2018年6月11日~7月11日
チニング開眼!
香川県におけるチニングの歴史は古い。二十五年前にはルアーでチヌを狙っていた。当時、チニングというジャンルはなかった。そして、現在ほど大きなチヌが釣れることも稀だった。そのかわり銀ピカで鰭ピンの健康そうな若いチヌがミノーやワームに果敢にバイトして来て暇つぶしで釣りに来た私たちをちょっといい気分にさせてくれたものだ。
サーフ、ストラクチャー(漁船)、小河川、石積み波止など条件がそろっている
サーフはチニングで釣果が期待できる
ミノーは小型を多用したものだ
砂泥の浅場はチニングの好フィールドだ
十年以上前はトップよりミノーを多用していた
ワームで底を引けば日中もチヌが釣れた
流れの変化に富む堰の下流側はいかにも釣れそう
その後、チニングが雑誌に取り上げられ、あるいはメディアで紹介されるようになるまでに、そこから十五年くらいはかかったろうか。
当時、チヌといえばフカセ釣りが主流だったし、ダンゴ釣り全盛の時代でもあったので、そのくらいの年月を経てからでないと話題にものぼらなかったのは不運としか言いようがない。
サシエを包んだダンゴを投入する尾崎
フカセ釣りはトーナメントも開催される人気の釣法だ
フカセ釣りは効果も人気も高い釣法だ
夏チヌに効果絶大の紀州釣りで仕留めた
銀ピカ鰭ピンの50cmオーバー!
釣り方は十人十色。落とし込み釣りファンも多い
筆者は筏竿を用いたブッコミ釣りでGet!
しかし、時代は変わった。
年々高まりをみせているルアーフィッシングブームに乗っかって若者のあいだでチニング人気に火がついた。
汽水域に集まるチヌは海に泳ぐチヌにくらべると確かに若干容姿が見劣りする。海に泳ぐチヌと変わらないきれいな個体も居るには居るが、鱗の輝きを失いかけた元気のなさそうな大型のチヌが相当数混じっている。そのことについては釣る前から聞いていたし、始めてみるとすぐさま実感できた。
しかし、釣って帰って食べるわけではないのである。よく引いておもしろいなら手を染めてみる価値はじゅうぶんある。なによりも河口に近い汽水域で上手に釣れるようになれば最終的には海へと釣り場を広げてみるのも悪くない。そうだ。海だ。そこに目標を置いて精進してみようではないか。そう考え、今もいろいろ勉強しているという次第である。
チニングの名手・松浦宏紀らは堰下でトップを躍らせていた
橋脚付近は流れが複雑で大型のチヌがつきやすい
PE0.2号にナイロン1.5号の仕掛けでキャッチ
試作品PE0.2号も使用した
手軽でおもしろいぜ!
さて、本格的にチニングをはじめて、そろそろ一カ月が経過しようとしている。
ふり返ってみるに、まず初釣行の際にはワーム、それにトップウォータープラグを何種類か準備して出かけた。
とうぜん、持ち込んだルアーを楽に扱える仕掛けとタックルが必要なので、そちらも厳選して臨む必要があった。
ロッドはやや短めのシーバスロッド8ft6inを用意した。リールはダイワの2500番クラス、替えスプールも準備して出かけた。ラインはユニチカキャスラインエギングスーパーPEⅢ 0.5号、リーダーはスタークU2の1.5号とキャスラインエギングリーダーⅡ 2号を使い分けた。
釣行時に携行したルアーは、写真を添付しておくので参考にしてほしい。
多用したPEライン
多用したリーダー
ポッパーで釣っちゃった!
