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釣行記

釣行レポート

2017年3月27日~5月11日

プラグで今期初のデカバスGet!

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 釣り場で仕掛けの準備をしていると、大きな魚が高く跳ねた。これまで見たことのないほど活きよく跳ねるのを目の当たりにして気持ちが逸った。野池のなかほどで派手なジャンプを決めてみせたのは、きっとバスにちがいなかった。
 私の居場所からすれば逆光で見づらいが、そのシルエットからバスだと判断して問題ないと思われた。
 まだ山には桜が散り残っていた。
 去年も同時期に何度かこの野池でバスをプラグで狙ったが、じっさいに先ほど跳ねたくらいのバスを釣りあげてもいる。なので、ちょっぴり自信が顔をのぞかせた。
「ごっつぁんです!」
 私はさらにモチベーションをあげるべく言ってみた。まるで、もう釣りあげたみたいな気になって。
 しかし、その一方で、やはり一抹の不安が自信の土台をぐらつかせる。

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こいつにたどり着くまで相当苦労した

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ダム湖ではバスボートも浮かぶ

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桜の季節はデカバスの季節でもある

 それもそのはず。この野池へ来るまでに私はもうすでに五回ほどバスを釣りに出かけていたが、プラグで釣りあげた魚というとナマズだけ。まだバスの顔は拝めていなかった。

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有名な野池はどこもバサーの姿が絶えない

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期待したがナマズだった

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このサイズだと引きも半端ない

 まったく、どこへ行ってもアタリすらなかった。もうこうなると私のような堪え性のない人間は気が狂いそうになる。バス釣りは余技だから気にしないと口では言いつつも、我儘を言えるジャンルの釣りであるからこそ、甘えて反対に余計我儘になってしまうのかもしれなかった。正直、私は焦燥感でいっぱいだった。
 告白する。人とは弱いものである。あれほど、プラグ以外は使わないと豪語していたのに、そろそろ神経が参りはじめると、よからぬ考えが芽をもたげて来る。よこしまな心が働く。
 つい先日まで、「いまプラグを使わなくて、いつ使うというのか!」と絶対に最初の大物はプラグで仕留めるのだと公言していたはずが、なんという不甲斐なさだ。
 前述のような諸事情から、三回目に大内町の野池を訪れた際、自ら禁じ手と決めていたワームの釣りについ手を出してしまった。
 その日の午前中、さんざんプラグを投げ倒しアタリすら拾えずにいた私は、「今さら何を」と半ば観念しながらも、そうかと言ってすっかり諦めてしまっていたわけでもなかった。
「困った時のワーム頼み。こいつを使わないって手もないさ」と私は勝手な理由づけをするためにわざと声に出して言ってみた。
 そう断っておいてから、私はバッグの中をごそごそやって、オフセットフックとワームを取り出した。
 仕掛けを組み直し終えると、プラグで釣った場所を自ら逆順にもう一通り攻めてみようと水際近くまで降りていった。
 私の短い経験からも、このような渋すぎる状況では、ワームの偉力を借りて底を丁寧に攻めることが何よりも大事であると身に沁みてわかっていたので、不本意ながらひそかに期待をして、いま少し辛抱強くじっくりと攻めてみることにした。
 するとどうだ。
 数投しただけで30cmのバスが釣れた。
 その後、しばらくアタリがなかったので、ドバミミズみたいなワームに交換してふたたび釣りはじめると二投目に一匹目と同じくらいのバスが食いついた。護岸の基礎の石が底に多く落ちているところ、その辺りで私のドバミミズが活きのいいダンスを披露する。そいつをバスは、「なんだ、なんだ」とばかりに見ていたようだ。
 きっと、見ているうちに、つい魔がさして、パクッと食ってしまったのだろう。
 プラグを引き倒してもアタリすらなかったのに、やっぱりワームは頼りになる。
「ほらね。食っちゃった」
 私は声に出して喜んだ。
 しかし、手放しに喜んでばかりもいられない。
「プラグで食わせられるのに、ワームを使うなんてありえへん」と釣り仲間に豪語したしていた手前、あまりの食い渋りに棒が折れて禁じ手を使ってしまいましたとは今更言えるはずもなかった。
 その後、アタリもなく、水の落とし口のある山林際まで釣りきったので、「さて、どうしようか」と余裕の口調で誰にともなく言ってみはしたものの、プラグ主体で道具立てを決めて来たこともあって手持ちのワームの種類が極端に少ない。
 そのままドバミミズでいこうかとも考えたが、山林が水際まで迫る側は水面を覆うように樹が枝をのばしており、そのキャストしづらい青葉の奥の下陰にバスが身をひそめていそうに思われたので、私としても思案のしどころであった。早春とはいえ日中の陽ざしはきつい。バスも目がくらんで閉口していることだろう。私の勝手な想像は、いつか確信に似た思いに化けて、気がつくと自ら仕掛けを組み直しにかかっていた。
 オフセットフックに、ワームはふたたびゲーリーヤマモトのイモである。このワームは水切り遊びの要領で水面上を滑らせやすい設計になっており、じっさい水面を覆う木の枝の奥の奥まで攻めきることが可能である。
 私の立つ水ぎわから狙うには逆ハンドのキャストでスキッピングを見事に決める必要があった。短い距離なら慣れたものだが、私の技量で臨むには少し遠かった。それでも、もうすでに二匹のバスを手にしている余裕から思い切りのいい攻めに徹することができた。最初は覆い被さる枝の手前で仕掛けが失速してしまい、うまくいかなかった。力加減を少し強めておこなうと二度目はうまくいった。リールから少し糸を送り出して仕掛けを沈めていく。空中のラインの動きが止まると、だらりと仕掛けが垂れた。着底である。竿先をあげてチョンチョンと軽く誘った。あまり頻繁に誘うと仕掛けが手前に寄って来てしまい、狙いの場所で誘いつづけられなくなる。もうあと二回も誘ったら投げ直さなくてはならないなと内心思いながら、少し間を置いてまた小さく誘うと、その直後にコツンと来た。雑魚が突いたかと思うほど弱いアタリだった。
 半信半疑、私は竿先で聞くともなく聞いてみた。
 すると、俄かに手元にアタリらしき手ごたえを感じた。だが、思いきりアワセを入れることはしなかった。さらに聞いてみる。すると、相手はゆっくり動き始めた。戦車みたいに重量感のある引きである。
 私はさらにリールからラインを引き出して送り、頃合いを見てアワセを入れた。
 ずっしり重い手応えは、これまでの二匹とは明らかにちがっていた。手元に寄せるまで一度も水を脱いでジャンプしなかったが、しぶといその闘いぶりには少々手を焼いた。
 水ぎわまで寄せ、口の端を指でつまんで引きあげた。よく肥えた43cmのきれいなバスだった。
 むろん、嬉しかった。けれども、もしプラグで釣ったのなら堂々胸を張って自慢できたのになぁ、そう思うと胸の内は複雑だった。
 けっきょく、三匹のバスはすべて写真も撮らず、手早く水にもどした。証拠写真を素に話せば、悪くない釣果じゃないかと褒めてもらえそうな気がしないでもなかったが、自尊心がそれを許さなかった。

