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高分子事業
2025/10/22
UV吸収性ポリアリレート樹脂によるUVレーザーを利用した、透明樹脂同士の新規溶着技術を開発
ユニチカ株式会社(本社:大阪市中央区 社長:藤井 実)は、透明樹脂同士の溶着方法として、355nmのUVレーザーおよびUV吸収性ポリアリレート(PAR)樹脂を使用した、新規のレーザー溶着工法を開発しました。
1.開発の背景について
近年、赤外レーザーを使用した熱可塑性樹脂同士の溶着工法の利用が増大しています。原理としては、赤外レーザー透過性樹脂と吸収性樹脂(不透明になる場合が多い)を組み合わせ、透過性樹脂側から赤外レーザーを照射し、接合界面の吸収樹脂側でレーザーがピンポイントで吸収され発熱することで相互の樹脂が溶融し溶着します。振動溶着、超音波溶着、熱板溶着などの他の溶着工法と比較し、非接触かつ溶着部だけのピンポイント加熱の工法であるため、樹脂ワークに与える物理的・熱的ダメージが少ない、溶着バリが少なく仕上がりがきれいになるなどのメリットがあります。
しかし、透明樹脂同士の赤外レーザー溶着においては、樹脂の透明性とレーザー吸収性の両立が難しく、レーザーの吸収・発熱がピンポイントでなく、溶着部以外でも熱ダメージが発生するという問題があります。また別途レーザー吸収剤を接合界面に塗布する工法もありますが、吸収剤や工程の増加によるコストアップなどの問題点もあります。
2.UV吸収性PAR樹脂によるUVレーザー溶着工法について
今回、当社で開発したUVレーザー溶着工法は、これらの課題を解決します。原理としては、UV透過性樹脂として、ポリカーボネート(PC)樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等と、UV吸収性PAR樹脂とを組み合わせ、355nmのUVレーザーを照射して溶着します。このUV吸収性PAR樹脂は、当社独自技術により、UVレーザー溶着工法用にUV吸収特性と溶着特性を最適化させています。355nmのレーザー光をピンポイントで吸収・発熱し、相手材と強固に溶着します。ポリマー自体が優れたUV吸収特性を有しているので、近年、環境懸念物質となっているUV吸収剤も配合不要です。UV吸収性PAR樹脂は、世の中に存在する透明UV吸収性樹脂の中でも、透明性、色調、UV吸収発熱性、透過側材料との溶着性において圧倒的に優れた材料になります。
さらにUVレーザーは樹脂の切断、穴あけなどの精密加工に使用されるため、溶着加工も組みあわせた各種加工工程がワンセットで可能となり、近年需要が高まるマイクロ流路デバイスの製造等にも適用可能です。
なお、本技術については、2025年10月29日(水)~31日(金)まで行われる オートモーティブワールド 名古屋 カーエレクトロニクス技術展 2025 の当社ブースにて展示予定です。
UVレーザー溶着適用例 (マイクロ流路デバイス試作品)
◆本工法の特徴
・透明樹脂材料同士を物理的・熱的ダメージなく、ピンポイントで溶着可能。
・ポリマー自体でUV吸収性を有するため、別途UV吸収剤の配合や塗布は不要。
・溶着部も完全透明、近赤外線も透過するので光学センサーに適用可能。
・優れた溶着性。(PCとの溶着した場合せん断破壊強度40MPa。破壊モードも延性破壊)
・シール性も良好。(200μmの溶着ライン幅で、エアリーク性0.5MPa以上)
・355nm UVレーザーで溶着だけでなく、切断、穴あけなどの加工もワンセット化可能。
・フィルムも溶着可能。
3.今後の展開について
当社は、光学レンズ部品やマイクロ流路デバイスなどの分野でここ数年ますます高まる透明樹脂接合ニーズに向け、今後、広くレーザー装置・レーザー加工メーカとも提携し、今回開発した溶着法の普及、UV吸収性PAR樹脂の拡大を計ります。国内のみならず、海外顧客開拓を進めることで、3年後には売上高3億円を目指します。
以上
<本件に関するお客様のお問い合わせ先>
ユニチカ株式会社樹脂事業部 エンプラ営業部
東京:[エンプラ第一グループ]TEL:03-3246-7598 FAX:03-3246-7569
大阪:[エンプラ第二グループ]TEL:06-6281-5541 FAX:06-6281-5849
名古屋:[エンプラ第三グループ]TEL:052-971-3781 FAX:052-971-3786
<本件に関する報道関係からの問い合わせ先>
ユニチカ株式会社 広報グループ
TEL:06-6281-5695
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