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釣行記

釣行レポート

2018年9月3日~9月18日

エギで狙うロックフィッシュ!

 「終わったら、さっさとお開きにしようぜ」と腹では集まりのさなかより思っていたので、うんざりしつつも喫茶店に居た。
 文系がうだうだ言いながら場を移して再び話にふけるとろくなことはない。異性がどうのこうのとか、また始まった。肉食系男女が唾をとばし合って熱く性を語り合うというのなら面白そうだから耳を傾けてもいられるが、小説のなかの男女の機微がどうのこうのというのではあくびが出る。
 口をへの字に曲げて聴いていると、居合わせたひとりが私に話を振って来た。
 真に受けると鬱陶しいので、登場人物について好きとか嫌いとか、とくに考えたことはないと適当に答えた。
「人間全般に、気が合うか合わんかだけだから」
 コーヒーカップを手にしたままそう言うと、この女文士さん何を思ったか、好きも気が合うも似たようなものではないかと尤もらしからぬことをおっしゃる。
 よせばいいのに小言が私の口をついて出た。
「それじゃ、君、とうてい売れっ子にはなれないぜ。今後、何を書くにしても、もっと言葉にこだわらなくちゃ」
 では、もし売れたら見なおしてくれるかと訊くので、もし売れても本は送って来るなと釘を刺した。
 本などというものは、まず装丁を吟味し、三ページほど読んで、こいつはいけそうだと思えば少し飛ばして更に二ページ読む。それでもなお興味が失せなければ、かなり飛ばして三ページほど読み、それでも丸ごと読みたいという気持ちが何にも勝ったばあいにのみ身銭を切って購入する。本は個人的には借りて読むか、立ち読みするのがモットーだが、インターネットを利用して探す手もある。これについては人任せである。図書館や書店へ足を運んでみるだけでも読みきれぬほどの数があるとわかる。なのに、読むかどうかわからぬ本を送って来られても部屋が狭苦しくなるばかりだ。まさか、「謹呈」と印刷された栞みたいな薄っぺらな紙切れをはさんである贈呈本をゴミの日に出すわけにもいくまい。ブックオフとかに売り飛ばすのも気が引ける話だ。
 今月も何冊か郵送されてきた。専用の厚紙パッケージに梱封されたハードカバーの単行本が封書や葉書などと一緒に郵便受けに押し込まれている。これを取り出すのが、また憂鬱だ。家に取り込んだあとも気が重い。未だに開封してない書物も少なくない。
 なぜ、そうまでして読ませたいのか。そりゃあ、書いたからには読んでもらいたいと希望して当然であろうことくらいわからぬでもない。むしろ、それは至極御尤もである。
 しかし、乞われもしないのに送ったりするか。私なら送らない。むろん、出版社が気をきかして、著者と親交のある人のリストをもとに発送することだってある。なので、一概に著者に文句はいえぬ。それでも鬱陶しい。私は大いに憂鬱だ。
 書物というのは、「読みたければ、勝手に読め!」である。
 それが基本だ。
 先にも述べたが、謹呈と印刷された紙切れがはさんである。それを取って、読まずにまた元にもどす。稀に気が向けば、そのまま読み始める。こういうばあい読むために読むのであって鑑賞ではない。ざっと読んで素晴らしければ、ふたたび鑑賞の目でもって読み直す。ただし、それは稀なことである。
 喫茶店に居合わせたなかの男とべつの機会に話をした。厳しすぎやしないかと笑うので、相当きついことばを発しても相手が男だったら気にもかけないくせにと言い返してやろうかと思ったが、大人気ないのでやめておいた。
 あの日、喫茶店で時間を無駄に過ごしたせいで、釣りに出るのが遅れて、魚にふられてしまった。そう愚痴を漏らすと、やれやれ釣りがそんなに大事かと彼は呆れた様子で聞いていた。

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サーフがらみの岩場は浅く、活性の高い根魚が多い

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岩が散在している浅瀬ならサーフも有望

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ロックフィッシュといえばワームだが・・・

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メバルはミノーがお好き!

