ニュースリリース 機能資材事業

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機能資材事業

2020/7/14

省エネルギー化を目指した耐溶剤性分離膜プロセスの開発がNEDOの助成事業に採択

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 ユニチカ株式会社(本社:大阪市中央区 社長:上埜修司)と、長瀬産業株式会社(本社:東京都中央区 社長:朝倉研二)が共同提案した「有機溶剤回収の省エネルギー化を目指した耐溶剤性分離膜プロセスの開発」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)の2020年度戦略的省エネルギー技術革新プログラム/実用化開発の助成事業に採択されました。



1.開発の背景について

 化学工業等において、有機溶剤の分離・濃縮に多用される蒸留法は、エネルギー消費の大きいプロセスであり、蒸留に由来するCO2排出量は国内では化学産業のCO2排出量の40%に達し、我が国のCO2排出量の約4%を占めています。蒸留に要するエネルギーを低減させる方法として、従来、熱交換器を用いて熱回収する方法等が用いられていますが、所要エネルギーを数割減らす程度で、抜本的な解決には至っておりません。一方、膜分離法は相変化を伴わない分離法であり、蒸留法と比べ1/100~1/1000もの大幅な省エネルギー化が可能です。膜分離法は、海水淡水化などの水処理分野では広く実用化されていますが、水処理膜として実用化されている膜は耐溶剤性がなく、有機溶剤分離には用いることができませんでした。
 このような背景の中、当社は耐溶剤性が高いナイロンに着目し研究を進めた結果、幅広い有機溶剤に耐性を持つナイロン中空糸ナノろ過膜『WINSEPTM NF』の開発に成功しました。この『WINSEPTM NF』の実用化へ向けて長瀬産業株式会社、神戸大学等と取り組む「有機溶剤回収の省エネルギー化を目指す耐溶剤性分離膜プロセスの開発」が、このたびNEDOの戦略的省エネルギー技術革新プログラム/実用化開発の助成事業に採択されました。



2.助成事業の概要について

助成事業の名称 有機溶剤回収の省エネルギー化を目指した耐溶剤性分離膜プロセスの開発
共同実施機関 長瀬産業株式会社
共同研究機関 国立大学法人 神戸大学
委託研究機関 ナガセテクノエンジニアリング株式会社
実施期間 2020年7月~2023年2月


3.ナイロン中空糸ナノろ過膜『WINSEPTM NF』について

 当社では、幅広い有機溶剤に耐性を有するナイロン樹脂で中空糸分離膜を製造する技術を開発し、すでに中空糸精密ろ過膜「WINSEPTM MF」を販売しております。また、この技術をベースに、表面近傍の孔径を緻密化する技術開発に成功し、有機溶剤中に溶解した分子を分子の大きさによって分離することができる中空糸限外ろ過膜「WINSEPTM UF」の開発にも成功し、用途開発を進めております。一方、2018~20年度には、NEDO委託事業「エネルギー・環境新技術先導研究プログラム/有機溶剤の超ろ過膜法開発による化学品製造プロセス革新」を、神戸大学等と実施し、さらに分離対象の小さい中空糸ナノろ過膜『WINSEPTM NF』の基本的技術開発に成功しました。


〇ナイロン中空糸ナノろ過膜『WINSEPTM NF』の特長について

・均質かつ緻密な孔形成により、高強度を有します。

・溶液中に溶解した分子量1000程度の物質も分離することができます。

・フェノール類、含ハロゲン系溶媒を除く幅広い有機溶剤で使用できます。

(トルエン、酢酸エチル、メタノール等の溶剤系で安定的に膜分離できることを確認いたしました)




4.今後の展開について

 当社が開発したナイロン中空糸ナノろ過膜『WINSEPTM NF』は、例えば電子産業、化学産業の分野で多量に排出される有機溶剤の回収再利用や、医薬・農薬産業の分野で生理活性物質を熱により失活させることなく濃縮したいといったニーズに応えられる可能性があります。その他にも幅広い有機溶剤で使用できるものであり、NEDO助成事業において具体的な用途を想定し、さまざまな分野での実用化に向けた研究開発を進めます。



以上



<本件に関するお客様からの問い合わせ先>

ユニチカ株式会社 中央研究所

TEL:0774-25-2228

E-mail:info-rd2@unitika.co.jp


<本件に関する報道関係からの問い合わせ先>

ユニチカ株式会社 広報グループ

TEL:06-6281-5695


※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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