2016年10月20日、22日
良型の秋アオリを堪能!
ズル引き釣りというのは、感覚に頼るところの大きい釣法である。仕掛けの緩みぐあい張りぐあい、複雑に流れる潮のせいで生じるエギのちょっとした動きの変化、等々、それらを手元に感じながらロッドの角度や竿先の高さ、ラインの送り出し、あるいは巻き取りといった一連の操作を絶妙のタイミングでおこなう。同時に、潮の速さ流れ方、風の吹きようにも気を配りながら夜の浜の浅瀬でアオリイカを狙う。
ズル引き釣りの聖地、鎌野の浜
「まあまあでんなぁ」と尾崎晴之
夜になると上着を一枚余分に着込みたくなるころに釣れるアオリイカは、春の親イカの小ぶりなものに匹敵するサイズも少なくないので、もう秋の新子のアオリイカなどと呼んでは失礼に当たりそうである。
むろん、そのサイズを念頭に仕掛けを組むため、シーズン初期のように細仕掛けが生きるシュチエーションというのはあまりないと見てよい。
私は、最低でもPEライン0.8号、リーダー2号、エギは最低3号をチョイスしてナイスサイズのアオリイカのヒットに万全の構えで備えている。
夜になると、秋の浜の浅瀬には、アオリイカのほかマダコも餌を求めて寄ってくるので、マダコだけを避けてアオリイカにエギを抱かせるなどという芸当は出来かねる。とくに、潮が緩んできて、ほとんど流れなくなると、浅くて荒い底に身をひそめていたマダコが近くを通るエギにちょっかいを出してくる。マダコのアタリと根掛りは非常に似ており、底に仕掛けがチェックしたのと勘違いして根掛り回避の行動など取ろうものなら、それこそ運の尽きとなってベタッと底に張りつかれてしまう。この段階になってもマダコがエギを押さえ込んだと気づかない人は、引っ掛けたエギを底から外そうとしてさらに荒っぽく仕掛けを扱ってしまい、自分から地獄へと落ちていく。もうこうなると、まっすぐ仕掛けを張って、力いっぱい引っ張って、切るしか手はない。高価なエギを失うのはもったいないが仕方ない。
この点を考えてみても、太めの仕掛けで釣るのがよい。太めならマダコのほうが降参して、踏ん張りきれずに剥がれてくれるかもしれない。すると、こちらは美味しいお土産を頂戴できることになる。エギを失わずにマダコのおまけがついて来る。だらか、一石二鳥というわけだ。
なにはともあれ、マダコか、それとも根掛りか、この区別がつくよう常から注意して釣りに臨みたい。口で説明するのは難しいが、根掛りが生じたとき、根掛った瞬間の手応えからマダコか本当の根掛りかを慣れると判別できるようになる。なんとなく釣りをしている人にはわからない事実が、気にとめてやっていると経験の積み重ねによってほぼ正確に判定可能となる。
根掛りではなくマダコの仕業なら、その後の打つ手が変わってくる。マダコも小ぶりなものなら仕掛けを張り過ぎず緩めすぎず適度な張りを保ったままロッドの先を高めに構えて待っておれば自分でエギから逃れて去っていく。大ダコのばあいはラインを緩め気味にして沖へ這い出すのを待ってから剥がせアワセを試みると底を切って浮かせることができるばあいがある。
屋島の藤本釣具の常連客の岡田君の話では、仕掛けを張って三味線を弾く要領に手元のPEラインを爪弾くと、糸電話の要領でそのベンベンという微振動が伝わって、釣り師と反対側に居るマダコがこそばゆがって、こいつはたまらないと思ってエギから逃れようと一生懸命になる。それで、エギを奪い返せるとのことだった。
「こいつはいいことを聞いたぞ」
そう思って、あるとき、試してみたが、マダコの野郎、その手に乗るかとばかりにいっそう強く底に張りついて、にっちもさっちもいかなくなった。
あとで岡田君に話すと、
「そんな、小歌の伴奏みたいにやってもダメです。もっと津軽三味線を弾くみたいに力強くやらなくては」
そう言って笑われたが、彼の説明が苦し紛れの言い訳のように感じたのは気のせいだろうか。
まあ、いい。
今回は、マダコのアタリが多く、私は田所さんの教えどおりにやって、ほんとうなら二個なくしたはずのエギを失わずに済んだ。尾崎は運よく大ダコを二つ取り込んだ。もちろん、大ダコを捕る技など持ち合わせていないから偶然獲れたとしか言いようもないが、タコはタウリンが多いので、食べると元気が出る。だから尾崎は、きっとそいつを食らって明晩もスーパーマンの元気さいっぱい鎌野の浜に姿を見せるだろう。
今期はこのサイズがけっこう釣れている
いま、鎌野の浜が熱い!
俗にいうペットボトル500mlサイズのアオリイカが夜間のズル引き釣りに高い確率でヒットしている。
それ以上の大きさのアオリイカもちょいちょい姿を見せるので目が離せない。
毎晩のように風が強く吹き、波があがってシャクリ釣りには不向きな条件だけに、浜の夜の浅瀬はズル引き釣り師の独壇場である。
デカ過ぎて画面に収まりません!そんなわけないか^^;
筆者のエギ。夜の浜の浅瀬で使用する
あれだけ夜間の釣りは慎むようにしていると書いておきながら、たまに出かけていくのは最初に述べたとおり感覚を鈍らせないためであるが、やはり良型が例年になくズル引き釣りでたくさん釣れているからにほかならない。たまには大きいのを仕留めて手柄話をしておきたい。箔を付けておこうというわけである。
最後に今後の見通しを述べておくとすると、このまま推移するなら十一月も大いに期待できそうである。さらなる大物があのアオリイカ特有のジェット噴射引きをわれわれ釣り師に堪能させてくれるかもしれない。
そいつもあながち夢とはいえない。
今期はそんな期待を抱かせてくれるよい年である。
使用したラインとリーダー
翌々日。味をしめ雨のなか出かけたらヒットした
では、みなさんも、よい釣りを!
【今日の使用タックル】
ロッド : ノリーズ エギングプログラム ダートトライアル83M
リール : ダイワ エメラルダス2500
ライン : ユニチカ ショアゲームPE X8 0.8号
リーダー: ユニチカ キャスライン エギングリーダーⅡ2号
エギ : ユニチカ エギS2 3号、3.5号(改造タイプ)など