過去の釣行記TOP > 釣行レポート > 2018年11月04日

釣行記

釣行レポート

2018年11月04日

マダコ釣り☆近況(つけ足し)

 菊池寛は無宗教なので一族の法要のときなど、べつの間でごろ寝していたそうである。今のお寺さんの住職が幼かったころの話で、退屈していた菊池寛はよいところに小僧がやって来たと思って、機嫌よく相手になってくれたそうだ。自分を膝の上に乗せて撮ってくれた写真がどこかにしまってあるとも住職は言っていた。
 その住職も齢八十を過ぎ、大病を患ったこともあって、そろそろ息子に代を譲ろうと考えている節を話の端々ににおわせるようになっていた。この秋、そのとおりになった。檀家である私の家へも書面で知らせて来た。というより案内状が届いた。式典を催すので寺へお越しくださいというのである。
 ちなみに、菊池寛とは作家の菊池寛である。文藝春秋社をはじめた菊池寛である。むろん、芥川賞、直木賞も彼の社長時代に始まった。最近は文春砲のほうがインパクト大かも知れないが、こいつに睨まれたら最後、事と次第によっては身を滅ぼしかねない。そういう意味では有名人には恐怖にちがいない。当然、心にやましいところがなければどうってことないが、有名人は誘惑も多そうだから火種がくすぶりやすいはずである。
 その心配ゼロの一般人である私は、この日も気楽なもので、着の身着のまま近くの半島にマダコを釣りに出かけた。
マダコ釣り☆近況』を書いてユニチカへ送ったところだし、しばらくマダコは置いといて他の魚を釣って遊ぼうかとも考えていたのだが、午後から用のあることが近ごろ多くなってしまったせいで、遠くまで出かけることが難しい。なので、池でバスを釣ろうかとも思ったが、考えなおして朝遅くにマダコを釣るため海へと車を走らせた。釣り場へは飛ばさなくても三十分もあれば余裕で着く。浜の釣りは漁港の釣りよりも釣果を授かりにくいので、最初は漁港の岸壁の足元へと仕掛けを垂らしてゴツゴツした底を丹念に狙って歩いた。半島で最も大きい漁港の一つなので探り甲斐があった。
「よし、やるぞ!」
 集中力を切らすことなくやり抜く決意で、私は相当張りきっていた。
 ところが、十メートルも歩かないうちに強力な磁石に吸い付けられたかようなアタリが唐突に来た。胸が騒いだ。こういうばあい大きいことが少なくない。のけぞるようにして剥がしにかかると手元にずっしりとその重量感が堪えた。
 当日は秋晴れの日曜で、ファミリーにも人気の漁港だけあって釣り人やドライブ中に立ち寄った人で賑わっていた。そのなかで私がマダコの良型を抜きあげたものだから注目を浴びてしまった。
 釣り師の直感が、「よし、今日はいける。まだまだ釣れる」と自らを昂ぶらせる。
 良型を二つ三つは楽勝だと確信に近い思いでいた。
 けれども、たしかにそう思いはしたけれど、ここでの釣りは断念した。釣れても釣れなくても普段日常にない脚光を浴びてしまったあとではやりにくい。釣れすぎれば話題に上って、それを聞きつけた同好の士が大勢やって来るようになるかもしれない。もしそうなると自分で自分の首を絞めるようなものだ。その反対に釣れなかったら、それはそれでバツが悪いではないか。なので、やめておくに限ると判断した。

釣行レポート

使用したラインとリーダー

釣行レポート

深まる秋の浜でマダコ釣りを満喫した

釣行レポート

浜でこのサイズは久しぶり。かなり嬉しい

釣行レポート

岩に張り付かれると面倒なので一気に寄せた

釣行レポート

キャスティングの釣りではアオリイカ用のエギの出番も少なくない

 その後、近くの浜に場所を移してキャスティングでマダコを狙った。浜にはカレイを狙う投げ釣り師が数人いるだけで、奥の方へ歩いていくと誰もいなかった。沖へ出っ張った小磯の黒い岩の頭を波が洗っている。風は弱く、海は凪いでいたが、沖を通る船から送られて来るうねりが岩に砕けて白いしぶきを散らせた。
 ここでも、私はマダコを手にした。しかも、ついさっき漁港で仕留めたマダコよりも少し大きい。多くの人の目にさらされながら写真撮影をする度胸は持ち合わせていなかったので漁港の岸壁ではよしたが、ここなら人目を気にせずに存分に撮影できる。この浜でも開始早々のヒットだったので気をよくした。
 しかし、場所替えしたこともあって、もう午前十時をまわっていた。帰路に費やす時間を差し引くと、釣りを出来る時間は限られてくる。午後から人と会う用があった。
 その後、一時間ほどやってはみたが、気が急くせいかリズムが伴わずヒットのタイミングを逃してしまった。じっさい、アタリらしい感触を得たと自覚する瞬間があった。八本ある吸盤付きの足のうちの一本で私のタコエギを確かめるようにちょっと触ったようだった。それが二度三度。じっくりやっていれば仕留めるための手立てがなかったわけでもないはずだったが、やはり気が急くと注意力散漫になって何事もダメである。
 それでも、浜からキャスティングで楽勝キロ超えを獲ったのは久しぶりだったので、じつに気分がよかった。

【今日の使用タックル】

ロッド : ダイワ・パシフィック・ファントムBg 510S
      ダイワ・パシフィック・ファントムBg 70S
リール : ダイワ・カルディア・キックス2500
ライン : ユニチカ シルバースレッド ソルトウォーターPE40lb
リーダー: ユニチカ シルバースレッド ショックリーダーFC25lb
タコエギ: マルシン漁具・ダンシング八ちゃん3.5号
      マルシン漁具・オクトパスタップ3.5号

ページのTOPへ

釣行レポート一覧へ