ニュースリリース 高分子事業

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高分子事業

2004/9/ 2

機能性樹脂の新規水性分散体「アローベース」の上市と今後の展開について

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 ユニチカは、これまでポリエステル系樹脂の水性分散体を開発し、事業化してまいりました。このほど、この樹脂の水性化技術を応用し、水性分散体としては初めて実用レベルでポリオレフィン系樹脂と密着する水性分散体「アローベース」を開発し、これを上市することにいたしました。

1)開発の背景
 地球温暖化や大気汚染の原因物質である揮発性有機化合物(VOC)の排出規制が強化される中、プライマー、コーティング剤、塗料、接着剤などでは、トルエンのような芳香族系有機溶剤は使用量削減の方向に進んでいます。そこで、樹脂の溶剤溶液に代わって、水性分散体が注目されています。しかし、ポリオレフィンからなるフィルムや合成紙用のプライマーやコーティング剤などでは、密着性の点で実用上満足できる水性分散体がこれまでなく、溶剤回収コストを支払って溶剤溶液を使用するか、性能が不十分ながら用途を限定して水性分散体を使用することで対処してきました。
 当社ではポリオレフィン系樹脂との密着性に優れた水性分散体の開発に取り組み、水性分散体としては初めて実用レベルでポリオレフィン樹脂と密着する機能性樹脂の水性分散体「アローベース」の開発に成功しました。
 「アローベース」は環境面を重視すると、ポリオレフィン用プライマー、コーティング剤、塗料、接着剤などの用途においてこれまで使用されてきた溶剤溶液を全て置き換える可能性もあり、その市場規模は30%溶液換算で年間18,000トン以上、金額にして年間100億円超にもなります。

2)技術内容
 「アローベース」の最大の技術的特徴は、不揮発性分散安定化剤、いわゆる乳化剤を一切使用せずに、水性媒体中に機能性樹脂を安定に分散させている点です。これを実現するためにユニチカ独自の水性化技術を確立し、その製法および水性分散体については日本をはじめ世界中に特許出願しており、アメリカではすでに特許が成立しております。
 これまでに「アローベース」の特長を生かした用途に求評を続けてまいりましたが、求評開始当初から多くの引き合いが続き、最近大口の採用が決定したことから、このほど上市を決定いたしました。

3)「アローベース」の特徴
 密着性
「アローベース」を乾燥して得られる被膜は、一般に接着が困難と考えられているポリエチレンやポリプロピレンなどの極性の低いポリオレフィン系樹脂との密着性に優れています。さらに、ポリエステルやナイロンなどの極性の高い樹脂や、金属、紙、ガラスなどの各種材料との密着性に優れていることから、プライマーや異種材料間の接着に有用です。また、ヒートシール性も有しております。

 環境保全性
「アローベース」はトルエンのような芳香族系有機溶剤を一切使用しておらず、VOC 対策の一助となります。また、燃焼時にダイオキシンを発生する可能性物質を含有せず、環境にやさしい材料として安心してお使いいただけます。

 耐水性、耐アルカリ性
「アローベース」は緩やかな乾燥条件でも被膜を形成し、一度形成された被膜は耐水性に優れます。さらに、この被膜は強アルカリによっても腐食されないことが確認されております。

 低温造膜性、透明性
「アローベース」は低温造膜性に優れており、室温で乾燥するだけで透明な被膜を形成します。
もちろん、加熱すればより素早く透明性の高い被膜を形成します。このような特性を生かして水性塗料用バインダーとしての使用が期待されています。

4)用途
ポリオレフィン系フィルムおよび合成紙用プライマー
ポリオレフィン用塗料バインダー
超高分子量ポリエチレン繊維結束剤
PET およびナイロンフィルム用コーティング剤
各種フィルムやアルミ箔のヒートシール剤
鋼板用防錆コート剤バインダー

5)販売展開
予定販売数量 初年度10トン
       2年後130トン


※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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