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減水していい感じであったが・・・

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府中湖でもピーナッツが大活躍

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複数キャッチも30cm級。数の内には入らない

 まったく、余技のくせして、こうもこだわるものかと自分自身あきれた。そのような屈折を経ての今回のバス釣りである。そして、運よくプラグでようやく仕留めた今季最初のデカバスがこの野郎である(写真参照)。

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ラインはアンブッシュ6lbを使用

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わが永遠の相棒ピーナッツⅡ

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おっ、デカイ!

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ようやく嬉しいランカーをGet!

 大物に口を使わせたプラグというのは他でもない、気の合う私の相棒ピーナッツⅡだった。
 広く見渡すと、池のおもての半分以上を占めるのは去年同様立ち枯れした蓮の茎の密林で、そこを攻めるにはたいへん釣りづらかった。鈎先を隠した大きなワームを使って縦の釣りを試みるなら、その立ち枯れのあいだを上手に攻めてやればデカバスがヒットしたとしても取り込むことは可能であろう。それに見合うだけの太い仕掛けで臨んでも誰から文句を言われるわけではない。
 しかし、蓮の立ち枯れのあいだを縫ってプラグを器用に泳がせる芸当はやろうと思っても出来るはずがなかった。
 幸い、オープンウォーターの部分もそんなに深くないのでプラグを引くにも攻めやすかった。なので、淡々と投げて広く探っていった。結果は時を待たずして出た。最初根掛りしたように動かなくなって、ほんとうの根掛りかと焦った。思わず釣る手を止めた。すると、次の瞬間、グイッ、グイッと来たので、疑わずアワセを入れた。
 掛けてよりのちは障害物のない場所ということもあって、慎重になりながらも落ち着いてやり取りすることができた。
 この日、夕方以降に用があったので、二匹目は狙わず小さくガッツポーズを決めてその場を辞したが、これでようやく仲間たちに手柄を語って聞かせられると思うと素直にうれしかった。

