2018年12月15日〜2019年4月11日
釣行雑記(1)
べつにポジティブな思考の持ち主でもなければ行動力のある方でもない。
むしろ、その逆である。
面倒臭がり屋で、怠け者、世間から放って置かれると一年中、無為徒食に生きているにちがいない。
ただ、よい意味でもよくない意味でも性格が優柔不断なので、毅然と生きることも与太郎に徹しきることもできずに何となく中途半端。ようするに流されやすいふらふら野郎なのである。主体性に欠けるので、頼まれると、「まぁ、いいか」とばかりに安請け合いしてしまう。毎度毎度そういう感じだから後で面倒なことになったりもするが懲りずに同じ過ちをくり返してしまう。
なので、気づくと何やら日々忙しい。なぜこうなのか。自分で性格に嫌気がさしてくるが自業自得だから仕方ない。
けれども、理由はどうであれ引き受けた用件については責任が生じる。少なくとも最低限の期待にだけは添えるよう努力しないわけにはいかない。
そこは当然、努力する。そこのところは真面目である。自分で言うのも変だけど、まぁ、引き受けたことに関してのみという限定的な話であるなら、相当責任感は強い。
じつはこの釣りのレポートを書くのがどんどん遅れていったのもそういう理由からで、放っておけない順に用事をやっつけていたら時間が足りなくなって後まわしになった。
では、もうこのまま捨て置くか。そうしたければそれでもよいが、撮りためた多くの写真をお蔵入りさせるのも惜しいではないか。
そもそも書くために撮った写真なのだし、いつまでも中途半端に放っておいてよいはずもない。
今回のレポートは、こうした後ろめたさから書き始めた。重たい腰をあげないと、写真の点数ばかりが増えて書くのが追い付かなくなる。いくらなんでもそうなると本当に嫌気がさすだろう。そこまでのばしのばしにして来てようやく決意した。そして書き始めた。なので、少々長い。それを踏まえて読者は忍耐をもって読みにかかる必要がある。まぁ、読みはじめ読み進めばいつか読み終わるのが読み物である。読んでためになるかそうでもないかは読者の側の問題なので筆者の知ったことではないが、どうにかこうにか目出度く脱稿の運びとなった。
「それなら、読んでやろうか」
そうお思いの方は、ぜひご一読を!
むろん、面白くなかったと言われても責任は負いかねますが。(笑)
さて、今年も十二月を残すのみ。
近年、温暖化とかで冬の訪れが遅れがちな傾向にあるとはいえ、そろそろメバルがシーズンを迎える。じつはもう個人的には何回も出かけていて、行くたび数尾は釣りあげている。
むろん、カサゴやタケノコメバル、モヘの活性が高く、根周りを丁寧に探っていくとメバルよりも根魚の方が先に食いついてしまいがちだが、漁港や海岸の小波止で小さいながらメバルが連発したりすると、「あぁ、メバリングの季節が来たなぁ」と胸をときめかせずにはいられない。
PEは0.2〜0.4号を使い分けている
メバリングの定番リーダーがこれ。状況次第でナイロンハリスを用いることも
潮の速い地磯では大型の期待が高まる
思いついたら試す。仕掛けは重要である
このサイズなら文句なし!
こいつの季節がやって来た!
フロートリグで浅瀬を広く探ってキャッチ!