チヌって、なぜか後ろのフックによく食いつくよね
全釣果の三割余りをトップウォータープラグでものにした
結果から先に述べると、この日は45cmくらいの本命を2尾も手にしたのだが、ボウズだった。なぜかというとスレ掛かりだったのだ。2尾とも背鰭の一番前の棘のすぐ後ろにトップウォータープラグのフロントフックがしっかり刺さっていた。ポッパータイプのトップウォータープラグで誘いつづけていると後方にチヌらしき魚が追って来ているのが確認できた。水面に三角波が立っていることからそれとわかった。専門に狙う人の話では背鰭を見せて追ってくることもふつうにあるという。まるで鮫みたいだなと思ったが、じっさいにその執拗な追いを体験してしまうと、そういうこともあるにちがいないと思ってしまう。
だが、そうとわかっていても、追って来るチヌを目の当たりにしてしまうと、興奮してしまって、「誘いつづけるのではなく、きっちり止めて食わせの間を与える」という初歩的な心得すら吹っ飛んでしまう。ついついそうなってしまった。
初回は、それで失敗した。
つまり、先達のアドバイスを忘れ、誘いつづけた結果、チヌが水面を割って出ても背掛りに終わってしまうという情けない結末を招いてしまったわけだが、そのチヌは追いの露骨さのわりにはおとなしい出方をした。
これが、初バイトだった。すかさずアワセを入れると運よく乗って来た。
「なんだ、簡単じゃないか」
そう思ったら、前述のとおり背鰭に掛っていた。
これがまたよく走る。釣り場が河口の浅瀬で、潮が高くなかったこともあって横に引き倒された。無理をせず寄せてみたが、寄せきる前にスレ掛かりだとわかった。チヌは餌釣りなら四十年近くやっている。口に掛っていたらこれほど強い引きをするはずはなかった。
2尾とも似たような出方をした。そして似たような箇所にスレ掛かりしていた。偶然か。そうではないのか。なにぶん経験知ゼロに等しい身の上の私には判断しかねた。
この後も、トップウォータープラグを用いてチヌを何尾も釣ったが、口に外から掛っていたことはあっても完璧なスレ掛かりは一度もなかった。
たぶん、バイトがあれば、ときどき誘う手を休めて食わせの間を与える方向に舵を切ったための好結果だと思われるが、しかし、必ずそうかと訊かれたら経験の乏しさからこれもまた断言しかねるのである。
つまり何かにつけて、「たぶん、そうではないか」としか今はまだ答えられない。
以上が、初釣行のあらましである。
二度目の釣行では、潮が満ちて来ている浅瀬をトップウォータープラグで攻めることとなった。
釣り場は、初回同様、河川は異なるが似たような河口域である。むろん、日中のことだが、チヌのチェイスが頻繁にあるにもかかわらず食いきらない状況がつづいた。
この日も、掛けたら必ず捕るという気構えで前回に匹敵する強いタックルを持参。ただし、そのほかに
試作のPE0.2号をメインラインに用いて仕掛けを組んだメバルやアジを釣るのに手ごろなライトタックルも用意して来ていた。
トップウォータープラグを追いきらないチヌをワームで誘う
よく肥えた大型のチヌ。強烈な引きをみせた
フォローベイトと云う考え方がズバリ的中!
最も活躍した中空マテリアルのバス用ワームがこれだ!
汽水域には白鳥ほか水鳥が多い
もちろん、強い方のタックルは主にトップウォータープラグ用であった。当日もチヌが水面近くにわりとたくさん確認でき、反応も悪くないにちがいないと想像できたので、<誘い&止め>の加減次第でそのうちヒットに持ち込めるだろうと見切り発車してみたものの、工夫が足りなかったのか思惑通りに事が運ばず、ついには心が折れそうになった。
「くそっ! バカにしやがって」
そう腹を立てたりもしたが、若葉マークの初心者だから舐められても仕方ない。
これも修行のうちだと心に言い聞かせ腐らずに頑張った。どうにかしたい。何かいい手はないか、やりつづけながらも思いを巡らせつづけた。
すると、あるときバス釣りのDVDで観たフォローベイトという戦略が状況打開の足がかりになるのではないかと思いはじめた。取ってつけたような思いつきに相違ないが、習いはじめに暗中模索はつきものである。結果はともかくやってみることにした。
追っては来る。が、しかし、トップウォータープラグを追いきらないチヌの目先を変える意味合いから、すかさずワームを投げて水面直下をじっくり攻めてみる。あるいは竿先をいいぐあいに動かせ水面下を逃げ惑う小魚を演出する。ほんのわずかステージが変われば、反応が激変することは他魚種の釣りにおいても珍しいことではなかった。第一、ワームはフォルムも実際の動きも小魚に似ているのでチヌを騙しやすいのではないか。ただ逃げ惑う小魚、あるいは弱った小魚の動きを演出してやることでチヌの反応が見違えるほどちがって来るかもわからない。そう思ってダメ元でやってみると、これが功を奏してナイスサイズのチヌを首尾よく手にすることができた。
プラグはトップを中心にクランクも使う
トップを水面上にドックウォークさせて食わせた
なんと、ボラをトップで釣ったのは初めてだ
また釣れた!