 さて。 先に述べたような事情がある以上は、今度こそなんとか名誉挽回といきたいものだ。
 潮汐表を睨んで、釣り場を決め、魚種を決めて、さっそく出かけたのが庵治半島の笹尾地区であった。
 海岸の道路わきに駐車して、道具を持って波返し沿いに岩場をめざす。途中、釣りを終えて戻ってくる若い釣り師と行き合った。
「アオリ、居ませんよ。見たのは釣るに値しないミニだけです」とヤングは渋い表情を見せて言った。
 よく陽に焼けた青年で、すでにサングラスは外していたが、目のまわりだけ日焼けが薄く、それがかえってよく目立った。まったく逆パンダ状態だ。
 彼は私を同好の士と見て釣り応えのあるアオリイカなど全くいないと親切に教えてくれたわけだが、そのことはうちの者からすでに情報を得ていたのでべつに心を暗くもしなかった。
 ただ、「やっぱりそうか」と思っただけだ。
 もちろん、秋の新子のアオリイカだから餌を食い通しに食うと急激に成長する。なので、いくぶん期待して来たのにはちがいなかったが、情報を貰ってだいぶ時が経つのに思ったほどでもなかったのが意外だった。
 しかし、それは大した問題ではなかった。半分は秋アオリの好釣果に期待を寄せての出撃だったが、もう半分は尺クラスのタケノコメバルを狙っての釣行だった。どちらかというと後者の方を期待しての出撃だったのだ。

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エギS2の3号にヒットタケノコメバル(H26.9)

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タケノコメバルはエギに高反応!

 べつにエギングタックルを用い、リグをワーム仕掛けに組み替え、そうしておいてからロックフィッシュを狙う気など毛頭なかった。エギングタックルのままエギを使ってタケノコメバルを狙う。
 たとえば、このレポートに掲載されているエギS2の写真を見てほしい。オモリの削り方を見ただけで浮力が高いことが伺えよう。たしかに沈みが相当遅く、特徴的にはサスペンドタイプのミノー、スローシンキングタイプのミノーに似ているといえようか。
 これを使って地磯の浅場をどう釣るかは経歴の長い釣り師なら容易に想像できるにちがいない。軽いシャクリともいえぬ誘いで岩かげにひそむタケノコメバルの気を引く。誘って寄せて、相手を好戦的にさせておいてから誘うのをやめて口を使わせる。
 むろん、そうは言ってもエギングにちがいないのでタケノコメバルよりもアオリイカがエギを抱く公算が常に大きいだろうことは誰にでもすぐわかる。スローな動きに反応のよい状況ならすぐさまアオリイカがエギを捕えに近づいて来る。

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井原博一もアコウにハマっている

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根周りを根掛りしにくい仕掛けで狙うとよい

 弊社のエギには3号以下がない。なので、それ以下のエギを使いたいときは他社のエギの出番となる。そのまま使うときもあれば改良して使うときもあるが、いずれにしても大型のロックフィッシュが望めないエリアでは2号以下のエギが有効な展開となることが多い。
 一口サイズのエギを使うと小ぶりなタケノコメバルカサゴのほかにムラソイも釣れる。香川県東部から県境を越え徳島県鳴門市に至る海岸線にはムラソイが多い。むろん、岩かげに隠れて餌がやって来るのを待っているムラソイも多くの根魚同様に小型である。
 ただし、いくら釣れる確率が高いからと言っても小型をいじめて遊んでばかりでは能がない。やはり、ヒットに恵まれることは稀でも中型以上のロックフィッシュに的を絞って精進したいものだ。筆者自身がかかわっているメーカーだから推すわけではないが、中型、大型のタケノコメバルをいちばん多くキャッチしているエギ、それはエギS2の3号である。残念なことにすでに廃番になったエギだが、手持ちのエギをオリジナルのまま、あるいは改造して今も大事に使っている。比較的サイズのよいロックフィッシュエギS2が好まれる理由はいろいろ考えられるが、浮力調整が容易だという点が第一に挙げられよう。じっさい、エギS2はオモリの加工がしやすい。ドリルで穴を開けやすい形状で、ヤスリ掛けにも難がないほど軟らかい。そして何よりオモリとカンナを好きに加工しても海中での姿勢が損なわれにくい。