ワームの釣りはメバリングの王道である
漁船や浮き桟橋周辺でのヒットも少なくない
明るい岸壁は明暗の境も狙い目に
備讃瀬戸はタケノコメバルも多い。尾崎晴之が釣った尺超え
ツワブキが咲くとメバリングの季節到来となる
ふつう、メバルは浮魚なので根魚の棲む底よりも上の層に仕掛けを通して狙う。当然、このようにして釣るとメバルの数が上まわるものだが、まだそこまで魚影が濃くないものとみえ、先に根魚が口を使ってくることも少なくない。サイズにしても、メバルは小ぶりで、根魚の方が大きかったりして心境的には複雑だ。
そうはいっても、いつ本格化するかわからないので釣り場へ出張っていかないわけにもいかない。そのあたりが辛抱の要るところであるが、期待しないわけにはいかないのでバカのひとつ覚えのごとく出かけていく。
ここでは岩場と浜の釣りが可能。夜が待ち遠しい
「寒ぅ〜」と尾崎晴之。粘った末の一尾にこの表情
海中にサスペンドするラインで波の立つ下を攻めてキャッチした
石積み波止きわではカサゴもよく釣れる
初期はまだ根魚の勢力が強い
漁港や石積み波止でメバリングを楽しむばあい、ユニチカのナイトゲームTHEメバルPEⅡ0.2号か0.3号を多用する。0.2号は強度や使い勝手の点で問題がないかテストを任されたこともあって、思い入れが深い。浅瀬で繊細な釣りを要求される真冬のメバリングにおいても私の期待にじゅうぶん応え得る仕上がりだと現在でも自信を持って用いているが、長く使いつづけていると特定のシュチエーション下では、ちがった性質のラインが欲しいと思うようになってきていた。
ちょうどそのころ、テストを依頼されたメバル用のスーパーPEが、その部分を補ってくれるとわかったので上機嫌になり、「いいね。PEⅡとはまた違った意味で、悪くないよ」なんてテストを依頼して来たF氏に対して珍しく褒めたりしたものだから、ユニチカの方でも有頂天になって早々に発売の運びになるかと期待していたが、どうやらもう少し時間がかかるらしい(2019年春ころ発売予定とのこと)。
初めての場所は日中に釣り慣れしておくと失敗が少ない
潮の動く石積み波止の先端はヤル気のあるメバルが多い
漁港内のスロープは浅いがメバルがつきやすい
仕掛けの組み替えは手早くおこなう
潮の流れに乏しい湾奥は小メバルの宝庫だった
港湾エリアはアジング、メバリングが人気
波の影響が懸念されるばあいはPEⅡを用いて仕掛けの馴染みをよくする
産卵直前なら良型も迷わずリリースしたい
試作品のスーパーPE0.2号で浅場を攻めてものにした
さて、このところ近場でメバリングを開始したことについてはすでに述べたが、これから紹介するのは去年の十二月中旬くらいから年を越して春までの話である。
なので、スーパーPEについては先ほど話した試作品ではなく廃番になったユニチカ・ナイトゲームTHEメバルスーパーPE0.3号を多用した。とくにフロートリグに用いてよい成績を残して来た名品だったが、プラグや小型のジグでメバルを狙うのにも最適だった。
私にとっては抜群に相性のいいラインだったので廃番になって残念だが、まぁ、仕方ない。
岩場は事故が起こりやすいので気をつけよう
マアジが釣れることもある
潮通しのよい浅い岩礁地帯は良型のメバルが多い
短時間に良型が連発した
たいていのばあい時合は短い
おもにジグヘッドリグ、スプリットショットリグでメバルを狙うばあいはユニチカ・ナイトゲームTHEメバルPEⅡを使用するが、なかでも足場の高くない漁港の岸壁や石積み波止の浅瀬でスローな攻めに徹するときはPEⅡ0.2号を多用している。今回もそうした。PEⅡは水切れがよく海面下にサスペンドするため、軽い仕掛けで攻めるばあい海面がやや波立っているときは海面上に浮くPE素材100%のスーパーPEよりも性質的に扱いやすい。風の影響が懸念されるときにも、やや比重が重いため、仕掛けの落ち着きがよくて重宝する。既に述べたように浮力に乏しいが、ナイロンやフロロほど沈むわけではないのでPEとしての役目を損なうことなく、むしろ利点の目立つ攻めに終始できる。
ナイトゲームTHEメバルPEⅡ
とメバルリーダーFC
産卵前の個体は手早くリリースした
冬から晩春は良型がよく釣れる
灯り周りは漁船や浮き桟橋の陰につくメバルを狙う
灯りの明暗の境付近で連発したがサイズはイマイチ!