軽量のトップウォータプラグならライトタックルでも扱える
強い方のタックルでチヌの気を水面に向けさせ、もしそれで追いきらなければ繊細な仕掛けを組んだライトタックルにすぐさま持ち替えて攻め方を変える。これが、効果をあげることがその後のチャレンジにおいても実証されたとき、初心者の私にとってこのことはおもしろくも興味深い発見となった。
フォローベイトという考え方を除いても、ワームを使った釣りが日中のイチニングにおいて有効であることは、まずまちがいない。
ある日、ワームオンリーでチヌを狙ってみて、そう確信した。
潮の低い時間帯に現れる河口域の中州が私の気を惹いた。そのような潮加減の時間帯に、私はその場に居た。中州の周囲はごく浅く、そこにチヌの背鰭や尾鰭が複数見えた。のんびりするために来ているように見受けられたが、ところどころ感じのちがった動きを見せる少数のチヌがいて、その様子が、「カニでもエビでも食えそうなのが見つかれば食っちまうぞ、断固食う!」と、まぁ、そのような腹積もりであるように私の目には映った。
ワッキーリグにはこのワームを多用
ジグヘッドワッキーは効果が高い
中クラスのチヌは銀ピカできれいだ
中洲の際をうろついていた1尾
干潟や中洲の現れる河口域は魅力的
一般的に見えている魚は釣れないとよく言われる。
しかも、水深がチヌの体高ほどという浅さだ。おまけにその底は変化に乏しい砂地である。砂泥地と書くほうが正確かもしれないが、どっちにしても仕掛けを投入したところでチヌが食って来るとは素人同然の私にも思えなかった。むしろ、身の危険を感じて散るのではないかとさえ勘ぐった。私の立つ岸の側からキャストすると中州まで余裕を持って仕掛けを届けることができる。このことにかぎって言うと好都合だった。中州に仕掛けを落とせば着水音でチヌが散る心配もない。なかには目の前に落ちたワームに反射的に反応して食いつくチヌがいないともかぎらないが、もしそうならなかったときは一散にチヌは逃げ万事休すである。ひとたび散ってしまえば、すぐには戻って来ないだろう。なので、一か八かの水面爆撃の賭けに出るのはためらわれた。
中州は石ころだらけで、下手をすると仕掛けが石の間に挟まってしまいかねない様子だった。
そこで、私はジグヘッドにドバミミズそっくりのワームを横刺しにして投げた。いわゆるジグヘッドワッキーというやつで、バスフィッシングではポピュラーな仕掛けの一つである。もちろん偽のドバミミズもバス釣り用に買ったものだった。これだと石のあいだに噛み込みにくいはずである。そう思ってキャストしてみると予想どおりの答えが出た。中州の上を這わせて水際まで誘導する。その辺をうろつくチヌの1尾がこちらに向き直った頃合いをみはからってジグヘッドにセットしたドバミミズくんをチヌの目と鼻の先へと誘導した。これもまた一つの賭けだった。なにしろ経験不足で、こんなことは初めてだ。こういうことをして大丈夫かもわからなかった。
ところが、この大きなチヌは逃げ去るどころか私の仕組んだ罠とも知らずに興味津津近づいて来た。そうはいっても食いつく気はないらしい。私は、逃げを演出するため、竿先でチョンチョンと誘ってドバミミズをわずかに躍らせた。横刺しにしているから柔軟によく動くので、いっそうチヌは興味を示してきた。チヌはじっと動かずに見ていたが、自分から獲物が遠ざかっていくと知ると速攻で襲いかかってきた。
このことは、強い印象の記憶として私のなかに残った。
その後もこの戦術が活きて良型のチヌを何尾かものにしている。
なので、今後はさらに腕に磨きをかけていきたい。そう思っている次第である。
このような場所では、ついチヌを探してしまう
干潟はチヌの好物であるカニやエビの仲間がひそむ
ジグヘッドワッキーが活躍した
力強いファイトで楽しませてくれた
今回は3尾キャッチした
じゅうぶん回復するまで待ってリリースしよう
よく雨は降るものの雨量は少なく、釣りにならないほど増水することはなかった。濁りもひどくはならなかった。降りやみさえすれば曇ってすごしやすい日々がつづいた。
日中のチニングは風のないよく晴れた日がトップウォータープラグで水面を釣るには最適だと聞いてはいても、もう歳が歳だから夏場の炎天は身に沁みて堪える。いくら大きなチヌが水面を割って出ると言われても、灼熱地獄は御免である。
だいたい、あれはほんとうか。ほんとうに曇って人間様には過ごしやすい日の日中はトップウォータープラグを用いてのチニングに不適当なのか。いや、曇天だから全くダメというわけでもなかろう。水面炸裂とはいかなくても、じつは水面下を狙いさえすれば思いのほかいい釣りができるのではないか。
じっさい、趣向を凝らすことで中州の水際に泳ぐチヌに口を使わせることができた。それなら普通に誘っても釣れる状況にあるのではないか。
そう思って、また懲りもせず出かけた。
照っていても釣れる
相性抜群。また、このワームで釣れた
曇っていても釣れる
表層ワインド釣法でGet!