2

 雑木林に取り囲まれた野池というのはあんがい少なくないが、水面に張り出した樹の枝の下に仕掛けを滑り込ませてバスに口を使わせるスキッピングという釣法の生きるシュチエーションというのはあんがい少なくて、やれるとしても野池の三面が雑木林で一面だけブロック護岸だとするならば、その左右のごく一部しかスキッピングで撃って攻めることができない。
 なので、今回はスキッピングでバスに口を使わせる機会を増やす工夫として複数の野池をまわることにした。
 手ぎわよくまわって釣りができるよう、野池のかたまるエリアを地図上で絞り込み、距離的なことも考慮しながら目星をつけていった。
 その結果、高松の市街地からそう遠くない三木町、志度町を重点的にまわることが有利だとわかった。
 ほんとうはベイトタックルでばっちりスキッピングを決めて自在にバスの気を引くことができたら素敵なのだが、これにはバックラッシュがつきものなので素人の私などが格好つけておこなうとラインがリールのなかで鳥の巣状態になってしまい、直すのに時間ばかり食ってしまいかねない。なので、ライントラブルを避けるため今回はスピニングタックルで臨むことにした。
 巡った池は、数カ所。最初に述べたとおり三木町、志度町の灌漑用水を溜める野池群のなかでも実績のあるポイントばかりである。どの野池も周囲の一面だけ釣りが可能で、左右と対岸が雑木林という地形となっている。しかも、その狙いどころがスキッピングで攻めるのに御誂え向きの状況であるのも釣りをする側からすると魅力じゅうぶんであった。
 私は右利きなので、左サイドを攻めるのは普通にやればいいが、右側の青葉の下を攻めるには逆ハンドでキャストを決めなければならないため、まだまだスキッピング慣れしていない私には難があった。それでも、精度は少しずつあがってきており、慎重にやれば雑木が水面上に青葉の濃い影を落とすその奥の奥へと仕掛けを滑り込ませて水中にひそむバスを誘惑することが全く出来ないわけでもなかった。
 当日は午前中いっぱい用事もなくて釣り三昧を満喫できた。
 前回、プラグでデカバスをやっつけて、どうにかこうにか面目を保った私は、こんどこそワームを用いたスキッピングという釣法で大手柄をあげようと機会を窺っていたのだが、ようやく実現にこぎつけた。
 こんどこそ苦肉の策ではなくて、ワームを用いてスキッピングで釣ると決めての満を持しての出撃であった。だから、意気込みがちがった。
 当日、私はスキッピングでバスを五匹仕留めたが、このうち三匹は逆ハンドで張り出す青葉の奥へとうまく仕掛けを滑り込ませることでキャッチした。
 これは、ちょっとした自慢話の材料になるだろう。
 そうだ。帰ったあと、私のバス釣りの先生方に胸を張って語って聞かせよう。
 当日最後のバスを釣りあげたあと、私はにやけそうになるのをこらえながら、ひそかにそう思った。

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野池を巡ってこのサイズを五つ手にした

【追記】
 この原稿を書いている今は五月十二日。じつは昨日も近くの野池へとバス釣りに出かけた。今回は水辺すれすれまで丈の高い草が生い茂る側の岸寄りをピーナッツⅡで手際よく攻めて、早々に結果を出すことに成功した。突然抜き打ち強盗的なアタリが手元に来て、なんと47cmのバスがヒットした。

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使用したラインとリーダー(アイガーⅢスーパー)

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これこれ、ここから上が欲しいのよ

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この奥に素敵な野池がある(かも)

 前記のとおり、今期初のバスがランカーサイズだったので少し見劣りしたが、それでも好スタートを切り損なった今期の私にはじゅうぶん過ぎるサイズであった。買い物に出たついでに立ち寄って投げたら釣れたという事情から、これ一匹だけ釣って早々に帰宅の途に就いたが、もし曇っていてそのときほど陽ざしがきつくなければ、時間を気にしつつも、もう少しねばっていたかもしれなかった。
 水面の虫を食うライズも見られたので、わりと活性は高かったように思う。
 近いうちに今度は腰を据えてじっくり攻める覚悟で出かけてみよう。
 そうすれば、さらなる大物に出会うことが叶うかもしれない。

【今日の使用タックル】

ロッド : メガバス パガーニF2-66XP
      ノリーズ ロードランナーボイス630LS
リール : シマノ カルカッター101XT
      ダイワ トーナメントZ2500C(エギスプール2506を使用)
ライン : ユニチカ シルバースレッドアンブッシュ6lb、8lb
      ユニチカ ナイトゲーム ザ・ロックPE 20lb(1.5号)
リーダー: ユニチカ アイガーⅢスーパー 2号

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