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釣行記

釣行レポート

2016年11月9日

さぬき市庁舎裏でアジ七匹

 岸から釣れるアジは小型が多く、たまに25cmを超すサイズが釣れると、みんな目を丸くして驚く。五つも六つも釣ろうものなら名人だと同好の士から持て囃される。宇和海や愛媛の瀬戸内海沿岸なら話題にもならないが、香川県内だとえらい騒ぎになる。
 じっさい、今年は秋も早くからアジが高松市内の港湾エリアでも連日連夜よく釣れて、「今年は当たり年ですよ!」とアジ名人の松浦宏紀などもそのような予想を口にするくらいだから、まあ、その線で今後推移していくのかもしれないが、そのアジのサイズというのは20cm前後である。
 ご存じのとおりアジは小さくても一応青物であるから足が速い。昨日今日釣れても明日はどうだかわからない。気が向けばとどまるし、ふと思い立ったようにどこかへ回遊して行ってしまうことだってある。どこまでも遠くへ行ったらおしまいだが、さっぱりダメだと愚痴をこぼしていると近隣の漁港の波止で入れ食いだという話が飛び込んでくることもままあるので侮れない。「しまった。間違えた」と場所の選定を誤った自分を責めざるを得なくなったりするから始末に悪い。
 おおよそ、魚は好みの餌が多く集まる場所へ寄って来るものと相場は決まっている。しかし、昨日と同じ状況でもアジは気まぐれだから全然釣れないことがよくある。いま時分はシロアミについて行動しているから、シロアミの接岸状況を把握していればいい思いが出来るはずだと思いがちだが、似た状況でもアジの反応は真逆となることが少なくないから何がなんだかさっぱりわからなくなったりする。
じっさい、大釣りしたからと、いい気になって自慢話をして、窮地に立たされることさえあるから慎重に言葉を選んでしゃべらないといけない。親切で、「昨日の今日だから釣れるに決まっている。お前も行ってみなよ」などとうっかり口を滑らせようものなら、それを真に受けて行った者からしっかり苦情が来る。
 餌のシロアミは確認できたが本命のアジがいない。そう言ってこぼされる。あげくの果てには、そんなお前の言うようないいサイズのアジがほんとうに釣れたのかと疑われる始末である。
「だから、教えたくないです」と電話でいつかデーブ鎌田がぼやいて言った。
「べらべらしゃべっておいてから、教えたくないもないものだ」
私がからかうと、当のデーブ鎌田は
「よさそうな場所だから日を改めてもう一度出かけてみるよ、とか、その日はダメでもこちらに気を使って言ってくれる人のばあいはべつです」と悪びれる様子もなくいつもの調子で語るのだった。
べつに気を使っているのではなくて、釣りとはそういうものだろうと思っている。ただそれだけのことである。
第一、彼は漁業関係者から最も近いところで長年仕事をして来たわけだし、彼自身も釣りをし、身辺に釣りに執心している者が多数いるのだから頼りにして当然だろう。魚介類とそれを取り巻く自然についてもデーブ鎌田は大変詳しい。調子に乗ると少々話が大きくなる癖があるが、それも事実の延長線上に希望的観測を上乗せして述べているのであって荒唐無稽な作り話でも法螺でもない。

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波返しの外側は石積みとコンクリートで護岸してある

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ぷりぷりとよく肥えたカサゴもお目見え!