灯り周りは小型が多かった
ジグヘッドリグで釣るばあいには、タダ巻きのほか、誘ってメバルに口を使わせる釣法も用いる。誘いの釣りで知名度の高いものにワインド釣法があるが、個人的にはそこまであからさまにメリハリのあるアクションを付けて誘うことはまずない。それでも、縦の誘いを組み入れて釣ることはしばしばあるものだ。
しかし、厳寒期の浅瀬の釣りでは誘ったところでメバルの反応が目に見えてよくなることなどそうそうあり得ない。むしろ、誘わず極々ゆっくりタダ巻きに徹する方が利を得やすいと考えられる。
こう説明すると、「なぁんだ、簡単じゃないか」と思うかもしれないが、自分の思いどおりの層を狙ったコースから仕掛けを逸脱させることなく引ききることは容易ではない。リアクションバイトで口を使わせる誘いの釣りとはちがって、メバルにワームをじっくり見せて、しかも餌であるという認識のもとに口を使ってもらうタダ巻きの釣りは、ある意味ごまかしが通用しない。とくに食い渋る状況では、たとえ微かなアタリを拾えたとしても仕掛けが張りすぎていると、その違和感から深く食い込むことがまずないため、ヒットに持ち込むのが難しくなる。これに対処するには張らず緩めずという絶妙の張りぐあいをキープしながら釣っていくしか手はないが、理想を完全に実現しようと思っても風や潮流の影響がもろに出る状況下では限度がある。
なので、ラインのメインディング、潮流に対して絶妙のタイミングでの送り込み、あるいはロッドの先でアタリを聞きながら鈎掛かりさせる聞きアワセ等が上手にできないようでは釣果に結びつけにくい。
慣れない場所では日中に仕掛けを入れて試しておく
明るいうちに底の状態など可能な限り下調べしておく
仕掛けの工夫改善は怠れない!
石ぎわを超スローに引いて食わせた
低活性時はとくにタナ取りとコース取りが重要となる
厳寒期は極軽いジグヘッドを多用する
レンジのキープにさほど気を使う必要がないなら自重があって投げやすい仕掛けでじゅうぶん釣りになる。ただし、ゆっくり引く必要があり、ゆっくり引き過ぎると根掛りしやすいという状況なら浮力の高いワームをチョイスすることを考えねばならない。こういうワームはサイズ的に大きいのがふつうなのでメバルが見てシルエット的に気に入らないばあいはなかなか口を使ってはくれないため対策を講じないとまずい。
ベタ凪の浅瀬で低水温の真冬に釣りをしているとちょっとした仕掛けの組み方の甘さで釣りが台無しになる事実を思い知らされることも少なくない。個人的にはワームの種類や大きさにあまりこだわらないが、時としてこだわらずには済まされない状況というのが確かにあることを知らないわけでもないので、その辺に関しても極寒期は気を使わざるを得ない。
この釣シビアな極寒気に効果を発揮するのがケミホタルにシートオモリを貼り付けて使うというもの。私は打ち抜きポンチで打ち抜いた円型のシートオモリを必要分だけ貼り付けて使っているが、要するにハサミで必要な重さの分だけ切ったものを貼り付ければそれでよい。沈みぐあいが自分の思いどおりであればそれでよいわけだ。これを付属のチューブを用いてリーダー部分にセットする。リーダーの先に結ぶフックは軽量のジグヘッドでもいいし、鈎でもいい。鈎を結べば、まぁ、ある意味この仕掛けをスプリットショットリグだと言えなくもない。
とにかく、ジグヘッドを結ぼうが鈎を結ぼうが、ほんとうに極ゆっくりタダ巻きに徹するだけの釣りである。
むろん、速い攻めに対して高反応を示すときにはデメリットでしかないが、厳寒期にはこういう変わった仕掛けを用いてしびれるくらいにじっくりゆっくり攻めないと結果を出せない状況というのが少なからずある。そのとき泣きを見ないためにも覚えておいて損はないと思うのだが、やるかやらないかは個人の勝手である。なので、これ以上とやかく言うつもりはない。
厳寒期に多用する自作の小物を収納したケース
