これぞ王道?「消える魔法」

玉田

本日の魔法学院のレッスンは前回の「テラマック」の続きだと聞いています。どんなお話なのでしょうか。

三谷

玉田さん、こんにちは。これが本日の主役、魔法の「ソフバルグリーン®タオル」です。

ソフバルグリーンタオルを触る玉田さん(右)
玉田

こんにちは。えーと、見た目は普通のタオルですが……。

三谷

一見するとわかりませんが、実はここに、ユニチカが誇る「消える魔法」が隠されているんです。消える魔法ですよ。まさに魔法の世界の王道と言える魔法です!

玉田

消える魔法?このタオルが消えちゃうんですか?

三谷

ちょっとちがうんですよねー。では、詳しくご説明申し上げましょう。
申し遅れましたが、私が本日の魔法使い、ユニチカトレーディング・サステナブル繊維担当の三谷斉です。

ミタニ・アキラ
三谷

まずは触っていただくのが一番でしょう。これが新品、そしてこれが50回洗濯後のタオルです。

玉田

あー、やっぱり新品は気持ちいいですね!あれ……!でも50回洗濯した方がもっと気持ちいい。すごーくふわふわです!

ソフバルグリーンタオルを頬に当てる玉田さん
「ソフバルグリーン®タオル」を頬に当てる玉田さん
三谷

驚かれるのも当然です。洗うほどふわふわになる魔法のタオルなんですよ。

玉田

洗うほどふわふわ? タオルって、使っていくうちにゴワゴワしてくるのが普通じゃないですか。

三谷

普通はそうですよね。ではこちらをご覧ください。

新品のタオルと選択50回後のタオルの比較
新品のタオルと選択50回後のタオルの比較
玉田

すごい。50回洗濯した後の方が、明らかにボリュームアップしてる。それだけふわふわってことですね。なぜこんなことができるんですか?

なぜ洗うとフワフワに?

三谷

ここに「消える魔法」の秘密があるんです。ではこの魔法のタオルの作り方を簡単に説明しますねまず、オーガニックコットンをよりながらタオルのもとになる糸を作ります。

オーガニックコットンを撚る
玉田

はい。これは捻りながら糸を作るってことですよね。

三谷

そうですね。そして次に、そのオーガニックコットンに「テラマック」をより合わせます。この時、オーガニックコットンをひねった方向と逆回しにより合わせるのがポイントです。

「テラマック」を逆方向に撚り合わせる
玉田

あー、トウモロコシとかからできる「テラマック」ですね。前回のレッスンで教えてもらいました。「テラマック」を加えると、何かいいことがあるんですか?

三谷

もちろんあるんです。この完成した糸でタオルを作るのですが、そこで魔法が登場します。その名も「トケーテ・キエール」です!

玉田

あー、妙な発音になっていますけど、「溶けて消える」ってことですか……。

三谷

すごい! 魔法の秘密をすぐに見破るなんて!
仰るとおりで、タオルの染色時に魔法をかけた秘密のお湯で洗うと、あら不思議、「テラマック」が急速に分解されてお湯に溶けてしまうんです。だから「トケーテ・キエール」なのです。

染色時に「テラマック」は分解される
玉田

せっかく糸に加えたのに、溶けてしまっていいんですか? 色をつける液体と一緒に流されて消えちゃうってことですよね?

三谷

消えてしまっていいんですよ。「テラマック」が流されると、コットン繊維の間に隙間ができるんです。隙間ができると、そこにはたくさんの空気が含まれるようになります。

洗うほどに撚りがほどけてふわふわに
玉田

空気をたくさん含むってことは……、ふわふわになるんですか?

三谷

そのとおりです。そして、洗濯するほどに糸がほぐれて空気をより含むようになりますから、使うほどふっくらしていくんです。これが我々が誇る奥義「アラウト・フワフーワ」なんですよ。

玉田

なるほどー。だからこんなにふわふわになるんですね。たしかに「消える魔法」ですね!
ところで、消えた「テラマック」はどこへ行っちゃうんですか?