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町はずれの畑ではコスモスが花の盛りを迎えていた

 今回も、そんな彼の口車に乗って、いや失礼、彼の情報を頼りに、さぬき市庁舎裏へとのこのこやって来た。むろん目的はアジである。アジングである。
 デーブ鎌田の話では、25cm級が釣れているとのことだった。
「ほんまか。明日にでも行ってみる」
 私が前向きの姿勢を示すと、デーブ鎌田が加えて言った。
「早まらないで聞いてくださいよ。そのサイズはワームでは釣れていませんよ。第一、ワームではフグしか食いません。サビキのおじさんがそう言うので、試しに釣ってみましたが、たしかにマメアジ一匹口を使わない。そこで、何か特効薬はないかとバッグのなかを探してみるとパワーイソメのいちばん細いのが出て来たので、ダメもとでジグヘッドにセットして投げてみると効果覿面でした。早朝の短いあいだしかアタリはありませんでしたが13匹釣れました。20cm超えが三分の一ほど。あとはそれでも悪くないサイズでしたね。サビキのおじさんも似たようなもの。でも早朝だけ、潮次第で25cm級が食うとか。だから、朝も暗いうちから眠いのにこうして足しげく通っているのだと熱く語ってくれました」
 なるほど、ワームでは食わないのか。それならワームを試してみなくちゃな、と、まぁ、あまのじゃくの私は思った。
 じっさい釣りに出かけて、カラーやサイズ、形状のちがうものを次々に試してみるもデーブ鎌田の言うとおりワームでは埒があかなかった。フグに齧られ何個か損をしただけだった。
 ここに来て私はパワーイソメをバッグから取り出してパッケージの封を切ろうと開封口を指でつまんだ。いや、待てよ、と思った。似たようなものでアジ専用があったのを思い出した。エコギアの活アジ。これなら、アジと大きく書いてあるし、アジのイラストだってばっちり刷り込んであるのだから正真正銘アジ専用である。
 しかし、デーブ鎌田のいう市庁舎の裏から志度漁港の波止の付け根まで、その活アジを使って丁寧に探ってみたがアタリすらない。すでに陽が高く、水深も大して深くないようなので、光を嫌ったアジが深場にさがってしまったのではないかと懸念された。だが、つい先日、朝の八時半まではぼちぼちアタリがあったとデーブ鎌田から聞いていたので、もう少しねばってみるかとも思った。風は予報ほど強くは吹かず、波もほどほどに立ってアジングにはもってこいの状況のようだった。こういう状況のほうが、ベタ凪よりは釣りやすいと以前聞いたことがある。

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多用したワーム

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付近は石積み護岸が延々とつづく

 それでも、なかなか食いついてくれないので少々嫌気がさして来だしたころ、市庁舎よりほんの少し東側で、アジが釣れた。待望の第一号である。しかも、20cm超えであった。思わず小躍りして、石積み護岸の継ぎ目に足をとられて転びそうになった。いい歳をしてみっともないことだが、幸い誰にも見られずに事なきを得た。
そこで転ばずに済んだのがよかったのか、運が残っていたらしく、その後も同じ場所でアジが二匹釣れた。風向きのせいで空中のラインが横から押されて海中の仕掛けを浮きあがらせてしまいそうだったのでジグヘッドを重くした。どうもそれがよかったのか、カウントダウン中にひったくるようなアタリが来て、釣れた。
しかし、釣り歩くうちに場所によっては仕掛けが重いと根掛りした。仕掛けを軽くすると風の影響が出た。仕方なく、アジが違和感を抱かぬよう海中に仕掛けを置いておくため空中にあるラインを極力少なく出来るようロッドの先を海面近くに下げて構えた。そうした上でラインのスラッグを多めに出しておいた。風で湾曲したその空中のラインに変化が生じると間髪入れずにアワセをきめた。ヒット直後にアジが猛ダッシュしてしくじることもあったが、大体はうまく口切れさせずにファイトに持ち込んで取り込むことが出来た。
駐車場所までもどるあいだに七匹のアジが釣れた。小さなメバルもヒットした。まあまあのサイズのカサゴ、きれいな飴色をしたシロハゼまで釣れた。
アジとカサゴはキープし、夕食のおかずに持って帰った。

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使用したライン

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広く釣り歩くことで釣果を得た

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今回の釣果

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赤く色づく木の実にも深まる秋を感じさせられる

 恐る恐る名人達人たちに事の仔細を語って聞かせると、「悪くないですね。どこで釣ったのですか」と質問された。
先にも述べたが、今年はアジの当たり年だという。なのに、近場で日中にこのくらい釣れたら褒められる。私はアジ釣りに詳しくないので何とも言えないが、やってみると小物釣りの印象しかなかったアジングもあんがいおもしろい。
今後もちょいちょい出かけてみようと思っている。

【今日の使用タックル】

ロッド : ブリーデン グラマーロックフィッシュTX70M
リール : ダイワ セルテート1003
ライン : ユニチカ ナイトゲームTHEアジ エステル 0.2号
リーダー: ユニチカ ナイトゲームTHEメバルリーダー 3lb
ワーム : マルキュー エコギア活アジ
      マルキュー エコギアメバル職人ストローテールグラブスリム

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