自作のオモリ
自家製ジグヘッド
フックは土肥富のアジ用を多用する
ジグヘッド用のオモリ作り欠かせない糸オモリ
鉛シールをポンチで抜いてケミカルライトに貼る
ケミホタルを利用した釣法でヒットした小メバル
石積みの気輪を引くとカサゴがよく釣れた
煮付けにしたら美味しいサイズが釣れた
フロートリグでメバルを狙って面白いのは春の四月ころからである。もちろん地域差もあるから一概には言えないが、夕刻になるとイカナゴの群れが沖から浜の渚に寝に集まって来る四月中旬ころから梅雨明けころまでがサイズもよくて遣り甲斐がある。
大型のメバルが非常に少ない香川県沿岸でも、春から初夏の時期は前述のように尺メバルをものにする絶好の機会なので、念願の「香川県内での尺超え!」を夢みて足繁く通うメバリング好きが後を絶たない。
釣り場はサーフやゴロタ浜が一般的で、遠投して広く探る釣り方が主流である。とはいえ、目と鼻の先の渚でもメバルが口を使ってくることはよくあるので仕掛けをピックアップする寸前まで気が抜けない。思わぬ良型が波打ち際付近にじっと身をひそめ通りがかる餌を待ち受けていることがままあるので波ぎわから少し下がって釣るなど注意を怠らぬようにしよう。
フロートリグのためにあるようなフィールドだ
ロッドは8ft半を多用する
PEはフロートタイプとサスペンドタイプを使い分けている
このサイズが連発することも
浜は大釣りすることもあるがボウズも普通にあるから侮れない
フロートリグで浜を攻めるならイカナゴの接岸する春期だ
潮が横方向に速く流れるサーフなら重めのジグヘッドリグでもよいが、ごく浅く底が荒い浜ならケミカルライトとジグヘッドを併用する仕掛けで釣ると効果的である。水温が下がる冬場は、とくにその傾向が強い。凪いだ夜の浅瀬を軽量の仕掛けで静かに釣ると思わず目をみはりたくなるような好釣果に恵まれることがある。浜のメバリングといえばフロートリグで遠投して広く探っていくイメージだが、海がベタに凪いでいたら渚の部分にも注意を払い、ゆっくりじっくり狙うことで釣果に結びつけたいものだ。メバルは考えもしないほど近くにひそんでいたりするものである。
日暮になると浅場のメバルが活発に動きだす
春期の浜は良型の期待大!
軽量ジグヘッドとオモリを貼ったケミカルライトを併用した
尾崎はフロートリグで良型をGet!
浜はフロートリグとジグヘッドリグを使い分けるとよい
ジグヘッドリグにシーバスがヒットした
港を釣り歩くばあいも同様に、沖向きに「投げて、沈めて、誘う」というようなことばかりに終始せず、岸壁の際を丁寧に狙ってみるのも悪くないものだ。
ただし、浜とはちがい岸壁の際は底に向かって深く落ち込んでいるのがふつうである。この足元の壁際にメバルがついていることが少なくない。メバルのほかにも稀にタケノコメバルが居たりもするが、壁にくっつくようにして休憩しながら餌を待っていることの最も多いのはカサゴである。なので、当然のことメバルが食うか否かは運次第である。
中層に微細な餌が多く漂っているばあいはべつだが、ふつうメバルは底の基礎の石からほんの少し体を浮かせて斜め上を睨みながらじっと身構えている。もちろん餌を狙っているメバルなので穴には隠れていない。
そうすると、アンダーショットリグで攻めてみるのも悪くないといえるが、汎用性に富むジグヘッドリグでも根掛りしない状況ならアンダーショットリグよりもスピード感のある釣りの展開が期待できるので釣果を得やすいかもしれない。
しかし、そうは言っても、メバルも他の根魚同様にボトム付近に居るとはかぎらない。前述のように中層の壁ぎわに居たり、もっと上の層に居たりもするので、重たい仕掛けでボトム付近を直撃する攻めばかりをやりつづけるのも考えものだ。
なぜかというと壁につくメバルも根魚も漂うようにゆっくり落ちて来るものにいっそう興味を示すようで、ならば探り歩くこちらとしても壁全面をじっくり広く丁寧に探りながらアタリの傾向をみていく必要がある。