消えた「テラマック」は分解される

三谷

「テラマック」は乳酸になって水に溶けた後、微生物の働きで水と二酸化炭素(CO2)に分解されるんです。だから有害な物質が川に流れ込むのを抑えられます。

溶け出た乳酸は微生物が分解する
玉田

水を汚さないというのはいいですね。

三谷

それも分解で発生するCO2は、「テラマック」の原料の植物が吸収したものですから、大気中のCO2を増やしません。

玉田

なるほど。ユニチカは元々、タオルを作っていたんですか?

三谷

いえ。あくまで我々は繊維という素材を作り出すのがメインなので、通常はタオルメーカーさんと共同で作ります。
「テラマック」をより合わせた糸で試作を始めたのは2019年2月。全国のタオルメーカーに提案したのですが、「テラマック」を溶かす工程が難しくて、製造を試みてくれたのは大阪・泉州の町工場だけでした。

大阪府の織布工場
玉田

簡単にできたわけではないんですね。

三谷

さらに新型コロナウイルスの拡大が追い打ちをかけました。感染予防のために工場で一緒に作業ができなくなってしまったんです。
10か月ほど中断していましたが、こんな時だからこそ新たなことに挑戦しようと話し合って、ユニチカの工場で開発を続けることにしました。

玉田

一緒にできないのなら自分でやるしかない、ですか。

三谷

泉州のタオル職人さんには電話で引き続きご協力をいただきました。こんな紆余曲折を経て、なんとか商品化できたんです。

ソフバルグリーンタオルの開発秘話を熱く語る三谷さん

みんなフワフワが好き

三谷

そして、完成したタオルはクラウドファンディングサイト「Makuake」で紹介し、お客様にも支援を募ってみました。

玉田

反応はどうでしたか?

三谷

予想以上の反響で、目標の6倍以上の支援が集まりました。本当に驚きましたよ。結果をいくつかのタオルメーカーさんに伝えたら「もう一度、チャレンジしましょう」という答えが返ってきました。

Makuakeでの反響は大きく目標の6倍以上の支援が集まった
Makuakeでの反響は大きく目標の6倍以上の支援が集まった
玉田

お客さんの力ってすごいですね。うーん。やっぱりみんな「ふわふわ」が大好きなんだろうな。それで、このタオルはどこで買えるんですか?

三谷

「Makuake」のサイトで販売を始めました。

玉田

もう買えるんですね。私も買ってみます。そういえばこのタオル生地、ベビー服になったりしませんか? ずーっとふわふわな服だと、赤ちゃんも、抱っこするお母さんも幸せな気持ちになれそう!

洗うほどふわふわになる生地は赤ちゃんの肌着にもピッタリ
洗うほどふわふわになる生地は赤ちゃんの肌着にもピッタリ(写真はイメージです)
三谷

ぴったりだと思います。うちの子が赤ちゃんの時も、コットンのおくるみやタオルケットは何度も洗濯するうちに繊維がくっついて硬くなってました。
「ソフバルグリーン®タオル」は繊維にゆとりがあるのでふわふわが長持ちするんです。赤ちゃんは汗をよくかくので、吸水力が2倍あるこの生地が最適かもしれません。普通の生地との吸水力の違いは、こんなにあるんです。

ソフバルグリーンタオルは吸水性も高い
玉田

すごい吸水力ですね。タオルに魔法がかかっているみたい。

三谷

メーカーさんからは、タオル以外の使い道を探りたいという声も寄せられています。当たり前ですが、タオルは世界中どこでも必要なものです。環境意識の高い欧米の皆さんにも使ってもらえるようしたいと思っています。

玉田

「消える魔法」の秘密、とってもよくわかりました。世界中をぜひふわふわでいっぱいにしてくださいね!