誘ったあと、横流れに乗せて食わせた
流れ読み切れるかが勝負の分かれ目となる
この釣りはバス釣り同様、近場にポイントが多数存在するので試すには都合よい。
今回は潮位が低く、しかも干潮にはまだ時間があったので、川からの流れが効いているなという場所は目で見てすぐわかる。いい流れの場所に陣取って、さっそく釣り始めた。
水面で食わせた最初のチヌはシーバス用のトップウォータープラグを用いてのことだったので少し趣に欠けたが、その後はチヌ用のポッパータイプとドッグウォークするタイプを持ち込んで順次試しているので今回もワクワク感が半端ない。
しかも、誘ったあと食わせの間を設けることをおぼえたので、その後は食わせ損ねの失敗がうんと減った。
やはり、やる気を見せているチヌに口を使わせるには、誘いと誘いのあいだに間を持たせてやることが大切だ。止めると、いきなりひったくっていくときもあれば、止めたあとしばらくしてから食いつくこともある。横の流れが効いているときはとくに止めて流しているときにバイトしてくることが少なくなかった。
シーバス用のペンシルでも釣れた
トップの初チヌはシーバス用のポッパーに来た!
中洲付近の両側にもいい感じに潮の流れが・・・
追ってきたチヌが水面を割って出た
様子を見に寄って来る。正直、邪魔です(笑)
話は変わるが、バス用のワームをたくさん持っている。むろん、買ったものもあるが、何十年も前のワームを昔バス釣りにいそしんでいた者から譲り受けることが少なくないので、結果的に物持ちになってしまった。
今回もトップウォータープラグを使った横流しの攻め以外にも、これらのワームを使ってチヌを仕留めた。
今後も、目から鱗の新発見があれば、このバス用ワームを使っての実釣についても詳細を記述するつもりでいる。
どうか楽しみに待っていておいてほしい。
ワームは主にバス用をチョイス!
にょろにょろを鼻っ面に通すと癇癪を起して食った
バス用ワームで仕留めた1尾
このサイズなら文句なし!