どんな釣り方でも当たり外れはあるので一概には言えないが、どういう仕掛け、どういう攻め方をするにしても効率よく的確に探っていけるよう普段から気を引き締めて修練を積んでおかなくては、むろん釣果は望めない。
壁ぎわ、つまり垂直面の効率的な釣り方を身につけておくことは必要である。浅瀬で思うような釣果が得られないときに全く異なるシュチエーションでその場に見合う釣りの展開が図れるとしたらそれは強みのほかなんでもない。
抽斗の数は多いに越したことはないと思われる。
岸壁の壁ぎわを移動しながら探る
軽く誘ったらヒットした
テンションフォールさせていると足元の底付近で捕えた
足元の壁ぎわでヒットしたタケノコメバル
岸壁の壁に仕掛けをゆっくり落とすと意外に釣れる
コンクリート波止を歩きながら足元を見ると2メートル幅くらいの石積みが波止を補強するかたちにつづいていたりする。石積みの海側(つまり沖側)は急な角度で底へと落ちかかっていることがほとんどだが、干潮時に出ていた石積みも潮が満ちて来るに従って水没する。
すると、この石積みのエッジ付近でメバルや根魚が口を使ってくる。もちろん毎回そうなる保証はないが、とくに石積みが潮に没してしばらくのあいだは気を抜けない。エッジとは平らな石積みの上面の角という意味で、その向こう側(沖側)は傾斜して深く底まで落ちているが、落ちぎわ付近でのヒットが多いのは、そこに注意を払ってさえいれば効率よく餌を食うことができるからだろう。
これは、石積みの最上部の平らな面から海面までの深さが同じであっても、引き潮より満ち潮時の時のほうがアタリもヒット数も多くなる傾向にある。むろん、こういう釣りばかりやっているわけではないので絶対にそうだとは断言しかねるが、石積みが潮に没してしばらくのあいだはとくに釣果を得やすい。じわじわと潮が上げて来るよりも目に見えて潮位が増して来る夜の方が魚の活性があがりやすいというのも事実である。また、よほど潮があがってしまって満潮に近くなると食いそうに見えてじつは釣果には結びつきにくい。水深がじゅうぶんだから釣れそうに見えるわけだが、あてにはならないことが多いものだ。ことエッジの釣りに関して筆者はそういう感想を持っている。
石積みが水没すると根魚がエッジを意識し始める
このサイズが連発すれば寒くても頑張れます!
浅い石組みのエッジでワームを捕えた厳寒のメバル
釣り場、釣り方は十人十色。楽しければよし!
とくに釣果にこだわることはない。が、たまには・・・
PEⅡは強い。0.2号でも楽に寄せられた
常夜燈の灯りの効いている場所はプランクトンが集まりやすいせいかメバルが群れていることが少なくない。夜の澄んだ潮を透かして海中の魚影を確認できることもままあることで、あるいはライズしていたりもする。
ただし、こういう明るい場所はフグも多く、ワームをぼろぼろにされて悔しい思いをした経験を誰もが持っているだろう。
こういうばあいメバルの活性がよほど高ければ小型のジグやミノーで釣ればいいし、食い渋るようならフライを用いれば問題は相当に解消する。フライのタイプにもよるが、まぁ、プラグに較べるとワーム同様の扱い方でフグをかわしつつメバルに口を使わせることができるので重宝する。
ただし、フライと一口に言っても、メバルに特化したものを手際よく巻くには経験を要する。手の込んだ難しい作業ではないが、まったくの素人なら道具から買いそろえなくてはならない。
なので、フライを巻くのもフライタックルを扱うのもフライフィッシングの経験者であることが望ましいのは言うまでもないが、べつにそうでなくてはならないというわけでもない。要するに、ワームの代わりに用いるのであるからメバリング用のルアータックルで扱うことが可能である。なので、フライの製作に必要なマテリアルさえ揃えれば、それと最低限のタイイングのツールさえ購入できれば、あとは努力次第で何とかなる。
