ナイロン樹脂

ユニチカナイロン6

環境特性

耐薬品性

ナイロンは、優れた耐薬品性を示しますが、化学薬品への耐性をグループごとに要約すると以下のようになります。

ナイロンは、純水には化学的に侵されることなく影響があるとしても、すべて物理的なもので、水が可塑剤として作用した結果です。例外として長期間高温下におかれた場合、加水分解を生じ、劣化します。酸素を含んだ水は、高温下でナイロンを酸化させます。

無機薬品

ナイロンは、液体アンモニア、亜硫酸など、ほとんどの無機薬品に対し安定ですが、過酸化水素や塩素系脱色剤のような酸化剤には侵されます。

(a)酸、アルカリ
濃い無機酸には常温で侵されますが、うすい酸に対してはある程度の耐性を示します。アルカリに対する耐性は良好で、室温においても濃度20%ぐらいまでなら安定しています。炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムのようなアルカリ溶液は、高温においても影響はほとんどありません。

(b)ハロゲン類
液状、気体状のハロゲンはナイロンを酸化させ、退色や物理的性質の変化をきたします。

有機薬品

ナイロンは、有機溶媒、油、燃料に対しかなり優れた耐性を示します。

(a)有機溶媒
エステル、ハロゲン化炭化水素、メルカプタン、グリコール、アルデヒド(ホルムアルデヒドを除く)はナイロンへの影響はほとんど、あるいは全くありません。フェノール、クレゾール類は、いずれのナイロンをも溶解させますが、その希薄溶液の影響はほんのわずかです。ベンジルアルコールはニトロベンゼン、ニトロアルコールなどと同じく、高温においてナイロンの溶媒となります。しかし、常温では影響は無視できます。

(b)油類
ナイロンは、油類や燃料に対しては極めて優れた耐性を有します。ナイロンの種類によって程度の差はありますが、若干の吸収があります。しかし、劣化も永久的な化学変化もありません。 以下にナイロンの耐薬品性を示します。

表中の記号の意味は

  • A. 全くナイロンを侵さない、ほとんどあるいは全く吸収されず、機械的性質への影響が小さいもの。
  • B. 常温でほとんどあるいは全くナイロンを侵さず、若干吸収されナイロンを膨潤させ、機械的性質を減少させる。
  • C. 常温でナイロンを若干侵す。また、かなり吸収され、使用に際しては期限をきる必要のあるもの。
  • D. 常温で短時間のうちにナイロンを溶解したり分解するもの。

上述の分類は必ずしも厳密なものではなく、二つのランク間の境界も明確ではない場合もあります。ナイロンの個々の用途における適不適の一般的な指針としてご参照ください。最終的な判断は試作品で評価するのが最適です。

耐薬品性一覧表へ