あるとき、私の身長ほどの深さの底の方に大きなチヌが動かずにいるもを見つけた。岸側は流れが殆んどなく、その向こう側は意外に流れが速い。川から水が堰を伝い落ちているせいでその流は複雑だ。速いが一様ではなく、その速い流れと速い流れのあいだは目に見えて流速が遅いところもあった。流れの速い場所はおおよそ水深が浅くて私が大きなチヌを見つけた場所は微かに水が渦を巻いているように見えた。
私はそのチヌを観察しながら、どうにかして口を使わせたいものだと強く思った。ワームはたくさん用意して来ていた。そのなかから小魚を模した中空のワームを選んで封を切ると、まず手に取って品定めした。
質のいいシリコンのような素材で、空気を内包しているせいで浮力が大きい。水たまりにそっと浮かべようとすると沈まなかった。ジグヘッドはごく軽いものを用いた。ラインはプロトのPE0.2号、リーダーはスタークU2の1.5号。ロッドはメバルやアジを釣るためのものを使用した。
距離を置きながらも心持ち間合いを詰めて、私はキャストの機会を窺った。沈んでいるチヌの頭めがけてワームを落とすことだけは避けたいと思って投げたのだが、裏目に出てしまった。手元が狂ってチヌのほぼ真上の水面へとワームが落ちてしまった。幸い沈下スピードの遅い仕掛けなので、ロッドの先で仕掛けを手前に引いてほどよいあんばいでふたたび沈ませにかかった。弱った小魚が微かにもがきながら沈んでいく様子に似せたいと思ったので、竿先を動かして弱々しくヒラを打つよう仕向けてみたりもした。とっくにチヌはそれに気づいている筈なのに、そっけない態度だ。
まるで興味ないというふうに見て見ぬふりだった。そろそろワームが底に着こうかというころ、また偽の小魚にヒラらを打たせるべく竿先をうごかしてみたが鰭をそよがせるだけで食いつくかはわからなかった。
さらに誘うとチヌから仕掛けが遠のく。すると、すっかりその気をなくして本当に相手をしてくれなくなるかもしれなかった。それでも、そのまま何もしなければワーム自体が着底したゴミにすぎなくなってしまいかねない。手をこまねいてただ見ているわけにもいかなかった。
「もしダメなら一からやり直すさ」
そう腹を括って、軽く誘った。
すると反応が一変した。向き直ったチヌがワームめがけて突進して来て荒々しく食いついたのだ。
ライトタックルで大型のチヌとやり合うのは望むところではなかったが、ラインのテストのつもりでこちらが仕掛けたのだから相手に対して文句はいえない。それでも、のっ込みの気分が抜けていないのか、思ったほど強い引きをみせることはなかったので、どうにか凌ぐことができた。寄せるまでには時間を要したが、手を焼かされることもなく割合楽に取り込むことができたのだ。
上は強いタックル用。下はライトタックルようだ
試作のPE 0.2号は大型の引きにも負けない強さを誇った
ワームで水面下を攻める釣法は日中も有効
数日後にも似たようなシュチエーションで中くらいのサイズのチヌをものにした。その後は、そういう場所でチヌを見ることがなかったので試せていない。
それでも、数打てば当たる方式でやっていくうちに、どうも食うべき場所に居るチヌは食いついて来ると、そう思えるようになってきた。餌場に来ているチヌは食う気でやって来ている。なので、他の場所のチヌよりも口を使って当然だ。そのことがおぼろげながらわかってきた。
むろん、その餌場の全容を知るには至っていない。というより、これっぽっちしか掴めてはいないのが現状である。
今後もこの件に関しては注意深く見ていかねばならないと考えている。
潮だまりに取り残されていたテナガエビ
似てたらよいというものでもない。が、釣れるんです
テナガエビに似せたワームでキャッチした
このサイズが連発した
薄濁りの状況のなか、ワームを使った中層攻めで、あるとき複数のチヌを短時間のあいだにキャッチしたことがあった。小型のミノーを投げてもよかったが、濁りに乗じてシーバスが海から河川内に数多く入って来ていそうだったので、あえて地味目のワームをチョイスして静かに釣ってみることにしたのだが功を奏した。
居合わせた若者は小型のミノーや鉄板バイブ、小型のジグで狙っていたが、堰の下の流れ込みを丹念に狙ったこともあってシーバスを連発させた。彼はべつにチヌが狙いというわけでもないらしく、満更でもない様子だった。
セイゴクラスが小型のミノーに高反応!チした
ワームは日中も効果が高い。連日釣果を得ている