フライというのは、サイズ、シルエット、浮力、カラー、夜光のものまで、こちらの好みで巻き加減も自由自在である。
常夜燈で明るくメバルが上ずっているようなら渓流用のドライフライ、ウェットフライをそのまま用いて臨んでも釣果を得ることができる。すでに渓流でトラウトを釣って遊んでいるフライフィッシャーマンなら道具一式そのまま転用することで相応の釣果を得ることができるはずである。
さて、ルアータックルでフライを投げる話にもどるが、もしフライ自体の自重不足によって飛距離が出ないようならスプリットショットリグにすればいい。あるいは、先にも説明したケミホタルにシートオモリを貼り付けたものと組み合わせて使うと尚のことおもしろいかもしれない。
自分で巻くのが面倒だという人は、市販のフライを買うか、サビキの鈎を枝素ごと切り離して単体で用いてもそれなりに釣れる。市販の土佐カブラを使ってもいい。考えれば他にも手はあるはずである。いろいろ工夫してみるとよいだろう。
なお、ルアータックルで軽量のフライをキャストするには前述通りスプリットショットリグが有効であるがフロートリグと組み合わせて浜で使うという手もある。
スプリットショットリグのばあいはケミホタルにシートオモリを貼り付けたものをガン玉の代わりに用いるとレンジのキープがしやすく、しかもゆっくりじっくり攻めることが容易なため高い効果が期待できる。
ただ、これには賛否両論あって、多くのフライフィッシャーマンはよしとしないだろう。
私もフライを嗜む人間なので、「おまえはどうだ?」と問われると、痛い。
まぁ、メバルはべつだが、それ以外の釣りにおいてはあってはならぬことだと答えておこう。フライはフライタックルで扱うのが原則である。正統派のフライフィッシャーマンでなくともそう考えるべきである。むろん、筆者も異論はない。
じつは、ブラックバスもこの手をつかうと相当よく釣れる。ルアータックルを用いてフライを投げて釣るというわけだが、むろん、釣れるというだけの話で、そうまでして釣果を得たいとは思わない。
そういう意味合いからすると、やはり私のなかではメバルは特別待遇である。
ワームやプラグと一緒にフライを忍ばせて釣行する。バッグの中に非常手段としてのフライを常に隠し持っているのである。
小型のエビを模したフライだがメバルがどう見るかは知らない
海のフライは手の込んだ者は少なく作りやすい
ルアータックルでフライをキャストするのに欠かせない
フグにワームをぼろぼろにされ怒り心頭。フライに変えたらこの通り!
暗がりはフグも稀で本命を得やすい
高松市内でモヘはめずらし!
やはりワームは効果が高い
ワームはメバリングの王道である
どうだろうか。
もしワームを扱うのと同じように、小型のミノーやペンシル、トップ、スプーン、マイクロジグなどを使ってメバルが釣れたなら意外性も手伝っておもしろさが倍増しはしないか。そう考える人も少なくないだろう。
つまり、常夜燈で明るい漁港の岸壁や波止から、ライズするメバル、もう少し下の層で餌の微生物を捕食しているメバルを当て込んでハードルアーを投げ、上手に誘って釣果を叩きだす。そこにゲーム性を感じ始めると病みつきにならないともかぎらない。
じっさい、私の知るかぎりにおいてもそういう人が少なからず居る。
潮通しのよい波止先端でメバルが連発した
メバルは潮がよく効いているときにヒットしやすい
石積みに平行にミノーを引くとカサゴが来た
カサゴも釣れる。石積みの穴から飛び出して来て食いついた
フグもヒットする。日中はとくに
