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釣行記

釣行レポート

2017年9月20日

ルアルアチャンネル三周年記念ロケ

 そもそも、引き受けた依頼が無謀だった。
ルアチャン三周年記念のロケをやるので、身近な岸壁とか波止とかで、「やりました」、「釣れました」と女の子らが魚を手に、全員笑顔になれるような釣り場へとロケ隊を連れて行ってあげてくれ、と、まぁ、そういう話なのである。
「なんだ、それ?」
 私が訊ねると、
「なんでも、三周年というわけでルアチャン娘を三人とも呼んで、手軽に岸から釣り三昧といこうじゃないかって企画らしいんです」
「この釣れていないときに?」
「もちろん、そういうときだからこそ、うちに白羽の矢がたった。遣り甲斐ある仕事がまわってきたってわけですわ」
 ユニチカという会社は釣り糸を売る以外に人助けにも心血をそいでいるらしい。
「そんなのうちでなくても、よそへまわせと言ってやれ」
「そうはいかないです。ディレクターが是非とも娘三人一緒に並べて釣らせたい。魚を手に嬉しがる姿を見たい。三周年記念ロケなのだから、三人一緒がいい。スケジュール的にみて三人揃うのは九月二十日以外にない。そうおっしゃるもので」
「では、魚の都合はどうなる?」
「それならそっちに万事お任せ致しますので、お魚さんらと相談なさって、こっちの都合に合わせてもらえるようお願いしてください」
「魚に?」
「そう」
「正気か?」
「よしなに」
 そのあげく、ユニチカの担当者はこうも問うて来た。
「九月二十日だけど、岸からどんな魚が釣れますかねぇ」
 そんな数週間先の魚の都合など私の知ったことではない。相手の魚も人間様の方からお伺いをたてたところで気ぃよく答えてくれるはずもなかった。
「じゃあ、訊くが、魚が言葉をしゃべるか?」
 私は言った。
「そこをなんとか・・・」
「何が、なんとかだ。調子のいい奴!」
「えへへ。まぁ、ひとつ、よろしく頼みます!」
 彼はいつもの軽いノリで言って電話を切った。
 さて、どこで何を釣るか。
 考えがまとまらないうちに、大陸へと向かうはずの台風十八号が、そうと見せておいて奇襲攻撃をかけて来た。突然、その向きを変えて日本列島を縦断しそうな勢いである。
 けっきょく、気象庁の予測に違わぬコースを辿って十六日に四国を直撃、その後、淡路島、神戸の垂水を通って過ぎ、関西中四国は十八日中には台風の影響圏から完全に脱した。
 台風前と台風後では、海の状況が一変した。
 瀬戸内海の四国沿岸は大量の雨水と氾濫した河川からの濁り水の流入が半端でなかったためにロケの候補に挙げていた釣り場数カ所が全滅、淡路島も播磨灘側、つまり瀬戸内海に面した側は大波で海岸道路が大破して通行不能となるなど打撃を被った。
 当然ながら釣りどころではない。
 災害に見舞われて命を落とした人も出た大型の台風だっただけに不謹慎なことは口に出来ないが、それでも私は台風の影響が吉と出るか凶と出るか冷静に判断しなくてはならぬと頭のなかでずっと考えていた。台風の通過したコースが絶妙だったので、ひょっとしたらひょっとするぞと思ったのである。
 もし太平洋側の海の被害状況が深刻でないなら、台風直前まで釣りのダメだった太平洋側に、台風被害の深刻な瀬戸内側から魚が移ってくるかもしれない。そうでなくても台風一過の秋晴れが海に恵みをもたらすことは経験上も少なくないことが知れていた。
 もしやと思って、洲本市の淡路島観光ホテルの社長に電話で連絡を取ってみると、「台風前と変わりませんね、被害はありません。アジングで良型のマアジが台風直後から釣れています」とのことだった。
 それがロケ前日の話である。
 そういうことなら夜は淡路島観光ホテル付属の波止でルアチャン娘三人にアジング対決をさせてみるのもおもしろかろう、どうだろうかという話になった。
 日中はアジが簡単に釣れる岸壁に女の子三人並べて釣り方の勉強をしてもらい、もし午前中に番組に使える映像をものにできたら、昼食後にロケーションのよい浜にでも足を運んでチョイ投げでも楽しもう。ワームでキスでも釣れたら儲けものではないか、と、まぁ、そういう魂胆だ。
 話は、わかった。
 だからと言って、日中にアジが簡単に釣れる岸壁がどこにあるというのか。
 しかも、娘三人に私を加えて四人が等間隔に並んで竿を出せる絶好の穴場がそう都合よくそこらに見つかるはずもない。そのようにじゅうぶんなキャパを有する手軽で安全でアジのホイホイとよく釣れる釣り場など現時点では皆無だと思われた。
「そんな好都合な場所が、もしあるなら、いますぐ教えてくれ」
 そう言いたい気分だった。
 むろん、私たちは魚を相手に釣りをするわけだが、同時に潮や気象条件、季節の推移というものをも睨みつつ釣果の向上を図っていくわけで、ファクターのうちのどれか一つが欠けただけでも悩ましいことになりかねない。
 夜の釣り場の淡路島観光ホテルの波止にしても、いくらプリバートだとはいえ、慣れない者が出かけて行って簡単にアジングで見映えのするアジを連発させられるような場所ではないと予想できた。サビキで小アジを釣るなら話は別だが、不慣れな娘三人には肩の荷が重いだろう。だから、もし日中に釣れる場所が見つからず、釣果があがらなかったとしたら、万事休すという羽目に陥りかねない。
 そいつだけは、なんとしても避けたかった。
 このうえは、太平洋側の釣りやすい湾内に台風で大荒れになった外洋からアジやイワシが大量に逃げ込んで来てくれることを願うのみである。虫のいい話だが、魚がいないと釣れないわけで、もうあとは天に祈るよりほかはなかった。

