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高分子事業
2007/7/12
バイオマスプラスチック「テラマック」が世界最高レベルの加工速度を達成
ユニチカ株式会社(本社:大阪市中央区社長:大西音文)は、バイオマス由来のプラスチックであるポリ乳酸(PLA)を主成分とするテラマック?樹脂の成形速度を大幅に向上させる技術を開発しました。これによりPLAプラスチックによる生産性の向上が図られ、コスト面での改善とともに今後の幅広い用途展開が期待されます。
本技術により樹脂製品における単位時間当たりの成形生産速度を、当社従来比1.7倍に上げることができ生産工程における効率化が図れます。さらに射出成形の加工温度を下げることが可能になることから、エネルギーコストも削減でき、生産工程全体でのコストメリットが追求できます。生産工程の効率化と加工温度の低下により環境負荷の低減にも貢献します。バイオマスプラスチックであるPLAとして、耐熱性、耐久性、耐衝撃性を備え、世界最高レベルの加工速度、成形サイクルを達成することにより汎用プラスチック並みの成形サイクルで、ポリ乳酸成形品の可能性を一気に拡げました。
1.技術開発の背景
石油資源を原料とした従来のプラスチックは、廃棄時の焼却により二酸化炭素などの地球温暖化ガスを増加させます。一方、トウモロコシなどの植物資源を原料とするポリ乳酸は、廃棄時に二酸化炭素を排出しても、植物が成長する過程で二酸化炭素を吸収するカーボンニュートラルであるため、大気中の二酸化炭素などの地球温暖化ガスの増加を抑制します。さらに、植物は毎年育成できる再生可能な資源です。植物由来
のポリ乳酸(PLA)は、石油系プラスチックの一部に取って代わるバイオマスポリマーとして期待されています。しかし、これまでPLA は以下の問題を抱えていました。
1)ポリ乳酸の価格が汎用樹脂より高い。
2)日常環境下で使用するには、耐熱性が十分ではない。
3)ポリ乳酸の加工速度が極めて遅いために生産性が低いこと。
これらの諸問題に対し、当社のテラマック?の歴史は、問題解決と新しい用途開拓の歴史でした。PLAを主成分とする樹脂は、ガラス転移点が低く耐熱性や成形加工性といった生産効率が従来の樹脂に比べて劣るという問題に対して、当社は2002年10月にフィルム・シート分野で耐熱グレード製品を業界に先駆けて開発しました。その他、発泡樹脂グレードや射出樹脂グレードにおいてもナノテクノロジーや植物性強化材、無機物添加などにより耐熱性、難燃性、耐衝撃性の課題をクリアしてきました。(補足資料参照)
2.技術開発の内容と特徴
テラマック?が世界最高レベルの加工速度を達成するにあたっては、ユニチカが得意とする結晶化促進処方をさらに進化させ、ポリ乳酸が結晶化する際に分子オーダーでポリマー鎖の配列を制御する技術の開発により、実現いたしました。上記の技術により、以下の2点が大きく改良されています。
A.金型温度80℃を達成
耐熱性を向上させるため、従来は 100 ℃あるいはそれ以上の温度で結晶化させなければならないので、成形品の取り出し時の変形や成型品にバリが出やすいなどの問題が起こり設計上、大きな制限がありました。今回、成形温度を80℃に下げる技術が確立したため、これらの問題が解消され、加工時の消費エネルギーの低減はもとより、金型設計の自由度が大幅に広がります。
B.成形時間30秒を達成
ISOダンベル片による評価で、従来は金型温度100℃における成形サイクルが50秒程度の時間を要していました。しかし本開発により、金型温度80℃において成形サイクルを30秒に短縮することができました。つまり単位時間当たりの成形生産速度を、当社従来比1.7倍に上げることが可能となります。
このように、適用設計の自由度があがるとともに、成形サイクル、すなわち生産性の向上も同時に達成いたしました。この2点により、成形コストが大幅に低減できると考えられます。
3.期待される効果と応用分野
今回の技術開発により、耐熱性、耐久性、耐衝撃性などの特性を備えたポリ乳酸の成形加工性を大幅に向上することができたことから、OA機器、IT機器、電気部品、自動車内装部品や、これまでコスト的に使用が困難とされてきた分野など幅広い分野への展開が期待されます。
4.今後の予定
当社は、ポリ乳酸を主成分とする環境低負荷のバイオマス由来製品「テラマック?」を、今回開発した高機能性樹脂はもとより、フィルム、シート、繊維、スパンボンド等で幅広く展開しています。本技術による樹脂は、将来的には「テラマック?」事業の国内外の最も重要な柱の一つとなることが期待されます。
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