ここでは、それとは少しちがったミノーイング、つまりミノーを用いて姿の見えない気配すら感じにくいメバルをヒットさせるテクニックについてのみ記すことにするが、簡単なのはクロスの釣り、ダウンクロスの釣りである。岸壁でも波止でも河口でも浜でもよいが、岸に沿って潮が流れているときに、真沖にキャストするか、やや潮下側へとキャストして、ゆっくりとタダ巻きをする。メバルが餌を捕食している層がわかれば、その層をきっちり引けるミノーをチョイスし、あとはもうゆっくり巻くだけでよい。流れが速いときはシンキングペンシルやシンキングミノーで狙ってもヒットしやすいものだ。ただ、シンキングタイプのルアーを用いるばあいは仕掛けを送り込んだり誘いを加えてみたり、あるいは竿先を高くしたり下げたりすることで仕掛けを通す層を変えるというテクニックが重要となる。他のルアーも同様の操作をおこなうが、沈めて使うルアーほどその手加減次第で釣果に差がつきやすい。
ミノーやシンキングペンシルはトリプルフックを二個ぶらさげているのでアタリが来たらまちがいなくフッキングしそうなものだが、アタリが頻繁にあるのにヒットしないばあいは工夫が必要になる。プラッギングのばあいは潮がほどよく流れていないとメバルも食いつきがよくないみたいで、するとそのとき仕掛けが必要以上に張りすぎているとコツンとアタリが来ても弾かれてしまって何度やってもヒットに結びつかなくてイライラさせられるという悪循環に陥りやすい。こういうときにはロッドの先を潮下側へ送って食わせの間を与えるようにするとよい。流れに任せて送り込むとルアーの動きが死んでしまって誘う力がゼロになる。ただでさえ食いきらぬメバルにそんな真似をするとそっぽを向かれておしまいだ。そう考える人も少なくないだろうが、まぁ、ものは試しということでやってみるといい。先入観を捨ててこそ浮かぶ瀬もあるというもの。これは長く釣りをしてきた筆者の感想である。
話がくどくなったが、まぁ、いま述べたことが自在にやれるようになれば、アップクロスの釣りや足元の流れに沿ったアップストリームの釣りにも挑戦してみてほしい。
むろん、ペンシルやミノーのほか、トップウォータープラグで水面を狙ってみるのも一興で、視覚に訴えかけてくる釣りを思い存分味わってみるのも悪くない。
ボートのあいだの浅場ではソイも釣れた
浅い砂泥底から素早く浮上してきて食ったソイ
このサイズなら文句なし
今回は雑記ということなので一つ一つのことについてあまり詳しくは書かなかったが、まぁ、いろいろ試してみると楽しみが増して、いっそうメバリングの幅がひろがりをみせるにちがいない。
もし一種類しか使えないなら迷わずミノーSSを選ぶ
プロセスが重要。ただ釣れればよいというものではない
メバリングはテクニカルなゲーム。楽しみ尽くしたい
では、みなさんも、よい釣りを!
【今日の使用タックル】
ロッド : ノリーズ スローリトリーブSR710F
ダイワ 月下美人MX74UL-S
オーシャンルーラー ニアリッドNR-L86ST-P
メガバス 礁楽85UL
ブリーデン グラマーロックフィッシュTR85PE Special ホーリー アイランド
ブリーデン グラマーロックフィッシュTX78M
ブリーデン グラマーロックフィッシュTX70M
ゴールデンミーン JJマスク68Rリミテッド
リール : ダイワ セルテート2004
ライン : ユニチカ ナイトゲームTHEスーパーPE.SP 0.2号(プロト)
ユニチカ ナイトゲームTHEメバルスーパーPE0.3号
ユニチカ ナイトゲームTHEメバルPEⅡ0.2号、0.3号
リーダー: ユニチカ ナイトゲームTHEメバルリーダーFC4lb、6lb
ユニチカ スタークU2 1号、1.5号
ユニチカ アイガーⅢスーパー1号、1.2号
ワーム : エコギア メバル職人ミノーSS
エコギア メバル職人メバダート
エコギア メバル職人パワーシラス
エコギア グラスミノーS、SS
*注 写真は本編用に撮影した大多数のもののほか、それに前後して撮影したものを内容に沿うかたちで一部掲載しています。