営業報告書

平成7年4月1日から平成8年3月31日まで

1.営業の概況
(1)営業の経過及び成果
当期のわが国経済は、公共投資の拡大や低金利政策の継続、下半期以降の円高の是正などから、景気は暖やかな回復傾向にありますが、全般的には依然低調でした。

このような環境下にあって、当社は、プラスチック、エンジニアリングなどの成長性の高い事業分野の重点強化と繊維輸出を中心とした不採算分野の縮小・撤退を進め、事業構造の転換に注力するとともに、トータルコストの削減を徹底し、収益の改善を図りました。また、東南アジアにおいて繊維製品の生産拠点を拡充するなど、海外展開を積極的に推し進め、グローバルな事業基盤の確立に努めました。これにより、売上高は不採算分野の縮小から前期比 2.2% 減少しましたが、経常利益は前期比 9.1% の増益となりました。

繊維事業では、化合繊は、産業資材用が建設・土木資材用途を中心に比較的堅調に推移しましたが、衣料用はナイロンに回復の兆しが見え始めたものの、エステルは終始厳しい状況が続きました。綿、毛など天然繊維は、差別化品の拡販、二次製品展開の強化に努めた結果、ユニフォームなどの特定用途分野は比較的順調でしたが、全般的な収益回復には至りませんでした。

一方、非繊維事業は、順調に拡大しました。プラスチックフィルムは、きめの細かい販売努力の継続により食品包装用、一般工業用とも好調に推移し、スパンボンドも土木・生活資材・農業用を中心に増販となりました。エンジニアリングは、環境関連施設が堅調な伸びを見せ、引き続き好調な業績を収めました。また、建設もマンション販売を中心に順調でした。新規事業分野では、医用材料など有望な商品に重点指向し、着実な事業の推進を図りました。

以上の結果、当期の売上高は 238,321百万円、経常利益は 3,050百万円となりました。また、特別損益面では、ユーアイ電子?の経営移管その他構造改善のための特別損失を計上しましたが、遊休土地の売却などの特別利益を計上し、当期利益は37百万円となりました。

(繊維事業部門)
<化合繊>
エステル部門では、フィラメントは、衣料用が織物の不調から減産を実施するなど厳しい状況が続きましたが、産業資材用は公共投資に支えられた建設・土木資材用途を中心に比較的堅調に推移しました。ステープルも、衣料用は低調でしたが、資材用は不織布用途の伸長で、堅調に推移しました。

ナイロン部門では、衣料用は、不採算分野の絞り込みや市場のバランスの改善から、期後半に至ってようやく回復の傾向が見え始め、また産業資材用は、カーペット分野で安価な輸入品の増加があったものの、建設関連の好転を背景に、業績は改善に向かいました。ビニロン部門では、アスベスト代替のスレート補強材用、紙・不織布用が比較的順調に推移し、全般的に堅調でした。

レーヨン部門では、婦人衣料分野での化繊や複合素材の需要の増加を背景に、利益面は改善しました。

<天然繊維>
綿部門では、海外調達、海外生産の拡充のほか、「エスパイン」「トルファン」、複合素材「ミラード」などの差別化品の拡販に努めた結果、ユニフォーム用、スポーツ用、婦人用ニット、寝装分野を中心にやや回復しましたが、全般的な利益改善には至りませんでした。羊毛分野では、スクール用途が比較的堅調でしたが、国内消費の減退と輸入品の増加から、厳しい状況が続きました。二次製品部門では、寝装・肌着向けは低調でしたが、婦人用、スポーツ用などのアパレル向けはやや回復しました。

(非繊維事業部門)
プラスチック部門では、フィルム分野は、ナイロンフィルム「エンブレム」が食品包装を主用途として安定的な拡大を続け、ポリエステルフィルム「エンブレット」も食品包装用途・一般工業用途ともに好調裡に推移しました。また、インドネシアにナイロンフィルムの合弁会社を設立し、グローバル化を更に推し進めました。化成品分野は、ポリアリレート樹脂「Uポリマー」が高機能特性をいかして順調に拡大し、ポバールも国内販売に注力した結果、増販となりました。

エンジニアリング部門では、主力の環境装置分野で都市ごみ処理施設、水処理施設、ともに堅調な伸びを見せ、順調な事業展開となりました。建設部門では、マンション「ユニライフ帝塚山」が即日完売となったのを始め、大型物件の「ユニライフ和泉中央」など、販売は順調に推移しました。不動産部門では、平成7年9月29日に東貝塚ショッピングセンターの経営を(株)ユニチカオークタウンに移管し、グループとしての不動産事業運営の効率化を図りました。フパンボンド部門では、カーペット用が自動車の不振で減収となり、また輸出も縮小しましたが、土木用及びルーフィング用は堅調な公共投資に支えられて大幅に拡大し、生活資材用、農業用も安定的な伸びを見せるなど、全体として着実に推移しました。また、綿不織布「コットエース」の販売量は大幅に増加しました。新規事業部門では、不採算のメタ系アラミド繊維の生産を中止する一方、医用材料など有望な商品への重点指向を強化しました。




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