このような環境下にあって、当社は、繊維事業における差別化品の、フィルム、化成品、スパンボンド、エンジニアリング事業など成長性の高い分野の重点強化を図るとともに、綿紡織設備の集約化を始めとした事業構造の改善、トータルコストの削減を徹底しました。さらに、海外からの繊維製品の調達、インドネシアでのナイロンフィルム工場の稼働、タイでのスパンボンド合弁会社の設立合意など、海外展開を積極的に推し進め、グローバルな事業基盤の確立に努めました。

　繊維事業では、化合繊のエステル、ナイロンは衣料用が差別化品の堅調から、また産業資材用も自動車関連の好調からそれぞれ増販となり、収益は輸出採算の向上もあり改善しました。しかしながら、天然繊維は、綿が不採算糸の削減等もあって減収となり、毛、二次製品が増販となったものの、収益の回復には至りませんでした。

　一方、非繊維事業では、減収となったものの、安定した収益をあげました。フィルムは食品包装・一般工業用とむほぼ順調に推移しましたが、エンジニアリングは、環境装置の受注競争が激化する中で、大型の完工物件が少なく、また建設もマンション販売個数の減少から減収となりました。スパンボンドはカーペット、土木・農業資材等を中心に国内市場が順調に拡大し、また新規事業では、医用材料や活生炭繊維を中心に事業基盤を強化しました。

　以上の結果、当期の売上高は236,768百万円と前期比0.7％の減収となり、経常利益は繊維事業の収益改善等もあり5,136百万円と前期比68.4％の増益となりました。また、特別損益綿では、構造改善費用、有価証券評価損などの特別損益を計上し、固定資産の売却などの特別利益を計上したものの、当期利益は385百万円に止まりました。