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これが筆者の必殺仕事エギ、ユニチカ・エギS2

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カンナは、全傘、半傘を使い分ける

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エギにヒットしたアコウ、46cm。よく肥えていた

 発売の可能性は低いと思われるのでストックを持ち駒として踏ん張るしかない。中古販売を主とする釣り具屋さんで、もし目にしたら迷わず買っておく。わざわざ探しにまでは行かないが、見つけたら買う。また、釣り仲間の誰かが見つけたばあいは頼んで買っておいてもらうようにしてもいる。

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これが筆者の必殺仕事エギ、ユニチカ・エギS2大型狙いには改造したエギ3号を多用する

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狙いは、おまえじゃないの、お前じゃ

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歳をとると、いや、ヤングも足元気をつけて!

 瀬の岩礁を釣るときはエギが海中をふわふわ漂うように仕向けながら、ときに誘いの手を休め海中にサスペンドさせてみる。その後、何もしないで放置しておくと極ゆっくりいい姿勢を保ったまま沈下していく。このとき仕掛けを不意に張ると海中でエギがステイする。ズル引きすると岩礁に鼻面をぶつけたエギは思わぬ動きをするが、このイレギュラーな動きにもふんわりとした漂い感が見てとれる。こういう芸に長けた優秀なエギは複雑に地形が変化する岩場の浅瀬をスローに釣るばあいにも魚を誘う能力が高い。
 ひと口に浅瀬と言っても底の状態も流れも水深もまちまちなので、ケースバイケースで相性のいいと思われる改良エギをチョイスして使用する。つまり、オリジナルが不満ならオリジナルを改良したエギに交換する。そこからまた別の加工を施したエギに交換することもある。手の加え方を微妙に変えたエギを何十種類も用意しているわけではないが、大雑把に加工した数種類のエギが必携であるのはいうまでもない。使い分けに長けた釣り師とそうでない釣り師では必然的に改良を加えたエギの種類の持ち数が異なる。これはエギングのばあいでも同じで、とくに夜間に浜の浅瀬を釣るばあいは手持ちのエギを見ればどの程度の腕前かが薄々わかる。
 つまり、ロックフィッシュアオリイカも似たようなシュチエーションで狙うばあいは似たような道具立てと釣り方になるというわけである