 ところが、である。
 戦国時代の合戦ではないが、危機的状況にあっても僥倖というのがあって、僥倖という超熟成語が今日に至っても死語とはならず各方面の勝負師に愛されつづけている事実があることから、ひそかにそれを願って待っていると、その僥倖が運よくこちらに歩み寄って来た。 ロケ前日の十九日にアジの大群が太平洋側の湾内に押し寄せたのである。加えて大ぶりのイワシの回遊も見た。それでイワシ漁が活気づき、加えて台風一過の大潮ということで休漁中のシラス漁を再開してみると大漁だったので、気をよくした漁師らが、「明日も船を出す」という。
 シラス漁が活気づくと、水揚げが盛んになり、シラスを釜揚げする工場も忙しさを増すというわけで、すると、活きのいい生シラス、釜揚げされた茹でシラスが海にこぼれて、それを餌にしようと小魚が寄って来るため、その小魚を食っちまおうと大きい魚もやって来るという寸法で、海がにわかに活気づくのである。

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全員揃ったところでロケ開始!

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この笑顔が続くことを祈りましょう!

 とにかく、ロケ前日から海が激変した。
 こちらの都合いいように変わったのである。
これを僥倖と呼ばずして何と称すればよいだろう。
 ロケ当日、ディレクターが、「みなさん、持ってますねえ」と上機嫌で言ったが、まさに僥倖であった。
 先にも述べたように、いくら釣りが上手でも魚がいなければ話にならない。たいした腕前でなくとも、山ほど魚がいればなんとかなるのである。
 三人娘にしてもアジングばかりしているわけではない。私自身もアジを釣るのはバスを釣るのに似て本業ではないのである。どちらかといえば余技の部類に属する。むろん、人並みにはこの釣りを理解してはいるし、技量もないではないが所詮は人並みの域を出ないから少しでも楽できるようにアジの数は多いに越したことはなかった。
 なので、小アジに混じって良型のアジが全員に釣れて、さゆりちゃんにはマダイの子キチヌの子、貴子ちゃんにはミニカサゴのおまけまでついて来た当日の午前中の釣りは、まさに僥倖のなせる技というほかなかった。

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エステルラインは感度抜群、アジングに最適。

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早速ルアルアゲット!

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続けてゲット!

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これはまあまあかな

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アジ連発!

 なにはともあれ釣れたものだからみんなホッとして食がすすんだ。海鮮料理が主なメニューの食堂で、各々思い思いに昼食の箸を動かしながら、午後のチョイ投げ釣りに期待の胸をふくらませた。

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第2ラウンドは吹上浜でキス

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後に阿万海水浴場へジャンプ!

