然か。何か理由があるのか。

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オモリは削るなどして軽くしておき状況に応じて糸オモリで調整する

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ソフトなシャクリとズル引きの併用で本命を連発させた良太

 ズル引き釣りのエギは木製の半傘タイプが最も適しているといえるが、オモリ部分を削ったり穴をあけたりして軽くし、なおいっそうズル引き釣りに適したエギに改造する。
 この改造エギを用い浜の浅瀬をズル引きで釣る。
 たとえば、潮の流れの効いている時間帯に表層中層に出て餌の小魚をつけ狙うアオリイカに的を絞り、攻める。それをものにするのに適したサイズのエギと釣り方が当然ながらある。
 ふつう、エギは2.5号か3号で、仕掛けも比較的細仕掛けで臨むばあいが多い。まだ夏のなごりの秋口から一カ月くらいが好期となる。
 こういうときに浜の浅瀬に集まる秋の新子のアオリイカは小ぶりなものが大半を占める。仮に胴寸15cmまでを秋アオリの小ぶりなものと表するなら、それ以上のサイズは少なく、胴寸20cmを超す良型は稀にしか釣れない。それでも数が釣れたら楽しいし、このくらいのサイズ(15cmまで)が最も身が甘くて軟らかいので食べて美味しい。
 私は人に頼まれてアオリイカを釣りに行くことが多いので、それなりに数が必要。
 釣れぬと困るというわけで、秋アオリ本番の十月以降も、大物一発狙いは切り捨て小ぶりでも数を稼げる釣法で攻めることが多いが、あのアオリイカ特有のジェット噴射引きを堪能したくて深夜に時合が来る日は、こっそり良型を狙いに浜の浅瀬へと車を走らせる(釣り人の去ったのちの深夜は良型を狙うのに都合がいい)。
 少し話が横道にそれたので、元にもどすと、小ぶりな本命の数釣りには、改造して自重の軽くなった大きくもないエギを使うのだから、風の影響や飛距離稼ぐことを考えると仕掛けは繊細なのに越したことはない。

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ズル引きには半傘が向く。全傘のものは半傘に改造する

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見よ、この大人げないドヤ顔を!

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筆者は頼まれたおみやげを無事Get!

 秋の新子のアオリイカは春から初夏に生まれた個体がたらふく餌を食って大きくなったにすぎないから大きくなくて当然である。
 それでも、餌を捕るのがうまい大食漢は他を凌いですくすく育つし、人並み(イカ並み?)外れて体格がいい。そういう個体は日中よりも夜間のほうがよく釣れる。
 少し前の荒れた日の夜に田所さんが釣りあげた胴寸28cmのアオリイカも早生まれに加え大食らいの無法者であったに相違あるまい。
 つい先日の夜、この28cmよりは小さいけれど、良型の秋アオリを庵治半島の笹尾の浜で複数ものにして、ずいぶんと田所さんは鼻息が荒かった。アタリは極端に少なかったが、辛抱して底の方をゆっくり執拗に攻めていると、モソッとしたアタリが来て、確実に遅アワセすると、ロッドが綺麗な弧を描いて撓った。その後、あまり間を置かずに同サイズがヒットした。

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ズル引きは木製のエギを多用する。エギS2は木製ではないが改造するとよい働きをする

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尾崎晴之もズル引きを長年やり込んできた名手だ

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浅瀬は荒れ模様の夜ほど良型の期待が高まる

 この日、私は暗くなる前に余裕を持って日中エギングを少しばかり楽しみ、その後、宵の口の短い時間だけ田所さんと世間話をしながら一緒に浜で過ごした。
 風は強くなかったが、浅瀬はざわついていた。いましがた沖を大型船が通過して行ったときと変わらぬ規模の波が、その後も浜の渚にあまり間もおかずに寄せて来て、良型の秋アオリを狙うにはもってこいの条件だった。よほど濁っていればべつだが、そうでないなら荒れ気味の方が夜間の良型狙いには望ましい。
 こういうときは、エギは最低でも3号を使用。3.5号の出番も少なくない。海の荒れ方次第では4号をチョイスすることも稀にある。

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夜が明けたらシャクリ釣りで攻めよう

 むろん、小型を避けて大きいのしか狙わない腹積もりなのだから、大きなエギ、強い仕掛け、それを難なく扱えるしゃんとしたロッドが必要である。
 表層や中層で良型がエギを抱くこともしばしばあるが、あくまでも狙いは底付近である。海底の障害物にときどきエギがぶつかる感触を手元に受けると思いどおりの深さをトレース出来ていると知れて安心する。底の障害物に当たったときは、エギを軽く跳ねあげて誘ってみよう。この直後にヒットするケースも稀ではない。
「こういう荒れた条件の夜は、確率高くないから、気軽なものですわ。ボウズを食らっても、まぁ、またあした頑張りましょうってね」
 そう田所さんはおっしゃるが、その表情からしてヤル気満々である。
 のっけからつづけざまに良型をふたつ仕留めたのだから当然だが、その後も、その表情から闘志が失せることは決してなかった。
 こういう辛抱人タイプのボウズ承知で通いまくる釣り達者が良型を多くものにする。
 これに対して、数釣り師は小ぶりでもいいから頻繁にアタリが来るとか釣れつづくとかしないと不安で苛立ってしまいがちな傾向にある。当然、仕掛けも釣り方も、釣る場所も、それ用に適したものに知らずのうちになってしまっている。だから、良型を手にすることはなかなかどうして難しい。
 備讃瀬戸の秋アオリの釣期は二か月程度と決して長くはないが、やり込めばやり込むほど、良型一発狙いと小ぶりな数釣りと、おのずから差が出る。
 これは仕方ないことだ。
 さて。
 今回は途中から最近売り出し中の釣り達者・三木良太も加わり、大いに夜の浜の浅瀬を華やがせた。ほかにも、来合わせた見知らぬ釣り師が少なからずいたので、賑わい、華やいで当然だ。
 その後、アタリのなくなった笹尾から鎌野の浜へと移ってからも、悪くないサイズのアオリイカが多くはないが釣れたそうだ。そのことを後日、二人から聞いて知った。
 二人が笹尾の浜をあとにするとき、私は田所さんと良太に暇乞いをした。
 そもそも、この時点で帰宅予定時刻を少しばかり過ぎていた。
 田所さんと良太は鎌野の浜をめざして東へ、私は明日の仕事に負担が出ないよう西へと来た道を急いでもどっていった。

【田所幸則氏の使用タックル】

ロッド : オリムピック ヌーボカラマレッティクワトロ ロッソ86M-T
リール : ダイワ エメラルダス2508PE-H
ライン : ユニチカ キャスライン エギングスーパーPEⅡWH 1号
リーダー: ユニチカ キャスライン エギングリーダーⅡ 2.5号
エギ  : ユニチカ エギS2 3号、3.5号ほか

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