私と尾崎はそれを見て、小型のシーバスに食いつかれたくないと内心思っていたから出来る限りアクションを起こさせないよう注意しながらワームを中層に泳がせた。まだ辺りはじゅうぶん明るかったが、夕暮れが近いということでやや活性が高かったとみえ、頻繁にチヌらしきアタリがあった。とはいえ、チヌは食い損ねが多いというか、がっちり鈎掛かりするほど本気で食ってはこなかったので釣果を得るのは難しかった。ようやくヒットに持ち込んでも水面に躍り出た途端に仕掛けの張りが失われてしまうという最悪の事態にたびたび陥った。それが続くと滅入ってしまいそうになった。辛抱強く投げたり誘ったり巻いたりしていると辺りが暗くなって来た。真っ暗になると、竿先を小刻みに動かしながら極ゆっくりとリールを巻いて中層を攻めるよう努めた。理由はわからないが、先日の夜もこの手で悪くないサイズのチヌを二尾釣りあげていたので、同じ手を使って釣ることにしたのだ。
店の灯りが川面を照らすなかキャストをくり返す
尾崎はワームを用いて中層でキャッチ
小型ながら高松市内でもキビレが釣れる
シーバスも釣れる
その夜も同様に、アタリは来た。ところが深いバイトは得られない。そうこうしているうちに一緒に釣っていた尾崎晴之に動きがあった。街からの弱い灯りを頼りに彼の方へと目を凝らすと、どうやらロッドを曲げて応戦中のようだった。堰を越えていく川音のせいで声を荒げてもお互い何を言っているのか聞き取れなかった。声の聞き取れるところまで近づくと、すでに尾崎はチヌを手元へと寄せきっていた。悪くないサイズのチヌだ。慎重に抜きあげにかかる。仕掛けに対してチヌがいいサイズだったので冷や冷やしたが、どうにかうまくキャッチすることができた。
底ズル釣法の定番ルアーがこれ
底のズル引きは昔も今も効果絶大!
ナイトチニングの好期は夏、秋
夏は小チヌもよく釣れる
この夜は、この尾崎のチヌのみで、あとはヒットさせても無事に取り込むことができずに終わった。
あとでよく考えてみると、この夜、尾崎も私もナイトチニングの定番である底のズル引き釣りを試さずじまいだった。われわれが勝手に<底ズル>と呼んでいるこの釣法には、ハードルアーを使ったやり方、ワームを用いた攻め方がある。むろん、その他にもやりようがあるのは事実だが、いずれにしても夏本番を迎えると暑くて昼間は釣りをしがたい。なので、夜の底ズルはそのときのために取っておくことにして、今回はあえて手を染めなかったわけだが、そのぶん今後は精力的に取り組む所存である。
昼夜を問わずこれだけあれば足りる
チニングの難敵。濁りが入ると邪魔しに来る
願わくはキビレに来てほしい
なぜか気配なし。チヌよ、いずこ?
時合なんだけど・・・?!
この日は、半日攻めて、これ一尾だけ
河口域はフライへの反応もよい
あいにく昨夜から激しい雨が降ったりやんだりで、今後もまとまった雨が降る予報が出ているので予断を許さない。他県では水害が起きるほどの降雨量を記録しているところがあるそうで、川が氾濫しかけている映像をニュースで観るたび心が暗くなった。
じつは既に高松市内の河川も泥濁り状態のところがある。増水して流れも速く、危険でチニングどころではないという声がもうそろそろ聞こえてきそうである。
1ヶ月間で37尾のチヌを釣った
梅雨明け以降はナイトチニングに精を出したい
この荒れた天気はこの先もしばらくつづくそうなので河口の釣りはしばらくお預けということで、この間にじゅうぶん作戦を練って夏本番のナイトチニングに備えたい。
今はそう思っている次第である。
【今日の使用タックル】
ロッド : (ウエダ)
プラッギングスペシャル ボロン932 FX-Ti
プラッギングスペシャル ボロン892 FX-Ti
ソルティープラッガー 862(初期型)
ソルティープラッガー 862(後期型)
(ノリーズ)
フラットフィッシュプログラム サンドウェーブ74
(ブリーデン)
グラマーロックフィッシュTX78M
グラマーロックフィッシュTX70M
(ゴールデンミーン)
JJマスク68Rリミテッド
(ダイワ)
月下美人MX76L-T
リール : (ダイワ)
セルテートCT2500VⅡAA
ルビアス1003
カルディアキックス2004
カルディアキックス2506
ライン、
リーダー: (ユニチカ)
キャスラインエギングスーパーPEⅢ0.5号
ナイトゲームTHEメバルスーパーPE 4lb(0.3号)
アジ、メバル用スーパーPE0.2号(プロト)
キャスラインエギングリーダーⅡ2号
スタークU2 1.5号、2号
*注)
尚、回想部分の文章に添付した写真に関する説明は
その一切を割愛することとした。
何卒ご了承願いたい。