当中間期の業績の概況

1.経営方針
  • 経営の基本方針
      当社は「暮らしと技術を結ぶことによって社会に貢献する」ことを経営の理念とし ております。健康で充実した暮らしに貢献するため、新しい素材、製品を常に提供し 続けることこそ、当社の価値、当社への信用を高め、ひいては株主各位、取引先各位 に貢献できるものであると確信しております。
  • 利益配分に関する基本方針
      当社は、株主への配当金額は収益状況に対応させることを基本としつつも、長期的 な株主利益の確保のためには財務体質の改善が必要と考え、内部留保の充実を勘案し て決定する方針をとっております。
  • 中長期的な経営戦略及び経営目標
      当社は、平成12年度を着地点とする「企業体質強化のための総合対策」により、繊 維事業の抜本的な構造改善(平成11年3月には綿・ウール事業、また平成11年10月に は化合繊事業の分社化など)、非繊維事業の強化、財務体質の改善、グループ会社の 再編と連結経営の強化を基本施策として、目下推進中であり、環境変化の影響を受け た部分もありますが、全体として計画に沿った進捗となっております。 また、復配可能な収益基盤を早期に確立することを喫緊の経営目標としております。

2.経営成績

 第190期上半期(平成11年4月1日から同年9月30日まで)のわが国経済は、政府の景 気刺激策等の効果から、ようやく底離れの兆しが見え始めましたが、失業率の悪化、設備 投資等の低迷、急激な円高など、景気は依然回復感の乏しい状況が続きました。
  このような厳しい経営環境下で、平成10年10月に策定しました「企業体質強化のための 総合対策」に基づき、平成11年3月1日に綿・ウール事業をユニチカテキスタイル(株)へ移 管するとともに、企業体質の改善、コストの削減に努めた結果、減収とはなりましたが、 経常利益は大幅な改善をみました。
  化合繊を主体とする繊維事業では、ポリエステルフィラメント「ゼットテン」や同ステ ープル「キャスベン」など差別化素材を拡販しましたが、衣料品の小売り商況は依然不調 であり、産業資材用も自動車関連、建設・土木関連資材の需要の低調な推移から回復が遅 れ、綿・ウール事業を分社化したこともあって減収となりました。
  非繊維事業では、フィルムは、ポリエステルフィルムが世界的な需給バランス失調の影 響を受けたものの、環境対応型のナイロンフィルム「エンブロン」が堅調に推移したこと もあって若干の増収となりました。スパンボンドも複合素材「エルベス」やスパンレース が伸長し、大幅な増収となりました。エンジニアリングは、地方財政悪化の影響を受け減 収となりましたが、主力の水処理施設やごみ焼却施設のダイオキシン対策需要もあって受 注増となりました。メディカル、活性炭繊維などの新規事業は、堅調に推移しました。
  以上の結果、当上半期の売上高は80,610百万円、経常利益は 1,298百万円、中間純利益は129百万円となり、中間配当は、引き続き見送ることとさせていただきました。
  今後につきましては、民間設備投資の低迷、公共投資の縮小懸念、原燃料の高騰、円高 による輸出への悪影響など、当社を取り巻く経営環境には、依然厳しいものが予想されま す。
 このような状況の下で、当社は綿・ウール事業に続いて、化合繊事業も平成11年10月1 日にユニチカファイバー(株)へ移管し、環境変化に即応できるよう独立事業体としての機動 力、効率の向上に努め、収益の確保を目指します。また、建設事業も縮小し、住宅販売、 建設工事部門を子会社へ集約して効率化を図ります。
 今後の当社は、フィルム・樹脂・スパンボンドなどの高分子事業、エンジニアリングな どの環境事業、新素材などの機能材事業の3事業を主体とする企業としますが、新商品、 新用途の開発に努め事業の発展を図るとともに、間接部門のスリム化など、引き続きコス トの削減に努めます。また、当社グループ企業の事業構造の改善を強力に推進して、常に 安定収益を生む企業体を目指して最善を尽くす所存でございます。
 当期の業績は、売上高 1,370億円、経常利益38億円を予想しておりますが、配当につき ましては、事業構造改善に伴う損失のため、引き続き無配をお願いせざるを得ない状況で ございます。

3.「コンピューター西暦2000年問題」

  • 対応状況
     当社は、「コンピューター西暦2000年問題」を業務継続性の維持にかかわる重要な 課題と認識し、「西暦2000年対策推進委員会」において全社的な対応推進と進捗状況 の把握を行っております。
     情報システム系については、基幹システムは、1999年9月までに模擬テストを含め て対応を完了し、また生産設備(制御システム)等の各種機械設備についても、ベン ダーへの確認、改修・更新・日付データの入力チェック等の対応を完了しております。
     原料・資材等の仕入先・委託加工先、営業倉庫及び関係会社等への調査についても 既に実施済みですが、今後とも継続的に状況を把握するなど、密接に連繋をとってま いります。
  • 危機管理計画
     当社では、「顧客に対する安定的かつ納期を守った製品の供給が使命であり、受注 から生産、出荷、納品までの業務全般を支障なくかつ遅滞なく遂行できること」を基 本的な考え方として、必要に応じた在庫の積み増し、情報システムの停止を想定した 代替業務策等の危機管理計画を策定しました。全社対策本部の下で、担当部署ごとに その役割を明確にするとともに、年末年始の問題発生想定日の行動計画を策定し、要 員の確保等、有事の際、迅速に対応できる体制を整えています。



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