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ラインはテスト中のサンプルPE0.4号

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エギを小さくすると、いきなり外道?がヒットした

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夏に浅場に寄るアコウだがエギで釣ったのは初めて

 むろん、タケノコメバルを狙っていてヒットしたこのたびのアコウ(写真参照)も先に述べた道具立てと釣り方の実践により射止めることができた嬉しい一尾である。
 このアコウだがサングラス越しにエギを確認できる近さまで仕掛けを巻き取って来たときに背後から追跡してくる魚影を確認した。そのとき、私は大型のタケノコメバルだと思った。そのあと誘いの手を休めると、海中にステイしたエギに躊躇なく襲いかかった大物をバッチリ目にとらえることができたわけだが、そのときもまだ大型のアコウだとは気づかなかった。ただ、まずいところで食わせたなと失態を嘆いただけだった。しかし、もう少しファイトしやすい場所までおびき寄せてから口を使わせる算段をしてみたところで、あちら様の気がいつ変わるともかぎらない。私のエギを見切ってチェイスをやめてしまうかもしれないではないか。何事にもタイミングというものがある。まぁ、食いつかせたあと根に潜られてしまったのは不覚だったが、仕方ない。
 私は仕掛けを張って様子をうかがってみた。どうやら根に突っ込んだみたいで頑として動かない。どうやら粘って逃げきる腹積もりらしい。
 これはまずいなと私は思った。
 今の今まで浜つづきの岩場で釣りをしていたわけだが、奥まで釣って、小さな秋アオリを数杯手にしただけで一向にタケノコメバルのアタリを拾えないままに浜のすぐそばまで引き返してきた私は、このときリールに巻き取ったラインを今いちどきっちり巻き直してから納竿しようと思い、沖向きにおもいっきりキャストした。ところが、手に来る感触がすこぶるよい。仕掛けを通して潮が効いているとわかった。ここを攻めない手はないと判断した。そのまま釣りを再開した。
 そして、その判断が功を奏し大物に口を使わせたのである。これは必然か、あるいは僥倖にすぎないとみるべきか。意見は分かれるだろう。
 さて、それはさておき私はどう動いたか。じつは浜の方へとまわり込めば仕掛けの角度が大きく変わり、仕掛けを反対側から引くことができた。浜に降りて仕掛けを引くと予想どおりの手応えがあった。不意をつかれた格好になったせいか、咄嗟に魚が根を離れて動いた。浜側には特にやり取りに支障をきたすような岩礁はなかった。仕掛けの強度を考えると強引には攻めきれないが、加減しながら寄せればこっちのものである。
 そして、私がその光景を目の当たりにするまでにその後どれほども時間を要しなかった。タケノコメバルだと信じきっていた私は、それが大型のアコウだと知れて焦った。慎重にならざるを得なかった。波打ち際近くまで寄せたが、それ以上は難しかった。大型船が送る波がいいように寄せて来てくれればその波に乗じて浜へと重たい魚体を持ってこられもしようが、それができるような状況ではなかったのだ。やや風は吹いていたが、海は凪いでいた。私は長靴を履いていたが、覚悟の上で一歩踏み込んだ。波打ち際から渚へと踏み込んだのだ。そして、アコウの口からはみ出たエギの頭部をつかんでそのまま浜へと後ずさりした。幸いにも長靴のなかは無事だった。アコウも無事に取り込めた。

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テトラ護岸は根魚の宝庫だ

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その後も岩場の浅瀬で何度かチェイスがあった

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青物師がやって来る。釣れるから、来る

 その後も私は庵治半島に何度か出向いて同じように浅瀬で釣りをした。そして、エギを追跡してくる魚影に目を奪われることになる。その多くはタケノコメバルにちがいない。しかし、大型の魚影に関してはアコウの公算が強いだろう。アコウは夏に産卵すると聞くが、この時期にかぎっては普段になく浅瀬にも接岸してくるという。何年か前にもこの話をデーブ鎌田から教わって出撃したところ、まあまあのサイズのアコウが釣れた。
なので、本来はもっと詳しく記述すべきであるが、しかし、それとは裏腹にエギを使って浅場の岩礁エリアでロックフィッシュを狙おうとする釣り師はたいして多くないはずだ。まさか、研究をさらに深めて一つのジャンルとして成立させるべく打ち込んでみようと意気込む奇特な釣り師が現れようとは筆者にはどうしても思えない。もし、そういう人がいるとしても、それほどの人物なら筆者がどうのこうのと口うるさく語らなくても自分で頑張るにちがいない。
 なので、興味のある方には、
「以後、ご存分に」
そう申し上げるしかなさそうだ。
 もうしばらくのあいだは筆者も釣り場へと足を運んでみるつもりだが、そればかりやってもいられない。
いま試している極細のPEラインは本来アジやメバルを狙うためのものである。そして、秋以降はアジメバルがよく釣れる季節となる。ここはひとつ狙うべき魚を狙うことでラインの性能のよしあしを今いとど確かめておかなくてはなるまい。
 なので、十月以後はひとまずエギでロックフィッシュを狙う試みは中断することにしたい。
今が引き時ということにして。

【今日の使用タックル】

ロッド : メジャークラフト スカイロード862E
リール : ダイワ セルテートCT2500VⅡAA
ライン : ユニチカ アジ、メバル用スーパーPE0.4号(プロト)
リーダー: ユニチカ スタークU2 2号
エギ  : ユニチカ エギエスツー3号

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