 昼食後に竿を出した、吹きあげ浜、阿万海水浴場の浜でのチョイ投げ釣りの後、最終ロケ地の淡路島観光ホテルへと移動した。

 ホテルに到着したのは日も暮れて間もなくのことだった。
 いよいよお約束のルアチャン三人娘によるアジングバトルの開幕である。
 残念ながら名古屋出張で社長は不在だったが、従業員でユニチカフィールドテスターの平松氏が面倒をみてくれることになっていたので、大変心強かった。平松氏はエギングのエキスパートだが、アジングも上手である。ロケ前日も竿を出して良型のアジを連発させていた。平松氏の釣ったいいサイズのアジがスマホの画面に浮かびあがると、娘三人とも俄かにいろめきだった。
 ディレクターが事前に優勝者には商品が出ると明言していたこともあって、和気藹藹の日中のレクチャー時とは打って変わって、娘三人とも本気モードがみてとれる。
 一時間内に誰がいちばん大きいアジを釣りあげるか。もちろん、数ミリでも長寸で他に勝れば優勝である。
 開始時間を私はよく憶えていないが午後八時ではなかったかと思う。とにかく泣いても笑っても一時間一本勝負である。
 平松氏が、手本を示そうと仕掛けを投入すると何投目かにいいサイズのアジがヒットした。
 当然、こいつはいけるぞ、と私ならずとも誰もが大いに期待した。
 しかし、いざ対決が始まると、潮の流れ方はよくないし、アジの活性もあがって来ない。おまけにタチウオが海面付近を餌の小魚を求めてうろついていたせいで小アジの活性すらあがらなかった。
 いつ三人のうち誰が最初の一匹をものにするかと外野のわれわれは息を呑んで戦況を見守った。
 なかなか釣れない厳しい状況に、娘三人も昼間に得た自信をすっかりなくしてしまったかにみえる。重苦しい空気が辺りを支配した。

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やった〜!

「やったぁ」  最初に明るい声をあげたのはさゆりちゃんだった。
 みると、小さいながらしっかりアジを手に掲げて嬉しそうである。
 その後、二匹目がなかなか釣れなかったので、さゆりちゃんが逃げ切るかに見えた。
ところが、さゆりちゃんがライントラブルでもたついているあいだに貴子ちゃんが、ちゃこちゃんがアジを釣りあげ、その後も誰かが忘れたころに小アジをヒットさせてはメジャーを当てに私のもとを訪れた。
 ある時点で、さゆりちゃんのアジの長寸が貴子ちゃんに抜かれた。ちゃこちゃん、さゆりちゃん健闘するが今のところ貴子ちゃんがトップ、娘三人の闘いも数分を残すのみとなった。
 そして・・・、
 ディレクターの終了の合図をもって、ついにアジングバトルに終止符が打たれた。
 こう言っては失礼かと思うが、サイズだけ見れば低レベルの闘いであった。ミリ単位の攻防を制したとはいえ、最大魚ですら十数センチ余り。たしかそのくらいであった。「たしか」とはなんだとお叱りを受けそうだが、ジャッジ担当の私にしてみれば軽からぬショックを受けて当然だろう。ただでさえボケかけている頭が、なおクラクラして記憶が白く飛んでしまった。十何センチ何ミリだったか、ほんとうに憶えていないのである。
 日中の健闘ぶりを思えば良型が何匹かは混じるだろうと期待したが残念だった。
 いくら昼間よりも難しい釣り場だとしても、常夜灯が照って、海も明るい。灯りに集まるアジやほかの魚も少なくないはずである。
 そうはいっても結果は結果。動かしようもなかった。
 先にも述べたように釣れたアジのサイズだけ見れば低レベルの闘いであったことは否めない。
 しかし、日中のようにお祭り騒ぎを見るようなバカ釣れも気が晴れて楽しいものだが、釣れないときほど得るものが多いのもまた確かであるのが釣りというものであって、釣れない魚を考えに考えてどうにか釣ってやろうと試行錯誤する、また次も頑張る、そうこうしているうちに気づくことが多々ある。思いのほか多くを学べたりもするのである。
 要は熱の入れようである。入れ込むほど、うまくなる。どこまで上達するかは個人差があるので何とも言えないが、好きこそものの上手なれ。
 まぁ、真面目にやっておれば能力分だけの伸び代はあると信じたい。

 それはそうと、優勝の賞品は何なのか。それを私は聞き洩らしてしまっていた。
 ただ、ディレクターが開始前に肉がいいか魚がいいかと娘三人に訊いていたのは小耳に挟んで知っていた。が、あれは引っ掛けにちがいないと私は睨んでいた。関西の人は冗談めいたことが好きである。
 だから、賞品が気になった。
 誰が優勝したか、どんな商品が賞品として優勝者に授与されたか、それは番組を観てのお楽しみということで、ここには書かない。
 いつ放映されるのか、現時点では不明だが、興味のある人は番組表か何かでよく確かめて是非ともご覧になっていただきたい。
(放送予定は11月1日)

【今日の使用タックル】

(アジング用)
ロッド : ブリーデン グラマーロックフィッシュTE68
リール : ダイワ ルビアス1003
ライン : ユニチカ ナイトゲームTHEアジ エステル0.2号
リーダー: ユニチカ ナイトゲームTHEメバルリーダー3lb

(チョイ投げ用)
ロッド : ノリーズ エギングプログラム86
リール : ダイワ エメラルダス2506
ライン : ユニチカ キャスラインエギングスーパーPEⅢ.WH 0.8号(新製品)
リーダー: ユニチカ キャスラインエギングリーダーⅡ 2号
      (チョイ投げ仕掛け用のハリスにスタークU2 1.2号)

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